組織開発者・勅使川原真衣が、教育・福祉のフロントランナーと対話。不登校児34万人超、教職員の休職増の学校で、できることとは。
学校をめぐる能力主義の構造的な“視線”をとりあげる異色の対談集、ついに刊行。学校が、だれかにとって「いるだけでつらい場所」にならないためにできることは、なんだろう。
株式会社東洋館出版社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:錦織圭之介)は、組織開発者・勅使川原真衣編著の対談集『「これくらいできないと困るのはきみだよ」?』を2024年12月17日に刊行します。
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4491055521
2024年10月31日に文部科学省が発表した「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、不登校児童生徒は34万人を超え、2022年度の「人事行政状況調査」では教職員の病休者が2年連続で過去最多を更新しています。そこで、学校に「居づらい」「いられない」大人や子どもが増え続ける今、本書は学校で耳にする「これくらいできないと困るのはきみ(本人)だ」ということばに注目しました。
著書『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)で一元的な「能力」観の危うさを指摘し、関心と共感を集める組織開発者・勅使川原真衣さんを編著者に迎え、教育・福祉の最前線で活躍する専門家・実践家4名との対話を収録します。
■「変わりたい、変われない……」シーソーゲームから脱出するために
「これくらいできないと困るのはきみ(本人)だ」は、合理的配慮の要請などで学校から保護者・子どもに向けられたり、あるいは教師の同僚間でも聞かれます。その「これくらい」が規定する社会は、本当に存在するのか? 学校が「これくらい」で縛り縛られる以外の道はないだろうか? などの問いを、対談者の実際の教室での経験や専門領域での知見を拠りどころに、掘り下げていきます。
一方で、「学校がいくら個性を大切にしても、その先で生きていく社会が変わらなければ、結局困るのは子どもたちではないか?」というのもまた、過度な能力主義がルールメイキングに参与する社会で聞かれる不安です。しかし、このまま進んでいったとして、学校は子どもたちにとって、そして先生にとって、どんな場所になりうるでしょうか。私たちは、なに「から」始めていけそうでしょうか。
フロントランナーと組織開発者の対話の中に、明日のヒントを見いだしていきます。
対談1:「声を聞かれること」野口晃菜×勅使川原真衣
インクルーシブ教育の推進に向けて活動されている野口晃菜さんと対談。子どもに「これくらいできないと」と言ってしまう背景には教師の声の“聞かれなさ”があることに注目し、先生の声を先生自身に取り戻すための試みについて考えます。
対談2:「学校でケアし、ケアされるということ」竹端寛×勅使川原真衣
能力主義社会における学校の先生という仕事の難しさと、時代の大転換期にあってどの方向に進めばよいかを概念的に整理する、福祉社会学者・竹端寛さんとの対談です。
対談3:「学校がそうせざるを得ない合理性を追って」武田緑×勅使川原真衣
学校DE&Iコンサルタントの武田緑さんと、教育現場で相互に認め合い、変容を可能にするための民主的な対話のあり方を考えます。社会と学校の往還――つまり「ニワトリからか? 卵からか?」の議論を交え、「これくらいできないと困るのはきみだよ」の是非を検討します。
対談4:「言っても癒えない?――学校という職場で」川上康則×勅使川原真衣
現役の特別支援学校教員であり、『教室マルトリートメント』などの著書をもつ川上康則さんとの対談です。教師の圧のある風は、どのような構造で生まれてくるのか? 長時間労働の解消をはじめとする働き方改革が待ったなしの状況で、子どもたちとそこでしか築けない時間・空間を大切にするためにはどうしていけばいいのか? 今いちど、能力主義の視点から検討します。
4つの語り合いを通して、学校にある大人や子どもの傷つき・葛藤をつぶさに見つめながら、学校をめぐる際限なき「望ましさ」の背景に迫ります。
■目次
はじめに
対談1 声を聞かれること(野口晃菜)
対談2 学校でケアし、ケアされるということ(竹端寛)
対談3 学校がそうせざるを得ない合理性を追って(武田緑)
対談4 言っても癒えない?――学校という職場で(川上康則)
おわりに
■編著者プロフィール
[編著者]
勅使川原 真衣(てしがわら・まい)
組織開発者
東京大学大学院教育学研究科修了。BCGやヘイ グループなどのコンサルティングファーム勤務を経て、独立。教育社会学と組織開発の視点から、能力主義や自己責任社会を再考している。2020年より乳がん闘病中。著書に『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)、『働くということ』(集英社新書)、『職場で傷つく リーダーのための「傷つき」から始める組織開発』(大和書房)。
[著者]※本文掲載順
野口 晃菜(のぐち・あきな)/博士(障害科学)/一般社団法人UNIVA理事
竹端 寛(たけばた・ひろし)/兵庫県立大学環境人間学部教授
武田 緑(たけだ・みどり)/学校DE&Iコンサルタント・Demo代表
川上 康則(かわかみ・やすのり)/東京都杉並区立済美養護学校主任教諭 / 立教大学兼任講師
著者の詳しいプロフィールはこちらから → https://www.toyokan.co.jp/products/5552
■書籍情報
書 名:「これくらいできないと困るのはきみだよ」?
編著者:勅使川原真衣
著 者:野口晃菜、竹端寛、武田緑、川上康則
判 型:四六判
頁 数:376
発売日:12月17日
価 格:2,255円(税込)
ISBN:978-4-491-05552-1
発行元:東洋館出版社
URL:https://www.toyokan.co.jp/products/5552
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4491055521
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