Space BD、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」1号機に日本大学の超小型衛星「てんこう2」を搭載・放出支援
「HTV-X」からの超小型衛星放出(H-SSOD)ミッションにおける唯一の実施企業として参画
宇宙産業における総合的なサービスを展開するSpace BD株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:永崎将利)は、日本大学 理工学部 奥山研究室が開発した超小型衛星「てんこう2」を搭載した新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」1号機が、2025年10月26日午前9時00分15秒(日本時間)に、種子島宇宙センターから打ち上げられたことをお知らせいたします。なお、本衛星は、HTV-Xをプラットフォームとする超小型衛星放出機構「H-SSOD」の初ミッションとして宇宙空間へ放出される予定です。
本件は、Space BDが2020年にJAXAより受託した「HTV-X」衛星放出ミッション※1および、2021年に発表した日本大学との業務提携※2に基づき実施されるものです。

◾️超小型衛星放出機構H-SSOD(HTV-X Small Satellite Orbital Deployer)について
H-SSODは、HTV-X1号機に搭載されている超小型衛星放出機構です。HTV-XはISSから離脱後、より高い約500kmの高度から衛星を放出することもできるため、従来のISSからの放出に比べて衛星の運用期間が延長され、超小型衛星利用の幅が広がることが期待されています。また、HTV-Xの特長である自在な飛行能力を活かした衛星放出をすることも可能であり、超小型衛星放出の新たな需要を引き出すことも期待されています。
「てんこう2」は、このH-SSODを用いた初の衛星放出ミッションとして放出される予定です。
◾️Space BDの役割
当社は、JAXAとの契約のもと、HTV-X衛星放出ミッションにおける唯一の実施企業として、ミッションユーザーの開拓から衛星引渡しまでを担当しました。本件は、日本大学との初の協働事例であり、衛星放出システムの開発段階から、衛星搭載ケースの仕様調整やユーザー利便性の向上、放出プロセスの構築に協力しました。
◾️てんこう2について
【サイズ】W6U(226x100x366[mm]、重さ約7.2kg)
【ミッション】
「てんこう2」は当社の協力のもと、奥山研究室が2018年に打ち上げた[1]地球低軌道環境観測衛星「てんこう」の後継機として開発された超小型衛星です。「てんこう」と同じ高エネルギー荷電粒子検出器[2]が搭載されており、地球低軌道周辺の高エネルギー粒子の空間分布などを観測します。
「てんこう2」には計算速度や記憶容量が大きく、消費電力が小さい新しいマイクロコンピュータを搭載、宇宙環境耐性も評価します。仮に、マイクロコンピュータに不具合が生じた際には検出器のデータを用いて分析します。
その他、高解像度のカメラを用いた地球観測や、アマチュア無線帯を用いた新しい宇宙通信技術の確立などを行うほか、日本大学理工学部と芸術学部が連携してつくりあげる「宇宙×エンタメ」ミッション、「N.U Cosmic Campus(NUCC)」に取り組みます。これは世界中の人たちと一緒に曲を作ったり、絵を描いたりするアート活動で、まるで世界と宇宙が一つのキャンパスになったかのような体験を提供する予定です。
[1]2018年の「てんこう」打上げ時の奥山圭一教授の所属は九州工業大学
[2]地球の周りには高エネルギーで飛び交う粒子が存在します。宇宙線とも総称されるそれらの粒子にはまだ未解明な部分が多く、軌道上での粒子数の計測は、それを解明していくための重要な情報となっています。
◾️関係者コメント
・日本大学 理工学部 奥山研究室 奥山 圭一教授 コメント
「てんこう2」は、日本大学 理工学部 奥山研究室が開発した超小型衛星であり、H-SSODによる初の放出衛星となります。
本プロジェクトの一つ「N.U Cosmic Campus(NUCC)」は、科学と芸術、大学と付属校が協働し、宇宙を舞台に“総合知による学びと創造”を体現する取り組みです。
HTV-Xは高度を柔軟に調整でき、今回はISS軌道(約400 km)から約500 kmへの遷移後に放出されます。
H-SSODは科学・工学のみならず、芸術・教育など多様なミッションを多様な高度で実現できるシステムであり、超小型衛星の新たな需要を切り拓くと確信しています。
・Space BD株式会社 ローンチサービス事業ユニット 事業ユニット長 李 美亜 コメント
H-SSODの初ミッションとして日本大学の超小型衛星『てんこう2』の放出支援に携われたことを、大変光栄に思います。本プロジェクトは、HTV-Xの開発と歩みを合わせながら長い時間をかけて準備を進めてきたものであり、日本大学、そしてパートナーの皆さまと共に積み上げてきた努力が、軌道上で形になる瞬間を迎えられたことに深い感慨を覚えます。H-SSODは、HTV-Xの柔軟な飛行特性を生かした新しい衛星放出手段であり、多様な超小型衛星ミッションに新たな選択肢を提供するものと確信しています。
「てんこう2」が軌道上で数多くの成果をもたらし、日本大学の皆さまの挑戦にさらなる広がりをもたらすことを心より祈念しています。
◾️本ミッション仕様

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放出方法 |
H-SSOD(HTV-Xからの超小型衛星放出システム) |
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打上げロケット |
H3ロケット |
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対象衛星 |
てんこう2(日本大学) |
※2:日本大学理工学部・Space BD、新型宇宙ステーション補給機『HTV-X』1号機における超小型衛星放出技術実証ミッションに関する業務提携を締結(2021年8月5日)
■Space BD株式会社について
Space BDは、日本の宇宙ビジネスを、世界を代表する産業に発展させることを目指す「宇宙商社®」です。2017年の創業以来、宇宙への豊富な輸送手段の提供とともに国際宇宙ステーション(ISS)をはじめとする宇宙空間の利活用において、ビジネスプランの検討からエンジニアリング部門による技術的な運用支援までをワンストップで提供しています。技術力に立脚した営業力・事業開発力を礎に、多様なキャリアバックグラウンドを持ったメンバーが、宇宙を活用した官民の事業化支援・事業変革、教育分野などに事業を展開しています。
2025年10月現在、衛星取扱い数100件超に加え、600を超える宇宙空間での実験実績を重ねています。
社 名:Space BD株式会社
本 社:東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 日本橋三井タワー7階
代 表 者 :代表取締役社長 永崎将利
設 立:2017年9月1日
事業内容:宇宙における各種サービス事業・教育事業
U R L:https://space-bd.com/
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