UntroD野村クロスオーバーインパクトファンド、アンメット・メディカル・ニーズに新たな選択肢をもたらす医薬品開発を手がけるジェイファーマへの出資を実施

UntroD Capital Japan株式会社(所在地:東京都港区、代表:永田 暁彦、以下、「当社」)が運営するUntroD野村クロスオーバーインパクトファンド(以下、「XIF」)は、新規治療ターゲットであるSLCトランスポーター(特にLAT1(L型アミノ酸トランスポーター)に注力した医薬品の開発を手がけるジェイファーマ株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:吉武 益広・舛屋圭一、以下、「ジェイファーマ」)へ投資を実施したことをお知らせ致します。ジェイファーマは今回の資金調達をもとに、「ナンブランラト」*1及び「JPH034」*2の研究開発を進めて参ります。
企業概要
ジェイファーマ株式会社は、「SLCトランスポーターの新たな可能性を追求し、アンメット・メディカル・ニーズに応える革新的新薬の開発を通じて、世界中の人々が健康を維持し、希望を持ち続けることに貢献する」を企業理念としています。この理念のもと、SLCトランスポーターのひとつで創業者である杏林大学名誉教授 遠藤仁氏のチームが発見したLAT1(L型アミノ酸トランスポーター1)に注力し、がんや自己免疫疾患において既存薬では対応できない患者様のニーズに対応しうるLAT1阻害剤の開発を進めております。
現在、臨床開発中のLAT1阻害剤「ナンブランラト」や「JPH034」に加え、新たな候補化合物の研究も進行中です。2023年10月には米国子会社を設立し、そのメンバーおよび米国のコンサルタント等と密に連携して、適切な薬事・開発・知的財産権戦略を構築しております。
資金調達の目的と使途
ジェイファーマは今回、2024年6月より継続していたEラウンドエクステンションにおいて、XIFほか国内外の複数の投資家からの出資を受け、総額37.7億円の資金調達を行いました。本資金をLAT1(L型アミノ酸トランスポーター1)阻害剤「ナンブランラト」及び「JPH034」の研究開発を加速させる計画です。調達した資金の具体的な使途は以下の通りです。
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ナンブランラトのグローバル第3相臨床試験
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ナンブランラトのその他の非臨床・臨床試験
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JPH034の米国FDA IND申請
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JPH034の米国第1相臨床試験
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LAT1を標的とした新規薬剤の探索および診断技術の開発
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経営体制の強化
代表者コメント
ジェイファーマが挑むSLCトランスポーター創薬は、これまで治療法が確立されていない疾患に新たな選択肢をもたらし、多くの患者や家族の未来を変える可能性を秘めています。
私たちは、ジェイファーマが日本を代表するバイオベンチャーとして、上場後も成長し続け、グローバルに革新的な治療を届ける存在となることを信じています。その実現に向けて、XIFとして経営陣や投資家の皆様とともに伴走してまいります。
(UntroD Capital Japan株式会社 代表取締役社長 永田 暁彦)
ジェイファーマ株式会社について
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設立年月:2005年12月
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所在地:神奈川県横浜市鶴見区小野町75番地1
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代表者:吉武益広・舛屋圭一
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事業内容:新規治療ターゲットであるSLCトランスポーター(特にLAT1(L型アミノ酸トランスポーター1)に注力した医薬品の開発
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出資時期:2025年4月
UntroD Capital Japan株式会社(アントロッドキャピタルジャパン)およびXIFについて
UntroD Capital Japan株式会社は、地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを有するディープテック・スタートアップの社会実装を目的とした「リアルテックファンド」を2015年に設立し、シード・アーリーステージのスタートアップへのリード投資およびハンズオン支援を行ってきました。現在までに、リアルテックファンド1号~4号(日本ファンド)、リアルテックグローバルファンド1号・2号(グローバルファンド)、リアルテックグロースファンド1号(日本ファンド)を運用し、運用総額は400億円以上に達しています。社会に必要とされながら資本が流れにくい未踏領域に誰よりも最初に踏み出し、その経済性を証明することで資本や人材が供給され続ける持続的な仕組み創りを目指す、その意志をより一層体現するため、「未踏」を意味する「UntroD」を社名として掲げ、2024年6月に再始動しました。
XIFは、日本最大級の資産運用会社である野村アセットマネジメント株式会社(CEO兼代表取締役社長:小池広靖、以下「野村アセットマネジメント」)と協業し、当社のディープテック領域におけるスタートアップ投資支援の経験知と野村アセットマネジメントが長年培った上場企業との対話手法を組み合わせ、インパクト志向の強いIPOを目指したレイト・ステージの有望なスタートアップ企業へ長期の資金を供給し、上場後の持続的な成長を重視した企業価値向上を支援することで、地球や人類の課題解決に資するスタートアップ企業が、上場後も更なる社会的インパクトを創出し続けられるエコシステムの実現を目指し、2024年に設立しました。当ファンドを通じて、クロスオーバー投資並びにインパクト投資の市場の育成を図り、ファンドのパフォーマンスのみならず、ソーシャルインパクトを実現する投資モデルの確立を目指します。
*1 ナンブランラトは、ジェイファーマが独自に見出した選択的にLAT1を阻害する新規の低分子化合物です。ジェイファーマは2015年から複数の固形がんを対象に臨床第1相試験を行い胆道がんへの可能性を見出し、2018年から3年半の時間を費やし、進行性胆道がんを対象とした国内第2相試験を実施し、単剤で有用な臨床効果を示すことを明らかにしました。ナンブランラトは、LAT1を標的とし臨床開発を進めている世界初の化合物であり、医薬品の承認を取得すれば、ファースト・イン・クラス(疾患に対して新しい作用機序で初めて承認に至る医薬品)の新薬となります。
ナンブランラトは2022年4月に米国食品医薬品局(FDA)からオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)に指定され、臨床開発プログラムへの助言相談、臨床試験費用の一部税額控除、申請費用の免除、米国における7年間の独占販売権付与などの優遇処置を受けることができます。2024年9月25日付けで、FDAより、ナンブランラトのがん患者における臨床試験に対するInvestigational New Drug(IND)申請が承認されました。
*2 JPH034は、中枢神経系の自己免疫疾患の一つである多発性硬化症を対象疾患として開発を進めています。JPH034は2023年6月、競争が厳しく評価が厳しいことで知られる米国National Multiple Sclerosis Society (NMSS)のFast Forward Research and Commercialization Grant に採択されました。2019年より共同研究をしている米国ジョージタウン大学で実施した多発性硬化症モデルマウスを用いた実験では、JPH034により脱髄病変における中枢神経系の局所炎症を調整することが示され、JPH034が多発性硬化症治療薬として有効である可能性が示唆されました。特に、再発寛解型多発性硬化症の患者様のほとんどが進行する二次進行型多発性硬化症において、継続的に不可逆性の疾患進行を引き起こすことで知られるミクログリアの活動を調節する薬剤が現時点では存在せず、多くの患者様のアンメット・メディカル・ニーズに応えうる薬剤として期待されます。
2024年6月、ジェイファーマは、アミノ酸トランスポーター阻害薬を中枢神経系の炎症性疾患(多発性硬化症を含む)の治療に用いるジョージタウン大学が保有する登録された特許および出願中の特許について、ジョージタウン大学がジェイファーマに全世界での独占的な実施権を許諾する契約を締結しました。これにより、既にジェイファーマが有していたJPH034の物質特許の独占的通常実施権と組み合わせることで、より長く、強い独占権を確立しました。
本年2月には、ジョージタウン大学が日本において、LAT1阻害剤を用いた中枢神経系の炎症疾患に対する用途特許(出願番号:特願2021-518005)の特許査定を取得しました。
本年度中にFDAより臨床試験に対するInvestigational New Drug (IND)申請を完了し、承認を得ることを目指して開発を加速しています。
また、現在、欧州の大学において薬剤の介入を伴わない臨床研究を進めており、中枢神経系の炎症要因の一つであるミクログリアの活性化とLAT1の発現が脱髄病巣レベルで共存するか否かを検証しています。
お問い合せ先
UntroD Capital Japan株式会社
広報担当:成田
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