<防災意識と避難所生活に関する調査>避難所経験者の7割が防災意識向上、非経験者は約半数にとどまる。避難所滞在は4割超が3日以上、7割近くが身体の不調を経験。
不調を感じた4割以上が「衛生用品」「医薬品」を用意しておけばよかったと回答 ~非常時への正しい備え・避難所生活中の不調時への対処について専門家が解説~
近年、日本国内では、地震や台風などの大規模自然災害による被害が増加しています。自然災害発生への不安や警戒が 高まっていることが想定される中、第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)は、防災の意識や対策について、 避難所生活の経験者と非経験者を対象に、それぞれの防災意識の違いや、避難所生活が与える影響を調査しました。
これらの調査結果を踏まえて、東京大学医学部附属病院薬剤部、日本DMAT隊員、東京都災害薬事コーディネーターの高山和郎先生に、非常時への正しい備えなどについて話を伺いました。
<調査サマリー>
1.避難所経験者と非経験者、それぞれの防災意識
●防災意識について、経験者の7割(70.0%)、非経験者の約半数(51.5%)が「昨年と比べ、防災意識が高まった」と回答。避難所経験の有無により、約20ポイントの意識差が見られた。
●防災に関連した対策の有無について、経験者が7割(73.9%)を超える一方、非経験者は4割(44.0%)にとどまった。
●具体的な防災対策は、経験者、非経験者ともに「備蓄品」 や「非常用バッグ」の準備が多い傾向。
2.防災対策としての備蓄品
●避難所で不調を感じた経験者が用意しておけばよかったと思うもの、上位は「衛生用品(ウエットティッシュ、手指消毒液など)」(52.0%)、「医薬品」(43.0%)。
一方、非経験者は「衛生用品」「医薬品」について、約2割が「避難所にあると想定している」と回答。
●備蓄品で困っていることは、経験者、非経験者ともに「使用期限・消費期限の管理」が最も多く、続いて「保管場所」「準備する量が分からない」。
3.避難所生活の実態と不調について
●実際に避難所で過ごした日数は、「1~2日」が半数以上(58.3%)を占めるが、3日以上も4割強(41.7%)に上る。
●避難所経験者の6割以上(65.8%)が「身体に不調を感じた」と回答。具体的な不調の上位は「腰痛・肩こり」(68.6%)、「頭痛」(37.7%)、「胃痛」(32.9%)。
1.避難所経験者と非経験者、それぞれの防災意識
■防災意識、災害時の備えともに、避難所経験の有無で大きな差。
2024年は年初から大規模自然災害が多く発生しました。そうした中、避難所経験者の7割(70.0%)、非経験者の約半数(51.5%)が「昨年と比べ、防災意識が高まった」と回答しています。避難所経験の有無により約20ポイントの差が開きまし た。防災に関連した対策の有無についても同様の傾向が見られます。「対策している」割合は非経験者で半数未満(44.0%)にとどまったのに対し、経験者では7割以上(73.9%)に上り、約30ポイントの差が見られました。
■具体的な防災対策は、経験者、非経験者ともに「備蓄品」や「非常バッグ」の準備が多い傾向。
次に防災対策について聞いたところ、両者ともに「備蓄品(食料・飲料)」「非常用持ち出しバッグ」 「備蓄品(医薬品や衛生用品)」の順に、回答が多い結果でした。非経験者は、食料や飲料の備蓄品の用意が51.3%である一方、医薬品や衛生 用品の備蓄は27.6%と、備えに関する意識の偏りが見られました。
2.防災対策としての備蓄品
■避難所生活で不調を感じた経験者が用意しておけばよかったもの、上位は「衛生用品(ウエットティッシュ、手指消毒液など)」、「医薬品」。
避難所生活で身体に不調を感じた経験者に「用意しておけばよかったもの」を聞くと、半数以上(52.0%)が「衛生用品(ウエットティッシュ、手指消毒液など)」と回答し、次に「医薬品」(43.0%)が続きます。防災対策の備えとして、避難所生活で不調になった際を見越した備えが不十分であったことが見受けられました。
■非経験者は「衛生用品」「医薬品」について、約2割が「避難所にあると想定している」。
非経験者に「避難所にあると想定しているもの」を聞くと、「飲料」(52.5%)「食料品」(52.2%)が多い一方で、図表4で経験者が「用意しておけばよかったもの」として上位に挙げた「衛生用品(ウエットティッシュ、手指消毒液など)」「医薬品」は、非経験者の約2割が「避難所にあると想定している」と回答しています。
■備蓄品で困っていることは、経験者、非経験者ともに「期限の管理」が最も多く、続いて「保管場所」、「準備する量が分からない」。
備蓄品の準備で困っていることについて聞くと、経験者の約半数(48.9%)が「期限の管理」と回答。続いて「保管場所」(43.4%)、「準備する量」(32.3%)と続きます。非経験者でも同様の傾向がみられ、正しい備えに関する情報が必要であることが分かります。
■実際に避難所で過ごした日数は「1~2日」が半数以上(58.3%)を占めるが、「3日以上」も4割強(41.7%)に上る。
避難所経験者を対象に、実際に避難所で過ごした日数を聞くと、半数以上(58.3%)が 「1~2日」である一方、「3日以上」も4割強(41.7%)に上ります。避難所で過ごす日数については、予想が難しいことがうかがえます。
3.避難所生活の実態と不調について
■6割以上が「身体に不調を感じた」と回答。具体的な不調の上位は「腰痛・肩こり」、「頭痛」、「胃痛」。
避難所生活での不調について聞くと、65.8%が「身体に不調を感じた(とても感じた+やや感じた)」と回答しています。具体的な不調については「腰痛・肩こり」(68.6%)が最も多く、「頭痛」(37.7%)、「胃痛」(32.9%)と続きます。日常と異なる状況で不調を感じる人が多いことがうかがえます。
「防災に関する意識調査」調査概要
■実施時期:2024年10月11日~16日 ■調査方法:インターネット調査
■調査対象:北陸地方以外の日本全国の、避難所生活経験のある方とない方
(避難所生活経験のある方:1,010人、避難所生活経験のない方:1,056人)
■調査実施機関:株式会社インテージ ■抽出フレーム:インテージのマイティモニター
※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため100%にならない場合があり、表記した数字の合算した値と異なる場合があります。
※本調査結果を引用いただく際は、出典として「第一三共ヘルスケア 防災に関する意識調査」と明記いただけますと幸いです。
高山 和郎先生による「非常時への正しい備え」
1.必要な物資の準備
災害時には最低でも3日分の食料、水、医薬品を備蓄しておくことが基本といわれています。しかし状況により、一概に必要量を定めることは難しいと言えます。地域のハザードマップなども確認し、「各家庭で必要量を想定し、備える量を考えること」が重要です。家族構成やそれぞれの健康状態に応じて、必要な物資や量は異なります。例えば、成人のみの家庭、高齢者がいる家庭、乳幼児がいる家庭では、それぞれ必要な物資や水の量も異なるでしょう。家族全員で話し合い、「必要なものをリスト化し 共有」しておくと良いでしょう。
2.医薬品の準備・管理方法とおくすり手帳
避難所には薬があるとは限りません。あったとしても種類も数量も限られていることは理解しておきましょう。だからこそ常用している処方箋薬はもちろんのこと、日常的に使用している市販薬も備え「普段服用している薬を用意すること」が大切です。医薬品は、それぞれの保管方法を確認のうえ、なるべく一カ所か二ヵ所にまとめておきましょう。家族で保管場所を共有しておくことで、管理がしやすくなります。準備する量は通常3~5日分の準備が目安ですが、医薬品ごとにどのくらいの量を備えるべきか家族で考えておく必要があります。また、ローリングストック方式を採用し、日常的に使用する中で新しいものを補充すること「日常の延長としての備え」をおすすめします。非常時への備えに限らず、市販薬の服用時には使用期限を確認する癖をつけるなど、少なくとも1年に一度は見直す習慣をつけましょう。『おくすり手帳』は持ち歩いていますか?処方箋薬においては、災害時にかかりつけの医療機関の受診や薬局での薬の受け取りなどができない可能性もあります。いつもと異なる薬のもらい方となる可能性もあるため、 診療の記録や『おくすり手帳』も必ず常備して持ち歩きましょう。
3.避難所での健康管理
避難所では、普段の生活とは異なる環境でどうしたらよいか分からない不安な精神状態になり、ストレスを感じる方が多いです。腰痛や肩こり、頭痛、胃痛などの不調が報告されていますが、非日常ではこれらの症状が起こるかもしれないことを、事前に認識しておきましょう。避難所生活ではつい運動量が減ってしまうことが多いのですが、それが身体の不調を引き起こす要因になるため、適度な運動やストレッチを心掛けましょう。
健康は自己管理することが大切ですが、もし避難所で健康状態に不安を感じたら、我慢せず避難所に設置された救護所や 医療について相談できる窓口であったり、巡回している医療従事者に早めに相談しアドバイスをもらったりすることが大切です。診察や応急手当、薬の処方が必要な場合も気軽に医師や薬剤師、看護師に相談しましょう。その際も『おくすり手帳』は忘れずにご持参ください。
4.日頃から家庭で話し合い、正しい備えを
災害時の避難所の環境、運営については、これまでの経験に沿ってサポート体制が強化されているものの「自助努力」が基本となります。まずはご自身と家族の安全を確保し、そのうえで地域や行政のサポートを活用することを心掛けてください。日頃から、自治体が指定した避難所の場所や開設状況の確認方法や医薬品を含めた必要物資の整理、災害時に利用する可能性のある医療機関、ドラッグストア・薬局の確認など、各家庭での備えが重要です。必要なもののリスト化に限らず、「非常時にとるアクションプランをリスト化」しておくこともおすすめです。非常時にも冷静に対処できるよう、自分たちが必要なことを考え、正しい備えをしておきましょう。
高山 和郎先生(東京大学医学部附属病院薬剤部、日本DMAT隊員、東京都災害薬事コーディネーター)
30年以上にわたり、病院薬剤師として勤務。日本病院薬剤師会災害対策委員会委員長。
東日本大震災、熊本地震での災害支援経験を教訓として、2024年の能登半島地震では、災害時感染制御支援チーム(DICT)や日本病院薬剤師会のメンバーとして被災地に入り、医療機関や避難所支援を行った。
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第一三共ヘルスケア 情報提供サイト「くすりと健康の情報局」
災害に備えて救急箱を持とう
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/knowledge/scene/2020_1.html
■第一三共ヘルスケアについて
第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ*の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。
現在、OTC医薬品にとどまらず、スキンケアやオーラルケアへと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」の実現に向けて取り組んでいます。
こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる 社会の実現に貢献します。
* 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。
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