FromプラネットVol.191<高齢者介護に関する意識調査>

約9割が「高齢者介護に負担を感じる」 〜介護経験の有無で負担感に違いも〜

プラネット

 国内1,400社超が利用する日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (所在地:東京都港区、代表取締役社長:坂田政一) は消費財や暮らしにまつわるトピックスをお届けする 『Fromプラネット』 の第191号として、高齢者介護に関する意識調査の結果をご紹介します。未掲載のデータ提供や当社担当者が解説を差し上げることもできますので、お気軽にお問い合わせください。
※回答率(%)は小数点第2位以下を四捨五入し同第1位までを表示しています。そのため、内訳の合計と表示値が異なる場合があります。
  • 高齢者介護「未経験」が8割
 現在介護中の人も含めて、これまでに高齢者介護をしたことがあるか(仕事での介護は含まず。以下の質問でも同様)を聞きました(図表1)。結果、「したことはない」と回答したのは79.7%、「1人だけ」は15.3%、「2人以上」が5.1%でした。性年代別に見ると、介護経験がある人の割合は、男女ともに「50代」と「60代」の間で10ポイント以上の差があります。また、「60代」「70代以上」ともに、介護経験のある女性は男性より10ポイント以上高くなっています。「2人以上」の介護経験がある人が10%を超えたのは、「女性60代」「女性70代以上」だけです。
 介護経験のある人に介護の相手を聞いたところ(図表2)、「父・母」が67.6%、「義父・義母」が18.7%で、それ以外の項目は10%以下でした。「父・母」については、男性のほうが約20ポイント高く、「義父・義母」については、女性のほうが10ポイント以上高いです。この違いは何から生まれているのでしょうか。

 
  • 「介護を負担に感じる」が割近く
 高齢者介護を負担に感じるかどうかを聞いてみると(図表3)、「とても負担に感じる」が55.4%、「やや負担に感じる」が32.8%でした。合計すると88.2%ですが、女性の40代〜60代では約91%とほかと比べて高い割合です。
 一方で、「あまり負担に感じない」は6.6%、「まったく負担に感じない」は5.2%です。
 「あまり負担に感じない」「まったく負担に感じない」と回答した人の割合は、男性では20代、30代、40代、女性では20代、30代、70代以上で全体平均よりも高くなっています。

 
  • 実際にやってみると介護のイメージが変わる
 実際に介護をしたことがあるかどうかで、介護をどのくらい負担に感じるか違いはあるのでしょうか。
 図表4のとおり、介護経験のある人とない人を比べると、「とても負担に感じる」「まったく負担に感じない」と回答したのは介護経験のある人のほうが低く、逆に「やや負担に感じる」「あまり負担に感じない」と回答したのは介護経験のある人のほうが高くなっています。実際やってみて「想像していたより楽だった」「想像していたより大変だった」と思い直す人がそれなりの割合いるのでしょう。
 数字の違いを見ると、「思っていたよりは楽だったけど、負担は負担だよね」という感じでしょうか。

 
  • 施設に入るのは「家族に迷惑をかけたくないから」
 介護が必要になったときに、介護施設に入所したいかを聞いたところ(図表5)、「入所したい」が45.9%、「入所したくない」が54.1%と、ほぼ半々という結果でした。
 男女別に見ると、「入所したい」男性は42.0%、女性は49.9%です。また、男性は年齢が上がるほど「入所したい」と回答した割合が高い傾向にあります。一方、女性は30代、40代、60代で「入所したい」が50%を超えて、山なりのような印象です。


 入所したい/したくない理由を聞くと(図表6)、入所したい理由のトップは「家族に迷惑をかけたくないから」(73.1%)でした。2位以下とは40ポイント以上の差をつけて、ダントツの1位です。
 一方、入所したくない理由のトップは「家で過ごすほうがいいから」(56.0%)で、2位の「経済的な負担が大きいから」(49.1%)とは10ポイントも差がついていません。また、3位が「資金的な余裕がないから」(43.3%)ですが、2位、3位とお金に関する理由が続きました。


 入所したい/したくない理由について年代別に見ると(図表7)、「家族に迷惑をかけたくないから」と回答した人の割合は高齢になるほど高くなっています。同様に「家で過ごすほうがいいから」入所したくないと答えた人の割合も、高齢ほど高いです。

 
  • 家族の面会「来てくれなくてよい」が約
 高齢者介護施設に「入所したい」と回答した人を対象に、施設に入所した場合、家族や友人・知人にどのくらいの頻度で面会に来てほしいかを聞きました(図表8)。
 まず家族の面会については、最も割合が高かったのが「1ヶ月に1回は来てほしい」(25.5%)、2位が「1週間に1回は来てほしい」(20.4%)でした。1ヶ月に1回以上の面会を希望する人は合計で約6割ですが、「まったく来てくれなくてよい」と回答した人も17.8%いました。
 一方、友人・知人については、「まったく来てくれなくてよい」が40.3%で最も高く、2位の「1ヶ月に1回は来てほしい」(16.2%)と大きく差をつけています。

 
  • 介護用品に対する印象は?
 「高齢者介護用品を使用したことがありますか」と質問したところ(図表9)、「ある」は9.0%、「ない」は91.0%で、圧倒的多数の人が使用経験がないことがわかりました。性年代別に見ても、多少のばらつきはありつつ、どの年代でも使用経験がある人は少数派です。
 次に、高齢者介護用品にどんなイメージを持っているか、5項目について質問しました(図表10)。結果、どの項目についても、「どちらともいえない」と回答した人の割合が最も高いという結果になりました。ただ、介護経験のある人は「どちらともいえない」の割合が相対的に低くなっています。
 実際に介護をしたことがあるかどうかで、介護をどのくらい負担に感じるかには違いがありました。同様に、実際に介護用品を使ってみて、「こういう感じなんだ」ということが初めてわかるのではないでしょうか。
 特に「介護される側のことを考えられている」と「介護する側のことを考えられている」の2項目では、「当てはまる」と回答した介護経験者が介護未経験者よりも15〜20ポイント程度高くなっています。
 一方、「適正な価格」「デザインがよい」の2項目については、ほかの項目と比べると、実際に使ってみる前後での差が大きくはありません。また「適正な価格」に関しては、2人以上の介護経験がある人のほうが「当てはまらない」と回答した人の割合が高くなっています。

 
  • 「介護は大変」だから「家族に負担をかけたくない」
 自分が介護して、あるいは人が介護しているのを見て感じたこと、考えたことや、自分が介護される側になったときにどんなことを考えそうかなど、介護に関して思うことやエピソードを自由回答で教えてもらいました。介護経験の有無にかかわらず、「介護は大変」「家族に負担をかけたくない」という声が多数寄せられました。時間的、精神的な負担以外にも「腰を痛めそう」という声も。する側・される側、どちらにしても多くの人が不安を抱えているようです。

 

  • 《 介護について考えること、エピソードなど 》
【介護をして感じたこと】
● 両親の介護をしていた。トイレや入浴など、少しでも介助なしで利用できるようなバリアフリーにしておけば、介護が少しは楽だったかもしれない。(男性70代以上)
● 私が50代半ばのころ、兄妹で母の世話をしていました。月1、2回実家に出向くだけでしたが、それでも介護は大変で疲れ果てました。老老介護が問題になっていますが、そこには親子だからこその大変さが存在します。取り返しがつかない事件事案も理解できます。自分も母のように介護施設に入所して、子供に負担をかけず良好な関係を保つことを目標としています。(女性60代)
● 認知症の祖母を介助しているとき、性別も違うので、自分相手では恥ずかしがった。第三者でなければ、細かな対応はできないように感じた。
(男性30代)
● 祖母を介護していた時に、祖母は介護されることに対して申し訳ない気持ちを持っていた。(女性40代)
● 介護者と被介護者はそれぞれに事務的であるほうが、心持ちが楽であると感じられた。(男性70代以上)

【介護したことはないが……】
●「施設には入りたくない」と言う実の親を、母が介護していた。家での介護は誰か一人ではできないし、ほかの家族や専門の方の協力があってこそ。自分なら家族へ負担をかける方がしんどいので施設に入りたい。(女性30代)
●家族が介護をしているのを見ると、互いに自分の時間が取れなくて大変だなと思う。有料でもサービスを利用した方が割り切って介護を受けられそうだが、高額な施設でも自分に合ったスタッフに出会えるかわからないのは不安。(女性30代)
●自分は介護をしたことがなく、とても大変・負担が大きいというイメージがあるので、介護をしている方を尊敬している。自分が要介護者になったら、家族に負担はかけたくないので、仕事として介護をしてもらえる、介護施設に入所したい。(女性30代)

【施設のおかげで】
● 祖母は車椅子を使っていたが、気持ち的におむつに抵抗があり、介護施設でもめて、双方が困っていた。自分はそうならないよう健康に気をつけるか、時代が進んで介護がロボット化していることを願う。(女性20代)
● 母は介護施設でお世話になっていた。 面会に行ったとき、私にできるお世話だけはしていたが、お風呂、トイレなどの介助が、一番大変だと感じた。本当に施設の方たちには、感謝でいっぱいでした。(女性60代)
● 祖母が施設に入所していた。家族だと甘えてしまうことも、施設で他人の目が入ることで、刺激を受けるし、介護する側も気分転換できる。いい関係を築く上でも、施設入所は双方にとってよかったと思う。(女性20代)

【穏やかに暮らしたい】
● 私は障碍者なので、夫にサポートされながら日々暮らしている。同じ年なので数年後一緒に施設に入居しようと考えている。そのなかで穏やかに楽しく余生を送りたい。(女性70代以上)
● 以前デイサービスで働いていたことがあるが、デイサービスで楽しそうに過ごされている利用者を見ると福祉サービスを利用するのもいいなと思いました。(女性40代)

調査機関:株式会社プラネットによる調査企画をもとに、株式会社ネオマーケティングにて「高齢者介護」に関する意識調査を実施。

期間:2022年9月14日~9月20日、インターネットで4,000人から回答を得ています。

株式会社プラネットと https://www.planet-van.co.jp/ 
メーカー、卸売業、小売業がサプライチェーンとして連携し、生活者へのサービス向上を目指して進化を続ける日本の消費財流通を、情報インフラ運営で支えている上場企業(証券コード2391)です。

From プラネットとは https://www.planet-van.co.jp/news/from_planet.html (バックナンバーもご覧になれます)
株式会社プラネットが発信しているニュースレターです。消費財や暮らしに関する旬なトピックスなどをご紹介しています。

本件に関するお問い合わせ先
(今リリースに掲載していない結果や属性データのご紹介や、当社担当者が解説を差し上げることもできます)
株式会社プラネット 広報部(河合)
E-mail : koho-pr@planet-van.co.jp

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会社概要

株式会社プラネット

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情報通信
本社所在地
東京都港区浜松町1丁目31番 文化放送メディアプラスビル3階
電話番号
03-5962-0811
代表者名
田上 正勝
上場
JASDAQスタンダード
資本金
4億3610万円
設立
1985年08月