フィリップス 、ヘリウムフリー [1]を実現した新型MR装置 「MR 5300」を販売開始
ヘリウムフリーのMR運用とAIによるタスクサポートにより、生産性の高い持続可能なMR検査体験を全ての人へ
株式会社フィリップス・ジャパン(本社:東京都港区、 代表取締役社長:堤 浩幸、 以下 フィリップス)は、 「2030年までに25億の人々の生活を向上させる」を達成目標に掲げ、 健康な生活、 予防、 診断、 治療、 ホームケアにいたるヘルスケア・プロセスのすべてにイニシアティブを持ち、 すべての人々のより良い健康と満ち足りた生活の実現をめざしています。
このたびフィリップスは、新型1.5T(1.5テスラ) MR装置(磁気共鳴画像装置)「MR 5300」の販売を3月1日(火)より開始します。ヘリウムフリー [1]を実現した「BlueSeal(ブルーシール)マグネット」を搭載した新しいモデルです。さらにMR検査における複雑な臨床タスクや運用タスクを自動化するために、さまざまな場面でAI [2]による検査をサポートするコンセプトのソリューションを提供します。これにより、一番大切な患者対応に集中することができます。
国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)において、世界のリーダーたちが気候変動の解決策を議論する中、フィリップスは、ヘルスケアをより身近で持続可能なものにするために、独自の意欲的な取り組みを行っています。日常業務、持続可能で循環型の製品・ビジネスモデルの革新、サプライチェーンのグリーン化という3つの主要分野でCO2排出量削減の取り組みに目標を定め、天然資源への依存度がより低い製品やビジネスモデルを根本的に再設計しています。その主な例として、ヘリウム密閉型超電導マグネット「BlueSealマグネット」を搭載した「MR 5300」を開発しました。
医療、科学、産業などの分野で、重要な役割を果たしているヘリウムは、近い将来、供給不足となる可能性が危惧されています。「MR 5300」は、わずか7リットルのヘリウムで安定した超電導状態を維持する「BlueSealマグネット」を搭載し、MRの運用に継続的に必要なヘリウムの調達を不要とし、自然災害時や他の緊急事態において復旧開始を最短にできます。これにより持続可能なMR運用を実現します。
さらに「MR 5300」は、AI主導型のスマートなコネクテッド・イメージング、一環した患者中心のワークフロー、さまざまな臨床ソリューションを使用してMR部門の生産性を高め、患者と医療スタッフの快適性を向上させ、高品質の診断結果を提供します。
また、高速撮像技術であるCompressed SENSEは、50%[3]以上の撮像時間の短縮を実現するとともに、同じ撮像時間で今まで以上の高空間分解能化を図ることが可能となります。フィリップスの新しいポートフォリオとして登場した「MR5300」は、ルーチン検査はもちろん臨床研究などMR検査に関わる全ての人をシームレスに結びつけるMR装置として、幅広いニーズに対応します。
MR5300の特長
1. ヘリウムフリー1を実現した「BlueSealマグネット」
「BlueSealマグネット」は、冷却効率が非常に高い「Micro-coolingテクノロジー」を採用することにより、従来マグネットの0.5%未満 [4]のわずか7リットルのヘリウムで超電導状態を維持することができます(図1)。このわずかなヘリウムはマグネット内に密封されているため、MR装置の耐用期間において、ヘリウム充填を必要としないMR運用が可能となります。また、装置の稼働にAIを活用したマグネットで、「EasySwitch Solution(イージースイッチソリューション)」という一連の独創的な機能を搭載しています。予期しないダウンタイムを最小限に抑えて放射線科業務に重大な中断が生じないよう設計されています。例えば緊急性のない吸着事故の場合、従来の復旧には、ヘリウムの調達やサービスエンジニアの到着を待つ必要がありましたが、AIによって安全管理されたプログラムを利用して、操作コンソールから施設スタッフ[5]が磁場を消磁・励磁することができ、復旧を開始するまでの時間を最短にし、検査開始の目途が立てやすくなります。
2. フレキシブルな設置環境
「BlueSeal」マグネットは、ヘリウムがマグネット内に密封されており、クエンチ時にヘリウムガスが外部に排出されることがないため、ヘリウム外部排出管(クエンチパイプ)の設置が必要ありません。このため、ヘリウム外部排出管設置における施工コストを削減できます。また、「BlueSealマグネット」は従来のマグネットと比較して約900kgの軽量化[4]が図られています。ヘリウム排出管の必要がなく、軽量化が図られていることにより、MR装置設置の自由度を高めると共に、MR装置設置における施工コストを低減することができます。
3. 高いパフォーマンスのMR検査を実現
「MR 5300」は「Micro-coolingテクノロジー」により、高い静磁場安定性0.001ppm/hourならびに傾斜磁場直線性1.4%(50cmDSV時)を実現しており、最大FOV55cmにおいて歪みなく精度の高いMR検査を可能とします。
さらに本システムに新しく搭載された「Breeze coils(ブリーズコイルズ)」は、軽量性と柔軟性、コイル間の組み合わせの自由度に富んだコイルで検査部位への密着性に優れています(図2)。MR信号のデジタル変換をコイル内やコイル接続部で行うデジタルコイルであり、ノイズ混入を最小限に抑え画像のシグナルノイズ比(SNR)を最大限に引き出します。また、この「Breeze coils」は高速化技術Compressed SENSEの利用を可能にし、イメージクオリティーを損なうことなく最大50%の撮像時間の短縮[3]を図れます。また、撮像時間を延長せずに60%の空間分解能向上[3]を図ることもでき、限られた検査時間の中で確信度の高い画像診断を行うためのさまざまなニーズに対応できます。
4. 複雑なタスクをAIで効率化された患者や検査に集中する検査ワークフロー
新しいユーザーインターフェース「MR Workspace」は、事前に学習した施設ごとにルールがある撮像スライス断面を提案し、アイコンカラーの変化により次のタスクに誘導します。これにより検査の80%を自動化し[6]、オペレーターがより患者や画質に集中できる操作環境を提供します。また、MR検査室での患者セットアップは検査を円滑に進めるだけでなく、患者もオペレーターも検査に集中できる「SmartWorkflow Solution(スマートワークフローソリューション)」を搭載します。ガントリ前面のタッチパネル「VitalScreen (バイタルスクリーン)」で患者情報の確認・変更・伝達を行い、軽量で柔軟性に富んだ「Breeze coils」により、コイルセッティングの時間を短縮します。「VitalEye(バイタルアイ)」はカメラによる動きの検知とAI解析による正確な波形を得るタッチレスの呼吸センサで、撮像に呼吸波形情報が必要な際に事前にセンサをセットアップする必要なく、いつでも撮像に利用できます。「SmartStart(スマートスタート)」はシールド扉閉に連動して撮像を開始することで、操作コンソールに向かうまでの時間を有効に活用できます。
[1] 7リットルの液体ヘリウムを使用して超電導状態を維持しています
[2] EUハイレベル専門家グループによる定義
[3] Compressed SENSEなしのフィリップススキャンと比較した場合
[4] 「Ingenia 1.5T」 ZBOマグネットとの比較
[5] フィリップスが提供する専用トレーニングの受講者に限る
[6] MR Workspaceを搭載しないフィリップスのユーザーインターフェイスとの比較
販売名 | フィリップス Ambition 1.5T |
医療機器認証番号 | 231AFBZX00015000 |
フィリップスについて
フィリップス・ジャパン(旧フィリップス エレクトロニクス ジャパン)は、超高齢社会を迎える日本の健康と医療の問題に貢献したいと、2019年4月1日よりフィリップス・レスピロニクス合同会社と統合し、ヘルスケア分野の変革に取り組んでいるヘルステックカンパニーです。今後、病院で使用されるフィリップスの先進医療機器やパーソナルヘルスと呼ばれるオーラルヘルスケア(電動歯ブラシ)、AED、在宅呼吸器などがクラウド上で繋がることで、人々の健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアという「一連のヘルスケア・プロセス」において、革新的な医療ソリューションを提供していきます。医療従事者の皆様、患者様だけでなく、すべての人々の健康な生活への貢献を目指します。(https://www.philips.co.jp)
ロイヤル フィリップスについて
ロイヤル フィリップス(NYSE:PHG, AEX:PHI)は、人々の健康の向上にテクノロジーで貢献するヘルステック分野のリーディングカンパニーです。健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアという一連のヘルスケア・プロセスを通じて、先進的なテクノロジーと、医療従事者および消費者のインサイトを基に、人々の健康を改善し良好な結果をもたらすための包括的なソリューションを提供しています。主な事業領域は、画像診断、画像誘導治療、生体情報モニター、ヘルスインフォマティックスのみならず、パーソナルヘルスや在宅医療まで、さまざまな領域に渡ります。フィリップス ヘルステック事業の2021年の売上高は172億ユーロ、オランダを拠点に全世界に78,000人の従業員を擁し、世界100ヵ国以上でビジネスを展開しています。フィリップスに関するニュースはこちらからご覧ください。(http://www.philips.com/newscenter/)
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