AIの過信に潜む大きな盲点が見落とされている - HPEアンケート調査結果

綿密なAI 計画があっても、断片的なAI 戦略や、エンドツーエンドのライフサイクルが考慮されていない取り組みを行う限り、成功が遠のく

HPE

概 要

  • 企業おけるAIライフサイクルのエンドツーエンドにわたる、コンピュートやネットワーキングの需要に対する理解が不充分であり、様々なAIワークロードにおけるトレーニング、チューニング、推論の需要を完全に理解していると回答したITリーダーは半数以下

  • AIの成功にはデータ管理が最も重要と認識されているにも関わらず、リアルタイムにデータ プッシュ/プルを実行できる企業はわずか7%、データガバナンスモデルを設定し、高度なアナリティクスを実行できる企業はわずか26%

  • 多くの企業がサイロ化したアプローチを採用しており、統合された単一の戦略を策定している企業はわずか57%

  • 法務・コンプライアンス部門が極めて重要な役割を担っているにもかかわらず、これらの部門をビジネスのAI戦略の議論にまったく関与させていないITリーダーが22%

HPEは、14の国と地域の2400名以上のITリーダーにアンケート調査を実施した結果、約半数の44%のITリーダーが、所属する企業はAIのメリットを享受する体制が整っていると回答しました。一方で本調査結果から、目標値と達成するためのプロセスの不整合が生じているなど、戦略に重大なギャップがあることが明らかになり、取り組みの断片化による実運用上の問題が悪化する可能性があることが判明しました。


また、世界的にAIへの投資が拡大している一方、企業におけるデータ成熟度の低さ、ネットワーキングやコンピュートの割り当て不備の可能性、倫理とコンプライアンスに関する重要な検討などの、AIの成功を左右する事項が見落とされていることも明らかになりました。また、「戦略」と要件に対する「理解」に大きな隔たりがあることが明らかになり、ROI(投資収益率)に悪影響が及ぶ可能性があることも明らかになりました。詳細は、AIで優位に立つ ( https://www.hpe.com/jp/ja/solutions/ai-artificial-intelligence.html?slug=architecting-ai-advantage-jpn&x=4c0V6B&utm_campaign=ai&utm_content=tech-article&utm_source=com-fav&utm_medium=or&utm_term=pressrelease )と題したレポートで紹介しています。


HPE Aruba NetworkingのVPであるシルビア・フックス(Sylvia Hooks)は次のように述べています。

「ほぼすべてのITリーダーが、今後12ヶ月の間にAIへの支出を増やすことを計画しており、AIの導入が加速していることは間違いありません。調査結果は、AIに対する意欲を明確に示していますが、もっと包括的な取り組みに注力しないと、停滞を招く可能性のある盲点も浮き彫りになっています。例えば、戦略や各部門の関与に関する不整合は、組織が重要な専門分野を活用し、効果的かつ効率的な意思決定を行い、全体的なAIロードマップがビジネスのすべての分野に一致した利益をもたらすことを妨げる可能性があります」


データ成熟度の低さを認識

ビジネス成果に寄与する強力なAIのパフォーマンスは、いかに質の高いデータを投入するかに依存します。調査結果では、このことが明確に理解されており、データ管理がAIの成功に最も重要な要素の1つと認識されていますが、データの成熟度は低いままです。イノベーションと外部データを収益化につなげるために必要な、リアルタイムのデータ プッシュ/プルを実行できる企業はごく一部の7%にすぎず、データガバナンスモデルを設定し、高度なアナリティクスを実行できる企業はわずか26%でした。


さらに懸念されるのは、AIモデルに使用するためのデータ準備の主要なステージが完全であるとの回答が60%未満であることです(データ準備の主要なステージへの対応状況:アクセス59%、保存57%、処理55%、リカバリ51%)。 この状況は、AIモデルを作成するプロセスを遅らせる危険性を孕んでいるだけでなく、モデルが不正確なインサイトを導き出し、ROIがマイナスになる可能性を高めます。


AIライフサイクルのエンドツーエンドを考慮した配備(プロビジョニング)

以下の結果を鑑みると、ネットワーキングやコンピュートの整備状況にITリーダーが示す自信とAIのワークロードに発生する要求への理解にギャップがあることが明らかになっています。


ITリーダーが示す自信:93%が自社のネットワークインフラがAIトラフィックをサポートするように整っていると確信しており、84%が自社のシステムがAIライフサイクルのさまざまな段階における固有の要求をサポートするのに十分な柔軟性をコンピュート容量に備えていると回答しています。


ワークロードに発生する要求への理解:Gartner®は「生成AIは、2023年の10%未満から、2025年までにテキストやデータを多用するタスクの70%で役割を果たすだろう」と予想しています(*1) ( https://www.gartner.com/document/code/799825?ref=ddisp&refval=5251963 )。しかし、AIにおけるトレーニング、チューニング、推論にわたる様々なワークロードに対してどのような要求が発生するかを完全に理解していると回答したITリーダーは半数に満たない結果になりました。このことは、AIワークロードのためのネットワーキングやコンピュートの配備を適切に行えるかどうかの疑問を投じます。


部門間の連携、コンプライアンス、倫理規範に即した取り組みの欠如

ITリーダーの28%が組織全体のAIへの取り組みが「断片的」であると回答しており、事業の点と点が結ばれていないことが明らかになりました。3分の1を超える35%の企業が業務に応じた個別のAI戦略を策定することを選択し、32%が全く別の目標を設定していると回答しました。


倫理規範とコンプライアンスに対して消費者と行政機関の両方が厳しい目を向けているにもかかわらず、完全に見過ごされていることは非常に危険です。AIの成功に重要ではないとITリーダーが回答した項目は、法務/コンプライアンスが13%、倫理が11%で、22%が法務部門をビジネスのAI戦略に関する議論に交えていないと回答しました。


AI導入に遅れる恐怖と過信がもたらすビジネスリスク

AIをめぐる様々な議論を理解しようとする企業の動きが加速する中、適切なAI倫理とコンプライアンス遵守に対する取り組みがなければ、自社のデータが流出する危険性があることを考慮する必要があります。データは競争力の維持に加え、ブランドのレピュテーション(評判)を維持するための礎(いしずえ)です。AI倫理ポリシーの欠如は、適切なコンプライアンスと多様性の基準を欠いたモデルの開発につながり、結果として企業ブランドへのネガティブな影響、売り上げ損失、高額な制裁金や法廷闘争にいたるリスクがあります。


AIモデルから得られる結果の質は、収集するデータの質に依存するため、さらなるリスクもあります。データの成熟度が低いままであるという指標と、AIのライフサイクル全体にわたるITインフラの需要を十分に理解できていないことをITリーダーの半数が認めているという指標を組み合わせると、AIの幻覚(ハルシネーション)による影響を含め、効果のないモデルを開発してしまうという全体的なリスクが高まります。また、AIモデルの実行は電力消費が著しいため、データセンターのCO2排出量を無駄に増加させる一因となる可能性があります。結果として、AIへの設備投資のROIが低下し、さらに企業ブランド全体にネガティブな影響を及ぼしかねません。


HPEのデータ&AI担当SVPであるエン・リン・ゴー博士(Dr. Eng Lim Goh)は、次のように述べています。

「AIは現代において最もデータ集約的で電力消費の著しいワークロードであり、生成AIの期待に効果的に応えるためには、ソリューションはハイブリッド設計である必要があり、モダンなAIアーキテクチャで構築されている必要があります。オンプレミス、コロケーション、パブリッククラウドでのモデルのトレーニングやチューニングからエッジでの推論まで、生成AIはネットワーク上のあらゆるデバイスから収集したデータをインサイトに変える能力を持っています。しかし、先陣を切ることと、AIのライフサイクル全体のギャップを十分に理解していないリスクとのバランスを慎重に検討する必要があります。大規模な資本投資がマイナスのROIをもたらすことにならないよう、ぜひ考慮していただきたい事項です」


レポートについて:2024年1月、HPEはSapio Research社 ( https://sapioresearch.com/ ) に調査を委託、企業がAIの取り組みにおいてどのような段階にあるのか、また、成功に向けて十分に包括的なアプローチを講じているかを調査しました。調査は、14の国と地域(オーストラリア/ニュージーランド、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、シンガポール、韓国、スペイン、英国/アイルランド、米国)の従業員500人以上の金融サービス、製造業、小売業、ヘルスケアなど様々な業種の企業に所属する2,400人を超えるIT意思決定者(ITリーダー)を対象に実施しました。


注 記

*1 出展:Press release: Gartner, Use Generative AI to Enhance APM and Observability, By Martin Caren, 26 February 2024. 

Gartnerは、Gartner, Inc.および/または米国とその他の国におけるその関連会社の商標およびサービスマークであり、本書では許可を得て使用しています。All rights reserved.


※本リリースは、ヒューレット・パッカード エンタープライズ(本社:米国テキサス州ヒューストン、以下:HPE)が、2024年4月30日(現地時間)に発表した英文リリースに基づいて作成した日本語抄訳です。原文(全文)はこちらをご参照ください。

https://www.hpe.com/us/en/newsroom/press-release/2024/04/global-report-finds-organizations-overlook-huge-blind-spots-in-their-ai-overconfidence.html



■ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)について

Hewlett Packard Enterprise (NYSE: HPE) は、グローバルEdge-to-Cloudカンパニーとして、あらゆる場所に蓄積される全てのデータの価値を解き放ち、事業の成果を加速させる支援をします。人々の生活そして働き方の向上を目指し、数十年にわたって未来の再考とイノベーションを重ね、HPEは独自でありながら、オープンでインテリジェントなテクノロジーソリューションをas a Serviceで提供しています。クラウドサービス、コンピュート、HPC & AI、インテリジェントエッジ、ソフトウェア、ストレージを全てのクラウドとエッジにわたって一貫したエクスペリエンスで提供することで、お客様が新たなビジネスモデルを創出し、新たなエンゲージメントを展開し、運用のパフォーマンスを最大化できるようサポートしています。詳細はhttps://www.hpe.com でご確認ください。


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会社概要

URL
https://www.hpe.com/jp/ja
業種
情報通信
本社所在地
東京都江東区大島2丁目2番1号
電話番号
-
代表者名
望月 弘一
上場
未上場
資本金
10億円
設立
1999年07月