スペースデータ、国土交通省「Project PLATEAU」で都市デジタルツインの海外展開実証を完了
衛星データとAIを活用して都市デジタルツインを構築し、大幅なコスト削減効果と海外機関によるパイロット参加への高い意欲を確認

株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤航陽、以下「スペースデー
タ」)は、国土交通省が推進する3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「Project PLATEAU(プラトー)」の海外展開事業「衛星データによる都市デジタルツインの構築調査業務」を受託し、2025年4月から2026年3月にかけて、マレーシア・セランゴール州セメニ(Semenyih)および福岡県久留米市にて実施した実証を完了しました。本事業の成果は、2026年3月31日に国土交通省のProject PLATEAU公式サイトで公表されています。

本実証のポイントは、3D都市モデルが未整備である海外地域において、衛星画像とオープンデータからAI等を活用して都市デジタルツインを構築し、検証した点にあります。衛星画像、オープンデータ、AI解析等を組み合わせることで、現地測量に大きく依存せずに都市デジタルツインを構築する手法を開発し、マレーシアでの現地機関との連携を通じて実証しました。その結果、従来の3D都市モデル整備手法と比較して構築コストを約94%削減できることを確認しました。また、マレーシア・セメニで構築した都市デジタルツインは、現地ドローン実測データとの比較において、建物位置の整合性が事前に設定した目標を上回ることを確認しました。これにより、測量インフラが十分に整っていない地域においても、防災や都市計画の検討に活用可能なデータを低コストかつ広域に生成できる可能性が示されました。
さらに、海外政府機関・研究機関・民間企業等への技術紹介およびヒアリングでは、マレーシア、ネパール、ベトナム、パラグアイ、エジプト、モルディブ、モロッコ、南アフリカ、ケニア、シエラレオネ、クック諸島、オーストリア、フィリピン、ナイジェリア、ハンガリー、ドイツといった、幅広い国・地域の関係機関に本手法を提示しました。詳細回答を得た機関のほぼ全てが、災害関連ユースケースの有用性および導入意欲について5段階評価で最高値を選択し、パイロットプロジェクトへの参加意欲についても10段階評価で「10」と回答した機関が過半数にのぼる前向きな評価が得られました。本成果は、オーストラリア・シドニーで開催された世界最大規模の宇宙国際会議「International Astronautical Congress(IAC)」での展示・ヒアリング、およびオーストリア・ウィーンで開催された国連宇宙空間平和利用委員会科学技術小委員会「Scientific and Technical Subcommittee(STSC)」におけるサイドイベントでの発表を通じて国際的に発信しました。
事業の概要
「Project PLATEAU」は、国土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を推進するプロジェクトです。本事業は、Project PLATEAU で培われた日本発の都市デジタルツイン技術を、3D都市モデルが未整備な海外都市へ展開する取り組みの一環として実施されました。
新興国等では、急速な都市化や気候変動による自然災害リスクの高まりに伴い、都市開発・防災分野における都市デジタルツインデータのニーズが顕在化しています。
一方、従来の地上測量や航空測量による3D都市モデル整備は費用の負担が大きく、予算や専門人材が限られる地域では導入が難しいという課題があります。本事業では、衛星画像、オープンデータ、AIを組み合わせることで、現地測量に依存しにくい都市デジタルツイン構築手法を検証し、構築したデータ上で水害リスク等を可視化することにより、防災・都市計画分野での社会実装可能性を確認しました。
本手法の概要
本手法は、位置情報の精度を重視したデータ生成機能と、都市空間を直感的に把握するための可視化機能で構成されています。データ生成では、衛星画像やオープンデータをもとに、建物形状・高さ・屋根形状・色などの属性をAI等で推定し、海外展開時のデータ連携や国際標準化も見据えてCityGML形式で出力します。可視化では、3DCG技術を用いて建物、水域、森林などの表現を高品質化し、水害時の浸水範囲や水位変化を3D空間上に反映することで、行政担当者や研究機関が被害イメージを直感的に把握できる映像として提示しました。


関連動画
本実証で作成した都市デジタルツインおよび水害可視化イメージは、以下の動画からご覧いただけます。
主な検証結果
本実証では、技術の信頼性、経済性、社会実装可能性を検証するため、位置精度、構築コスト、公共政策面での有用性の三つの観点から評価を行いました。特に、対外発信においては、3Dデータが未整備な海外地域でも都市デジタルツインを構築できる技術的可能性、現地機関との連携を通じた実証、多くの海外機関からの評価を本事業の中核的な成果として位置づけています。
構築コストの検証:
構築コストの検証では、国土交通省が公開する3D都市モデル整備費試算ツールを用いた従来的な整備費と、本手法による構築コストを比較しました。その結果、従来比で約94%のコスト削減を確認しました。これは、予算制約の大きい新興国等においても、都市デジタルツインを広域かつ継続的に整備・更新できる可能性を示す成果です。
位置精度の検証:
位置精度の検証では、マレーシア・セメニの実証エリアにおいて、現地で取得したドローン実測データを基準として、生成した都市デジタルツインの建物位置の整合性を評価しました。建物位置の整合性は、事前に設定した目標を上回りました。これは、精密測量を代替する万能な精度を意味するものではありませんが、低コストかつ広域に整備可能な衛星データ由来モデルとして、防災・都市計画の初期検討に活用できる実務レベルの品質を確保可能なことが確認されました。
公共政策面での有用性検証:
公共政策面での有用性検証では、海外政府機関、宇宙機関、研究機関、民間事業者等に対し、マレーシア・セメニ地区の都市デジタルツインおよび水害イメージ可視化動画を提示し、ヒアリングとアンケートを実施しました。詳細回答を得た機関のほぼ全てが、災害関連ユースケースの有用性と導入意欲について5段階評価で最高値を選択しました。また、パイロットプロジェクトへの参加意欲についても、有効回答の半数が10段階評価の最高値「10」を選択し、その他の回答も「8」または「9」と、極めて前向きな反応が確認されました。ヒアリングでは、洪水の浸水予測、影響世帯への通知、医療施設の立地検討、都市計画、環境モニタリング、地すべり・洪水・地震・火災等のリスク評価、農地監視など、多様な活用可能性が示されました。
本成果は、国連宇宙部をはじめとする関係機関との連携のもと、 IACでの展示・ヒアリングおよびSTSCサイドイベントでの発表を通じて海外に発信されました。これらの取り組みにより、海外都市における防災・都市開発への活用可能性に加え、PLATEAU の知見を国際的に展開していくためのデータフォーマットや標準化の重要性も確認されました。

今後の展望
スペースデータは、本実証で得られた知見をもとに、衛星データとAIを活用した都市デジタルツイン構築手法のさらなる高度化を進めてまいります。今後は、洪水に限らず、地すべり、地震 、火災、インフラ管理、都市開発、モビリティ、環境モニタリングなど、多様な領域での可視化ユースケースを拡充します。また、海外政府機関等から寄せられたデータ統合、既存システム連携、制度・ガイドライン、専門人材不足といった課題に対し、技術提供にとどまらず、運用体制の構築支援や人材育成を含む包括的な展開を目指します。
スペースデータは、衛星×AI技術および大規模な空間データ処理能力を活かし、日本発のPLATEAUモデルの国際的な実用化と標準化を加速します。世界共通の課題である防災や都市開発を支えるグローバル・スタンダードの確立を目指し、各国のレジリエンス強化に貢献してまいります。
Project PLATEAUの記事詳細
Project PLATEAUの記事詳細はこちらをご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/plateau/use-case/ec25-07/
株式会社スペースデータについて
株式会社スペースデータは、「宇宙を誰もが活用できる社会へ」という思いのもと、宇宙とデジタル技術の融合によって新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン技術を活用して、宇宙から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。さらに、宇宙ロボット・宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現に向けて取り組んでいます。
社名:株式会社スペースデータ
代表:佐藤航陽
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー 15階
資本金:15億1300万円
事業内容:宇宙開発に関わる投資と研究
HP:https://spacedata.jp
NEWS:https://spacedata.jp/news
X:https://x.com/spacedatainc
LinkedIn:https://www.linkedin.com/company/spacedatajp/
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