「毛穴の詰まり」の新たなメカニズムを解明 新規アプローチによる角栓抑制効果を実証

~第31回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)横浜本大会にて発表~

 株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)は、2020年10月21日~10月30日にオンライン開催された化粧品分野の世界最大の技術発表会「第31回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)横浜本大会」にて、ニキビや黒ずみ等の毛穴トラブルの大きな要因である「毛穴の詰まり」の新たなメカニズムを解明し、それを応用したアプローチによる角栓抑制効果が実証されたことを発表しました。本成果は、毛穴トラブルに対応する商品や美容施術などに応用していきます。

厚木研究員厚木研究員

◆発表タイトル
英文名
「Diving deep into follicles to unveil the origin of undesirable pores!
- Impaired autophagy of sebaceous gland cells induces follicular clogging -」
日本名
「毛穴トラブルの起源を探る
〜毛穴の詰まりは脂腺細胞のオートファジー不全によって引き起こされる〜」
発表者
株式会社コーセー 皮膚・薬剤研究室 厚木 徹

図1 オートファジー※1促進剤による鼻の角栓への効果検証結果図1 オートファジー※1促進剤による鼻の角栓への効果検証結果

〔図1解説〕
(角栓除去処理を行ったのち、促進剤あり・なしの化粧水を28日間使用後の角栓形成状態を観察)
促進剤の添加により、角栓(円形の突起物)の再形成が抑制された


◆発表内容の概要
毛穴の詰まりは脂腺細胞のオートファジー(※1)不全によって起きる

 毛穴の開きや黒ずみ、ニキビ等の毛穴のトラブルは幅広い世代の主要な肌悩みとして挙げられます。これらのトラブルの多くは「毛穴の詰まり」が主な原因であると言われていますが、その詳細なメカニズムについてはいまだに解明されていませんでした。
 そこで本研究では、ヒトの毛穴やその詰まりに関係が深いと考えられている脂腺(※2)を対象に、各種顕微鏡を用いて、立体構造や微細構造の解析を行いました。さらに実際の細胞の挙動を調べるため、ヒトの脂腺を模倣したミニ臓器であるオルガノイド(※3)(iPS細胞由来の脂腺細胞から作成、特許出願中)を用いたタイムラプス解析(※4)(図2)を行い、毛穴詰まりの原因を探索しました。その結果、毛穴の詰まりが、脂腺におけるオートファジー(細胞による自食作用)が適切に働かず、本来消化されるべき不要な脂腺細胞が未消化のまま毛穴の中に堆積されることに起因することを、世界で初めて明らかにしました(図3)。

図2 オルガノイドを用いたタイムラプス解析図2 オルガノイドを用いたタイムラプス解析

〔図2解説〕
【イラスト】脂腺細胞がたくさん集まってできた球状の脂腺オルガノイド
【画像左】オートファジーが抑制された状態で培養された脂腺オルガノイド
【画像右】オートファジーが活性化した状態で培養された脂腺オルガノイド

 

図3 毛穴詰まりの新たなメカニズム図3 毛穴詰まりの新たなメカニズム

〔図3解説〕
 脂腺におけるオートファジー不全が、脂腺細胞の消化を抑制し、毛穴に不要な細胞が未消化のまま堆積することで毛穴詰まりを引き起こす。一方、オートファジーを正常にすることで毛穴詰まりを予防ることができる。


 この発見の応用効果を検証するため、オートファジーを促進させる薬剤を用いた臨床試験を実施したところ、代表的な毛穴詰まりである鼻の角栓の再形成を抑制できることが分かりました(図1)。

  当社は今後も、お客さまの求める美しさを実現するために、皮膚科学研究を積極的に進め、有用な化粧品開発に役立てていきます。

◆IFSCCについて
 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)とは16,000名以上の会員を擁する世界的な化粧品技術者会で、各国の化粧品技術者が最新の研究成果について発表・討論する国際学術大会を開催しています。今回は初めてバーチャルでの開催となりました。

◆ワード解説
※1 オートファジー
 細胞内にあるタンパク質を、細胞が自分自身で分解するための仕組み。例えば、細胞内に異常なタンパク質ができてしまった際に、それを分解して正常な細胞機能を維持する場合に起こる。

※2 脂腺(図4)
 毛穴の内部にある皮脂を産生し、放出する袋状の器官。脂腺の袋の中にぎっしりと詰まった脂腺細胞は、細胞の中で皮脂を作り、毛穴側で細胞の膜を消化させることで内部の皮脂を外に放出する。

 

図4 ヒト脂腺の構造図4 ヒト脂腺の構造

※3 オルガノイド
 試験管の中で、ひとつひとつの細胞を立体的に集合させることで作られるミニ臓器。生体と似た機能を持ち、主に創薬や医療研究において用いられている。

※4 タイムラプス解析
 決められた時間間隔で1コマずつ静止画を撮影し、それをつなぎ合わせることでコマ送り動画のように見せる撮影方法。細胞を生かしながら一定時間観察することで、細胞の動的な機能を調べることができる。
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