ガジャマダ大学国際部を訪問、廃棄物のリサイクルについて意見交換を実施
分別を前提としたバイオテクノロジー活用型リサイクルの経済合理性について言及

スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「スペースシードホールディングス」)は、2026年8月15日、インドネシア・ジョグジャカルタ特別州のガジャ・マダ大学(Universitas Gadjah Mada、以下「UGM」)国際部(Office of International Affairs、Bulaksumur F.13)を訪問し、同大学Faculty of BiologyのTyas Ikhsan Hikmawan 氏(ガジャ・マダ大学 パートナーシップ・グローバル関係局 国際協力課長)らと、廃棄物のリサイクルに関する意見交換を実施しました。本訪問には、福岡県久留米市に本社を置くAAI株式会社(アジア・アフリカ リサーチ・コンサルティング&インベストメント)会長の中村廣秀氏が同席しました。
意見交換の結果、バイオテクノロジーを活用したリサイクルは「排出源での分別」が前提条件となる一方、分別が実現すれば、ブラックソルジャーフライ(アメリカミズアブ)飼育やコンポスト化によって、環境改善と循環型社会の実現を両立しながら、従来型のごみ処理と比較しても経済的な合理性を持つと可能性があるという認識が共有されました。
背景:ジョグジャカルタの廃棄物課題とUGMの取り組み
ジョグジャカルタ特別州では、広域の最終処分場であったPiyungan最終処分場(TPA Piyungan)の段階的な閉鎖以降、収集・処分の受け皿が不足し、都市廃棄物の処理が地域の重要課題となっています。埋立地の逼迫や、有機性廃棄物の分解に伴う温室効果ガスの発生は、環境負荷であると同時に、自治体の財政負担を押し上げる要因にもなっています。
医療廃棄物については、より深刻な容量不足が指摘されています。2019年時点の保健省の集計では、全国2,820の病院と9,884の保健センターから1日あたり約290トンの医療廃棄物が発生する一方、許可を受けた処理業者10社(約170トン/日)と焼却炉を保有する87病院(約60トン/日)を合わせた処理能力は約220トンにとどまり、日々約70トンが処理されないまま残る計算になります。ジョグジャカルタ特別州においても、B3(有害・有毒)廃棄物の管理義務を負う78の病院に対し、焼却炉の稼働許可を得ている病院は1施設のみと報告されています。
UGMはこの課題に対し、全学的な廃棄物タスクフォースを設置するとともに、学内に廃棄物の研究・処理拠点を整備し、コンポスト化や昆虫による生物変換を含む複数の技術の実証を進めています。その基本方針は、大型の輸入設備に依存するのではなく、現地で開発・運用できる技術(inovasi teknologi lokal)による分散型の解決を志向する点に特徴があります。

意見交換の概要
環境科学および分子生物学的手法による環境モニタリングを専門とするHikmawan助教らとの間で、以下の点について認識を共有しました。
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分別がバイオテクノロジー活用の前提条件
生物学的処理は、投入される有機物の性状に品質が左右されます。プラスチックや金属、有害物が混入した状態では、処理効率・生成物の品質のいずれも確保できないため、排出源における分別の徹底が技術導入の必須要件であることを確認しました。裏を返せば、分別さえ設計できれば、高額な前処理設備に頼らずに資源化の道筋が開けます。
ここでいう「分別」は、有機ごみから異物を取り除くことだけを指すものではありません。廃棄物をその性状に応じて、適切な処理系統へ振り分けること全体を指します。感染性を有する医療廃棄物は、病原体の確実な不活化が求められるため、生物学的処理や再資源化の対象とはならず、高温焼却による無害化が適切な選択肢となります。UGMはこの分野でも、輸入設備に依存しない現地技術の確立に取り組んでいます。工学部のLKFT UGM(Lembaga Kerjasama Fakultas Teknik)は、地元企業であるPT Adil Makmur Sentosaと共同で、二段燃焼室を備えた処理能力150kg/時の医療廃棄物焼却炉を設計・製作しました。同炉は、WHOが二次燃焼室に求める「1200℃以上・滞留時間2秒以上」の基準に照らして数値流体力学(CFD)解析による検証が行われ、初期設計では平均滞留時間が0.198秒にとどまり基準を満たさないことが判明したため、整流板の追加によって3.74秒まで改善する設計変更が示されています。あわせて、UGM附属学術病院(Rumah Sakit Akademik UGM)では、医療廃棄物処理のライフサイクルアセスメント(LCA)による環境負荷の定量評価も行われています。
一方、厨芥や剪定枝などの有機性廃棄物は、焼却しても水分の蒸発に燃料を費やすだけで、含まれる炭素・窒素も失われます。こちらはBSFやコンポストによる生物変換が合理的です。UGMが廃棄物の性状ごとに処理系統を分け、それぞれに適した技術を現地で開発し、国際基準に照らして検証していることは、「どの廃棄物にどの技術を充てるか」を出口から設計するという考え方の実践例といえます。
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分別が実現した場合に有効となる処理技術
分別された有機性廃棄物に対しては、ブラックソルジャーフライ(BSF/アメリカミズアブ)による生物変換、およびコンポスト(堆肥)化が有効な選択肢となります。BSFは有機物を短期間で減量しつつ、幼虫を飼料原料として、残渣を土壌改良材として活用できます。コンポスト化についても、農業分野での需要と結びつけることで資源循環の輪が成立します。
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大規模集中型ではなく、小規模分散型が適合しやすい
有機性廃棄物は水分を多く含み、長距離を輸送すると輸送コストと環境負荷がかさみます。また、混合ごみを前提とした大規模処理は採算の確保が難しくなります。したがって、排出源の近くに小規模な設備を分散配置し、地域単位で完結させる構成が、技術面・経済面の双方で合理的であるとの認識で一致しました。この方向性は、現地技術による分散型の解決を志向するUGMの基本方針とも合致するものです。
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環境面・経済面の双方における合理性
これらの手法は、埋立・焼却に伴う環境負荷を低減するだけでなく、収集運搬費および最終処分費の削減と、飼料・肥料といった有価物の産出という二方向の経済効果をもたらします。従来のごみ処理と比較して費用面でも成立し得る提案であるとの認識が改めて共有されました。

面談者(敬称略)
ガジャマダ大学
Tyas Ikhsan Hikmawan, Ph.D.(Fガジャ・マダ大学 パートナーシップ・グローバル関係局 国際協力課長)
Prof. Wiratni, S.T., M.T., Ph.D.(Director, Directorate of Business Development)Prof. Suherman
S.Si., M.Sc., Ph.D.(Deputy Director, Directorate of Partnership and Global Relation)
訪問側
鈴木 健吾 (スペースシードホールディングス株式会社 代表取締役)
中村 廣秀 氏(AAI株式会社 会長)
Ananda Setiyo Ivannanto 氏(PT Awina Sinergi International 代表取締役社長)
今後の展開
スペースシードホールディングスは、今回の合意形成を踏まえ、UGMおよび現地関係者との連携のもと、分別収集の仕組みづくりと、バイオテクノロジーを活用した資源化モデルの具体化に向けた検討を進めてまいります。
ガジャマダ大学(Universitas Gadjah Mada)について
インドネシア・ジョグジャカルタに所在する同国を代表する国立総合大学。"Locally Rooted, Globally Respected" を掲げ、地域課題の解決に根ざした研究と国際連携を推進しています。
https://www.ugm.ac.id
AAI株式会社について
AAI株式会社(アジア・アフリカ リサーチ・コンサルティング&インベストメント、本社:福岡県久留米市通町356-1、会長:中村廣秀)は、インドネシアをはじめとするアジア・アフリカ地域における調査・コンサルティング・投資事業を展開しています。スペースシードホールディングスは2025年1月にAAIグループへ資本参加しています。
https://www.aai-jp.com/
PT AWINA SINERGI INTERNATIONALについて
PT AWINA SINERGI INTERNATIONAL(PT AWINA)は、A-Wing Group(AAI)のインドネシア法人で、インドネシアを拠点に再生可能エネルギーや環境ソリューションをはじめとする事業を展開する企業です。日本企業との連携を通じ、再生可能エネルギー、廃棄物管理、循環型経済などの分野における事業創出に取り組み、日本とインドネシアをつなぐビジネス連携を推進しています。
スペースシードホールディングス株式会社について
スペースシードホールディングスは、「SFをノンフィクションにする」をミッションとする宇宙系ディープテックベンチャービルダーです。新技術の研究開発と社会実装、研究シーズへの投資・育成を通じて、社会課題を解決する事業の創出に取り組んでいます。
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