コンテスト部門決勝大会 結果発表:東京発・世界を変える起業家を輩出するスタートアップコンテスト『TOKYO STARTUP GATEWAY2022』1,114名のエントリー者から5名の入賞者が決定。
最優秀賞はMaas活用送迎システム、優秀賞は非対面の尿漏れ予防サービス、不用品の分別・リサイクルアプリ
東京都主催、NPO法人ETIC.(エティック、東京都渋谷区)が事務局を担う、本年度で9期目の日本最大級のスタートアップコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY(トーキョー・スタートアップ・ゲートウェイ)」は、11月26日(土)にコンテスト部門の決勝大会を開催いたしました。応募数1,114件の中から10名が決勝に進み、会場のオーディエンス約100人、そしてオンラインから視聴される中、5分間のプレゼンテーションと質疑応答、審査会を経て5名の入賞者が決定しました。
最優秀賞は、豊田 洋平(とよだ ようへい)さんの「習い事専用シャトル運行システム『håb』(ハブ)」。
優秀賞は、大西 安季(おおにし あき)さんの「誰にも知られずに尿もれを予防できる、漏れないサービス」と、山本 虎太郎(やまもと こたろう)さんの「撮る→つなげる資源活用プラットフォームTrashLens(トラッシュレンズ)」。
そして、TSGメンバーからの投票で決まるメンバーシップ賞は、安田 莉子(やすだ りこ)さんの「子どもたちの“対話力”を伸ばすオンライン読み聞かせ YOMY!(ヨミー)」。
東京都の課題解決に繋がる起業家を応援するための特別賞であるTokyo innnovation賞は、坂田 莉心(さかた りこ)さんの「障害を抱えた子どもがありのままの自分を好きでいられるように」が受賞しました。
【開催概要】
タイトル: TOKYO STATUP GATEWAY 2022 THE FINAL (コンテスト部門決勝大会)
日 時: 2022年11月26日(土)13:30~18:00
会 場: スターライズタワー
〒105-0011 東京都港区芝公園4-4-7 東京タワーメディアセンター内
主 催: 東京都
運営事務局: 認定NPO法人ETIC.
受賞結果詳細はこちら https://tokyo-startup.jp/winning2022
最終選考通過者一覧はこちら https://tokyo-startup.jp/qualifiers2022
【コンテスト部門 決勝大会 審査員】
・青木 俊介 氏 ユカイ工学株式会社 CEO
・清水 信哉 氏 エレファンテック株式会社 代表取締役社長兼CTO
・中村 朱美 氏 株式会社minitts|佰食屋 代表取締役
【ファイナリスト一覧】
1.大西 安季 さん「誰にも知られずに尿もれを予防できる、漏れないサービス」
2.坂田 莉心 さん「障害を抱えた子どもがありのままの自分を好きでいられるように」
3.隆 祐人 さん「社会全体の内省を支援するAI搭載プラットフォーム」
4.樽本 理子 さん「一瞬の思い出を、一生の宝物に!完全オーダーメイドの月齢フォト」
5.出戸 克尚 さん「再生可能エネルギー中心時代を実現するエネルギーデータマップ」
6.豊田 洋平 さん「習い事専用シャトル運行システム『håb』」
7.安田 莉子 さん「子どもたちの“対話力”を伸ばすオンライン読み聞かせ YOMY!」
8.山本 虎太郎 さん「撮る→つなげる資源活用プラットフォームTrashLens」
9.吉田 南翔 さん「悪者キャラが永遠に輝き続けることができる世界の創造」
10.吉原 嘉唯 さん「あの日の会話を“思い出す”のではなく、“再生”する」
【最優秀賞】
豊田 洋平(とよだ ようへい)さん
「習い事専用シャトル運行システム『håb』」
【優秀賞】
大西 安季(おおにし あき)さん
「誰にも知られずに尿もれを予防できる、漏れないサービス」
山本 虎太郎(やまもと こたろう)さん
「撮る→つなげる資源活用プラットフォームTrashLens」
【メンバーシップ賞】
安田 莉子(やすだ りこ)さん
「子どもたちの“対話力”を伸ばすオンライン読み聞かせ YOMY!」
【Tokyo innovation賞】
坂田 莉心(さかた りこ)さん
「障害を抱えた子どもがありのままの自分を好きでいられるように」
■「TOKYO STARTUP GATEWAY」コンテスト参加者の声
今年で9期目の本コンテストを経て起業した方の声をご紹介します。
今回は、スキー場を中心に国内40箇所以上のスポーツ施設が楽しめる定額パス「アースホッパー」を手がける株式会社Pioneerwork(パイオニアワーク)の後藤陽一さんにお話を伺いました。
後藤陽一(ごとう・よういち)さん
株式会社Pioneerwork代表取締役/TOKYO STARTUP GATEWAY2019セミファイナリスト
京都大学工学部卒、同大学経営管理大学院修士課程卒。在学中スイス・ローザンヌ大大学院にて欧州サッカーをテーマにスポーツマーケティングを学ぶ。
2011年株式会社電通入社。地方テレビ局、自動車メーカーを担当後、電通総研にてアクションスポーツ・エクストリームスポーツを専門に、企業や自治体のアドバイザリー・コンサルティングを手がけた。2014年より、世界最大のフリーライドスキー・スノーボードの世界選手権「Freeride World Tour(FWT)」の長野県白馬村への誘致を開始。
2018年からスイス本社以外では唯一の社員として同社のアジア事業を統括。
国連世界観光機関(UNWTO)山岳リゾートカンファレンス2015パネリスト。2019年に株式会社Pioneerwork設立。
https://www.pioneerwork.co/
■自然のフィールドで行うスポーツを「アーススポーツ」と定義してスポーツと観光の事業を展開
株式会社Pioneerworkは、「アーススポーツ」を事業ドメインとして、スポーツと観光の事業を行っています。アーススポーツとは、自然のフィールドで行うスポーツのことで、僕たちが独自に定義しました。スキーやスノーボード、登山、サイクリング、ランニング、サーフィン、カヤック、マウンテンバイクなどを含み、自然を求めて地球を旅しながら行う側面ももっています。
事業としては「アースホッパー」という、全国のスキー場、マウンテンバイクトレイル、キャンプ場、ウェイクサーフィン施設など40以上の施設が利用できる定額パスを販売しています。昨年は1年間でのべ5万人をスキー場に送客しました。
他にも、アーススポーツを活用して地域活性したい自治体へのコンサルティング事業や、自然の中で安全に楽しめる道具や地域についての情報提供を行う事業も現在構想中です。
■海外のスポーツ業界の知識と世界大会誘致の経験がビジネスに
アースホッパーのアイデアは5-6年前からあったそうです。
「アメリカやスイスでは複数のスキー場をまたぐ共通シーズン券は一千億円を超えるビジネスですが、日本にはありませんでした。また2022年の北京五輪で中国のスキー人口は増えていますが、中国のスキー場はほぼ人工雪です。天然の雪が降る日本で複数のスキー場のシーズン券をつくったら中国を始めとしてアジアのマーケットにも売れるのではないかと考えていました」
幼い頃から冬は父親の別荘のある長野県白馬村でスキーをしていた後藤さんは、大学院時代はスポーツビジネス研究でスイス留学をした経験があります。電通に入社し、営業職等を経て、自分の趣味を活かして新規事業開発を行う部署に所属し「フリーライドワールドツアー(FWT)」というスキーとスノーボードの世界大会を2017年に白馬村に誘致しました。
後藤さんがアーススポーツのフィールドとしての日本の価値に気づいたのは、2015年のこと。白馬の雪山の写真を海外のスキー選手に見せると「これはアラスカか?」と聞かれました。日本の自然環境は驚くほど知られていなかったそうです。
考えてみると、日本には四季があり、山も海も川もあり、あらゆるアーススポーツが楽しめます。しかも、東京や札幌などの都市圏から1-2時間以内で行けるフィールドが多くあります。スキー場は天然の良質な雪に恵まれています。今後、世界経済の中心となるアジアの中で、日本は最も価値の高いコンテンツを提供できる国だと後藤さんは確信していました。
その後、電通で働きながら、スイスに本社のあるFWTの日本支社を立ち上げました。2回の世界大会誘致を成功させ、2018年2月に電通を退職しました。
■スポーツビジネスにイノベーションを起こしたい
「広告代理店でスポーツビジネスというと、スポンサー獲得による資金調達が一般的ですが、そのビジネスモデル自体にイノベーションを起こしたいと思いました。そのタイミングで異動の辞令が出たこともあり退職しました」
退職後の後藤さんは、FWT日本支部マネージングディレクターとして働きながら、東京都が主催するスタートアップコンテストTOKYO STARTUP GATEWAY2019(以下TSG)にエントリーし、セミファイナリストに選ばれました。その頃の心境を後藤さんはこう話します。
「スイスの会社の子会社なので、事業のコントロールは全てヨーロッパにありました。でもヨーロッパのウィンタースポーツビジネスと、アジアでのそれは全く違います。日本のアーススポーツのポテンシャルを最大限引き出すためには自分の会社を作って、FWTも引き継いで、他の事業もしたいと思っていました」
後藤さんは、セミファイナリストに選ばれた直後、2019年11月に株式会社Pioneerworkを設立。「TSGに参加して明確に良かったことは、東京都の創業助成金の応募資格が通って300万円いただけたこと」と振り返ります。
■コロナ禍でも知識と経験を活かし業界動向を見極めてスポーツビジネスを進化させる
起業してからの3年間は、毎年違うことに取り組み進化してきたと後藤さんは話します。
「2020年は年初からのコロナ禍で壊滅的ダメージを受けました。できることが少ないなかで、地方自治体のコンサルティングをしました。FWTで培ったアウトドアスポーツ×グローバルの分野で僕より知見をもつ人は日本にはほとんどいないと感じたので、役に立っている実感がありました。
2021年もコロナ禍は続きましたが、今なら行けると思い、企画を温めていたアースホッパーを仕掛けました。日本のスキー産業は30年前の3分の1の規模になり、最後の希望のインバウンド事業もストップし、業界全体が何かやらなきゃという状況でした。今なら会社や地域の壁を越える事業提案を聞いてもらえると思い、国内約60箇所のスキー場にアプローチして30箇所に参画していただき商品ができました」
後藤さんが2019年にTSGセミファイナリストに選ばれたビジネスプランは、アースホッパーではなく「スポーツの隠れた逸材を観光市場×データ活用で輝くヒーローに」というものでした。このプランを実現するべく新サービスも構想しています。
「僕が全国を訪れて感じたのは、地域に住む人の価値でした。地域のフィールドと地域に住む人の掛け合わせで良いコンテンツが生まれます。アウトドアの情報を発信するメディアが少なくなり、知識や経験を共有するコミュニティも減ってきています。日本の自然の魅力を世界に伝えるために、新しいアーススポーツエコシステムを作っていきたいと考えています。」
■「アース」と「スポーツ」にこだわりながら楽しむ人の裾野を広げる
「僕たちは地球の自然環境の上で遊んでいるんだという感覚を伝えたい。その意味で『アース』を、『スポーツ』は『レジャー』と比べてニッチな印象もあるかもしれませんが、反復することで上手くなっていく特性はスポーツならではものだから大事にしたい。アースホッパーも、提携施設全体を1つのスポーツジムだと捉えてジムの会員券のようにライフスタイルの一部に組み込んで地球を旅しながら遊び尽くしてほしいという思いを込めました。
今、大企業の多くはスクリーンやVRデバイスに人を固定するような事業をしていて、将来的には人間の生活の7-8割はデジタルの世界で、リアルな部分は2-3割ぐらいになるのではないかとも思っています。
それは、人間の健康にも地球環境にも、良いことだとは思えない。だとしたら、リアルな2-3割がもっと楽しくなる事業をしたい。スクリーンの前に固定させようとする強力なインセンティブに逆らう力をつくりたいですね。
スポーツのオフロード化という話をよくします。他人に決められた場所には行きたくないという欲望は、人間は多かれ少なかれみんな持っていると思うんです。ランニングを突き詰めていくと山道を走るトレイルランニングになる。ボルダリングから岩登りに。スキーからバックカントリースキーに。ロードバイクからマウンテンバイクに。スポーツを突き詰めるとみんな自然環境に飛び出していくような現象を国内外で目にしてきました。自然に入っていくための道具はすごいスピードで進化していて、情報もスマホで簡単に手に入るようになっています。Pioneerworkは、これらをもっと多くの人が利用でき、より安全に楽しくアーススポーツが楽しめる世界を作っていきたいと考えています。
人生も突き詰めていくと、決められた道を行くサラリーマンから、オフロードを走る起業という選択になるのかもしれませんね。オフロード走行には危険が伴うので安全を見極める力が必要で、アーススポーツ領域では僕らが、起業ではTSGが伴走する。そうやってコミュニティがつくられエコシステムが続いていくのではないかと思います」
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東京都主催・400文字から世界を変えるスタートアップコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2022」についての詳細はこちらをご覧ください。
●TOKYO STARTUP GATEWAY2022 WEBサイト https://tokyo-startup.jp/
主催:東京都
事務局:特定⾮営利活動法⼈ETIC. https://www.etic.or.jp/
ETIC.は、社会の未来をつくる⼈を育む認定NPO法⼈です。1993年の創業以来、手がけてきた実践型インターンシップや起業⽀援プログラムへの参加を通して、1800⼈以上が起業しました。これからも企業・⾏政・NPOといった多様なセクターを巻き込みながら、挑戦したい⼈を⽀える仕組みづくりを続けていきます。
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