産業用ロボットを高精度な切削加工機に変える「ロボットマシニングシステム」の販売を開始
株式会社スギノマシン(富山県滑川市)は、ロボットによる切削加工を行う「ロボットマシニングシステム」の販売を開始します。
システムには当社製のロボットマシニングユニット「SELFEEDER DUO Robot Edition」を搭載し、切削加工に必要な付帯設備や周辺機器を全て備えています。本商品は、12月3日(水)~12月6日(土)に東京ビッグサイトで開催される、世界最大級のロボットの専門展示会「2025国際ロボット展※1」にて初公開します。

1.装置概要
「ロボットマシニングシステム」は、当社製のロボットマシニングユニット「SELFEEDER DUO Robot Edition」を産業用ロボットの先端に取り付けて、ロボットによる切削加工を行う装置です。これまでユニット単体で販売してきましたが、量産加工に必要となる周辺機器や付帯設備の設計・組み立てもスギノマシンで行い、1つの切削加工機(システム)として販売を開始します。
50年以上にわたって、ドリリングユニットやマシニングセンタを手がけてきた切削加工機メーカーとしての技術力と知見を活かし、産業用ロボットによる汎用性の高い切削加工機を、低コストで提供します。


2.開発背景
近年、自動車や航空機、船舶向け部品などで大型部品の加工需要が拡大しています。さらに、多品種少量生産への対応も求められるようになり、生産現場では、限られたスペースの中で設備投資を抑えつつ、生産性と設備稼働率を高めることが重要な課題となっています。こうした中、大型ワークを一度の段取りで多面加工できる、高い自由度を備えた加工システムへの期待が高まっています。これらの課題を解決し得る新たな選択肢として、ロボットによる切削加工「ロボットマシニング」が注目を集めています。
当社は1967年の発売以来、58年にわたりドリリングユニットを販売しており、切削加工に関する知見と経験を蓄積してきました。また、ユニット単体の提供にとどまらず、マシニングセンタの販売や、周辺設備を含めたシステム構築も手がけることで、加工・制御・設備設計を一体で提案できる技術力を磨いてきました。こうした切削加工とシステム構築の実績を背景に、当社は昨年、ロボットマシニングユニット「SELFEEDER DUO Robot Edition」を発売し、ロボットマシニングの可能性をいち早く市場に提示してきました。
ロボットと切削加工の双方に精通した当社ならではの強みを結集し、大型部品加工に求められる「柔軟性」「効率性」「経済性」を兼ね備えた新たな解決策として、本システムを開発しました。
3.特長
(1)大型・長尺ワークの加工に対応
SELFEEDER DUO Robot Editionを搭載した本システムは、産業用ロボットとロボット走行軸を組み合わせることで、大型・長尺ワークの加工に対応します。ロボットを走行軸上で移動させながら、ワークに対して最適な角度からアプローチできるため、長尺ワークの多面加工を一度の段取りで効率よく行えます。
さらに走行軸の追加により、ロボットは常に加工に最適な姿勢を保つことができるため、高精度な仕上がりを実現します。

(2)NCとロボットによる加工
本システムでは、SELFEEDER DUO Robot Editionの姿勢決めやワークへのアプローチをロボットが行い、実際の切削加工動作はNC装置※2で制御します。ロボットで加工姿勢を柔軟に変えながらも、加工プログラム自体はマシニングセンタと同様の感覚で作成できるため、これまでNCプログラムで切削加工を行ってきたお客様のノウハウを活かしやすく、現場への導入・立ち上げもスムーズです。

(3)高精度・高速位置決め
ロボット走行軸は、最高速度60 m/minの高速移動に対応しており、大型ワーク上の複数箇所へのアクセス時間を短縮します。さらに、2台のモータで同時に駆動するタンデム駆動方式※3を採用することで、バックラッシュ※4を最小限に抑え、高い位置決め精度を確保しています。走行軸にはリニアスケール※5を搭載しており、熱変位の影響を補正しながら高精度な位置決めを行うことで、ロボットマシニングに求められる寸法精度を安定して確保します。
(4)マシニングセンタ開発で培った堅牢な構造
長年にわたりマシニングセンタを開発・製造してきた実績を活かし、本システムの架台構造には工作機械で培った堅牢な設計思想を採用しています。ヨロイジャバラやテレスコカバー※6により、走行軸などの駆動部を切りくずやクーラントから確実に保護し、信頼性の高い運転を支えます。あわせて、切りくず・クーラントの回収機構を備えた架台構造とすることで、切りくずの処理や設備周辺の清掃負荷を軽減し、クリーンな作業環境を維持します。



4.仕様
以下は仕様の一例であり、本仕様のシステムを「2025国際ロボット展」に出展し、実演デモを実施します。ロボットマシニングシステムは顧客の要望に合わせて設計・製作するため、仕様は都度変わります。
【仕様例】

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商品名 |
ロボットマシニングシステム |
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主軸回転数 |
Max.12,000min⁻¹ |
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主軸サイズ |
BBT30 |
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走行軸ストローク |
2,350mm |
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走行軸最高速度 |
60m/min |
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装置寸法 |
幅4,920×奥行4,660×高さ2,700 mm |
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加工範囲 |
幅4,000×奥行700mm |
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受注開始 |
2025年12月 |
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出展予定 |
2025国際ロボット展 会期:2025年12月3日(水) ~ 12月6日(土) 会場:東京ビッグサイト |
5.用語・補足
※1 2025国際ロボット展
一般社団法人日本ロボット工業会と日刊工業新聞社が主催する、世界最大級のロボット専門展示会。1974年から隔年で開催され、今年は12月3日(水)~6日(土)の4日間、東京ビッグサイトにて行われる。
※2 NC装置(数値制御装置)
工作機械やロボットを、数字で指示されたプログラムどおりに自動運転させるための装置。位置や速度などをコンピュータで制御する。
※3 タンデム駆動方式
1本の軸を2台のモータで同時に動かす駆動方式。大きな力を出しやすく、ガタつきを抑えて、重いワークでも安定して動かすことができる。
※4 バックラッシュ
ギアやねじなどのかみ合い部分に生じる「ガタ」のこと。位置決めの誤差や振動の原因となるため、高精度な機械ではこれを減らす工夫が施される。
※5 リニアスケール
テーブルなどの位置を高い精度で読み取る「ものさし」のようなセンサー。温度変化などの影響を補正しながら、正確な位置決めに使われる。
※6 ヨロイジャバラ/テレスコカバー
走行軸などの可動部を、切りくずや油から守る伸縮式のカバー。工作機械でよく使われる保護カバーで、耐久性やメンテナンス性の向上に役立つ。
※7 ATC(Automatic Tool Changer)
切削工具を自動で交換する仕組み。段取り替えの手作業を減らし、多工程の加工を自動化・省人化する。
<会社概要>
■会社名:株式会社スギノマシン
■代表者:代表取締役社長 杉野 岳
■本社所在地:〒936-8577 富山県滑川市栗山2880番地
■TEL:(076)477-2555(代) ■創業:1936年3月1日
■事業:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電保守用機器並びに廃炉機器、湿式・乾式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発、設計、製造、販売
-以上-
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