VDI社またはEravant社の外部ミキサで、スペクトラムの測定周波数をミリ波帯まで拡大
医療や車載用デバイスなどのミリ波帯評価をサポート
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、シグナルアナライザ MS2830A/MS2840A/MS2850Aのソフトウェア機能を強化し、シグナルアナライザにVDI社またはEravant社の外部ミキサを接続することで、スペクトラムの測定周波数範囲をミリ波帯まで拡大したことをお知らせします。
ミリ波は、呼吸や心拍による身体表面の微細な変化を安定して取得したり、非接触で人や物の位置を特定したりすることができます。そのため、医療、車載、顔認証によるセキュリティなどの分野で、ミリ波帯を用いたデバイスの活用が期待されています。
アンリツは、今後もミリ波帯の信号特性を評価するソリューションを提供し、ミリ波帯を用いたデバイスの品質向上をサポートすることで、安全で安心な社会の実現に貢献してまいります。
開発の背景
近年、ミリ波レーダを用いたセンシング技術の需要が急速に高まっています。60 GHz帯レーダは、医療分野での応用が進んでいます。また、顔認証によるセキュリティ分野でも活用されています。さらに、車載レーダ技術も進化しており、歩行者や自転車などの小さな対象物を高分解能で検知するために、広帯域幅を利用した79 GHz帯レーダの開発が進行中です。
ミリ波帯の超広帯域幅信号を利用した移動体検知センサや車載用レーダなどの評価には、送信信号の特性をシンプルかつ正確に評価できる測定ソリューションが求められています。
製品概要
アンリツのベンチトップ型シグナルアナライザ MS2830A/MS2840A/MS2850Aは、ミッドレンジモデルとして高い基本性能と多様なオプションを持ち、RF帯からマイクロ・ミリ波帯、狭帯域から広帯域まで、さまざまな用途の無線信号測定が可能です。外部ミキサ接続機能 MX284090Aがインストールされたシグナルアナライザの1st Local Outputポートに、アンリツが推奨する外部ミキサを接続することで、スペクトラムアラナイザ機能・シグナルアナライザ機能・位相雑音測定機能の測定周波数範囲を拡張できます。拡張可能な周波数範囲と性能は、接続する外部ミキサによって決まります。
●最大7.5 GHz帯域でのイメージフリースペクトラム測定
一般的に、不要な信号を除去するプリセレクタを持たない外部ミキサを用いた測定では、本来の信号とは異なる周波数の信号を誤って受信する現象(イメージレスポンス)の影響を受けます。アンリツのシグナルアナライザは、受信した高周波信号を処理しやすい周波数に変換するために設定される中間周波数(IF周波数)が1.875 GHz(MS2830A)・1.8755 GHz(MS2840A/MS2850A)と、業界トップクラス*です。判別困難な変動信号を測定できるアンリツ独自のPS機能を適用することで、最大7.5 GHzまでイメージレスポンスの影響を抑えたスペクトラム測定ができます。
*2024年12月アンリツ調べによる
●シンプルな測定系
シグナルアナライザと外部ミキサは、1本の同軸ケーブルで接続できます。そのため、シグナルアナライザの設置場所の自由度が高まり、外部ミキサを被測定物の近くに置くことができます。
MS2830Aはコストパフォーマンスに優れたモデルで、開発から製造・保守まで幅広く利用できます。
MS2840Aは優れた位相雑音性能を持ち、2dBアッテネータ分解能やノイズフロア抑制など、より高い性能が求められる測定に対応するオプションが豊富です。
MS2850Aはシグナルアナライザ機能で最大1 GHz帯域幅の信号解析に対応しています。
VDI社について
VDI社は、ミリ波およびテラヘルツ(THz)アプリケーション向けの最先端の測定機器を製造しており、これらの機器には、ベクトルネットワークアナライザ、スペクトラムアナライザ、信号発生器拡張モジュールが含まれます。VDI社のコンポーネント製品は50 GHzから2 THzの周波数で動作し、VDI社で製造したGaAsショットキーダイオードが使用されています。
VDI社に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
Eravant社について
Eravant社は、米国カリフォルニア州トーランスに本社を置き、ミリ波およびサブテラヘルツのコンポーネントやテスト機器の設計・製造を行っています。60,000平方フィートの施設で、研究開発から量産まで世界中の顧客をサポートしています。品質管理の国際基準AS9100Dの認定を受け、国際武器取引規則(ITAR)に登録された企業であり、ミリ波技術の普及と未来の技術革新を促進しています。
Eravant社に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
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