スペースシードホールディングス、マレーシアの藻類国際会議「Global Algae Summit 2026」に参加

LLMが実験を回す基盤「SpaceAgent」と、微細藻類の軌道上自律培養の構想をポスター発表

スペースシードホールディングス株式会社

スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「SS-HD」)は、2026年8月19日にマレーシア・サンウェイ大学(Sunway University)で開催された微細藻類の国際会議 Global Algae Summit 2026 に参加し、微細藻類を軌道上で自律的に培養する構想をポスター発表しました(発表番号 P55)。

発表では、大規模言語モデル(LLM)を中核に実験そのものを自律的に進める基盤 「SpaceAgent」を、6Uサイズ(約6リットル)の超小型軌道上実験機に実装する設計を示しました。代表の鈴木健吾は、宇宙飛行にともなう遺伝子発現の変化に対して藻類由来成分を公開オミクスデータからAIで探索する研究もあわせて発表しています(発表番号 P56)。

Global Algae Summit 2026 は、リバネス・マレーシア(Leave a Nest Malaysia)が主催し、ユーグレナ・マレーシア(Euglena Malaysia)とサンウェイ大学が共催した国際会議です。テーマは「The Algae Frontier: Catalysing Value and Impact」。研究や技術を実際に使える規模の解決策へどう結びつけるかに主眼が置かれ、62件のポスター発表が行われました。SS-HDの参加は2025年に続き2年連続です。

Global Algae Summit 2026の会場の様子
展示されていた微細藻類の素材やヘルスケアプロダクト

宇宙における微細藻類の可能性

微細藻類は、閉じた居住空間で3つの循環を同時に閉じます。二酸化炭素を固定して酸素を出し、光と余った栄養を食べられるバイオマスに変え、残りは材料づくりの元になります。人類が地球の外で長期間暮らすとき、酸素と食料と素材を一種類の生物で賄えることの意味は大きく、微細藻類は生命維持の中心的な候補です。

一方で、微小重力のもとで藻類が数週間かけてどう育ち、細胞内に何を蓄え、ストレスにどう応答するのかは、ほとんど測られていません。軌道上の実験機会はめったになく、1回ごとに手順が固定されているため、実験中に不調が生じても、地上から柔軟に介入することは困難です。

この制約は、次の3点によって構造的に生じます。

  1. 通信が細く、途切れる:超小型衛星の上り回線は毎秒キロビット級で、途切れる時間帯があります。地上から一手ずつ命令を送って実験を進めることはできません。

  2. 地上の手順がそのまま通用しない:無重力では浮力が消えるため、泡は浮き上がらず、重力で液体を送る仕組みも働きません。

  3. 画像は撮るのが安く、送るのが高い:生の観察画像の大半は、判断を変える情報を含みません。

実験する主体を、軌道上に置くことを目指す

SS-HDが提示した「SpaceAgent」は、実験室のオペレーティングシステムにあたる基盤です。単一のマルチモーダルAIが、種類の異なる実験モジュール(観察・送液・環境制御・分析)を1つの論理インターフェースで登録し、それらを1つに融合した推論から動かします。モジュールごとに独立したルールを積み上げる従来の作りとは、ここが異なります。

仮説生成・解析・記録といった情報を生むモジュールも、物を動かすモジュールと対等に登録されます。そのため、培養液を注入した直後にpHが一時的に下がっても、AIはそれを自身の操作の当然の帰結として解釈し、異常とは判定しません。

宇宙で実験するうえで要となるポイントは4つです。

  1. 統合推論:画像・環境データ・操作記録を1つの状態として読み、センサーごとのしきい値では判断しない。

  2. 推論主体の2軸切替:重力の状態と通信途絶の確率に応じて、判断を地上で行うか機上で行うかを切り替える。細い通信のもとで実験を成立させる要。

  3. 出力検証層:物理的な限界をモデルの下に固定し、それを超える指令は切り詰めて記録する。安全性がモデルの正しさに依存しない。

  4. 動的ゲーティング:やり直せる操作は自律実行し、取り返しのつかない操作は地上の承認を待つ。

藻類の培養は、動物細胞の培養とは別物である

SS-HDの自律実験基盤は、細胞実験を出発点のひとつとして設計されてきました。今回の発表では、その最初の搭載対象として微細藻類を選ぶ理由を、動物細胞培養との対比で示しました。微細藻類を光合成独立栄養で培養する場合、重要になるのは光の条件です。光の強さ・波長・明暗周期は電気的に制御でき、ポンプで試薬を送液する操作とは異なるアプローチをとることができます。

(参考)微細藻類用の培養モジュールの外観
(参考)超小型細胞培養モジュールの外観

基盤となる特許

自立実験装置SpaceAgentの中核技術は、2026年6月10日付で特許庁に出願済みです。

  • 特願2026-097380:実験モジュールの統合制御装置

    1つの共通論理インターフェースによる横断制御、推論主体の2軸切替、情報モジュールを物理モジュールと対等に扱う構成

  • 特願2026-097387細胞実験用の統合自律実験装置

    微小重力下の液体操作(泡の管理と通信途絶からの復旧)、送液プロファイル、機上と地上の推論分担

上記の二つの特許は、リジェネソーム株式会社、スペースシードホールディングス株式会社、株式会社IDDK、株式会社スペースノーム研究所の4社による共同出願です。

代表取締役 鈴木健吾のコメント

スペースシードホールディングス株式会社 代表取締役 鈴木健吾

「藻類によって人類の生活圏を広げられる可能性については、一定の理解が得られつつある一方で、実現に向けて具体的に何から進めればよいのか、見当がつかないという方も多いと思います。

私たちは、まず無人でも実施できる培養実験から始めようと考えています。しかし、軌道上の実験装置は、実験環境が地球上とは異なるだけでなく、通信手段も限られ、通信にはラグも生じます。そのため、地上から細かな指示を逐次送って実験を進めることは容易ではありません。そうした環境だからこそ、軌道上の実験には自律性が必要になります。

開発には課題も少なくありませんが、そこで得られた知見は、地上の研究活動や製造ラインにも活用できると考えています。2040年までに人類が宇宙で暮らすための技術を揃えるという私たちの目標は、地上の産業にもつながるものだと考えています。」

スペースシードホールディングス株式会社について

スペースシードホールディングス株式会社は、「SFをノンフィクションにする」をミッションとして、投資活動、研究活動ならびに事業創出を行う宇宙系ディープテックベンチャービルダーです。発酵とロンジェビティ技術の社会実装を支援する「Fermentation and Longevity Fund」プログラムの運用などを軸に、社会課題を解決する事業の創出に取り組んでいます。

https://ss-hd.co.jp/

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会社概要

URL
https://ss-hd.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区浜松町2丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F
電話番号
080-5063-8705
代表者名
鈴木健吾
上場
未上場
資本金
500万円
設立
2024年01月