中学生が思い描いた「ミライ絵巻」を鳥獣戯画で表現し、メディアアーティスト・落合陽一氏が講評
~キッザニアによる中学生向け対話型SDGsワークショップ「コスモポリタンキャンパス2024 Spring with EXPO」実施報告レポート~
こどもの職業・社会体験施設「キッザニア」の企画・運営を行うKCJ GROUP 株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:圓谷 道成、以下KCJ GROUP)は、KDDI株式会社(以下 KDDI)と共催で、2024年3月26日(火)・27日(水)の2日間、「コスモポリタンキャンパス2024 Spring with EXPO」(以下 ワークショップ)をKDDI DIGITAL GATE(東京・虎ノ門)にて開催しました。
本ワークショップでは、事前応募で参加した23名の中学生が4つのチームに分かれ、社会のさまざまな課題とその解決アイデアをディスカッションし、それぞれが思い描く未来の生活を「ミライ絵巻」として表現しました(※1)。また、各チームには、KDDIの「業務の1%活動」(※2)としてKDDI社員がサポーターとなり、中学生の思考の幅を広げたり深めたりするアドバイスを行いました。
参加者は、『現代の鳥獣戯画アートプロジェクト』を行う東京藝術大学大学院美術研究科の秋本 瑠理子氏から、鳥獣戯画の鑑賞や模写体験で描く技術を学びました。その後、チーム毎に「ミライ絵巻」を制作し、プレゼンテーションしました。講評を担当した大阪・関西万博でテーマ事業プロデューサーを務めるメディアアーティストの落合 陽一氏からは「中学生らしい伸びやかな発想でまとめている。問題と解決策が飛んでいるが、理想を追い求めることは大切で、10年後実現させるためにどうすればよいかを考え続けることが重要。皆さんには考え続けてほしい」とコメントをいただきました。さらに、落合氏の「魔法の世紀を生き抜く力とは?」をテーマにした特別講話では質問形式での活発な対話も行い、刺激的で充実した2日間が終了しました。
なお、本ワークショップは、大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025」プログラムの共創パートナーであるKCJ GROUPが、企業や自治体、教育機関と連携した活動(※3)の1つとして、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に基づき実施されたもので、今後も、企業や自治体、教育機関と連携し、未来を担うこども達の活発な交流による「課題発見力」「自己表現力」が育まれるよう、さまざまな趣向を凝らした活動を実施してまいります。
※1 ワークショップの絵巻は、「現代の鳥獣戯画アートプロジェクト」の一環として制作されています。
※2 KDDIでは、2022年度より全社員を対象に、「お客さまと接すること」や「お客さま目線が理解できる業務体験をすること」に業務の1%の時間(年2日間程度)を使うことを推奨しています。「キッザニア東京」施設内にて、クリーンスタッフ/ゲストサポートスタッフとして活動する「キッザニアサポーター」も本活動の一環として位置づけ、社員が現地スタッフとして参加・運営しています。
※3 2023年4月5日発表 https://www.kidzania.jp/corporate/common/pdf/230405_expo.pdf
■実施概要
・タイトル 「コスモポリタンキャンパス2024 Spring with EXPO」
・開催場所 KDDI DIGITAL GATE(東京・虎ノ門)
・講師陣
講師 |
肩書 |
|
---|---|---|
Day1・2 |
秋本 瑠理子 氏 |
東京藝術大学大学院 美術研究科 |
Day2 |
落合 陽一 氏 |
大阪・関西万博 テーマ事業プロデューサー メディアアーティスト |
■Day1~2 ワークショップ内容
Day 1:3月26日(火)
(午前)【アイデアを創造】困りごとの解決策を見つけよう!
初めにチーム内で自己紹介をし、自分自身の困りごとを発表。その後、世の中の困りごとを挙げ、それに対する「解決アイデア」と「変化」「2030年~の未来」を創造し付箋に書き出して分岐図にし、チームごとに、課題の数、描いた未来の数、みんなに聞いてほしいユニークな未来を一つ選び、2分間のプレゼンテーションを行いました。サポーターの手も借りながら、多くの困りごとから自由な発想で解決策をひねり出しました。
(午後)【ミライを表現①】「ミライ絵巻」の制作に挑戦!
秋本氏より鳥獣戯画をモチーフにした「ミライ絵巻」の制作について説明を受け、鳥獣戯画の鑑賞、模写体験をして、白描画(墨の線で描くこと)の技術に触れました。その後、自分たちが創造した理想の未来を生きるミライさんが見ている1日の暮らしを考えて鳥獣戯画で表現するため、コンセプトシート班、絵師班、スライド班に役割分担し、制作を行いました。チームメンバーと議論を交えながらスライドを作ったり、集中して絵を描いたり、講師やスタッフとも交流しながら制作を進めました。
Day 2:3月27日(水)
(午前)【ミライを表現②】「ミライ絵巻」の制作とプレゼン準備
鳥獣戯画は色々な人が描いたとされる研究があるので、皆さんの「ミライ絵巻」も絵師班の担当者だけではなくほかのメンバーも描きましょうという秋本氏からのお話があり、チームメンバー全員で絵巻の完成、プレゼンテーションに向けて真剣に作業を進めました。どのような表現にすべきか、どのようなタイトルにするかなど、意見を出し合い多数決で決めたり、周りの大人にアドバイスをもらったりして、完成させました。
(午後)【発信と対話】プレゼンテーションをしよう
各チームの成果発表会として1チーム3分間のプレゼンテーションを行い、それぞれのチームごとに、落合 陽一氏、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の村井 大輝氏、大阪大学社会ソリューションイニシアティブの伊藤 武志氏から講評をいただきました。
その後、落合 陽一氏の特別講話を聞き、質問タイムに。AIと人間に関する話では、得意とするタスクをAIと人間それぞれがやればよい、猫の話(人間が猫を飼っているのか、猫が人間を飼わせているのか)を例に挙げ、実は既に人間はAIに飼われている状態なのかもしれないといった話で盛り上がりました。
落合 陽一氏 特別講話「魔法の世紀を生き抜く力とは?」
コンピューターを使って色んなことが魔法のようにできるが、多くの人類は技術的な仕組みがわかっていない。そのような中、AIはとても速いスピードで進化しており、ものの作り方や考え方を変えていかなくてはならないということを身近な例を用いながら、そして、実際に作品を作る過程をその場で披露しながら、お話しいただきました。
また、参加者からの質問に答える形で、ほかの人がつまらないと思っていても自分自身が面白いと思うことを突き詰めること、文章力を育むには本をたくさん読むことの大切さなどを伝えていただきました。
<各チームが制作した絵巻>
チーム:すしおけ
タイトル:SDGsな一日 テーマ:寝坊/様々なモラルと平等
チーム:スイミー
タイトル:カエルくん 未来の日常絵巻 テーマ:満員電車/環境
チーム:MakMATT
タイトル:未来・空間移動絵巻 テーマ:自然災害/心身の健康/移動手段
チーム:Hey fever!
タイトル:うらみのバレンタインの巻 テーマ:児童労働/貧困/多様性
<総評>
東京藝術大学大学院 美術研究科 秋本 瑠理子 氏
あっという間の二日間。このワークショップでは、表現を通じて一人一人がどんどん成長していく姿を頼もしく見させていただきました。完成した絵巻はもちろんですが、可能性に溢れるミライを想像して議論したこと、新しいアイデアを出し合ったこと、墨で描く表現をチームで工夫したこと。そして、文字を使わずに、この短時間で表現しきれたこと。人間だからこそ"つくりだす”アートの力です。難題にチャレンジすることが、楽しかった!と思って頂けたら、絵巻プロジェクトは成功です。参加されたみなさん、いかがでしたか?
<受講生の感想>
・絵が苦手なので鳥獣戯画がメインというよりみんなとコミュニケーションを取りたいと思って来たが、鳥獣戯画を描く方もみんなとコミュニケーションを取って書くことができたし、ちょっとミスがあっても「大丈夫、大丈夫!」とみんなで助け合ってできたのが良かった。
・他校の、しかも違う学年の生徒と関わりながら、プレゼンテーションを作ったり、一つの大作の作品を作ったりする機会はほとんどないし、多分、一生できないような経験ができたので、ここで育んだコミュニケーション能力とかを今後に活かしたいと思う。
・同年代の人達と交流を深めることができ、落合陽一先生やその他の皆さんのお話もお聞きすることもできて、たいへん有意義な時間だった。最初は緊張したが、だんだんと打ち解けていくにつれて緊張も緩くなってきて、特に2日目はとても楽しかった。自分たちが考える理想の未来をしっかり考えて、思い思いに表現したことが貴重だった。
<保護者の感想>
・社会課題を絵巻で表現すること、日本の文化と現代の課題と未来につなげるという古さをもって新しいことを表現する、しかも絵でデザインでというのが面白いと思った。実際に絵巻を見て工程は見ていないのでわからないが、しっかり鳥獣戯画を現代風にアレンジしてすごいと思った。
・色んなスタイルの美術を体験でき、社会問題などを絡めてアートと両方を経験できたのは良かった。こどもは初対面の子と共同作業をすることは不安がっていたが、とても楽しくできたと言っていた。
・絵が好きなこどもはとても楽しく、絵の上手なメンバーがいて刺激を受けたと言っていた。学校が違う今まで会ったことがない方々とディスカッションをして一つのものを作り上げるという貴重な体験ができありがたいことだと思う。
※ワークショップの様子は、下記からもご覧いただけます。
・キッザニアSDGsサイト : https://www.kidzania.jp/sdgs/report/020/
・キッザニア【公式】YouTubeチャンネル:https://youtu.be/rFOpqFUgcF8
© Expo 2025 © 2024 Nowadays Cho-ju-Giga Art Project / KDDI / KCJ GROUP
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