【欧州5カ国・在住日本人81名調査】熱波下の海外出張で注意すべきこと──交通・ホテル・冷房事情を国別に解説

冷房のない欧州の夏。フランス・ドイツ・英国・イタリア・スペインで暮らす日本人が語る、渡航前に知るべき「その国のリアル」

ロコタビ

株式会社ロコタビ(本社:東京都千代田区、代表取締役:高田大輔、以下、当社)が運営する海外在住日本人による現地支援サービス「ロコタビ」は、フランス・ドイツ・英国・イタリア・スペインに住む日本人81名を対象に、「記録的熱波下の現地状況と、海外出張者が渡航前に確認すべきポイントに関する調査」を実施しました。

調査から浮かび上がったのは、81.5%が「例年より暑い」と感じる中、日本の感覚では想定しにくい国ごとの事情でした。
回答者からは、「地下鉄が線路の熱膨張で立ち往生する」(英国)、「ホテルのポータブルエアコンで室温がようやく29℃」(フランス)、「今年は救急車をよく見る」(イタリア)といった声が寄せられました。ニュースの気温数値の背後にある、こうした具体的な行動判断に関わる情報を、5カ国別にまとめました。

※「ロコ」とは、ロコタビに登録している海外在住の日本人を指します。世界各地に在住し、旅行者や海外出張者に対して現地案内、通訳、視察アテンド、事前調査などのサービスを提供しています。本調査は、フランス・ドイツ・英国・イタリア・スペインに在住するロコを対象に実施しました。

西欧は観測史上最も暑い6月に──ニュースの数字とロコの証言の間

世界気象機関(WMO)が紹介したCopernicus Climate Change Serviceの月次データによると、2026年6月は西欧で観測史上最も暑い6月となりました。西欧の平均気温は20.74℃で、1991~2020年の6月平均を3.05℃上回りました。

WHO欧州地域事務局は、フランスの一部都市で救急医療への電話が最大50%増加したこと、ロンドンで生命に関わる救急要請が過去最多となった日があったことを公表しています。(出典:WHO欧州地域事務局)

こうしたマクロな数字と、実際の出張中の行動を結びつけるのは容易ではありません。「予約したホテルの冷房は動くのか」「訪問先の会議室で商談できる状態か」「地下鉄で移動できるのか」──ここから先は、現地に住む人にしか答えられません。以下、5カ国別に整理します。

フランス:停電や施設の営業時間短縮を経験。ポータブル冷房でも室温29℃との声

パリの複数の回答者から、都市機能に関わる具体的な影響が報告されました。

パリ在住のロコからは、次のような証言がありました。

  • 40℃を超えた熱波の最後の日、我が家は35時間停電した。

  • パリ市内および郊外で広範な停電が起こった。

  • メトロや地方行き電車、新幹線の故障で本数が減り、エレベーターの故障リスクも高まる。

  • 熱波時にルーブル美術館が16時に閉館した日があり、他の観光施設や店舗でも営業時間が短縮される場合がある

冷房環境については、複数の回答者が「ポータブルエアコンをつけても室内はようやく29℃」と証言しています。フランスは今回の調査で自宅にエアコンがない人の比率が最も高いグループの一つで、「据付エアコン」ではなく後付けのポータブル機器で凌いでいる家庭が目立ちました。

【パリの住宅で使用されているポータブルエアコン(排気ダクト付き)/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

パリのバスについては、「エアコンがあっても、運転手や車両によっては稼働していないことも多く、車内が40℃を超えることがある」との証言もありました。

フランス独自の注意点(現地在住者の声から)

「パリは日没が22時頃と遅く、16時前後が最も暑い時間帯。夕方以降も気温は下がりにくい」(パリ)

「日向に置いた車内は45℃になる。レンタカー利用時は特に注意」(フランス南東部・コロンジュ=スー=サレーヴ)

「保冷剤はフランスには売っていない。日本から多めに持参し、凍らせてタオルに包み首の下に置くと良い」(パリ)

「使い捨ての冷却タオルは日本ならではの暑さ対策グッズ。少しの間でも心地よく過ごせる」(ニース)

【シャンゼリゼ通りのカフェテラスに設置されたミスト装置/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

フランス出張の一言アドバイス

「暑さと太陽の強い光で体力を奪われるため、日程は余裕を持ったスケジュールをおすすめします。日本人はサングラスをしていない人が多い傾向ですが、こちらでは必須アイテムです」

【南仏マントンのビーチ。強烈な日差しは日本以上で、日焼け止めとサングラスが必須/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

ドイツ:簡易宿泊施設では冷房がない場合も。宿泊先の設備確認が重要

【2026年6月23日13時5分、フランクフルトの気温は37℃、体感温度は43℃を記録(AccuWeather画面より)。ドイツでは冷房が普及しておらず、こうした気温下での外出時間帯の見直しが必要になる/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

ドイツの回答者からは、以下の回答がありました。

  • 高級ホテル以外の普通のホテル、簡易宿泊施設はほぼ冷房がなく、公共交通機関も冷房はほとんど効かない

  • ベルリンの建物は2日ほどであれば暑さをしのげるが、熱波が3日以上続くと建物自体に熱がこもり、室温が下がりにくくなる。朝の涼しい時間帯に換気し、その後は窓やブラインドを閉めて日中の熱気を遮る。

  • ホテルに冷房があってもあまり効かない。猛暑日が続いて壊れた例もあるので、冷房がない場合の対策も考えておくべき。列車移動は冷房が壊れている電車もあるので、余裕を持った計画を

服装については、ハイデルベルク在住者から「ビジネスでもスーツを着る人は極端に減り、風通しをよくして無理のない服装になる。膝丈のパンツにTシャツとサンダルが定番」との報告。訪問先の許容度が高い場合は、日本の商習慣より軽装で臨める可能性があります。

ドイツ独自の注意点(現地在住者の声から)

「ホテルの部屋に冷蔵庫がないことも多い。持ち帰った飲料の保管には注意」(ハンブルク)

「日中は教会や道幅の狭い旧市街地に入ると日差しを避けられる。石畳の建物は避暑地としても機能する」(ケンプテン)

「熱波の日もあったが最低気温13〜15℃の日も続く。半袖だけで過ごすのは厳しく、上着の準備を」(ベルリン)

【フランクフルトのスーパーマーケット。熱波の時期、アイスクリームの冷凍棚は多くの商品が売り切れ、棚が空の状態が続く。回答者からは『暑くなるとスーパーのアイス棚が空になる』との声も/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

ドイツ出張の一言アドバイス

「暑さへの備えがほとんどない国ですが、チョコレート屋は商品保護のため22℃程度まで冷房で冷やされているので、避難先の一つになります。湿度はさほどないのでとにかく日陰にいるだけで体感温度が違います」

英国:ロンドン地下鉄は冷房のない車両も多く、路線選びが重要

英国、特にロンドンでは、地下鉄の冷房事情が繰り返し指摘されました。

  • エリザベスラインなど一部の新しい路線を除き、多くの地下鉄車内には冷房がなく、真夏の日中は35℃を超えることもあり、本当にサウナのような暑さになる。短時間乗っただけでも体調不良になるので、暑い日は徒歩や地上交通を組み合わせたルートを選ぶこともおすすめ。バスも一部を除いて冷房は完備していない

  • クーラーが効く電車にせっかく乗れても、気温が上がると線路が曲がる上、電源周りの負荷が上がるので結局、電車が立ち往生する。『暑さ』が理由で電車が止まるのは日本では考えられない

【ロンドンのサウス・ウェスタン鉄道(SWR)の駅ホームに掲示された、猛暑に伴う運行本数削減の案内。熱波時には速度制限や減便が行われる場合があります/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

宿泊については、「ある程度のホテルは冷暖房が整備されているが、B&Bや簡易宿泊所などにはほとんど冷房がない」との声。予約サイトの「エアコンあり」表示だけでなく、宿のグレードも見て判断する必要があります。

英国は、ロコの一人が指摘するように「夏より長い秋冬期間の寒冷対策優先の社会や設備、建物」であり、日本のように「長い夏の期間、暑さがずっと続く」前提で作られていません。この構造的な違いを理解した上で、短期出張の日程を組む必要があります。

英国独自の注意点(現地在住者の声から)

「水分補給スポットはロンドン内ではウォータークーラーなどが町中にあるので、自分で水筒を持参すると便利」(ロンドン)

「飲み物の自動販売機はないので、駅構内など水分を買える所がほぼない(ターミナル駅は別)」(ロンドン)

「冷却シート、保冷剤、メンソール入りボディシート、塩分タブレットなど、日本で当たり前に手に入るものはほぼないと思ったほうがいい」(ロンドン)

「日傘は一般的ではないが、最近黒い傘をさす英国人も見かけるので、気にせず使って良い」(ロンドン郊外)

「スーツを着ているのはほぼ日本人ビジネスマン。健康上の理由がなければ涼しげな服装のほうが印象がよい」(リバプール)

英国出張の一言アドバイス

「日本より湿度は低い一方で日差しが非常に強い。外出時はサングラス、日除け用の帽子、水、濡れタオルかネッククーラー、パラソルなどを携行。保冷剤も持参を。ほとんどの地下鉄車内は蒸し風呂状態で故障も日常茶飯事なので、日中の利用は最低限に留めた方がよい」

イタリア:「今年は本当によく救急車を見る」──午前中心行動と噴水の給水機

【イタリア・カプリ島の港。夏休みシーズンは観光客で大混雑し、タクシーやケーブルカーの利用にも炎天下で並ぶことがあります/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

イタリアの回答者からは、次のような証言が寄せられました。

  • 夏はヨーロッパ旅行は控えるべき。熱中症で病院に運ばれる友人や家族を見てきた。私も一昨年熱中症になり救急車で運ばれた。今年は本当によく救急車を見る(ベネチア)

  • ローマ市内に多数ある給水機、飲料噴水を利用すること。保冷水筒を持ち歩くことが、地元では一般的(ローマ)

  • 暑さのために列車、バス等の故障が頻繁になる。既に夏休み用のタイムテーブルで運行数も少なく、公共交通機関の利用はかなり厳しい。タクシーアプリの利用もお勧め(ローマ)

  • 一番涼しい時間帯は早朝、午前中に行動を集中したほうが能率が上がる。日が長いため夕方や22時ぐらいまではかなり暑さが残る(パドヴァ)

    「予約したホテルに冷房がある」ことと、「熱中症のリスクがない」ことは全く別の問題です。行動時間については、ミラノ・パドヴァ・フィレンツェの複数のロコが「午前中心」を勧めています。

イタリア独自の注意点(現地在住者の声から)

「ローマの給水噴水は水筒があれば無料で使える。地元民は常に持ち歩く」(ローマ)

「気温が高い割に湿度が低い(35℃で湿度20%台など)ので高温多湿の日本より過ごしやすい面もあるが、シロッコ(北アフリカからの熱風)とアスファルトの照り返しでサングラス必須」(バーリ)

「レストランで注文した水は買ったもの。自分のペットボトルに入れて持ち帰っても構わない」(フィレンツェ)

「昼食時に家に帰って休息を取り午後職場に戻る習慣が根付いている。計画を頑固に実行せず臨機応変に」(パドヴァ)

「カプリ島など観光地では、バスやケーブルカーのエアコンはほとんど効かない」(ナポリ・カプリ)

イタリア出張の一言アドバイス

「公共交通機関や店・レストラン・商業施設と外の寒暖差が激しいため、軽い上着やストールを持ち歩くとよい。ただし時と場所によっては全く冷房が効いていない場合もあるので、その時は耐えるのみ。熱波に関わらず遅延や予期せぬ公共トラブルは日常茶飯事なので、時間にはかなりの余裕を持って行動を」

スペイン:暑い時間帯は屋内へ。生活時間に合わせた予定調整が重要

スペインの回答者からは、他国と対照的な冷房事情と、行動時間帯についての明確な指針が示されました。

  • 私の知る限りスペインはクーラーが付いている飲食店・ホテルがほとんど。よっぽどローカルな所でない限り、普通にクーラーはついている(バルセロナ)

  • 午後3時頃〜夕方8時までは屋内で過ごした方が良い。スペインは食事時間帯が他国よりだいぶ違うので、それを知った上で予定を立てることをお勧め(セビージャ)

  • 日の出が遅いので暑くなるのは14時過ぎ。外を歩く予定は早い時間に組んだ方が良い(マドリード)

    冷房環境については、フランス・ドイツ・英国とはやや事情が異なる可能性があります。

【スペイン・セビージャ7月7日午後7時、街頭温度表示が49℃を示した様子/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

スペイン独自の注意点(現地在住者の声から)

「スペインは食事時間帯が他国とだいぶ違う(昼食14時前後、夕食21時以降)ので、それを知った上で出張中の予定を立てることをお勧めする」(セビージャ)

「帽子・日傘は暑さ対策として有効だが、昨年の在外公館通達では『日本人と分かりやすくスリの標的にされやすい』とされていた。安全対策との兼ね合いを考える必要がある」(バルセロナ)

「業務のアポでも屋外から移動してくるので、移動時間も考慮してアポ時間を決めるのが望ましい」(バルセロナ)

「グエル公園は園内に飲食物販売がないので、水分補給を怠らないように」(バルセロナ)

スペイン出張の一言アドバイス

「午後3時から夕方8時までは屋内で過ごすこと。そしてスペインは食事時間帯が他国とは違うので、そこを理解した上で予定を組んでください」

5カ国共通:出張前に必ず確認すべき項目

各国のロコの証言から共通して浮かび上がった、渡航前の確認事項をまとめました。

  1. 宿泊施設の客室に個別冷房があるか(共用部のみの場合が多い)

  2. 宿泊者自身が温度を調整できるか(建物一括管理の場合あり)

  3. 冷房が現在正常に稼働しているか(熱波継続時に故障報告あり)

  4. 訪問先の会議室の空調環境

  5. 軽装(ジャケットなし)で訪問して良いか

  6. 現地の最高気温となる時間帯(国により異なる。パリは16時、スペインは午後2時以降)

  7. 鉄道が止まった場合の代替ルート(タクシー・配車アプリ・徒歩)

  8. 携帯ボトル用の給水スポット(ロンドン・ローマ・パリなど都市による差が大きい)

  9. 訪問予定の美術館・観光施設の熱波時営業時間(短縮運営あり)

  10. 現地の気象警報と交通・営業への影響

暑さ対策用品(冷却シート、携帯扇風機、冷却タオル、日傘、UV長袖、塩分タブレット、保冷剤など)は、5カ国いずれの回答者からも「日本から持参を」との声が繰り返されました。

【パリ市内の無料給水スポット/写真:ロコタビ登録ロコ提供】

気温は検索できても、「その街で今日どう動くべきか」は現地確認が必要

天気予報や最高気温は日本から確認できます。しかし、上記のチェックポイントの多くは、日本からの検索では確定できません。予約サイトの「エアコンあり」表示が実際に稼働しているか、訪問先の会議室に空調があるか、地下鉄が今日通常どおり動いているか、どの時間帯に移動すべきか──これらは、その街で今動いている人にしか判断できない情報です。

さらに今回の調査で明らかになったように、同じ「欧州の熱波」でも国・都市によって具体的な対処法は異なります。パリの停電リスク、ロンドンの地下鉄回避、ミラノの午前中心行動、ローマの給水機活用、バルセロナのシエスタ時間──いずれも、その土地に暮らす人の一次情報があってはじめて、出張の日程・宿・移動が「机上の計画」から「実際に動く計画」に変わります。

欧州出張を控える企業のご担当者様は、ぜひロコタビの法人向けサービスをご検討ください。

株式会社ロコタビ 概要 

「世界が身近に感じられる世の中を」をミッションに、海外在住日本人のスキルや知識をシェアするマッチングプラットフォーム「ロコタビ」を運営しています。2015年の創業以来、世界中に点在するメンバーと共にサービスを成長させてきました。 企業の海外進出や業務効率化を多角的に支援しています。

【会社名】株式会社ロコタビ
【所在地】〒102-0093 東京都千代田区平河町2-5-3 永田町GRID 5F MIDORI.so
【代表者】代表取締役 高田大輔
【設立】2015年12月1日
【事業内容】海外在住日本人による現地支援サービス「ロコタビ」の運営
【Webサイト】https://locotabi.jp/

【ビジネス利用ページ】https://locotabi.jp/biz 

【サービス紹介動画】https://drive.google.com/file/d/1WpJ3sOw9MdmL-85YvvOAbFw1HRoR5Epu/view?usp=sharing

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調査概要

調査名:記録的熱波下の現地状況と、海外出張者が渡航前に確認すべきポイントに関する調査

調査方法:ロコタビ登録者へのWebアンケート

調査期間:2026年7月9日〜7月14日

配信対象:フランス・ドイツ・英国・イタリア・スペイン在住のロコタビ登録者10,044名

有効回答数:81名(フランス25名、ドイツ20名、イタリア18名、英国11名、スペイン7名)

注記:本調査は任意回答によるものであり、各国の在住者全体を代表するものではありません。

外部情報の出典
・世界気象機関(WMO)「Western Europe has hottest June on record」2026年7月9日
・WHO欧州地域事務局「Statement – Get prepared: current European Region heatwaves are a dress rehearsal」2026年6月30日

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会社概要

株式会社ロコタビ

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URL
https://locotabi.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区平河町 2-5-3
電話番号
-
代表者名
高田大輔
上場
未上場
資本金
7000万円
設立
2015年12月