【HMV&BOOKS書店員が選ぶ今月の５冊】“10代のうちに読んでほしい本”５選

今回のキュレーター：HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE 花田菜々子

[8月後半のテーマ] "10代のうちに読んでほしい本"５選

 

今回お薦めするのは、書店員をしながら、作家という一面ももつHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE（日比谷コテージ）の花田菜々子。

短い夏休みが終わり、いよいよ新学期も始まります。10代という多感な時期だからこそ読んでほしいと今回おススメする5冊は、考え方やモノの見方を変えるきっかけになったり、この先の人生の助けとなったりするような本を集めました。とはいえ、もちろん10代ではない方が読んでも、読んだら考えさせられる本ばかりです。
題名や装丁など、何か気になったら、ぜひ一度、手に取ってみてください！

HMV&BOOKS店舗では、提案型の売り場を通じて、お客さまに本との“出会い”や“発見”を提供しています。本企画によって、オンライン上でも店舗と同じように、お客さまと本との”出会い”のきっかけを提供できればと考えています。
 

• [小説] 百年と一日／柴崎 友香　（出版：筑摩書房　発行：2020年7月）【新刊】

小説というのはいつも別の誰かの人生を体験させてくれるようなものですが、この本のすごいところは時間のタテ軸（？）のぶれをかつてない方法で体験させてくれるところ。ひとつのお話はせいぜい5、6ページのほんとうに短いものなのに、その中で私たちはするりと何十年もの時間を移動させられてしまいます。名もないすれ違う人たちにもほんとうは全員名前があり、その全員に数十年の人生があって、自分もこの砂粒のひとつなんだ……そんな不思議な気持ちに囚われる読書を味わえます。


▶https://www.hmv.co.jp/product/detail/10971608

 

• [エッセイ] 弱さのちから／若松 英輔　（出版：亜紀書房　発行：2020年7月）【新刊】

いわゆるコロナ禍によって、わたしたちの生活は大きく変わってしまいました。今も不安や怒りが私たちを霧のように覆っているように思います。お金のない人や身体の弱い人にしわ寄せがいく現実を自己責任という言葉で済ませてしまっていいのでしょうか。
これはこの4月から6月にかけて目の前で起こっていることに照らし合わせてやさしく語りかけられる「弱さのススメ」。誰かを切り捨てたくなったり、あるいは自分はなんてだめなんだ、と落ち込んだ日に開いてほしい本です。

▶https://www.hmv.co.jp/product/detail/10962510
 

• [小説] ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい／大前 粟生　（出版：河出書房新社　発行：2020年3月）

大学生の七森はとりあえず彼女ができたものの、恋愛やセックスの話は苦手だし、つきあうってどういうことかわからないし、おまえも男なんだから○○だろ、みたいなノリも好きじゃない。そんな彼が入部したのはちょっと不思議な、ぬいぐるみとしゃべる人たちのサークル。
ジェンダーの問題に興味がある人はもちろん、誰かを傷つけるのも自分が傷つくのも怖くて、人間関係に悩んでいる人にもおすすめしたい、新しい時代の青春小説。

​▶https://www.hmv.co.jp/product/detail/10663235

 

• [詩集] わたしの全てのわたしたち／サラ・クロッサン　（出版：ハーパーコリンズ・ジャパン　発行：2020年5月）

16歳のグレースとティッピは、腰から下がつながった結合双生児の姉妹。好奇の目にさらされる不安を乗り越えて通い出した学校で、はじめての友達、そして恋愛が始まる。けれど二人はいつも死の影に憑りつかれていて、そして二人はひとつの重大な決断をする――。
あまりにもせつなく、悲しくて、それでも彼女たちの心の声がほんとうに美しくて、号泣しながら読んだ本です。完全な大人になってしまう前に出会ってほしい、宝物のような物語。

▶https://www.hmv.co.jp/product/detail/10790106
 

• [その他] 13歳からのアート思考／末永 幸歩　（出版：ダイヤモンド社　発行：2020年2月）

小学生から中学生になる過程で美術という教科を嫌いになる人が多いという調査結果が出ているそうです。絵が下手、絵画を見ても正解がわからない、授業がつまらない……そんな人にこそ読んでほしいのがこの本。
例題をたくさん出してこちらに考えさせながら「アート思考」を広げてくれるこの本は、一方的な知識や見方の押しつけではなく、楽しいワークショップに参加している気持ちで読むことができます。読み終えた頃にはすっかりアートを見る目が変わっているはず。


▶https://www.hmv.co.jp/product/detail/10582677
 

 

[今回の選書担当店舗] HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE（日比谷コテージ） 〒100-0006 東京都千代田区有楽町１丁目２−２ 日比谷シャンテ 3F https://www.hmv.co.jp/fl/34/71/1/ ”すべての女性たちが、忙しい日々の中でふと立ち止まり、軽やかに歩き出す力を得る「東京の真ん中の小さな別荘」のような女性のための本屋”をコンセプトに、書籍を中心に、音楽・映像ソフト、雑貨などを取り扱う複合店舗。”女性のための本屋”ならではの視点で、選書やコーナー展開、ギャラリー展示、店内でのイベントやワークショップなどを実施しています。

 

• HMV&BOOKS書店員が選ぶ今月の5冊 について

本企画では、毎月2回それぞれのテーマを決め、全国のHMV&BOOKSで働く書店員が選書した5冊を紹介いたします。時節や気分にあわせたテーマによる選書が、新たな本との出会いのきっかけになればと考えています。

■HMV＆BOOKS 選書店舗一覧
・HMV&BOOKS SHIBUYA（東京・渋谷）
・HMV&BOOKS HAKATA（福岡・博多）
・HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE（東京・日比谷）
・HMV&BOOKS SPOT 伊丹空港（大阪・伊丹）
・HMV&BOOKS OKINAWA（沖縄・浦添）
・HMV&BOOKS SHINSAIBASHI（大阪・心斎橋）
・HMV&BOOKS online（ECサイト）