2024年版「共働き子育てしやすい街ランキング」 総合編1位は神戸市

日経クロスウーマンと日本経済新聞社が「自治体の子育て支援制度に関する調査」を実施

株式会社 日経BP

 働く女性向けウェブメディア「日経クロスウーマン」(発行:日経BP)と日本経済新聞社は「自治体の子育て支援制度に関する調査」を実施。2024年版「共働き子育てしやすい街ランキング」をまとめた。総合編1位は神戸市(23年は総合編4位)。15年の調査開始から初めて、西日本の自治体が1位を獲得した。結果の詳細は日経クロスウーマンと日本経済新聞にて発表した。

 本調査は共働き子育てを巡る現状と課題を明らかにする目的で、15年から毎年実施しており、今年で10回目。首都圏、中京圏、関西圏の主要市区と全国の政令指定都市、道府県庁所在地、人口20万人以上の都市の、計180自治体を対象に24年9~10月に実施。155自治体から得た回答を集計した。

 少子化対策の観点から、子育てに関する金銭的な不安の解消や、利便性の向上に努める自治体が増えている。今年の調査で新たな指標としたのは、出産直後の母子をサポートする産後ケアへの取り組みや、保育料の無償化、ICT導入などによる手続きの効率化など。23年調査に引き続き自治体のダイバーシティ推進の取り組みにも注目し、「自治体の首長部局に勤務する正規職員における、管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合」も評価項目に加えた。計43の評価項目を作成して採点し、合計得点(100点満点)で総合ランキングを作成した。上位自治体は次の通り。

*同順位の掲載は五十音順。

「共働き子育てしやすい街ランキング2024」 総合編BEST10

順位

自治体名(都道府県名)

スコア

1位

神戸市(兵庫県)

82点

2位

宇都宮市(栃木県)

79点

3位

板橋区(東京都)

77点

3位

豊島区(東京都)

77点

3位

福生市(東京都)

77点

3位

松戸市(千葉県)

77点

7位

北九州市(福岡県)

75点

8位

札幌市(北海道)

73点

8位

静岡市(静岡県)

73点

8位

豊田市(愛知県)

73点

8位

豊橋市(愛知県)

73点

 認可保育所などへの0歳児クラスの入所申請児童数と定員数は、23年調査から微増したものの、過去最高だった22年調査よりは少ない結果となった。未就学児が「増えた」(23年4月と24年4月の比較)と回答したのは回答した155自治体中2自治体のみ。少子化対策の観点から、金銭的なサポートに力を入れる自治体が目立ち、第2子以降の0~2歳児の保育料を無償化している自治体は45.7%(都道府県主体で実施する場合を含む)に上った。

 また本調査では、東京とそれ以外の地域とでは、保育所整備に関して自治体が抱える課題に違いがあることが分かった。保育所の定員割れが課題になっていると答えた自治体の割合は、東京の41自治体では75.6%と高く、特に23区に絞ると、調査に回答した22区中20区(90.9%)が、定員割れが課題だと回答した。一方、東京を除いた114自治体で集計すると37.7%で、東京とは約40ポイントの差があった。地方の大きな課題は保育士不足だ。保育所整備における課題として「保育士の確保」を挙げた自治体は、東京の41自治体では41.5%だったが、東京を除いた114自治体では64.9%に上った。人口減少による働き手不足に加え、東京などの大都市で保育士の待遇改善が進んだ結果、保育士が地方から流出しているという見方がある。地方で働く女性の活躍を促すためにも、保育所や学童保育の一層の充実が期待される。

■初の1位は神戸市

 22年4月に待機児童ゼロを達成。保育の申請数に対して十分な定員が用意され、認可保育所の園庭保有率は97.7%。病院と連携した病児・病後児保育施設が市内24カ所にあり合計で165人を受け入れ可能だ(24年12月時点)。すべての公立の認可保育所などと小学校、学童保育では、職員の事務作業の効率化や保護者との連絡などが可能なICTシステムが導入されている。

 学童保育は小6までの希望者全員が利用可能。厚生労働省の「放課後児童クラブ運営指針」を上回る、児童1人当たりの面積を1.98㎡以上とする基準を独自に設定。24年度からは一部の地域の学童保育で長期休業中の昼食提供を試験的に開始した。また、共働き家庭の朝の子どもの居場所が課題となるなか、市内7校で児童の受け入れ時間を30分から1時間早める試みも行った。市内36カ所の助産所などで産後ケア事業を実施。市内在住・在学の高校生向けには、24年9月から通学定期代の無償化を実施。弁当作りの負担を軽減するため一部の高校にキッチンカーを派遣する実証実験も行った。

 「自治体のダイバーシティ」の項目でも高い評価を得た。授乳室完備で無料の一時保育を月8回まで利用できるコワーキングスペースを市内2カ所に設置。23年度の男性職員(首長部局に勤務する正規職員)の育休取得率は83.3%、課長相当職以上の管理職の女性比率は24.7%と、いずれも調査全体の平均値より高かった。

■2位は宇都宮市

 24年度から市独自で第2子以降の保育料を無償化した。認可保育所の園庭保有率は95.4%。保護者の送迎負担を軽減するため、JR宇都宮駅近くの「送迎保育ステーション」から、保育士が添乗するバスで子どもを保育園に送迎。病児保育施設でも、保護者の代わりに子どもを迎えに行くサービスを実施する。独自の不妊治療助成制度があり、体外受精・顕微授精・男性不妊治療や先進医療にかかった治療費の自己負担額のうち保険適用分を含む最大45万円(2回目以降は保険適用分を除く30万円)を助成する。

 学童保育は保護者が就労する小3までの希望者全員を受け入れ、公立小学校69カ所中、58カ所で放課後子供教室が実施されるなど、放課後の子どもの居場所づくりに力を注ぐ。また、子どもだけでの利用が可能な「子育てタクシー」が、市の補助を受けたタクシー会社によって運行され、塾や習い事への送迎に利用されている。

■3位は板橋区、豊島区、福生市(いずれも東京都)、松戸市(千葉県)

 3位には4自治体が並んだ。板橋区、豊島区、福生市は東京都の施策により第2子(0~2歳)の保育料が無償化。松戸市は第3子の無償化の条件となるきょうだいの年齢要件を、国の基準である「小学校就学前」から「小学3年生以下」に独自に拡大する。

 板橋区、豊島区はともに、希望する認可保育所に入れないなどの「隠れ待機児童」の数が減少。1歳児クラスでは児童5人に対して保育士1人(国の現在の基準では児童6人に対し1人)を配置するほか、区独自の保育ガイドラインを整備し、保育士のマネジメント研修や園を横断した合同研修を実施する。学童保育では、長期休業中に昼食を提供している。

 福生市は保育の質向上に力を入れる。保育士確保のため、保育士が優先的に賃貸住宅へ居住できるよう、東京都住宅供給公社(JKK東京)と協定を締結。市内の保育所等の全園で医療的ケア児の受け入れを可能にしている。学童保育には小6まで入所でき、学童保育と放課後子供教室を同一校内で行う「校内交流型」を市内7校中6校で展開済み。また市内18カ所の学童保育のうち3カ所で平日夜に夕食を提供しているのも特徴だ。

 23年調査で1位だった松戸市は、来年度以降も保育定員を増やす計画。保育士の確保にも積極的に取り組み、公立保育所では1~2歳児クラスや4~5歳児クラスで国の基準を上回る数の保育士を配置。また、医療的ケア児や障害児の入所調整を通常より先行することで、24年4月には申し込みがあった19人全員を受け入れた。24年度からは妊娠36週以降に使える「妊産婦タクシー利用料補助金」(1回3000円まで)の利用条件や回数を拡大。学童保育では市内45カ所すべてで長期休暇中に昼食提供の支援を行う。

 「共働き子育てしやすい街ランキング」の詳細は、日本経済新聞(電子版、2024年12月14日付朝刊)と、『日経xwoman』(https://woman.nikkei.com/atcl/column/22/112200127/120600001/)でご覧ください。

※調査概要/2024年9~10月に日経BPコンサルティングが実施。調査名:「自治体の子育て支援制度に関する調査」。調査対象:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、中京圏(愛知・岐阜・三重)、関西圏(大阪・兵庫・京都)の主要市区と全国の政令指定都市、道府県庁所在地、人口 20万人以上の都市の、計180自治体。回答数:155自治体。回収率:81.6%。

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本リリースに関するお問い合わせは、日経BP 日経クロスウーマン編集部 問い合わせフォーム(https://support.nikkeibp.co.jp/app/ask_0301/p/431)よりお願いいたします。取材のお申し込みは、日経BPのコーポレートサイトお問い合わせページ(https://www.nikkeibp.co.jp/faq/)からお願いいたします。


会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区虎ノ門4丁目3番12号
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代表者名
吉田 直人
上場
未上場
資本金
-
設立
1969年04月