重大トラブルを45%削減:デンカ社がデータを最も強力な保全ツールへと転換した方法

ABBモーションは、デンカ青海工場におけるABB Ability™デジタルパワートレイン活用事例を公開。監視対象設備で計画外停止を約90%削減した取り組みを紹介。

ABB株式会社

新潟県にあるデンカ株式会社(以下、デンカ)の青海工場では、設備の信頼性は単なるコストの問題にとどまりません。同工場は可燃性物質を取り扱う化学品製造環境で操業しているため、生産の安定性が極めて重要です。計画外の設備停止は、生産ロスに加え、防爆区域での対応作業、保全スケジュールの圧迫、さらには急速に拡大し得る一連の混乱を引き起こす可能性があります。2022 年までに、デンカのエンジニアリングチームは明確な目標を掲げていました。それは、故障が発生する前に先手を打つことです。

デンカ株式会社の青海工場(新潟県糸魚川市)

定期保全だけでは不十分

1915 年創業のデンカは、日本の大手化学メーカーであり、リチウムイオン電池や半導体向け材料から、建設ソリューション、ヘルスケアまで幅広い製品を展開しています。新潟県糸魚川市にある青海工場は、1 世紀以上にわたって地域に根差してきた同社の主力製造拠点です。多様な化学製品の生産を支える複雑な連続プロセスが稼働しており、安定操業のためには設備を常に良好な状態に保つことが欠かせません。

多くの産業事業者と同様に、青海工場でもタイムベースメンテナンスを実施していました。すなわち、一定周期で設備を整備すれば、故障は防げるという考え方です。しかし実際には、整備を必要としていない設備に介入する一方で、故障に向かいつつある設備の初期兆候を見逃すことがありました。重要な高速回転機器では、特に軸受等の損傷による突発停止とそれに伴う機会損失が発生していました。こうした課題の背景には、設備コンディションを継続的に把握する仕組みの不足がありました。その結果、保全活動は定期保全か故障後の修理対応に限られていました。

先を見通すデジタルサービス

2022 年、デンカは青海工場の 8 台の回転機器に対して、ABB Ability™ デジタルパワートレインの試験導入を開始しました。このセルフサービス型の予知保全ソリューションは、モータおよび回転機の健全性を継続的に監視し、進行中の問題を早期に検出し、実行可能な保全アクションを提案します。これにより、チームは故障が発生する前に介入するためのリアルタイムなインテリジェンスを得ることができます。

化学プラントへの導入には、固有かつ妥協できない要件がありました。構内の大部分が防爆エリアであったため、従来型の有線インフラは、設置コストの面で現実的ではありませんでした。継続監視を実現するため、日本の規制要件に基づく防爆認証を取得したワイヤレスセンサが既存設備に後付けされ、アセットデータが収集できるようになりました。これにより、大きな中断や大規模なインフラ投資を伴うことなく導入が可能となりました。セルラー網で接続されるたね通信ケーブルは不要となり、さらに API 連携によってプラットフォームはデンカの操業監視システムに直接接続されました。ABB の認証エンジニアは、セルラー接続用のゲートウェイの設定や、新潟県糸魚川市の工場からの安定したデータ伝送の確保を含め、導入をエンドツーエンドで支援しました。

モータや回転機器の状態を継続的に監視し、リアルタイムのインテリジェンスを提供するABB Ability™ デジタルパワートレイン

成果

その効果は、最初の通年で測定可能な形で表れました。振動異常を早期に検出できるようになったことで、保全チームは突発対応ではなく、事前に計画した保全を行えるようになりました。緊急呼び出しは減少し、これまでの予期せぬ停止が、計画停止に切り替わりました。

こうした成果は信頼を生み、導入範囲は段階的に拡大しました。2026 年までに、青海工場でモニタリング対象となる設備は 8 台から 277 台へと拡大し、無機化学と有機化学に重点を置くプラントの双方をカバーするようになりました。

運用面での変化は、インシデントデータに最も明確に表れています。ABB Ability™デジタルパワートレインの導入前、同工場では、生産ライン全体の停止を引き起こすインシデントとなる回転機械の重大トラブルが、1 年間に 20 件も発生していました。2025 年には、この件数は 11 件に減少しました。45%の削減です1。この11 件のうち、スマートセンサによるモニタリング対象設備に関係していたのは 1 件のみであり、早期検出によってチームは停止を計画し、修理を実施し、自らのタイミングで再稼働をかけることができました。モニタリング対象設備において、同プラットフォームは計画外停止の約 90%を防止しました。残りのインシデントは、まだモニタリングプログラムの対象外であった設備で発生したものです。

「私たちは、事後対応型の保全のサイクルから脱却する必要がありました。私たちのチームには高い能力がありますが、設備内部で何が起きているのかを示すリアルタイムの情報がなければ、常に後追いの対応になってしまいます。ABB Ability™デジタルパワートレインは、その状況を変えました。今では、何を、いつ修理すべきかを正確に把握できています。この継続的な可視化により、青海工場はより安全で、より信頼性の高い操業を実現できるようになりました」と、デンカ 青海工場 青海エンジニアリング部 設備管理課長 遠藤岳志氏は述べています。

ABB Ability™スマートセンサーを設置した送風機モータ

拡張を前提とした取り組み

デンカは、青海工場での導入を一過性のプロジェクトとは考えていません。同社は、4 年間にわたる実績によって築かれた信頼と、確かな基盤の上で拡張する価値を踏まえ、モニタリング対象設備の範囲を引き続き拡大していく計画です。プログラムが成熟するにつれ、振動異常の早期検出はデンカの保全業務における標準的な取り組みとなりました。次の段階では、より高度な予測機能の活用が視野に入っています。

「青海工場におけるデンカの成果は、信頼できるデータに基づき、現場の規律ある運用と組み合わせたときに、コンディションベースメンテナンスが何を実現できるかを示しています」と、ABB モーションサービス事業部 サービスセールスマネージャーの神尾 彰吾は述べています。「大規模で複雑、かつ危険性を伴う現場において、デンカのチームは設備状態の継続的な可視化を活用し、より迅速で、より確かな情報に基づく意思決定を行いました。その結果は、インシデント記録にも明確に表れています。固定周期のメンテナンススケジュールに依存している産業事業者にとって、これは予知保全への移行が実際にどのような姿になるのかを示す説得力のある事例です。」

2022 年に 8 台のパイロットとして始まった取り組みは、現在では日本の化学製造業におけるコンディションベースメンテナンスの最も実質的な実証例の一つとなっています。デンカのチームが実現した、定期保全による推測からデータに基づく精緻な保全への転換は、今や構造的かつより安全で、より強靭な操業として測定できる形となりました。 

デンカ株式会社青海工場 クロロプレンゴム製造プラント(新潟県糸魚川市)

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会社概要

ABB株式会社

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URL
https://new.abb.com/jp
業種
製造業
本社所在地
東京都品川区大崎2-1-1 ThinkParkTower22階
電話番号
03-4523-6151
代表者名
ロイック・ペコンドン-ラクロワ
上場
未上場
資本金
1000億円
設立
1960年06月