空襲警報が鳴る地下シェルターに、笑い声が響いた——『アメトーーク!』の“売れ残りグッズ”がウクライナで平和教育の教材に

『アメトーーク!』から世界へ。“売れ残り”と呼ばれた井上マスクとくまだマスクが紛争地を巡り、空襲警報が鳴るキーウの地下シェルターで、子どもたちの笑顔と心をつなぐ平和教育の教材に。

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト

 特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(所在地:千葉県松戸市、代表:中村雄一)は、2026年9月4日、ウクライナの首都キーウにあるキーウ第1東洋言語ギムナジウムの地下シェルターにおいて、日本のお笑いグッズを活用した平和教育授業「Good Words or Bad Words ― Good Words Make a Good Life」を実施しました。

地下シェルターで行われた「アメトーーク」授業

 授業で使用したのは、テレビ朝日系『アメトーーク!』への出演をきっかけになかよし学園へ託された、NON STYLE・井上裕介さんや、くまだまさしさんの顔をかたどったマスクです。

 空襲警報が繰り返される戦時下のキーウ。避難場所として造られた地下シェルターでマスクをかぶった子どもの姿を見た瞬間、教室は大きな笑い声に包まれました。

 笑ったのは子どもたちだけではありません。先生も、保護者も、なかよし学園のメンバーも、国籍や言葉を越えて同じ瞬間に笑いました。

 戦争を止めることは簡単ではありません。しかし、恐怖や緊張によって閉ざされていた心が笑いによって開かれ、人と人がもう一度つながる瞬間をつくることはできます。

 日本のテレビ番組で生まれた一つのお笑いグッズが、南スーダン、シリア、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国を旅し、今、戦争下のウクライナで子どもたちの笑顔と平和を考える授業を生み出しました。

 なかよし学園は、「日本のお笑いが世界を平和にする」という願いを、紛争地の教育現場で現実のものにしています。

地下シェルターで始まった「言葉」の授業

 授業のテーマは、「Good Words or Bad Words」。

 良い言葉と、悪い言葉。どちらも目には見えません。

 しかし、誰かから優しい言葉をかけられれば、人は嬉しくなります。反対に、心ない言葉をぶつけられれば、誰でも傷つきます。

 それは日本でも、アフリカでも、ウクライナでも変わりません。

 中村雄一代表は、目に見えない心の変化を子どもたちに伝えるため、表情の印象が強い「井上マスク」と「くまだマスク」を使いました。子どもたちはマスクをかぶり、周囲の仲間と一緒に表情や言葉、受け取る人の気持ちについて考えました。

「あなたを愛してる」良い言葉を書ければ心は良い顔になる、を実演してみせた中村雄一代表

 マスクをつけた瞬間、周囲から笑い声が起こります。本人も笑い、先生も保護者も笑います。

 その空気の中で、中村代表は問いかけました。

「今、みんなが笑顔になったのはなぜだろう」

「良い言葉を言われた時、心の中では何が起きるだろう」

「悪い言葉を言われた人は、どんな顔をしていなくても、心の中で何を感じているだろう」

 心は外から見ることができません。だからこそ、マスクと笑いを使い、言葉によって動く心を“見える形”にする。それが、なかよし学園の「Good Words or Bad Words」です。

 笑わせるだけで終わらせず、笑顔が生まれた理由を考える。笑った後に、相手の心を想像する。

お笑いを入口に、言葉、感情、思いやり、平和を学ぶ授業です。

子どもが笑った瞬間、先生と保護者が驚いた

 この日、授業にはP3からP6の児童をはじめ、中高生、教職員、保護者ら延べ200人を超える人々が参加しました。

 戦争が続くウクライナでは、子どもたちも空襲警報や爆発音、避難生活と隣り合わせの日常を送っています。学校の地下シェルターは、安全を守る場所であると同時に、警報が発令された際にも学びを止めないための教室として使われています。

地下シェルターの様子

 そうした緊張の続く空間で、マスクをかぶった子どもを中心に一斉に笑いが広がる様子を目にし、先生や保護者は驚きました。

 異なる文化圏から来た日本人が、長い説明や高度な翻訳を必要とせず、わずか数秒で子どもたちの心をつかんだからです。

 笑いは、戦争の現実を忘れさせるためのものではありません。

 恐怖によって固くなった心を一度ほぐし、子どもたちが言葉を交わし、自分の気持ちを表現し、他者の心を考えられる状態をつくる。そのための教育的な入口です。

 地下シェルターに響いた笑い声は、「戦争の中でも、子どもたちから笑う権利、学ぶ権利、未来を考える権利を奪わせない」という、教職員と保護者の願いにも重なりました。

地下シェルターに生まれた笑顔。アメトーークが笑いで平和をつくる

笑顔の授業を終えた同じ日、約100メートル先で爆発

 授業を終えた同日の午後、キーウ中心部では空襲警報が発令されました。

 現地で活動していた中村雄一代表と中村里英事務局長が昼食を取っていた場所から約100メートルの地点にドローンが着弾。大きな爆発音が響き、周辺には消防車や救急車が集まり、道路は封鎖されました。

 報道によると、ウクライナ保安庁本部を狙ったロシア軍のドローン攻撃により、少なくとも12人が負傷しました。

 午前中、地下シェルターで子どもたちと笑い合った同じ日に、すぐ近くで現実の攻撃が起きる。

それが、現在のキーウで教育を続ける人々の日常です。

 だからこそ、なかよし学園は笑いの時間を単なる娯楽とは考えていません。

 平和とは、戦争が終わる日を待つだけではなく、戦争の中でも人間らしさを守り、子どもが子どもでいられる時間をつくり続けること。その小さな実践の積み重ねだと考えています。

ドローン攻撃直後の着弾地点

すべては『アメトーーク!』の「グッズ売れ残り芸人」から始まった

 なかよし学園と『アメトーーク!』との最初の出会いは、2020年3月26日に放送された「グッズ売れ残り芸人」でした。

 番組では、芸人が販売したものの大量に残ってしまったグッズの数々を紹介。番組後半で、それらを廃棄するのではなく、教育支援を行うNPOを通じて海外の子どもたちに届ける企画が実施されました。

そこで登場したのが、なかよし学園代表の中村雄一です。

アメトーークに出演した中村雄一代表

 中村代表は、芸人のグッズを単に「物」として配布するのではなく、それぞれの特徴を生かした授業教材として活用することを提案しました。

 永野さんの言葉は書道のお手本になり、バッグはコンゴ民主共和国の人々へ届けられました。そして、NON STYLE・井上裕介さんの顔をかたどったマスクは、言葉や文化の違いを越えて笑顔をつくる教材として、アフリカへ渡りました。

コンゴ民主共和国北キヴ州知事に贈られた芸人永野さんのバッグと習字

 また、同じコンゴ民主共和国では元少年兵の若者たちにコロコロチキチキペッパーズ・ナダルさんのTシャツが「魔除け」として配られ、なかよし学園が運営する少年兵更生学校で活用されました。

コロチキナダルさんのTシャツは魔除けとして大人気

 ウガンダの難民キャンプでは、戦争から逃れてきた子どもたちが井上マスクを見て大笑いしました。

2022年11月24日放送の「小道具手作り芸人」で、中村代表は再びスタジオに登場。その様子を報告すると、井上さんは後にSNSで、少しでも幸せな気持ちになってもらえるなら嬉しいという趣旨の言葉を発信しました。

ウガンダ難民キャンプで井上マスクが笑いをつくる

 2度目の出演では、番組で紹介された芸人たちの手作り小道具について、中村代表が「全部、教材にできる」と提案。

 チョコレートプラネット・長田庄平さんの「スーパーマウスホーン」は、呼吸や音の仕組みを学ぶ理科教材へ。くっきー!さんの「細胞のビン詰め」は生命を考える教材へ。オダウエダ・小田結希さんのカニのむき身は、海のない地域の子どもたちが海洋生物を学ぶ教材へと、役割を変えていきました。

 笑いを生むために芸人が知恵と時間を注いで作ったものには、人の好奇心を引き出す力があります。

なかよし学園は、その力を世界の教室で再び生かしてきました。

チョコプラ長田さんのスーパーマウスホーン
くまだマスク
オダウエダ小田さんのカニ
野生爆弾くっきーさんのカバ模型

“売れ残り”ではなかった。世界を笑顔にする出番を待っていた

 日本では売れ残ってしまったグッズ。

 一度しか使われなかった小道具。

 テレビ収録を終え、役割を終えたように見えたマスク。

 しかし、それらは決して価値を失っていたわけではありません。次の場所で、もう一度誰かを笑顔にする出番を待っていました。

 

 井上マスクやくまだマスクは、これまで南スーダン、シリア、ルワンダ、ウガンダ、コンゴ民主共和国など、紛争や避難、ジェノサイド後の復興と向き合う地域で活用されてきました。

 言語が異なり、宗教や生活環境が異なっても、人は面白いものを見れば笑います。誰かが笑えば、その笑顔は周囲へ伝わります。

南スーダンで行われた井上マスク・くまだマスクの授業

 そして、一緒に笑った相手との間には、言葉を交わすための入口が生まれます。

支援する側と支援される側。

日本人と外国人。

先生と子ども。

 そうした境界線が、同じ瞬間に笑うことで少しずつほどけていきます。

 日本のお笑いは、日本国内だけのものではありません。

 芸人が全力で生み出した笑いは、難民キャンプでも、紛争後の村でも、空襲警報が鳴る地下シェルターでも、人と人を結ぶことができます。

ウクライナから届いた手紙——「防空壕から、このメッセージを書いています」

 授業後、教職員や生徒、保護者から、日本の人々へ向けた手紙が中村代表に託されました。

そこには、英語で次のような思いがつづられていました。

「日本の友人へ。ウクライナから、皆さんの平和と健康を願っています。私たちはキーウで待っています」

地下シェルターで託された手紙

別の手紙には、

「私は防空壕からこのメッセージを書いています。どうか自分自身を大切にしてください。人生の一瞬一瞬に、平和と愛がありますように」

という願いが記されていました。

地下シェルターで結ばれた絆。なかよし学園はこれからもウクライナで活動を続ける

 授業で伝えた「Good Words Make a Good Life——良い言葉が良い人生をつくる」というメッセージに対し、ウクライナの人々は、自らの良い言葉を日本へ返してくれました。

 日本から運ばれたお笑いグッズが笑顔を生み、その笑顔から言葉が生まれ、その言葉が再び日本へ戻ってくる。

 これは、支援する側とされる側を固定せず、学びと思いを循環させる、なかよし学園の「CoRe Loop」の実践です。

なかよし学園代表・中村雄一 コメント

「笑いで戦争が終わる、とは言いません。しかし、空襲警報のたびに心を固くしてきた子どもが、目の前の友達と同時に笑える。その一瞬は、恐怖に奪われていた“子どもでいられる時間”を取り戻すことだと思います。

アメトーーク!で芸人の皆さんが笑いを生むために作ったグッズは、海を越え、世界各地の教室で今も生き続けています。日本では『売れ残り』と呼ばれたものが、難民キャンプや紛争地では、人の心を開くかけがえのない教材になりました。

中川家の売れ残りグッズがアフリカルワンダへ

井上さんやくまださんの顔を見た瞬間、言葉が通じなくても子どもたちは笑います。そして『なぜ笑ったの?』『人を嬉しくする言葉は何?』『傷つける言葉を言われた人の心はどうなる?』という授業が始まります。

芸人さんが本気でつくった笑いには、人を救う力があります。お笑いはくだらないからこそ、国境や立場を一瞬で飛び越えられる。深刻な状況の中にいる人ほど、笑っていい。子どもたちは、もっと笑っていい。

日本のお笑いが世界を平和にする。その可能性を、僕たちはこれからも世界の教育現場で証明していきます」

ギナジウム校長先生と

日本のお笑いファンへ——あなたが笑ったあの瞬間は、世界のどこかへ続いている

テレビの前で笑った、あのグッズ。

「こんなもの、誰が買うのだろう」と笑った、あのマスク。

 その笑いは番組の放送終了とともに消えたのではありません。

 ウガンダの難民キャンプへ渡り、南スーダンの教室へ渡り、シリア、ルワンダ、コンゴ民主共和国を巡り、2026年、ついにウクライナの地下シェルターへ到達しました。

 日本で生まれた笑いが、世界のどこかで、戦争を経験した子どもの笑顔に変わっています。

 お笑いを愛することは、誰かを笑顔にする文化を支えることでもあります。

 テレビの中で生まれた一つの笑いが、国境を越え、時間を越え、人生の最も苦しい瞬間にいる人の心へ届くことがある。

 捨てられるはずだったグッズが世界を巡り、平和を考える教材になる。

 それは、日本のお笑いが持つ力であり、すべてのお笑いファンにとっての希望です。

 空襲警報が鳴る街の地下シェルターで、子どもたちは笑いました。

 日本のお笑いは今も、世界のどこかで誰かの心を照らしています。

これからもなかよし学園は「お笑い」で世界を平和にしていく

実施概要

授業名:Good Words or Bad Words ― Good Words Make a Good Life

実施日:2026年9月4日

実施場所:キーウ第1東洋言語ギムナジウム・地下シェルター(ウクライナ・キーウ)

対象:P3〜P6の児童、中高生、教職員、保護者

参加者:延べ200人超

使用教材:井上マスク、くまだマスク、折り紙、手紙など

実施者:特定非営利活動法人なかよし学園

プロジェクト担当:代表・中村雄一、事務局長・中村里英

主な学習テーマ:言葉と感情、思いやり、平和教育、異文化理解、心理的な安心と自己表現

関連情報

『アメトーーク!』2020年3月26日「グッズ売れ残り芸人」

https://www.tv-asahi.co.jp/ametalk/backnumber/1525/

『アメトーーク!』2022年11月24日「小道具手作り芸人」

https://www.tv-asahi.co.jp/ametalk/backnumber/2383/

デイリースポーツ「ノンスタ井上裕介の顔マスク アフリカの子どもに大人気」

https://www.daily.co.jp/gossip/2022/11/25/0015838431.shtml

「グッズ売れ残り芸人」は世界を繋げる

https://o-look.jp/archives/8516

キーウ中心部へのドローン攻撃に関する報道

https://kyivindependent.com/breaking-russian-drone-hits-kyivs-center/

なかよし学園「世界とつながる学び・CoRe Loop」

https://nakayoshigakuen.org/coreloop

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトについて

 なかよし学園プロジェクトは、「どこでも、いつでも、誰にでも、教育で平和をつくる」を掲げ、アフリカ、アジア、中東、ヨーロッパの紛争地、難民居住地域、災害被災地などで教育支援活動を行うNPO法人です。

 日本の学校、自治体、企業、市民が生み出した教材や技術、文化を世界の教育現場で授業として実装し、現地から得た学びや作品を再び日本へ還元する「CoRe Loop」を展開しています。

公式サイト:https://nakayoshigakuen.org
お問い合わせ:nakayoshigakuen.office@gmail.com

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会社概要

URL
https://nakayoshigakuen.org
業種
教育・学習支援業
本社所在地
千葉県松戸市小金原4-14-14
電話番号
047-704-9844
代表者名
中村雄一
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年04月