Sports Force Lab|研究レポート #04 人は言葉にできることで成長するのか

- スポーツと言語化に関する習慣の関係を考える -

株式会社アーシャルデザイン

 株式会社アーシャルデザイン(本社:東京都、代表取締役CEO:小園翔太)は、スポーツの持つ社会的・経済的価値を体系的に研究・発信する機関「Sports Force Lab」と東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズとの共同研究内容の第4回(全6回)を発信します。

当社は「& Sports. More Human.(スポーツを通じて人間の進化を実装する)」をPurposeに掲げ、スポーツの力によって人材・社会・産業の変革を実現することをミッションとしています。

■Sports Force Labの目的について

 本Labは、このPurposeを具現化する中核機能として、スポーツが人材育成やキャリア形成、さらには地域社会に与える影響を科学的に解明し、その知見を社会実装へとつなげることを目的としています。

※本研究レポートは、河合塾グループ株式会社KEIアドバンスのPROGによるアセスメント実施協力のもと、作成をしています。

PROGの詳細に関しては、#01の研究レポートをご覧ください。

#01 スポーツは人を変えるのか

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000036999.html

#02 なぜ体育会マネージャーに特徴的な傾向が見られるのか

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000036999.html

#03 AI時代に必要なのは正解より仮説なのか

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000036999.html

■なんとなく、うまくいかなかった

 スポーツをしていると、そう感じる瞬間がある。なぜ失敗したのか。なぜ勝てなかったのか。なぜチームが噛み合わないのか。感覚としてはわかっている。でも、それをうまく説明できない。

一方で、成長していくチームや選手は、そこで止まらない。何がズレていたのか。どこに原因があったのか。次はどう変えるべきなのか。それを言葉にしようとする。

言葉にできることと、成長することの間に、何か関係があるのではないか。今回の研究では、その問いに一つの仮説が見えてきた。

■データから検討する言葉と思考の関連

 Sports Force Labでは、東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズに所属する学生98名を対象に、PROGを活用したコンピテンシー測定と、言語化や仮説生成に関する行動を日常的にどの程度行っているかを尋ねる別途アンケートを実施した。ここでいう「言語化」「仮説生成」はPROGの測定項目ではなく、別途アンケートへの自己回答に基づく指標である。

その分析では、別途アンケートによる言語化に関する習慣と仮説生成に関する習慣との間に、相関係数約0.24の正の相関が見られた。また、仮説生成に関する習慣とPROGの対課題基礎力との間には約0.30の正の相関が観察された。いずれも関連の方向や因果関係を示すものではなく、媒介的な連鎖が確認されたわけでもない。

【言語化・仮説生成に関する習慣と対課題基礎力の関連】

言語化に関する習慣(別途アンケート)- (r ≈ 0.24)- 仮説生成に関する習慣(別途アンケート) -(r ≈ 0.30)- 対課題基礎力(PROG)

言葉にする力、問いを立てる力、課題を解決する力は、それぞれ独立した能力ではなく、連続的につながっている可能性がある。体を動かすことで鍛えられるのは、身体能力だけではない。言葉にする習慣が、思考の質そのものを変えていくのかもしれない。ただし、これらの指標の間に関連がある可能性は示されたが、今回の横断的な分析だけから、言語化が仮説生成を促し、それが対課題基礎力を高めるという過程を結論づけることはできない。この関係は、今後の縦断調査等で検証が期待される仮説である。

■スポーツは、話し合う競技になっている

 スポーツというと、身体を動かすものというイメージを持つ人も多い。しかし今回、学生たちへのインタビューを通じて痛感したのは、現在のスポーツが想像以上に対話の競技になっているという事実だ。

特にアメリカンフットボールは、一人では成立しない競技だ。11人全員が同じ認識を持っていなければ、プレーは成立しない。ほんの少し認識がズレるだけで、大きなミスにつながる。だからこそ、考えていることを共有する力が求められる。

うまくいかなかった時ほど、話す。ズレを感じた時ほど、確認する。違和感を放置しない。そうした文化が組織の中に根づいていることが、インタビューから語られた。

■感覚を言葉にする難しさ

 しかし実際には、言葉にすることは簡単ではない。頭の中では理解している。感覚としてはわかっている。それでも、いざ説明しようとすると、うまく言葉にならない。今回のインタビューでも、最初はうまく伝えられなかったという話が多く出てきた。

学生たちは、そのプロセスが自身の成長につながったと語っていた。なぜそう感じたのか。何が違和感だったのか。どこを修正すべきなのか。それを整理しようとすることで、自分自身の理解も深まったという。話すために考えるのではなく、考えるために話している。そんな経験が、スポーツ組織の中で語られていた。

■言葉がチームを変えていく

 今回の研究では、個人の成長だけでなく、言語化がチームそのものに与えるという可能性も見えてきた。インタビューでは、コミュニケーション量が増えたことでチームが変わったという話が何度も出てきた。特に印象的だったのは、話せる空気が組織を変えていくという感覚だ。ミスを指摘できる。違和感を共有できる。立場に関係なく意見を言える。そうした空気があることで、少しずつ組織が前に進んだという語りがあった。

逆に、言えない空気があると、問題は見えにくくなるという。スポーツにおける言語化は、単なるコミュニケーション技術にとどまらず、チームの認識を揃え、組織を前に動かす営みとして捉えられていた。

■話せる人が、考えられる人なのか

 今回のデータが示す最も重要な示唆は、言語化能力と仮説生成の相関だ。話す力と考える力は、別の能力として捉えられることが多い。しかし実際には、言葉にできる人ほど、自分の思考を整理できている可能性がある。

言語化の段階

インタビューから整理した経験や認識

感覚のまま放置

改善につながりにくいと感じたとの語り

言葉にしようとする

思考が整理されたとの語り

チームで共有する

認識のズレを修正できたとの語り

対話を繰り返す

仮説生成や課題発見との関係を今後検証

言語化は単なるアウトプットではなく、思考そのものに近い。スポーツの現場では、感覚だけでは通用しない。なぜなら、チームスポーツは共有しなければ成立しないからだ。だからこそ言葉にする。だからこそ対話する。その繰り返しが、考える力を育てていくのだ。

■スポーツの価値は、対話にある

 スポーツは、本当に言語化に関する習慣を育てているのか。もし関係があるとしたら、それは単なるコミュニケーション力なのか。それとも、他者と認識を共有しながら問い続ける姿勢なのか。今回の研究からは、この問いを検討するための仮説が得られた段階である。

Sports Force Labでは今後も、スポーツが人間形成に与える影響について、定量・定性の両面から研究を続けていく。

■東京大学アメリカンフットボール部ウォリアーズについて

1957年創部。部員180名(選手130名、スタッフ50名)が在籍する、東京大学内最大規模の学生団体。関東学生アメリカンフットボール連盟1部リーグTOP8に所属し、「未来を切り拓くフットボール」という理念、「挑戦 正義 謙虚」という行動規範を掲げ、学生日本一を目指して活動中。2024年度は同率関東3位(順列5位)、2025年度は単独関東4位と、それぞれ惜しくもプレーオフには届かなかったものの、近年は好戦績を残して関東の中でもトップレベルで私立強豪と対峙している。

チームスローガンは「文武一道」、目標は「日本一」。

■株式会社KEIアドバンスについて

河合塾グループの一員として、大学入試に関する支援を始め、長年にわたり大学と受験生をつなぐ多様な事業を展開。

現在は、大学広報、学生募集、出願・入試運営支援、教学支援、入学前教育、学修・キャリア支援、調査・研究開発、コンサルティングなどへ領域を広げ、大学を中心とした高等教育機関の課題解決を支援。

現場に寄り添いながら蓄積してきた知見やデータを生かし、大学経営と大学教育を多面的に支え、各大学の魅力向上と持続的な発展、学生一人ひとりのより良い学びの実現に貢献している。

■Sports Force Lab 所長 久野晋一郎のコメント

Sports Force Lab 所長|取締役執行役員 久野晋一郎

スポーツは体でやるもの。そう思われがちですが、現場は違います。

今回話を聞いた東大アメフト部の学生は、うまくいかない時ほど話していました。ズレを放置せず、言葉にして揃える。11人が同じ認識でなければ、プレーが成立しないからです。

言葉にできないものは、チームで共有できない。共有できなければ、再現もできません。データでも、言語化の習慣と仮説を立てる習慣、その習慣と対課題基礎力に関連が見られました。ただし、確認できたのは関連まで。因果は言い切れません。

ここから先は縦断調査で検証します。スポーツの価値を、社会が使える言葉に翻訳する。その研究を続けます。

【本件に関するお問い合わせ先】

担当者名:久野 晋一郎

電話番号:03-4546-8348

メールアドレス:hisano@a-cial.com

■ 株式会社アーシャルデザインついて

代表者:小園 翔太

所在地:東京都渋谷区神宮前2-4-11 Daiwa神宮前ビル3階

設立:2014年10月

資本金:1億円

会社HP:https://www.a-cial.com/

ATHLETE LIVE:https://athlete-live.com/

YouTube:https://www.youtube.com/@taiikukai_syukatsuTV

代表X:https://twitter.com/sk_acialdesign

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小園翔太
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資本金
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設立
2014年10月