未来社会価値研究所報(Annual report 2024-25)を発表
~2050年に向けた新しい価値観と求められる組織や職業のあり方を探求~
株式会社日本総合研究所(本社:東京都品川区、代表取締役社長:内川淳、以下「日本総研」)は、「未来社会価値研究所」(以下「本組織」/注1)の2024年度の活動進捗報告として、「未来社会価値研究所報(Annual report 2024-25)」(以下「本書」)を発表します。
本書は、2050年頃の日本を展望し、そこでの社会的な価値(社会全体が共有する価値観)の探求を通じた分析・提言を取りまとめたものです。2050年までの社会で中心的な役割を担う世代の研究員が中心となり、30年後の社会の新しい価値観や求められる組織・職業のあり方に関する以下の論考を掲載しています。
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巻頭言/覆される常識と社会価値を再構築する意義
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企業価値評価2.0/改めて問われる企業価値評価のこれから
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企業価値評価2.0/新しい資本主義時代における企業価値評価
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企業価値評価2.0/コンプライアンス経営2.0
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企業価値評価2.0/企業の社会的価値創造を推進する多元的企業価値評価
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政治人材バンクプロジェクト/地域活性化に向けて“地方議員”に求められる役割とは
本書は、以下からご覧になれます。
「未来社会価値研究所報(Annual report 2024-25)」
■背景
持続可能性への脅威がますます大きくなり、社会と地球をめぐる制約条件によってこれまでに常識とされてきた「社会的な価値」が、2050年までの間に劇的に変化することが予想されます。社会の価値観が変われば善悪などの判断も変わり、同じ行動でも従来とは正反対の評価を受ける可能性もあります。そのため、30年後の社会がどのような価値観を共有しているかを見定め、その変化を捉えることは重要です。
こうした認識にたって、本組織では将来世代にとって有益な材料を提供するため、2050年頃の日本を展望して未来の「社会的な価値」の探究を進めてきました。本書は、本組織の3回目の研究進捗報告として2024年度の活動をまとめ、発表するものです。
■概要
本書は、本組織の主要プロジェクトのひとつである「企業価値評価2.0」の各論についての研究進捗に加えて、新たに地方政治に関わる人材に関する構想を盛り込んだ以下の論考を掲載しています。
1.巻頭言/覆される常識と社会価値を再構築する意義
社会全体が共有してきた価値観が全く別の価値観に代わろうとする時に、どのような「社会的な価値」を選択していくべきか。「社会的な価値」を探究する前提として異なる価値観やその連関性を包括的に把握して可視化することが重要です。本章では、社会的な価値に目を凝らし、再構築を試みようとする取り組みの意義を「フリーランス新法」や「地方公共交通」を事例に論じています。
2.企業価値評価2.0/改めて問われる企業価値評価のこれから
企業の価値とは何かをあらためて問い、新たな評価の枠組みを模索するため、財務資本以外の要素を重視したこれまでの研究アプローチに加え、本論考では新たに「揺らぐ財務資本ベースの企業価値算定」「企業価値評価が引き起こす現在世代と将来世代の相克」「サステナビリティの今後と企業価値の変容」の3つの課題を提起しています。
3.企業価値評価2.0/新しい資本主義時代における企業価値評価
新しい資本主義の在り方として、倫理と資本主義を融合させ、道徳的に正しい行動から利益を得る「倫理資本主義社会」が提唱されています。本論考では、この倫理資本主義社会を成立させるために企業価値評価をどう使いうるか、4つの成立条件(社会的営利企業が増えること、子どもを経営のステークホルダーとして捉えること、株式市場の参加者の価値観を多様化すること、社会的営利企業を支持する投資家を育成・拡大すること)の検討を通じて、その意義と可能性を論じています。
4.企業価値評価2.0/コンプライアンス経営2.0
昨今の「コンプライアンス経営」に見られる、ルールベースからプリンシプル(原理原則)ベースへの転換の結果、「コンプラ疲れ」や、ルールに対する信頼性の低下といった新たな課題が生まれています。本論考では、コンプライアンス強化によって身動きが取れなくなった企業のコンプライアンスとの適切な向き合い方や、企業価値の維持・向上のために企業が採るべき戦略を明らかにすることを目的に、「コンプライ(遵守)しない」主張も含めたインテグリティ(誠実さ)の実践を論じています。
5.企業価値評価2.0/企業の社会的価値創造を推進する多元的企業価値評価
企業の社会的価値創造を後押しする要因のひとつに、企業が環境や社会に及ぼす影響に着目する金融資本家の存在があります。一方、経済拡大を優先せざるを得ない金融資本家のみに頼る構造は心もとなく、より広範な主体による「多元的企業価値評価」の重要性が増しています。本論考では、自然資本や社会・関係資本などの多元的資本の観点で、それらから多様な価値を享受している市民が企業を評価する新たな仕組みを提言し、その有用性や実現に向けた課題を論じています。
6.政治人材バンクプロジェクト/地域活性化に向けて“地方議員”に求められる役割とは
地方自治や地方政治において重要な役割を担うはずの地方議員のなり手不足が、全国各地で顕在化しています。地方議会の形骸化が懸念され、地方議員への期待感や存在感が薄れつつある中、本論考では地方議員の役割の一つである監督機能に着目し、企業経営における社外取締役の役割を比較分析することで、地域活性化に向けて地方議員や議会の存在意義はどこにあるのか、果たすべき機能や役割を再定義することの必要性を提言しています。
日本総研は、「次世代起点で知見・技術を追求し、顧客・社会と新たな価値を共創」を中期経営計画のビジョンとして掲げ、「社会的価値共創のリーディングカンパニーとして事業の質を伴った量的拡大と新たな事業領域へ挑戦」することを10年後の目指す姿としています。本組織の活動を含め、こうしたビジョンや目指す姿の実現を推進してまいります。
(注1)未来社会価値研究所
2030年から2050年というスパンで、将来世代が直面するであろう問題に光を当て、その解決策を社内外の叡智を結集して共に考え、提言発信すると同時に、日本総研のみならずSMBCグループ、さらには外部の企業・組織と連携して具現化する社内組織。
https://www.jri.co.jp/service/special/content32/
■本件に関するお問い合わせ先
【報道関係者様】広報部 金井 電話:080-3437-9449
【一般のお客様】未来社会価値研究所長 村上 メール:murakami.megumuatjri.co.jp
(メール送付の際はatを@と書き換えて送信してください)