BLUE ENCOUNT、ベース辻村の渡米前ラストツアーのファイナルとなる日本武道館公演の模様を、WOWOWプラスにて4/30(日)テレビ初独占放送!これに先駆けて、ライブレポートが到着!
エモーショナルなギターサウンドに乗せた真っ直ぐな歌詞、観客一人一人と目を合わせるように「あなた」と熱く語り掛けるMCで心を揺さぶるロックバンド、BLUE ENCOUNT。2022年10月にスタートした全国ツアーの最終公演『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~THE FINAL』が、2月11日(土)、日本武道館で行なわれた。その模様をWOWOWプラスにて、4月30日(日)21:00~テレビ初独占放送する。
SEが響く中、田邊駿一(Vo.Gt.)、江口雄也(Gt.)、辻村勇太(Ba.)、高村佳秀(Dr.)がステージに登場。「アンコール」「Survivor」と畳み掛け、生きること、諦めずに居場所を探し続けること、といった彼らの音楽のコアを高らかに宣言するかのように、ライブは滑り出した。前日にあたる2月10日(金)は同じく武道館で、共にインディーズ時代から切磋琢磨し合い、今やそれぞれの地位を確立している04 Limited Sazabys、THE ORAL CIGARETTESとの合同主催イベント『ONAKAMA 2023』を行なっていた。辿り着くことを夢見ていた特別な場所である武道館で、BLUE ENCOUNTがワンマンを開催するのは、約6年半ぶりにして2度目。昨年報じられた辻村の渡米前ラストのライブでもあり、バンドがまさに“新たな扉(the new door)”を開けようとする、特別な一夜になることは間違いなかった。
「あなたと俺たちが生きてきた史上、一番の景色をつくりましょう。付いてこい!」(田邊)と呼び掛けて「DAY×DAY」を披露したのを皮切りに、アグレッシヴなナンバーを連打していく。熱が高まった会場に、満を持して投下された新曲の「vendetta」は圧巻のパフォーマンスに息を呑んだ。舌が絡まりそうな高速ラップを鋭く繰り出す田邊と、超高難度なベースフレーズを力強く爪弾く辻村とが向き合って会場を沸かせた“バトル”は迫力満点。一瞬たりとも息をつく間もない怒涛のライトハンド奏法に没頭する江口、一糸乱れぬリズムを正確かつパワフルに刻み続ける高村。4人全員のプレイアビリティーの高さがあって初めて成り立つ、ゾクゾクするようなスリルと興奮があった。ライブ鑑賞の規制は緩和されてきたものの、会場や地域ごとにルールはまちまち。この公演での大合唱は許可されていなかったが、マスクを着用した上での歓声は久しぶりに耳にすることができた。コロナ禍の3年間、大切な居場所を取り戻すことを諦めずに、ルールを守りながらライブを積み重ねてきたBLUE ENCOUNT。一歩一歩前進し続けて来た彼らとそのファンだからこそ、辿り着くことのできた光景がそこには広がっていた。
大きな見どころは、「city」のパフォーマンスと、その直前にスクリーンに投影された映像だろう。ツアータイトル及び2月8日にリリースされた最新ミニアルバム名『Journey through the new door』にも含まれている“door(扉)”と、線路や海、空をモチーフに様々なイメージが連なっていく映像は、まるで短編映画のよう。彼らの地元・熊本でも映像制作チームがロケを行ったというBLUE ENCOUNTの歴史を辿るドキュメンタリーと、ファンタジー要素とが融合した、エモーショナルで詩的な仕上がりとなっていた。 “居場所”では小さくて、俺はあなたにとっての「街(city)」になってみせる、と決意表明する歌詞が胸を打つ「city」は深い感動をもたらした。客席には、ステージを見つめながら涙を流す人々の姿があった。
8人編成のストリングス隊を交えたブロックでは、会場の空気感をガラリと変え、重厚な新アレンジで心を鷲掴みにした。アニメ『コードギアス 反逆のルルーシュR2』のエンディングテーマとしての書き下ろし曲で、2022年11月にリリースした「Z.E.R.O.」は、激しさと荘厳さとを兼ね備えた世界観を、豊かな表現力と壮大なアレンジによって描き出してみせた。続く「虹」は、現在の世界情勢をまるで予見していたかのような、平和を願う切実な歌詞が胸を打つナンバー。ファルセットを駆使した複雑なメロディーラインを情感たっぷりに歌い終えた田邊は、2018年のアルバム(『VECTOR』)に収められたこの曲が「今日やっと完成した」と感慨深そうだった。
MCでは、音楽を学ぶためアメリカへと旅立つ辻村の想いが語られたが、暗く湿っぽいムードに沈むことはなく、4人のテンポの良い掛け合いが微笑ましかった。日米で離れてはいても、BLUE ENCOUNTとしての活動は続行していくことを明言し、ファンを安心させていたのも印象的。ライブ活動はどうしても難しくなるが、コロナ禍でリモートによる制作スキルを磨いたことが役立ち、むしろ作曲ペースは上がりバンド活動が盛んになるという、うれしい展望も仄めかしていた。
代表曲である「もっと光を」を放つと、会場の一体感、身体の底から湧き上がってくるような多幸感は最高潮に。パンクと祭囃子が融合したような「VS」、ファンキーなギターカッティングが小気味よい「バッドパラドックス」など、ジャンルの垣根を越えた多彩なリズムアプローチを繰り出し、観客の心を解放し思い切り躍らせていく。ステージ上のメンバーたち自身、歌と演奏に没頭し、心底ライブを楽しんでいるように見えた。田邊がギターを掻き鳴らしながら口を開き、語りと歌とがまるで一体化していくように始まった新曲「DOOR」。スクリーンに映し出されたメンバーの顔は、汗なのか涙なのか見分けがつかなかったが濡れて光っていて、このライブに懸ける彼らの熱意と真剣さをひしひしと感じ取ることができた。
アンコールでは再びストリングス隊を呼び込んで、「それでも、君は走り続ける」を披露するなど、最後まで見せ場の連続だった。バンドとして大きな節目を迎えたタイミングでの武道館公演ではあるものの、「これからも何回もライブをやるうちの、今日は2回目です」と田邊。BLUE ENCOUNTというバンドが開く、その扉の向こうには未だ見ぬ素晴らしい景色が待っているに違いない。そう確信させてくれる、熱いライブだった。
文=大前多恵
■放送番組情報
『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~ THE FINAL』
2023年4月30日(日)21:00~
収録日:2023年2月11日/収録場所:東京 日本武道館
https://www.wowowplus.jp/program/episode.php?prg_cd=CIIDM23005
■スカパー!番組配信
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【配信番組】
『BLUE ENCOUNT TOUR 2022-2023 ~knockin' on the new door~ THE FINAL』
【配信日時】
2023年4月30日(日)21:00~ ※1週間見逃し配信あり
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