マレーシアにおける非出資型貿易(NEM)に関する報告書を発行:NEMは、輸出および多国籍企業(TNC)のグローバル・バリュー・チェーンとの統合に積極的に関与

「ASEANにおける非出資型貿易」のマレーシア編はセンターのウェブサイトからダウンロード可「ASEANにおける非出資型貿易」のマレーシア編はセンターのウェブサイトからダウンロード可


国際機関日本アセアンセンター(所在地:東京都港区、事務総長:平林国彦 以下、センター)は、「Non-Equity Modes of Trade in ASEAN: Promoting New Forms of Trade between Japan and ASEAN (ASEANにおける非出資型貿易:日ASEAN間の新たな貿易形態の促進)」シリーズ5番目の報告書、マレーシア編を発行しました。本報告書によると、マレーシアにおけるNEMは以下の業態および産業で行われています。
- 電機・電子(EE)、および繊維・アパレル産業における下請
- 農業における契約農業、および食品加工業
- ホテル、ファストフード、および小売におけるフランチャイズ
また、マレーシアがNEMによる輸出に数多く関与し、多国籍企業(TNC)のグローバル・バリュー・チェーンと強く結びついていることを示しています。

EE関連製品、石油・ガス、パーム油、および繊維・アパレルといったマレーシアの主要輸出製品4品目のうち、石油・ガスおよび繊維・アパレルは、海外直接投資(FDI)、 NEM、またはその双方により推進されました。1970年代以降、マレーシアは電気・電子関連製品の主要輸出国であり、その成長には依然として大きな伸びしろがあります。2018年度の全輸出額に占めるNEMによる電子機器の直接・間接輸出額は約70%であり、2015年度の66%から増加しています。

EE分野における下請産業は、競合の末TNCがより低いコストを求めて部品製造を現地企業へ外部委託したことに伴い、1990年代初頭にめざましく成長しました。この間、主要電子機器会社は研究開発、製品設計、およびブランドマネジメントといった周辺業務に専念しました。やがて、マレーシアではEE産業において独自のNEMが進化し、Globetronics、Carsem、およびUnisemといった企業は、相手先商標製品の製造業者(OEM)として、また、独自の設計製造能力を有する電子チップの下請製造業者として成功しています。

下請産業はアパレル、フットウェア、および玩具産業などの低付加価値産業へも拡大しています。マレーシアのNEMに携わる企業はPadiniやAllan Dillionといったローカルブランドのアパレルおよびアクセサリーの製造を手掛けるまで成長し、米国、日本、トルコ、インドネシア、および中国を主要輸出先市場としています。農業においては政府が推進する契約農業により、連邦農産物マーケティング機関(FAMA)を通じた農産物輸出が強化されました。これは2006年から2010年にかけての第9次マレーシア・プランの一部です。2014年にマレーシア政府が開墾した7,500ヘクタールの農地では、4,500人の農家が契約農業に携わっています。NEMにより農家の収入が増加し、輸出収入が潜在的に拡大する可能性がある一方で、農産物食品貿易における赤字増加は、本格的に生産性向上に取り組む必要性を示唆しています。

マレーシアのホテル、旅行産業におけるフランチャイジングはここ数年で急速に増加しており、インバウンドの観光収入は、2007年度の155億米ドルから2018年度には208億米ドルにまで増加しています。海外ブランドホルダーとのフランチャイズ契約によるNEMの実施は広範囲にわたり、マレーシアが高中所得国であることから、マレーシア人が外国人マネージャに代わってホテルのトップマネジメントを務めています。

高中所得国となったマレーシアですが、国の経済活動のほとんどは低中付加価値活動に限られており、マレーシアには依然として高付加価値活動への移行が求められています。この目標を達成するために、報告書はNEMに関連した以下の戦略を推奨しています:

(1)    現地企業の経営および労働者の育成を通じ、TNCのグローバル・バリュー・チェーンの供給国として連携すること
(2)    TNCの基準および要求に応えられるマネジメント、在庫・品質管理、および生産技術における高レベルの能力を開発すること
(3)    現地企業の技術を速やかにアップグレードすること
(4)    現地企業が商標製品のOEMに留まることなく独自の設計活動にまで活動を高めていくように主導すること
(5)    現地企業の新規事業開始を支援し、売上増加、雇用創出、および輸出を刺激すること

政策に関しては、TNCを呼び込むために、マレーシア政府が基本インフラ、科学技術イノベーション(STI)インフラ、物流の接続性と連携、およびグローバルファクターおよび最終市場における統合といった体系的な仕組みの4本柱を強化することも考えられます。また、NEM企業の活動を政府主導で指揮するにあたっては、エネルギー、気候変動、および労働者の人権などに関する、持続可能な開発目標(SDGs)への配慮も必要とされます。

「ASEANにおける非出資型貿易:日ASEAN間の新たな貿易形態の促進:報告書5 マレーシア編」はセンターの以下のウェブサイトからダウンロードできます。
https://www.asean.or.jp/ja/trade-info/nem_papers/

<<国際機関日本アセアンセンター>> 
正式名称:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター 
ASEAN10ヵ国政府と日本政府により1981年に設立。貿易・投資・観光・人物交流の 4 分野を軸に、ASEAN諸国から日本への輸出の促進、日本とASEAN諸国間の直接投資、観光及び人物交流の促進を通して、日本とASEAN諸国との関係促進に貢献する国際機関です。
URL:https://www.asean.or.jp/ja/

 

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会社概要

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル1F
電話番号
03-5402-8001
代表者名
藤田正孝
上場
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資本金
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設立
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