子どもの教育資金に関する調査2018
ソニー生命調べ/大学生以下の子どもがいる20歳~59歳の男女1,000名にアンケート
このたび、ソニー生命保険株式会社(代表取締役社長 萩本 友男)は、2017年11月24日~11月27日の4日間、大学生以下の子どもがいる20~59歳の男女に対し、今年で5回目(※)となる「子どもの教育資金に関する調査」をインターネットリサーチで実施し、1,000名の有効サンプルの集計結果を公開しました。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
※2014年~2016年は「子どもの教育資金と学資保険に関する調査」として発表
※2014年~2016年は「子どもの教育資金と学資保険に関する調査」として発表
◆アンケート調査結果◆
はじめに、大学生以下の子どもがいる20~59歳の男女1,000名(全回答者)に、子どもの教育や教育費についての項目を提示し、自身の考えがどの程度あてはまるか聞きました。
まず、≪子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる≫では、「非常にあてはまる」が17.7%、「ややあてはまる」が47.9%となり、合計した「あてはまる(計)」は65.6%となりました。3人に2人が、教育費の多寡が子どもの学力・学歴を左右すると考えていることがわかりました。
次に、≪早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要だ≫では「あてはまる(計)」は69.4%と約7割になった一方、≪スポーツや芸術の習い事よりも学習塾に教育費をかけたい≫では「あてはまる(計)」は44.6%と半数を下まわる結果となりました。子どもが幼いうちから学ばせる早期教育を重要だと考える親も多いようです。また、勉強一辺倒ではなく、スポーツや芸術にも触れてほしいと考える親が多い様子がうかがえました。
そして、教育費の負担感について聞いたところ、≪子どもの教育費の負担を重いと感じる≫では「あてはまる(計)」が71.4%となりました。子どもの教育費が家計の負担になっているという親は7割強に及んでいることがわかりました。
さらに、現在、政府で議論されている教育無償化(※1)について聞いたところ、≪政府が掲げる教育無償化には賛成だ≫では「あてはまる(計)」が67.9%となりました。無償化に賛成というのが多数派のようです。 (図1)
※1 幼児教育と高等教育にかかる費用を無償にするというもの。
幼児教育については、0歳~2歳児では住民税非課税世帯(年収約250万円未満)、3歳~5歳児では全世帯が対象、高等教育については住民税非課税世帯(年収約250万円未満)が対象となるなどの方針(調査実施時点での内容)
(図1)
続いて、現在、配偶者がいる人(949名)に、子どもの教育に関する家庭の状況について聞きました。
まず、夫婦間で教育方針が一致しているか異なっているか聞いたところ、「一致している(計)」(「非常に」と「やや」の合計)は81.0%、「異なっている(計)」は19.1%となりました。夫婦の教育方針が一致している家庭が、8割以上に及ぶことがわかりました。 (図2)
また、夫婦の教育熱はどちらが強いかでは、「夫のほうが熱心(計)」は31.5%、「妻のほうが熱心(計)」は68.5%となり、妻の教育熱のほうが強い家庭が7割近くとなりました。 (図3)
子どもの教育のことで夫婦喧嘩をするかどうかでは、「よくする(計)」は27.4%、「全くしない(計)」は72.6%となりました。子どもの教育のことで夫婦喧嘩をしない家庭が多数派でしたが、よく喧嘩をするという家庭が3割近くみられました。 (図4)
(図2)(図3)(図4)
子どもの将来について、親は、どのようなことに不安を感じているのでしょうか。全回答者(1,000名)に、子どもの将来に関する項目を提示して、どの程度不安を感じるか聞きました。
まず、子どもの生活面についてみると、不安を感じている人の割合(不安を感じる(計):「非常に」と「やや」の合計)は、≪学校生活≫では58.6%、≪インターネットやSNSの利用≫では66.8%となりました。
次に、進路に関する項目についてみると、≪受験・進学(※2)≫では78.7%、≪就職活動≫では72.4%となりました。受験や就活といった子どもの進路に不安を感じる親は多いようです。
また、≪教育資金≫では72.5%となり、進路に関する項目と同様、7割台となりました。
不安を感じている人の割合を2017年調査(※3)と比較すると、≪学校生活≫では2017年48.2%→2018年58.6%と10.4ポイントの上昇となり、また、≪受験・進学≫では2017年71.2%→2018年78.7%、≪就職活動≫では2017年64.9%→2018年72.4%とどちらも7.5ポイントの上昇となりました。子どもの学校生活や進路に不安を感じている親が増えているようです。 (図5)
※2 高校生以下の子どもの親(751名)のみ回答
※3 「子どもの教育資金に関する調査2017」 http://www.sonylife.co.jp/company/news/28/nr_170314.html
(図5)
続いて、教育資金に不安を感じている人(725名)に、子どもの教育資金に不安を感じる理由を聞いたところ、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」が58.6%で最も多く、次いで、「収入の維持や増加に自信がない」が38.6%、「消費税10%への増税」が30.8%、「社会保険料の負担増」が27.0%、「収入が不安定」が23.2%となりました。いくら必要になるのかわからないことや、収入が今後どのように変化するかわからないこと、税や保険料の負担が増えることが理由となって、教育資金に不安を感じている親が多いようです。また、「教育資金に関して相談する人がいない」(11.3%)や「子育てのための社会環境が整っていない」(10.8%)といった回答もみられました。相談相手がいないことや子育て環境が整備されていないことも、教育資金に対して不安を抱く理由の一つであることがわかりました。
子どもの就学段階別にみると、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」(未就学児69.7%、小学生68.5%、中高生61.4%、大学生等35.2%)では、子どもが未就学児から中高生までの親で高くなりました。高校生以下の子どもがいる親には、必要額がわからないことで教育資金に不安を感じている人が多いようです。また、「子育てのための社会環境が整っていない」(未就学児20.8%、小学生8.8%、中高生7.6%、大学生等6.0%)では、子どもが未就学児の親が突出して高くなりました。国や自治体などにより子育てを支援する取り組みが行われているものの、子どもが未就学児の親にとってはまだ不十分で、教育資金の不安につながっているという人が多い様子がうかがえました。 (図6)
(図6)
未就学児の親(248名)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、教育資金はいくらくらい必要だと思うか聞いたところ、「1,000万円~1,400万円位」が28.6%で最多回答となりました。また、2,000万円以上との回答もみられ、「2,000万円~2,400万円位」は21.8%、「3,000万円以上」は10.5%となり、平均予想金額は1,348万円でした。 (図7)
平均予想金額を過去の調査と比較してみると、2014年1,229万円→2015年1,156万円→2016年1,136万円→2017年1,194万円→2018年1,348万円と、2016年を谷としてV字を描き、昨年からの増加傾向が継続する結果となりました。子どもの教育に多くの資金が必要になると予想している親が増えている様子がうかがえました。 (図8)
(図7)
(図8)
教育費には、習い事や塾など、学校以外の教育に関する費用もありますが、学校以外の教育費にはいくらくらい支出しているのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、≪スポーツや芸術などの習い事≫≪家庭学習費用≫≪教室学習費用≫のそれぞれに1ヶ月あたりいくらくらい支出しているか聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ14,260円/月となりました。
子どもの就学段階別に平均支出金額の合計をみると、未就学児の親では7,471円/月、小学生の親では15,456円/月、中高生の親では20,656円/月、大学生等の親では13,369円/月でした。
過去の調査と平均支出金額の合計を比較すると、2016年10,240円/月→2017年12,560円→2018年14,260円と学校以外の教育費が年々増加している様子がうかがえました。
また、平均支出金額の合計が最も高くなった中高生の親について、2017年調査と比較してみると、≪スポーツや芸術などの習い事≫では2017年5,538円/月→2018年3,550円/月と、1,988円/月の減少となった一方、≪教室学習費用≫では2017年9,683円/月→2018年13,313円/月と、3,630円/月の増加となりました。 (図9)(図10)
(図9)
(図10)
さらに、全回答者(1,000名)に、子どもの生活における支出のうち、携帯・スマホの料金、こづかいや仕送りについて聞いたところ、子どもの≪携帯・スマホの通信・通話料金≫に支出している親の割合は52.4%となり、半数以上の親が支出していることがわかりました。 (図11)
また、≪こづかいや仕送り≫に支出している親の割合は48.7%と半数近くとなり、同居状況別に分けてみると、子どもが一人暮らしをしている親では95.0%、子どもが一人暮らしをしていない親では45.7%と、2倍以上の差が開きました。 (図12)
(図11)(図12)
支出している人の平均支出金額をみると、≪携帯・スマホの通信・通話料金≫(支出している人524名)は6,564円/月、≪こづかいや仕送り≫(支出している人487名)は17,238円/月となりました。≪こづかいや仕送り≫について、同居状況別に分けてみると、子どもが一人暮らしをしている親(支出している人57名)で80,211円/月、子どもが一人暮らしをしていない親(支出している人430名)で8,891円/月となりました。
≪こづかいや仕送り≫の平均支出金額を2017年調査と比較すると、子どもが一人暮らしをしている親では2017年57,299円→2018年80,211円と、22,912円/月の大幅な増加となりました。 (図13)
(図13)
次に、高校生以下(予備校生・浪人生を含む)の子どもの親(751名)に対し、子どもの進学費用のための備えとして、月々いくらくらい支出をしているか聞きました。
「0円」が29.3%で最も多くなっていますが、「10,000円~14,999円」(19.2%)や「20,000円~29,999円」(15.2%)、「30,000円以上」(15.6%)にも回答が集まりました。また、1ヶ月あたりの平均支出金額は15,437円/月となっています。
2017年調査(※4)と比較してみると、「30,000円以上」が2017年9.9%→2018年15.6%と、5.7ポイント上昇しており、平均支出金額をみると、2017年12,513円/月→2018年15,437円/月と、2,924円/月の増加となりました。 (図14)
※4 「子どもの教育資金に関する調査2017」 http://www.sonylife.co.jp/company/news/28/nr_170314.html
(図14)
子どもの大学等への進学費用準備について、支出額をみてきましたが、どのような方法で準備されているのでしょうか。
高校生以下の子どもの親(748名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているか聞いたところ、「銀行預金」(58.2%)と「学資保険」(46.3%)の2つが多くなりました。銀行預金は6割弱、学資保険は4割半の人に利用されています。以下、「財形貯蓄」(9.4%)と「(学資保険以外の)生命保険」(8.2%)が続きました。 (図15)
(図15)
続いて、大学生等の親(249名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたか聞いたところ、こちらも「銀行預金」(66.7%)、「学資保険」(52.2%)という2つの方法が多くなりました.以下、「奨学金」(14.9%)、「子どもの祖父母(自分の親や義理の親)からの資金援助」(11.2%)、「財形貯蓄」(10.0%)が続きました。銀行預金や学資保険で計画的に準備した人が多い一方、奨学金や自身の親からの資金援助などを活用したという人も少なくないようです。
2017年調査(※5)と比較をすると、「奨学金」(2017年33.1%→2018年14.9%)や「教育ローン」(2017年17.1%→2018年7.6%)を利用した人の割合は大きく下降する結果となりました。奨学金や教育ローンといった返済義務が生じる方法を利用する人は減少傾向にあるようです。 (図16)
※5 「子どもの教育資金に関する調査2017」 http://www.sonylife.co.jp/company/news/28/nr_170314.html
(図16)
では、親が子どもの教育資金を準備する背景には、親のどのような気持ちがあるのでしょうか。
子どもの教育資金を準備している(または準備してきた)人(872名)に、教育資金を準備する理由を聞いたところ、「高校卒業以降の進学支援も親の義務だと思うから」(59.6%)、「子どもには色々な選択肢を与えてあげたいから」(46.9%)、「自分自身も親にしてもらったから」(40.4%)、「子どもにはお金のことを気にせず勉学に励んでもらいたいから」(31.2%)、「子どもには幅広い教養を身に付けてほしいから」(30.8%)などの回答が上位となりました。子どもの教育資金を準備することは、親の義務だと考える人が多いようです。また、金銭的な理由で、子どもの可能性を狭めたくないと思っている人も少なくないことがわかりました。 (図17)
(図17)
近年、様々な技術革新が起こっており、その中で生まれた技術を教育分野にも積極的に導入しようとすることが検討されています。
そこで、子どもの教育に取り入れてほしいと思う技術やプログラムなどがある親(548名)に、何を取り入れてほしいか聞いたところ、最も多かったのは「プログラミング教育」(48.9%)でした。次いで、「アダプティブラーニング」(43.2%)、「デジタル教科書」(31.0%)、「ディープラーニング」(25.0%)、「AR(拡張現実)」(21.7%)となりました。
1位の「プログラミング教育」は、2020年度から小学校で必修化されることが決定しており、親にとっても差し迫った話題として、関心が高まっているのではないでしょうか。また、2位の「アダプティブラーニング」は、生徒一人ひとりに最適化された学習内容を提供する仕組みで、民間の教育サービス等では既に導入を進めているところもあり、注目されているようです。 (図18)
※ 内容について、次の説明を提示して聴取
・プログラミング教育…プログラミングに必要な知識、技能の習得を目的とした教育プログラムの導入
・アダプティブラーニング…それぞれの生徒に合わせて学習内容を提供する仕組み
・デジタル教科書…タブレット端末などで映像や音声などを盛り込んだコンテンツを配信する教科書
・ディープラーニング…学習のログを用いて、学習者それぞれに最適な問題の提示やカリキュラムの作成をする仕組み
・AR(拡張現実)…教科書の内容と映像を組み合わせることで理解の促進などを図る技術
・STEM教育…科学、技術、工学、数学を土台とした教育プログラム
・VR(仮想現実)…3Dメガネと専用のペンを用いることで、立体的な理解や体験などを可能にする技術
・ゲーミフィケーション…学習をゲーム形式にすることで、ゲームの没頭力を学習に活かす仕組み
・ソーシャルラーニング…SNSを介した学習
◆エコノミストのコメント◆
ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社 金融市場調査部 エコノミスト 渡辺 浩志
一方、7割弱の親が「子どもの学力や学歴は教育費次第」「早期教育が重要」と認識しており、教育資金を銀行預金や学資保険などで計画的に準備しています(図1、図15・16参照)。株式市場が活況な昨今ですが、「世の中で最もリスクが低くリターンの大きい投資先は教育である」との哲学があるのかもしれません。
もちろん、教育投資から得られるリターンは全て子どものため。教育資金を準備する理由では、「親の義務だと思う」「色々な選択肢を与えてあげたい」「お金のことを気にせず勉学に励んでもらいたい」「夢の実現に協力したい」などが並んでおり、子どもへの“無償の愛”が強く感じられました( 図17参照)。
以上
- 「子どもの学力や学歴は教育費次第」と考える人が6割半
- 「早期の知育は子どもの将来のために重要」7割が同意
- 子どもの教育費、7割強が「負担が重い」と感じる
- 「政府の掲げる教育無償化には賛成」7割弱
はじめに、大学生以下の子どもがいる20~59歳の男女1,000名(全回答者)に、子どもの教育や教育費についての項目を提示し、自身の考えがどの程度あてはまるか聞きました。
まず、≪子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる≫では、「非常にあてはまる」が17.7%、「ややあてはまる」が47.9%となり、合計した「あてはまる(計)」は65.6%となりました。3人に2人が、教育費の多寡が子どもの学力・学歴を左右すると考えていることがわかりました。
次に、≪早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要だ≫では「あてはまる(計)」は69.4%と約7割になった一方、≪スポーツや芸術の習い事よりも学習塾に教育費をかけたい≫では「あてはまる(計)」は44.6%と半数を下まわる結果となりました。子どもが幼いうちから学ばせる早期教育を重要だと考える親も多いようです。また、勉強一辺倒ではなく、スポーツや芸術にも触れてほしいと考える親が多い様子がうかがえました。
そして、教育費の負担感について聞いたところ、≪子どもの教育費の負担を重いと感じる≫では「あてはまる(計)」が71.4%となりました。子どもの教育費が家計の負担になっているという親は7割強に及んでいることがわかりました。
さらに、現在、政府で議論されている教育無償化(※1)について聞いたところ、≪政府が掲げる教育無償化には賛成だ≫では「あてはまる(計)」が67.9%となりました。無償化に賛成というのが多数派のようです。 (図1)
※1 幼児教育と高等教育にかかる費用を無償にするというもの。
幼児教育については、0歳~2歳児では住民税非課税世帯(年収約250万円未満)、3歳~5歳児では全世帯が対象、高等教育については住民税非課税世帯(年収約250万円未満)が対象となるなどの方針(調査実施時点での内容)
(図1)
- 夫婦で教育熱が高いのはどっち? 7割弱の家庭で「妻のほうが熱心」
- 子どもの教育のことで夫婦喧嘩 3割近くが「よくする」と回答
続いて、現在、配偶者がいる人(949名)に、子どもの教育に関する家庭の状況について聞きました。
まず、夫婦間で教育方針が一致しているか異なっているか聞いたところ、「一致している(計)」(「非常に」と「やや」の合計)は81.0%、「異なっている(計)」は19.1%となりました。夫婦の教育方針が一致している家庭が、8割以上に及ぶことがわかりました。 (図2)
また、夫婦の教育熱はどちらが強いかでは、「夫のほうが熱心(計)」は31.5%、「妻のほうが熱心(計)」は68.5%となり、妻の教育熱のほうが強い家庭が7割近くとなりました。 (図3)
子どもの教育のことで夫婦喧嘩をするかどうかでは、「よくする(計)」は27.4%、「全くしない(計)」は72.6%となりました。子どもの教育のことで夫婦喧嘩をしない家庭が多数派でしたが、よく喧嘩をするという家庭が3割近くみられました。 (図4)
(図2)(図3)(図4)
- 子どもの「学校生活」に不安を感じる親が約6割 昨年調査より10.4ポイント上昇
- 子どもの進路に不安を感じる親も増加傾向 「受験・進学」と「就職活動」は昨年より7.5ポイント上昇
- 「教育資金」に不安を感じる親は7割強
子どもの将来について、親は、どのようなことに不安を感じているのでしょうか。全回答者(1,000名)に、子どもの将来に関する項目を提示して、どの程度不安を感じるか聞きました。
まず、子どもの生活面についてみると、不安を感じている人の割合(不安を感じる(計):「非常に」と「やや」の合計)は、≪学校生活≫では58.6%、≪インターネットやSNSの利用≫では66.8%となりました。
次に、進路に関する項目についてみると、≪受験・進学(※2)≫では78.7%、≪就職活動≫では72.4%となりました。受験や就活といった子どもの進路に不安を感じる親は多いようです。
また、≪教育資金≫では72.5%となり、進路に関する項目と同様、7割台となりました。
不安を感じている人の割合を2017年調査(※3)と比較すると、≪学校生活≫では2017年48.2%→2018年58.6%と10.4ポイントの上昇となり、また、≪受験・進学≫では2017年71.2%→2018年78.7%、≪就職活動≫では2017年64.9%→2018年72.4%とどちらも7.5ポイントの上昇となりました。子どもの学校生活や進路に不安を感じている親が増えているようです。 (図5)
※2 高校生以下の子どもの親(751名)のみ回答
※3 「子どもの教育資金に関する調査2017」 http://www.sonylife.co.jp/company/news/28/nr_170314.html
(図5)
- 教育資金に不安を感じる理由 1位「どのくらい必要かわからない」6割弱
- 未就学児の親にとっては「子育てのための社会環境が整っていない」ことも理由に
続いて、教育資金に不安を感じている人(725名)に、子どもの教育資金に不安を感じる理由を聞いたところ、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」が58.6%で最も多く、次いで、「収入の維持や増加に自信がない」が38.6%、「消費税10%への増税」が30.8%、「社会保険料の負担増」が27.0%、「収入が不安定」が23.2%となりました。いくら必要になるのかわからないことや、収入が今後どのように変化するかわからないこと、税や保険料の負担が増えることが理由となって、教育資金に不安を感じている親が多いようです。また、「教育資金に関して相談する人がいない」(11.3%)や「子育てのための社会環境が整っていない」(10.8%)といった回答もみられました。相談相手がいないことや子育て環境が整備されていないことも、教育資金に対して不安を抱く理由の一つであることがわかりました。
子どもの就学段階別にみると、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」(未就学児69.7%、小学生68.5%、中高生61.4%、大学生等35.2%)では、子どもが未就学児から中高生までの親で高くなりました。高校生以下の子どもがいる親には、必要額がわからないことで教育資金に不安を感じている人が多いようです。また、「子育てのための社会環境が整っていない」(未就学児20.8%、小学生8.8%、中高生7.6%、大学生等6.0%)では、子どもが未就学児の親が突出して高くなりました。国や自治体などにより子育てを支援する取り組みが行われているものの、子どもが未就学児の親にとってはまだ不十分で、教育資金の不安につながっているという人が多い様子がうかがえました。 (図6)
(図6)
- 子どもが小学生から社会人になるまでに教育資金はいくら必要?
- 平均予想金額は1,348万円、増加傾向は継続 昨年調査よりも154万円増加
未就学児の親(248名)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、教育資金はいくらくらい必要だと思うか聞いたところ、「1,000万円~1,400万円位」が28.6%で最多回答となりました。また、2,000万円以上との回答もみられ、「2,000万円~2,400万円位」は21.8%、「3,000万円以上」は10.5%となり、平均予想金額は1,348万円でした。 (図7)
平均予想金額を過去の調査と比較してみると、2014年1,229万円→2015年1,156万円→2016年1,136万円→2017年1,194万円→2018年1,348万円と、2016年を谷としてV字を描き、昨年からの増加傾向が継続する結果となりました。子どもの教育に多くの資金が必要になると予想している親が増えている様子がうかがえました。 (図8)
(図7)
(図8)
- 習い事や塾など、学校以外の教育費は年々増加 平均支出金額は14,260円
- 中高生の親ではスポーツ・芸術などの習い事への支出は減少も、教室学習への支出が大幅に増加
教育費には、習い事や塾など、学校以外の教育に関する費用もありますが、学校以外の教育費にはいくらくらい支出しているのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、≪スポーツや芸術などの習い事≫≪家庭学習費用≫≪教室学習費用≫のそれぞれに1ヶ月あたりいくらくらい支出しているか聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ14,260円/月となりました。
子どもの就学段階別に平均支出金額の合計をみると、未就学児の親では7,471円/月、小学生の親では15,456円/月、中高生の親では20,656円/月、大学生等の親では13,369円/月でした。
過去の調査と平均支出金額の合計を比較すると、2016年10,240円/月→2017年12,560円→2018年14,260円と学校以外の教育費が年々増加している様子がうかがえました。
また、平均支出金額の合計が最も高くなった中高生の親について、2017年調査と比較してみると、≪スポーツや芸術などの習い事≫では2017年5,538円/月→2018年3,550円/月と、1,988円/月の減少となった一方、≪教室学習費用≫では2017年9,683円/月→2018年13,313円/月と、3,630円/月の増加となりました。 (図9)(図10)
(図9)
(図10)
- 一人暮らしの子どもへの仕送り平均額は80,211円、昨年調査から22,912円/月増加
さらに、全回答者(1,000名)に、子どもの生活における支出のうち、携帯・スマホの料金、こづかいや仕送りについて聞いたところ、子どもの≪携帯・スマホの通信・通話料金≫に支出している親の割合は52.4%となり、半数以上の親が支出していることがわかりました。 (図11)
また、≪こづかいや仕送り≫に支出している親の割合は48.7%と半数近くとなり、同居状況別に分けてみると、子どもが一人暮らしをしている親では95.0%、子どもが一人暮らしをしていない親では45.7%と、2倍以上の差が開きました。 (図12)
(図11)(図12)
支出している人の平均支出金額をみると、≪携帯・スマホの通信・通話料金≫(支出している人524名)は6,564円/月、≪こづかいや仕送り≫(支出している人487名)は17,238円/月となりました。≪こづかいや仕送り≫について、同居状況別に分けてみると、子どもが一人暮らしをしている親(支出している人57名)で80,211円/月、子どもが一人暮らしをしていない親(支出している人430名)で8,891円/月となりました。
≪こづかいや仕送り≫の平均支出金額を2017年調査と比較すると、子どもが一人暮らしをしている親では2017年57,299円→2018年80,211円と、22,912円/月の大幅な増加となりました。 (図13)
(図13)
- 子どもの進学費用の準備 平均支出額は15,437円/月 昨年と比べ約3,000円増加
次に、高校生以下(予備校生・浪人生を含む)の子どもの親(751名)に対し、子どもの進学費用のための備えとして、月々いくらくらい支出をしているか聞きました。
「0円」が29.3%で最も多くなっていますが、「10,000円~14,999円」(19.2%)や「20,000円~29,999円」(15.2%)、「30,000円以上」(15.6%)にも回答が集まりました。また、1ヶ月あたりの平均支出金額は15,437円/月となっています。
2017年調査(※4)と比較してみると、「30,000円以上」が2017年9.9%→2018年15.6%と、5.7ポイント上昇しており、平均支出金額をみると、2017年12,513円/月→2018年15,437円/月と、2,924円/月の増加となりました。 (図14)
※4 「子どもの教育資金に関する調査2017」 http://www.sonylife.co.jp/company/news/28/nr_170314.html
(図14)
- 大学等のための教育資金準備 2大方法は「銀行預金」「学資保険」
子どもの大学等への進学費用準備について、支出額をみてきましたが、どのような方法で準備されているのでしょうか。
高校生以下の子どもの親(748名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているか聞いたところ、「銀行預金」(58.2%)と「学資保険」(46.3%)の2つが多くなりました。銀行預金は6割弱、学資保険は4割半の人に利用されています。以下、「財形貯蓄」(9.4%)と「(学資保険以外の)生命保険」(8.2%)が続きました。 (図15)
(図15)
続いて、大学生等の親(249名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたか聞いたところ、こちらも「銀行預金」(66.7%)、「学資保険」(52.2%)という2つの方法が多くなりました.以下、「奨学金」(14.9%)、「子どもの祖父母(自分の親や義理の親)からの資金援助」(11.2%)、「財形貯蓄」(10.0%)が続きました。銀行預金や学資保険で計画的に準備した人が多い一方、奨学金や自身の親からの資金援助などを活用したという人も少なくないようです。
2017年調査(※5)と比較をすると、「奨学金」(2017年33.1%→2018年14.9%)や「教育ローン」(2017年17.1%→2018年7.6%)を利用した人の割合は大きく下降する結果となりました。奨学金や教育ローンといった返済義務が生じる方法を利用する人は減少傾向にあるようです。 (図16)
※5 「子どもの教育資金に関する調査2017」 http://www.sonylife.co.jp/company/news/28/nr_170314.html
(図16)
- 親が大学等のための教育資金を準備する理由は?
- 「親の義務だと思うから」6割、「色々な選択肢を与えてあげたい」5割弱
では、親が子どもの教育資金を準備する背景には、親のどのような気持ちがあるのでしょうか。
子どもの教育資金を準備している(または準備してきた)人(872名)に、教育資金を準備する理由を聞いたところ、「高校卒業以降の進学支援も親の義務だと思うから」(59.6%)、「子どもには色々な選択肢を与えてあげたいから」(46.9%)、「自分自身も親にしてもらったから」(40.4%)、「子どもにはお金のことを気にせず勉学に励んでもらいたいから」(31.2%)、「子どもには幅広い教養を身に付けてほしいから」(30.8%)などの回答が上位となりました。子どもの教育資金を準備することは、親の義務だと考える人が多いようです。また、金銭的な理由で、子どもの可能性を狭めたくないと思っている人も少なくないことがわかりました。 (図17)
(図17)
- 期待、注目が集まる新しい教育手法 子どもの教育に取り入れてほしいものは?
- 1位「プログラミング教育」2位「アダプティブラーニング」3位「デジタル教科書」
近年、様々な技術革新が起こっており、その中で生まれた技術を教育分野にも積極的に導入しようとすることが検討されています。
そこで、子どもの教育に取り入れてほしいと思う技術やプログラムなどがある親(548名)に、何を取り入れてほしいか聞いたところ、最も多かったのは「プログラミング教育」(48.9%)でした。次いで、「アダプティブラーニング」(43.2%)、「デジタル教科書」(31.0%)、「ディープラーニング」(25.0%)、「AR(拡張現実)」(21.7%)となりました。
1位の「プログラミング教育」は、2020年度から小学校で必修化されることが決定しており、親にとっても差し迫った話題として、関心が高まっているのではないでしょうか。また、2位の「アダプティブラーニング」は、生徒一人ひとりに最適化された学習内容を提供する仕組みで、民間の教育サービス等では既に導入を進めているところもあり、注目されているようです。 (図18)
※ 内容について、次の説明を提示して聴取
・プログラミング教育…プログラミングに必要な知識、技能の習得を目的とした教育プログラムの導入
・アダプティブラーニング…それぞれの生徒に合わせて学習内容を提供する仕組み
・デジタル教科書…タブレット端末などで映像や音声などを盛り込んだコンテンツを配信する教科書
・ディープラーニング…学習のログを用いて、学習者それぞれに最適な問題の提示やカリキュラムの作成をする仕組み
・AR(拡張現実)…教科書の内容と映像を組み合わせることで理解の促進などを図る技術
・STEM教育…科学、技術、工学、数学を土台とした教育プログラム
・VR(仮想現実)…3Dメガネと専用のペンを用いることで、立体的な理解や体験などを可能にする技術
・ゲーミフィケーション…学習をゲーム形式にすることで、ゲームの没頭力を学習に活かす仕組み
・ソーシャルラーニング…SNSを介した学習
◆エコノミストのコメント◆
ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社 金融市場調査部 エコノミスト 渡辺 浩志
今回の調査では、子どもの受験・進学、就活に不安を持つ親が増えていることがわかりました(図5参照)。現在は少子化を背景とする大学全入時代、人手不足による学生の超売り手市場と、一見すると受験や就活に不安はないように思えます。しかし、人手不足が進むなか、単純労働の多くは人工知能やロボットに代替される時代が近づいており、より質の高い教育や高度な職業を得るための競争はむしろ激化しているようです。お金の面でも「子どもが小学生から社会人になるまでに必要だと思う教育資金」は、親の不安を反映して年々上昇しており、今年は平均1,348万円と本調査開始以来最高となりました(図8参照)。また、それに対して7割強の親が「負担が重い」と回答しています(図1参照)。
一方、7割弱の親が「子どもの学力や学歴は教育費次第」「早期教育が重要」と認識しており、教育資金を銀行預金や学資保険などで計画的に準備しています(図1、図15・16参照)。株式市場が活況な昨今ですが、「世の中で最もリスクが低くリターンの大きい投資先は教育である」との哲学があるのかもしれません。
もちろん、教育投資から得られるリターンは全て子どものため。教育資金を準備する理由では、「親の義務だと思う」「色々な選択肢を与えてあげたい」「お金のことを気にせず勉学に励んでもらいたい」「夢の実現に協力したい」などが並んでおり、子どもへの“無償の愛”が強く感じられました( 図17参照)。
以上
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