推薦システム最適化アルゴリズム、「Relevance Matrix Factorization」を開発、Web Search and Data Mining(WSDM '20)にて発表

~学習データのバイアスに囚われず、ユーザーの興味に適したより幅広い商品推薦を実現~

SMN株式会社(以下、SMN)の研究開発組織「a.i lab.」(アイラボ)は、東京工業大学工学院 経営工学系の中田和秀准教授の研究室との共同研究により、推薦システムをバイアスなしで最適化するアルゴリズム「Relevance Matrix Factorization」を開発しました。本共同研究に関する論文を、「Web Search and Data Mining」(WSDM2020/開催地:米国・ヒューストン)にて発表(現地時間2月4日)を行いました。
◇概要
本研究では、ダイナミッククリエイティブ(*1)や動画ストリーミングサービスなどで一般的な、「ユーザーからクリックなどの単純なフィードバックしか得られない推薦システム」が陥りやすい「(見ていないために)クリックされない = 購入されない」商品という解釈によるバイアスに囚われずに、最適な推薦を行うことができるアルゴリズムを提案しました。本アルゴリズムの採用により、SMNのサービスであるDSP(*2)「Logicad」が提供するダイナミッククリエイティブの広告効果が一層向上するとともに、これまで取り上げられなかった幅広い商品の売上が改善します。今後様々な業界での活用が期待されます。

◇研究の背景
従来の推薦システムでは、ユーザーに対してシステムが推薦する商品をクリックされた場合、ユーザーがその商品に「興味がある」とし、逆にクリックされなかった場合は「興味なし」として学習・予測を行います。この場合、ユーザーに対して全ての商品を提示することは不可能であるため、推薦アルゴリズムは大半の商品を「興味なし」として学習することになります。この結果、よく推薦される商品のデータは十分に集まる一方で、推薦されづらい商品は、いつまでも推薦されないという不均衡が起こり、ユーザーが興味を持つ可能性がある商品が推薦されえないという問題が発生します。この問題を解消するためには、商品をランダムに推薦するテストを行うことが一般的でした。しかし、このテストでは全く興味のない商品を推薦することにもなり、必然的に効果の低下を招くだけでなく、ユーザー体験を毀損します。そこで、このテストを行うことなく、推薦されづらい商品に対してもユーザーの商品に対する興味度を高精度に予測するアルゴリズムの研究を行いました。

◇研究の内容
収集できるデータの偏りにより生じるバイアスを除くために、「ユーザーが商品を認知し、かつ、商品に興味を持つ」ことでユーザーは商品をクリックするというExposure Modelが提案され、いくつかのアルゴリズムが考案されていました。しかし、いずれの手法もクリックの有無を予測しているに過ぎず、これまで推薦されたことのない商品に対するユーザーの興味を正しく推定できはしませんでした。
そこで我々は、Positive-Unlabeled Learningの手法を応用することで、ユーザーの商品に対する興味の有無を評価する指標を定義し、これを最適化するRelevance Matrix Factorizationアルゴリズムを開発しました。
このアルゴリズムをYahoo! R3 dataset(*)に適用したところ、提案したアルゴリズム(Rel-MF)が、推薦システムから得られたデータからユーザーの真の興味を予測するタスクにおいて、最も高精度であることが示されました。
 

◇今後の展開
SMNが提供するダイナミッククリエイティブ広告配信への適用をはじめ、推薦システムを必要とする様々な業界において、よりユーザーの興味に適した幅広い商品の推薦を実現するための採用が期待されます。
*公開データ
Yahoo! R3 dataset: https://webscope.sandbox.yahoo.com/

本共著論文(「Unbiased Recommender Learning from Missing-Not-At-Random Implicit Feedback」)は、米国・ヒューストンで開催されている「Web Search and Data Mining」(WSDM2020:開催期間2月3日~7日)にて発表(現地時間2月4日)を行いました。

【論文(学会)情報】
・学会名:Web Search and Data Mining(WSDM '20)
・タイトル:Unbiased Recommender Learning from Missing-Not-At-Random Implicit Feedback
・著者:Yuta Saito, Suguru Yaginuma, Yuta Nishino, Hayato Sakata, Kazuhide Nakata
・DOI:10.1145/3336191.3371783

【用語説明】
*1 ダイナミッククリエイティブ
Webユーザーに対して複数の商品を掲載していく、広告配信の手法。従来は、サイトに訪問歴のあるユーザーに対し、閲覧履歴をもとにした興味関心が高い複数の広告クリエイティブ(商品画像)を推薦システムにより自動的に生成し掲載するもの

*2 DSP(Demand Side Platform)
広告主の広告効果の最大化を支援する広告配信プラットフォーム。媒体社の広告収益を最大化するためのプラットフォームSSP(Supply Side Platform)とともに、RTB(Real Time Bidding)を通じて、広告枠の売買をリアルタイムに行うもの

                                              以 上

参考情報【「a.i lab.」(アイラボ)概要】
「a.i lab.」(Ambitious Innovation Laboratory)は、独自に開発したAI「VALIS-Engine」(ヴァリス-エンジン)をはじめ、マーケティングテクノロジーに関する先進的な研究開発を行っています。「VALIS-Engine」のテクノロジーを商品やサービスに導入することで、「貰って嬉しい広告」「機会損失の最小化」の実現を目指す研究開発組織です。

【SMN株式会社 概要】
2000 年 3 月に設立。ソニーグループで培った技術力をベースに、マーケティングテクノロジー事業を展開しています。「技術力による、顧客のマーケティング課題の解決」を実現するため、ビッグデータ処理と人工知能のテクノロジーを連携し進化を続けています。
現在、DSP「Logicad」、マーケティングAIプラットフォーム「VALIS-Cockpit」をはじめ、実店舗事業者向けマーケティングプラットフォーム「Marketing Touch」を提供することで、マーケティングに関する様々な課題解決を実現しています。

※ 当社は、2019年10月1日より、社名を「ソネット・メディア・ネットワークス株式会社」から、「SMN株式会社」に変更しました。

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