Indeed、仕事探しにおける検索時給動向を調査。2024年4月の検索時給は平均1,507円、5年間で19.8%増加。

最低賃金の上昇率(5年間で11.4%)を上回り、検索時給と最低賃金(全国平均1,004円)の差は500円超

Indeed Japan株式会社

※2024年6月14日、リリース内の都道府県別 検索時給の上昇率順位に「香川県」の記載漏れがありましたため、訂正いたします。
【訂正箇所】P3 :熊本県(29.8%)→ 香川県・熊本県(ともに29.8%)

世界No.1求人サイト* 「Indeed (インディード)」の日本法人であるIndeed Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:大八木 紘之、https://jp.indeed.com 以下Indeed)は、仕事を探す際に求職者が検索する時給(検索時給)の動向について、2024年4月時点でのデータを分析し公開いたします。

Indeedで求職者が仕事探しをする際、職種や雇用形態のみならず、具体的な賃金額(時給や年収額)をキーワードとした仕事検索も行われています。これらの検索賃金のデータを分析することで、一般的に求職者が希望する賃金の水準がどの程度かを把握することができます。

求職者が希望する賃金額である検索賃金は、労働市場の状態をはじめ将来的な消費動向やインフレーションに対する理解、さらには最低賃金のあり方などの賃金政策に関する議論にも役立つ可能性があり、賃金に関する新たな指標として有用であると言えます。さらに最低賃金と検索賃金をともに把握することで、採用企業は求職者が希望する賃金水準を理解し、適切な賃金の検討に役立てることができると考えられます。

そこでこのたび、検索賃金の中でも時給に焦点を当て、Indeedにおける検索時給(加重平均値)の2024年4月時点のデータについて分析いたしました。

■「仕事探しにおける検索時給の動向」の主要ポイント

検索時給:2024年4月時点で平均1,507円。5年間で19.8%増加

Indeed上で検索される時給(検索時給)の加重平均は、2024年4月時点で1,507円。2019年4月の1,258円と比較し5年間で19.8%上昇しており、最低賃金の上昇率(5年間で11.4%)を上回っている。政府は2030年代半ばまでに最低賃金を1,500円に引き上げることを目標にしているが、求職者の希望時給額は既にその水準に到達したと言える。

労働市場が逼迫し人手不足であることや物価高によって社会的に賃上げへの期待が高まる中で、求職者はより高い賃金を求めている傾向にある。

最低賃金と検索時給の差:全国平均では500円以上。熊本県や北海道など新たな産業が活性化している地域で差が大きい傾向

2024年4月時点の最低賃金の全国平均は1,004円で、検索時給の1,507円との差は503円にのぼる。また、都道府県別に最低賃金と検索時給(2024年4月時点)の差をみると、差が大きい順に福井県(587円)沖縄県(581円)、熊本県(542円)、北海道(534円)、岐阜県(530円)となっている。半導体工場の建設などの新たな産業が発展している地域(熊本県、北海道)や、各県の最低賃金に対して物価(消費者物価地域差指数)が相対的に高い地域(沖縄県、福井県)において、最低賃金と検索賃金の差が大きい傾向がある。

■調査結果に対するIndeed Hiring Lab エコノミスト 青木 雄介のコメント

継続する物価上昇と更なる労働市場の逼迫により、求職者の希望する賃金(検索賃金)と最低賃金との差異は拡大傾向です。特に、長い間物価上昇を経験してこなかった日本においては、このような足元の求職者行動と現行の制度との間には差異が生じやすい傾向にあります。

最低賃金は、1.労働者の生計費、2.賃金、3.通常の事業の賃金支払い能力を総合して、厚生労働省によって取り決め(※1)られています。今回の検索時給の分析を通じ、最低賃金の政策を再考する際には、地域ごとの物価上昇率や生活費の実情をより考慮する必要があることが示唆されました。また、採用企業においては、現在の人手不足に鑑み、求職者が希望する賃金水準を参考にしながら賃上げの検討をすることも重要でしょう。

 ※1:厚生労働省「3要素の用語の定義について(地域別最低賃金の原則)」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201250-Roudoukijunkyoku-Roudoujoukenseisakuka/0000071040.pdf

■「仕事探しにおける検索時給の動向」詳細

・検索時給:2024年4月時点で平均1,507円。5年間で19.8%増加

2024年4月にIndeed上で検索された時給(検索時給)の加重平均は1,507円で、2019年4月の1,258円から5年間で19.8%上昇しています。これは、パートタイムの時給実績(平均)(※2)や最低賃金(※3)の上昇率(それぞれ5年間で14.9%、11.4%)を上回ります。

労働市場における人手不足や継続的な物価高も背景に、2024年の春闘では時給の引き上げ率が前年比6.0%上昇(※4)しており、賃上げ機運はさらに高まっていることからも、求職者はより高い賃金を求めていると考えられます。政府が2030年代半ばまでに最低賃金を1,500円に引き上げることを目標にしているなか、既に求職者の希望時給額はその水準に到達しており、2024年の最低賃金の改定にはより関心が高まるものと考えられます。

※2:厚生労働省「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査)」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1a.html

※3:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html)

※4:日本労働組合連合会「第5回回答集計(2024年5月2日集計、5月8日公表)(https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/yokyu_kaito/kaito/press_no5.pdf?7250

Indeedにおける検索時給の加重平均値、パートタイム労働者の時給実績(厚生労働省「毎月勤労統計調査」より)、最低賃金の全国平均(厚生労働省)の推移。期間は2019年1月から2024年4月まで。ただしパートタイム労働者の時給実績については最新月である2024年3月まで。

 ・都道府県別検索時給:金額は三大都市圏を中心に高く、上昇率は地方圏で高い

勤務地として検索されている都道府県別に、2019年(1〜12月)、2023年(1〜12月)、2024年(1〜4月)の検索時給と、2019年と2024年を比較した上昇率を調べました。

その結果、2024年の検索時給は、高い順に東京都(1,612円)、大阪府(1,579円)、北海道(1,567円)、神奈川県(1,544円)、愛知県(1,510円)となり、3番目の北海道を除き三大都市圏が上位です。

検索時給の水準が三大都市圏を中心に高いのは、生活費の高さや企業間の人材獲得競争がより激しいことによって賃金水準が高まり、連動して高賃金を得ることを求職者が期待するためであると考えられます。

一方で、2019年からの検索時給の上昇率でみると、高い順に沖縄県(34.2%)、島根県(33.1%)、北海道(32.2%)、宮崎県(30.8%)、香川県・熊本県(ともに29.8%)となり、地方圏が上位となっています。これは、最低賃金の上昇率との相関がみられます。

都道府県別に2019年から2024年にかけての最低賃金の上昇率と、検索時給の上昇率を比較すると、最低賃金の伸びが大きかった(小さかった)地域ほど、検索時給の伸びが大きく(小さく)、比例しています。沖縄県、島根県は最低賃金、検索時給ともに上昇率が高かったことがわかります。

しかしながら、検索時給の上昇率(最低7%、最高34%)と最低賃金の上昇率(最低10%、最高15%)ともに、都道府県によって分散が大きく、ばらつきがあることも見て取れます。2024年(1〜4月)の検索時給が上位の都道府県のうち、三大都市圏ではない北海道の場合、最低賃金の上昇率(2023年10月と2019年10月を比較)は11.5%であるのに対して、検索時給の上昇率(2023年10〜2024年4月と2019年10月〜2020年4月を比較)は26.9%と上回っており、検索時給の上昇率の高さは最低賃金の上昇が主な要因ではないと考えられます。

都道府県別の2019年から2024年にかけての最低賃金の上昇率と検索時給の上昇率をプロットしたもの。

・都道府県別最低賃金と検索時給の差:全国平均では500円以上。熊本県や北海道など新たな産業が活性化している地域で差が大きい傾向

2024年4月時点の最低賃金の全国平均は1,004円で、検索時給1,507円との差は503円にのぼります。さらに勤務地として検索されている都道府県別に、2024年4月時点の最低賃金と検索時給の差を調べました。その結果、差が大きい順に福井県(587円)、沖縄県(581円)、熊本県(542円)、北海道(534円)、岐阜県(530円)となっており、全国平均の最低賃金と検索時給の差である503円を上回っています。北海道においては、国内半導体メーカーの半導体製造工場建設や、インバウンド需要が急速に高まっているリゾートなど新たな産業の活性化が高い時給への関心を牽引していると考えられます。熊本県の半導体産業の活性化も同様であると言えます。

検索時給額は2024年4月1日の金額で、最低賃金との差額が大きい順に都道府県をソート

また、最低賃金と検索賃金の差が大きい地域の特徴のひとつに、各県の最低賃金に対して物価(消費者物価地域差指数)が相対的に高いことが挙げられます。福井県や沖縄県はその特徴が当てはまります。

消費者物価地域差指数(X軸)と最低賃金(Y軸)を都道府県別にプロットしたもの。消費者物価地域差指数とは、世帯が購入する財及びサービスの価格を総合した物価水準の地域間の差について全国平均価格を基準(=100)とした指数値を表す。すなわち、100以上であれば相対的に物価が高い都道府県であることを意味する。消費者物価地域差指数については、総務省「小売物価統計調査(構造編)」より現時点で最新であった2022年データを活用。

2024年2月にIndeed Hiring Labが公開したレポート「仕事探しにおける検索時給の動向:求職者の希望時給は1,500円近くまで上昇」でも述べられているように 、全国平均価格を基準とした消費者物価地域差指数(※5)と最低賃金の関係を見ると、正の相関関係がありますが、一部の地域では当てはまらず、最低賃金の設定が最新の物価変動を十分に反映していないと考えられます。

同レポートより、最低賃金が低い一方、物価が相対的に高く「生計が圧迫されやすい」と考えられる地域では、逆に最低賃金が高い一方で物価が相対的に安く「生計が圧迫されにくい」と考えられる地域に比べて、検索時給の上昇率が統計的に有意に高いことが明らかとなっています。

相対的に生計が圧迫されやすいと考えられる地域(にいる求職者)ほど、高い時給を求め、検索時給の上昇率が高くなることを示唆しています。

※5:総務省「消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2022年(令和4年)結果-」(https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2022.pdf)

■調査・分析概要

調査・分析主体:Indeed Japan株式会社

調査・分析対象期間:2019年1月〜2024年4月

調査・分析方法:

  • 検索時給賃金の加重平均値の算定方法

    • 10円刻みの値を賃金帯として、賃金帯ごとに検索数及び賃金検索数全体に占めるシェアを計算。

      各賃金帯と上記シェアの掛け合わせで算出。※本分析では、日本で、Indeed上で検索された賃金に関連するキーワードのうち、時間給のみの検索を分析対象としており、月給や年収の検索は分析対象外である。

  • 各都道府県において、相対的に生計が圧迫されやすい地域どうかの区分方法

    • 消費者物価地域差数と最低賃金(時給)との線形関係から導出される信頼区間を算出(ロバスト標準誤差を適用)

Indeed(インディード)について

Indeedは、最も多くの人が仕事を見つけている世界No.1求人サイト*です。現在60ヵ国以上、28の言語でサービスを展開し、求職者は何百万もの求人情報を検索することができます。約350万の企業がIndeedを利用して従業員を見つけ、採用しています。また、月間3.5億人以上のユニークビジター**が、Indeedで求人検索や履歴書の登録、企業の情報検索を行っています。詳細はhttps://jp.indeed.comをご覧ください。

*出典:Comscore 2024年3月総訪問数

**出典:Indeed社内データ 2023年10~2024年3月

※本プレスリリースは、以下からもご確認いただけます。

Indeed Japan Press Room:https://jp.indeed.com/press/releases/20240613

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会社概要

Indeed Japan株式会社

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URL
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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区三田1-4-1 住友不動産麻布十番ビル6階
電話番号
-
代表者名
大八木 紘之
上場
未上場
資本金
-
設立
2013年10月