リアルテックファンド、ポストAI時代のデータセキュリティ基盤を拓く、完全準同型暗号を開発するEmotionXへの出資を実施

UntroD Capital Japan株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:永田 暁彦)が運営するリアルテックファンド※は、完全準同型暗号(FHE: Fully Homomorphic Encryption)の社会実装と商用展開に挑戦するスタートアップであるEmotionX株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:吉水 康人、以下「EmotionX」)への出資を実施いたしました。
EmotionXは今回の資金調達をもとに、FHEクラウドサービスの開発・市場投入、ならびに専用ハードウェアの開発を進め、ポストAI時代に不可欠なデータセキュリティ基盤の社会実装を加速させてまいります。
企業概要
EmotionXは、キオクシア株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長 早坂 伸夫、以下「キオクシア」)の先端技術研究所にて開発されたFHE技術の実装と市場開拓を、より機動的かつ柔軟に進めることを目的に、同社からカーブアウトして2025年に設立されたスタートアップです。
AIの普及に伴い、産業や行政は膨大なプライバシーデータや機密情報を扱う必要がありますが、従来の計算環境では復号の過程で情報漏洩リスクを避けられず、また量子コンピュータの実用化により既存暗号の脆弱性も指摘されています。金融における耐量子改修、ライフサイエンスや化学分野でのデータ連携、宇宙・半導体分野での国際協力など、ポストAI時代には「守りながらつなぐ」データ基盤が必須となっています。
EmotionXはこうした社会課題に対し、暗号化データを復号せずに計算可能とするFHEの高速処理技術を核に、準同型暗号計算のクラウド基盤と専用ハードウェアを開発しています。FPGAクラスタによるPoC実証からASIC開発へと進化させることで、従来数時間を要した処理を数秒以下に短縮し、金融・ライフサイエンス・宇宙・半導体など幅広い領域で、安全かつ効率的なデータ活用を実現します。
資金調達の目的と使途
EmotionXは、以下の開発・実証を推進するために今回の資金調達を実施しました。
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FHE専用クラウド基盤の商用化
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FPGAクラスタサーバのPoC・顧客実証の加速
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FHE専用ハードウェアの設計・開発
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金融機関向け量子コンピュータ耐性を備えた決済システムPoC
これにより、耐量子暗号時代に対応した次世代データ基盤の普及を目指します。
担当者コメント
「EmotionXは、FHEという世界的に注目される次世代暗号基盤において、ハードウェア高速化という最も困難な領域で成果を上げています。ポストAI時代においてデータの安全な連携と利活用は社会的要請であり、同社の技術はその実現に不可欠です。キオクシアからカーブアウトした創業経営チームの挑戦を、私たちは全力で支援してまいります。」
(UntroD Capital Japan株式会社 取締役 山家 創)
※正式名称:「リアルテックファンド4号投資事業有限責任組合」
EmotionX株式会社について
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設立年月:2025年6月
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代表者:吉水 康人(代表取締役CEO)
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資本金:100万円
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事業内容:完全準同型暗号(FHE)に基づく計算基盤・専用ハードウェアの開発・提供
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公式サイト: https://www.emotionx.co.jp/
UntroD Capital Japan株式会社およびリアルテックファンドについて
UntroD Capital Japan株式会社は、地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーを有するディープテック・スタートアップの社会実装を目的とした「リアルテックファンド」を2015年に設立し、シード・アーリーステージのスタートアップへのリード投資およびハンズオン支援を行ってきました。現在までに、リアルテックファンド1号~4号(日本ファンド)、リアルテックグローバルファンド1号・2号(グローバルファンド)、リアルテックグロースファンド1号(日本ファンド)、およびクロスオーバー・インパクトファンド(日本ファンド)を運用し、運用総額は400億円以上に達しています。社会に必要とされながら資本が流れにくい未踏領域に誰よりも最初に踏み出し、その経済性を証明することで資本や人材が供給され続ける持続的な仕組み創りを目指す、その意志をより一層体現するため、「未踏」を意味する「UntroD」を社名として掲げ、2024年6月に再始動しました。
お問い合わせ先
UntroD Capital Japan株式会社
広報担当:成田
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