AI需要拡大でフラッシュメモリの供給逼迫が長期化、調達・製品戦略の見直しを提言【A.T. カーニー】

HBM・DRAMへの投資シフトでNAND供給が圧迫、中国の増産と次世代フラッシュが今後の需給を左右

KEARNEY

A.T. カーニー株式会社(東京都港区、日本代表:針ヶ谷 武文)は、論考『深刻化するストレージ不足』(英題:The great storage squeeze)を公開しました。

本論考は、AI向けストレージ需要の拡大に加え、半導体メーカーの設備投資が、データ保存用のNANDフラッシュメモリから、AI向けの高速メモリであるHBM・DRAMへシフトしていることが、NANDの供給不足を長期化させる要因になると指摘しています。Kearney PERLabの需給モデルを基に、製品・用途によって異なる影響を整理し、製品構成、調達、ストレージ設計を一体で見直す対応を提言しています。

 

企業向けQLC・TLCと先端の積層世代は、標準シナリオで2030年まで逼迫

NANDの設備投資は、2026年に約5%増の約220億ドルにとどまる一方、DRAMは約14%増の約610億ドルへ拡大する見通しです。本論考は、DRAMとNANDの双方を供給する主要企業が、利益率の高いHBMやDRAMへ投資を振り向けていると説明しています。

Kearney PERLabの標準シナリオでは、企業向けQLC・TLCと先端の積層世代は2030年まで供給が逼迫します。2026~2029年のウエハー需要は年率8~12%増加する一方、供給の増加は年率2~4%にとどまると見込んでいます。主流のクライアント向けTLCでも、2028年の需給緩和は部分的にとどまり、消費者向けの供給には引き続きしわ寄せが及ぶとしています。

中国の増産とHBFの普及が、需給を異なる方向へ動かす可能性

中国の増産は、主流・従来世代のTLCの供給を補う可能性があります。増産分が世界の買い手に届けば、主流製品の需給は早ければ2028年に緩和し得る一方、増産の速度と中国以外の買い手が調達できるかどうかは、供給面で最大の不確実性とされています。

反対に、NANDを用いた高帯域フラッシュ(HBF)が普及すれば、AI向けの高価格帯の需要が生まれ、ウエハーと資本がその領域へ振り向けられる可能性があります。また、企業向けニアラインHDDの不足からQLC SSDへ移っている需要が戻るかどうかも、HDD供給の回復に左右されます。

 

製品別の供給確保と、調達・設計の見直しを一体で進める

供給制約の影響は一様ではありません。高い価格を支払い、早期に購入を確約するAIインフラ向けに供給が優先される一方、消費者・小売向けフラッシュ製品には値上げや欠品が先に表れます。産業制御や自動車向けでは、高信頼性のTLC・pSLC製品の納期が20週間を超え、認定に時間を要するため、短期間で別の世代へ切り替えることも困難だと指摘しています。

本論考は、フラッシュの供給を優先的に確保する製品の選定、SKUの簡素化、複数年契約による調達、階層型ストレージへの再設計、データ削減、セル種別の変更に対応できる設計などを提案しています。再利用では書き込み耐久性と残存寿命の把握が重要とし、政策面では、重要分野のストレージ調達リスクの監視と、信頼できる供給を確保する枠組みを求めています。

論考について

論考名:『深刻化するストレージ不足』(英題:The great storage squeeze)

URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/the-great-storage-squeeze

 

監修者
西川 覚也 シニアパートナー

東京大学工学部卒。特許事務所を経て、A.T. カーニー入社。現在の技術軸に新しい技術軸を足して、需要を創造するM&A戦略、IoTを梃にした新しい価値の創造(ビジネスモデル、オペレーションモデル)を支援。


深川 寛也 プリンシパル

東京大学工学部 ・ 工学系研究科航空宇宙工学修了。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。三菱重工業株式会社で航空機の開発設計・生産技術に従事したのちに、 A.T. カーニーに入社。「日本の製造業を強くする」をミッションに、大手製造業、主に重工・重電・自動車の全社戦略、事業戦略、新規事業策定、M&A戦略、技術戦略、DX支援等のプロジェクトを中心に携わる。

 

A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして、Fortune Global 500企業の4分の3以上をはじめ、世界各国の政府機関に信頼されるパートナーであり続けてきました。世界40カ国以上に拠点を展開し、私たちの最大の強みは「人」にあります。インパクト・ファーストを掲げ、独創的な発想と実行力をもって、顧客企業が直面する最も困難な課題に挑み、変革の実現をともに推進します。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーに、戦略策定から変革の実行まで一貫した支援を提供しています。

 https://www.jp.kearney.com/

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会社概要

A.T. カーニー株式会社

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URL
https://www.jp.kearney.com/
業種
サービス業
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー23階
電話番号
03-6890-5001
代表者名
針ヶ谷 武文
上場
未上場
資本金
-
設立
1926年09月