高齢者の生活支援に「機能音」が効果を発揮
IC、中央大学戸井研究室およびフィートとの共同研究で、記憶や思考に頼らない“音による行動変容”の有効性を実証

株式会社IC (本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:齋藤良二、東証スタンダード:4769)は、中央大学戸井研究室および株式会社フィートと共同で、高齢者の生活支援における「機能音」の可能性を検証する研究を実施し、その成果を2025年春季音響学会にて発表いたしました。
本研究では、人の心理や生理に本能的に働きかける“機能音”が、高齢者に対して記憶や思考に頼らず行動変容を促すという有効性が実証されました。
■研究背景
近年、年齢を重ね、自立した生活が困難となる高齢者が増える中、福祉人材の不足および負担の増大が大きな問題となっています。
本研究では、高齢者の認知機能に着目し、音により行動変容を促進し、規則正しい生活の支援を試みるため、「機能音」が高齢者に行動変容を与える有効性について実証しました。
■<特許取得済み>機能音とは
機能音とは、人の心理や生理に作用するようデザインされた音です。音が「中核症状」と「周辺症状」に働きかける仕組みを活用し、規則正しい生活を促す音を設計しました。この音は、高齢者の自立をサポートすることを目的としています。
■研究成果
今回の実験では、老人ホームの入居者5名を対象に、1日の生活リズムに合わせた機能音(起床・朝食・就寝など)を施設内で再生し、その効果を検証しました。
実験は2つのフェーズに分けて実施しました。
<フェーズ①5週間の反復実験>
・機能音の目的を被験者に伝えない
・本能的な反応による無意識の行動変容が生じるかどうかを確認
<フェーズ②3週間の継続実験>
・機能音が行動に作用することを被験者に伝える
・ただし、どの音がどんな行動に作用するかは伝えない
・音を意識した上での行動の変容について確認
・各機能音がどんな日常行動と紐づけられているかのテストを行う
結果、5名中4名の被験者において、行動変容が促進されたことが確認されました。
また、どの機能音がどんな日常行動と結びつくかを確認する紐づけテストでは、全体的に正答率が低い結果となりました。これは、被験者が音と行動の関連性を意識的に記憶していたのではなく、無意識的・本能的な反応として行動変容が生じていた可能性が考えられます。
以上のことから、機能音は記憶や思考を介さずとも、人の心理・生理に直接作用し、行動変容を促すことが明らかになりました。
■今後の展望
私たちはこの「機能音」の仕組みを、現在、実証活動中の「Picosense(ピコセンス)」においても応用しています。「Picosense」は、最新のAIと音を活用し、ウェルネスな生活を長く送るためのシステムです。
日常生活に自然に取り入れられる音の力で、高齢者の行動を促し、生活の質(QOL)の向上や健康寿命の延伸を目指しています。
今後は、研究で得られた成果を活かしながら、「音」による新たなソリューションとして実社会への実装を進めてまいります。
科学的な根拠に基づいたアプローチで、高齢者ケアの未来を切り拓いていくことが私たちの使命です。
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社IC 事業戦略本部 事業開発部
TEL:03-4335-8191
株式会社IC 会社概要

ICは、1978年に設立。ソフトフェア開発、インフラ設計構築、運用支援までトータルソリューションを提供するITソリューション事業と、自社サービスの開発・提供を行うITサービス事業を展開しています。私たちのポリシーは、できない理由を探すのではなく、お客様の立場にたち、お客様と一緒に「できる方法を考える」こと。これからも、業界業種・規模問わず幅広い企業、お客様と社会に貢献していきます。
● 社名:株式会社IC
● 所在地:〒 108-6207 東京都港区港南二丁目15番3号 品川インターシティC棟7階
● 設立:1978年2月20日
● 公式HP:https://www.ic-net.co.jp/
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