加齢性記憶低下の原因解明へ!~老化に伴うインスリンシグナルの変化が記憶低下を引き起こす~
千葉大学大学院薬学研究院の殿城亜矢子助教と伊藤素行教授の研究グループは、血糖値の調節や代謝の制御を行うインスリンとインスリン依存的な脂肪細胞内のシグナルが記憶の維持に必要であることを明らかにしました。また、インスリンの量は加齢に伴って変化することなどから、加齢性記憶低下の原因解明に役立つことが期待されます。
- 研究の背景
- 研究結果の内容
また、インスリン受容体は筋肉、脂肪組織や神経細胞など様々な組織に発現していますが、その中でも脂肪組織におけるインスリン受容体の発現が記憶の維持に必要であることが分かりました。ショウジョウバエでは、インスリンとインスリンによく似たインスリン様成長因子(IGF)の機能は、Dilp1から Dilp8まで8種でまかなわれており、機能分担しています。本研究により、このうち特にDilp3が記憶の維持に必要であることが明らかとなりました。このDilp3の発現は 老化にともなって特異的に低下することから、老化したショウジョウバエにDilp3を過剰に発現させたとこ ろ記憶が向上することが分かりました。これらのことから、若いショウジョウバエではDilp3と脂肪組織に おけるインスリンシグナルの活性化によって記憶が維持される一方で、老化したショウジョウバエでは Dilp3の発現が低下することで記憶低下が引き起こされていることが明らかになりました(図)。
- 研究結果の意義
<掲載論文と著者> Age-related changes in insulin-like signaling lead to intermediate-term memory impairment in Drosophila. Cell Reports, in press. Kento Tanabe, Motoyuki Itoh and Ayako Tonoki 本研究成果は、2017年2月14日(米国時間)に国際科学誌「Cell Reports」に公開されました。
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