都市だけじゃない!地方で拡大するトランクルーム需要の今とこれから

トランクルームは都市部ならではのニーズと思われがちですが、近年、地方でも注目を集めています。高齢化や住宅のコンパクト化、移住・二拠点生活など地方ならではの社会変化がトランクルーム利用の新たな動機を生み出しているのです。今回は地方におけるトランクルームの需要動向を地域別に分析し、今後の成長可能性を探ります。あなたの住む地域でもトランクルームが新たな生活スタイルを支える存在になっているかもしれません。
都市部と地方で異なる「トランクルーム需要の背景」

トランクルーム需要の背景を理解するには、まず都市部と地方の根本的な違いを把握することが重要です。
都市部における収納課題
まず都市部では住宅の敷地面積が限られがちなことによる収納スペース不足が最大の課題となっています。
マンションやアパートなどの集合住宅が主流であり、その多くは収納スペースが限られています。特に都心部に近づくほど住居の賃料は高騰し、広い住空間を確保することが困難になります。そのため、生活必需品以外の衣類、趣味の道具、季節用品などを収納しきれず、結果としてトランクルームの利用を検討するケースが多く見られます。
物理的にモノを置く場所が不足しているため、必要最低限のものにしぼっても自宅の収納スペースにおさまりきらないケースも多々あり、トランクルームが生活に必要なモノを確保・収納する上でなくてはならない状況が多く見られます。
また、家賃を抑えてコンパクトな住居に住み、収納スペース不足をトランクルームで補う活用方法も人気です。
地方における収納課題
地方では住宅面積に余裕があることが多く、物理的な収納不足よりも「管理」や「活用」の課題が前面に出てきます。
例えば、長い期間暮らした家は年々荷物も増え、「あまり使わないけれど捨てられないモノ」が家の中に多くあり、快適な生活を妨げる要因となっている場合はよくあることです。この問題解決の手段として、トランクルームは便利に活用されています。
また、大きな古民家を相続したものの、全ての部屋を有効活用できない状態になってしまい、すぐに使わないけれど保管しておきたいものをトランクルームに収納し、空いた部屋を有効活用するケースや、冬場の除雪用具や農機具など季節性の強い道具類の保管場所として活用するケースが多くあります。
地方特有の要因として、地域コミュニティの変化も見逃せません。かつては、地域における「助け合い」の精神が強く、近所同士でモノを共有・貸し借りしたり、置き場所を提供してもらったりする文化が根付いていました。しかし、現代は地方においても核家族化や過疎化の進行により、そうした互助システムが機能しにくくなっています。その結果、個人・世帯単位でのモノを管理する必要性が高まり、トランクルーム需要の底上げにつながっているのです。
トランクルームはセキュリティが確保された環境で、必要な時にいつでもアクセスできるという利便性があり、安全かつ確実にモノを保管したいというニーズに応えるサービスとなっています。
さらに、地方では「家を広く使いたい」という積極的な動機でトランクルームを利用する層も増えています。在宅勤務の普及により自宅にワークスペースを確保したい、趣味の部屋を作りたい、親の介護のために部屋を空けたいといった理由で、使用頻度の低いモノをトランクルームに移すという使い方が広がっています。
地方で特に顕著な高齢化による影響

高齢化の影響を受けた暮らし方の変化により収納のあり方も変わってきています。その中で、トランクルームを活用したいというさまざまなニーズが生まれています。
地方では特に、高齢化・過疎化が進む地域や、子供・孫世代が都市部に住み高齢の親世代が地方に残る場合が多く、高齢者対応がトランクルームを利用するきっかけになっている場合が多く見られます。
その背景として、子供・孫世代が自宅を引き続き使うわけではないからこそトランクルームを利用したいというケースが多いため、地方でのニーズが高まる要因ともなっています。
高齢者対応に伴うトランクルーム利用には、実にさまざまなものがあります。
1. 高齢者が暮らしやすく自宅を管理しやすいコンパクトな住宅への住み替え
高齢になってくると、特に昔ながらの広々とした家に住んでいる場合など、自宅のメンテナンスが大変になってきます。日々の清掃はもちろん、例えば電球が切れた時の交換や自宅の老朽化・故障した部分の修繕など、高齢者には大変な作業であったり、高齢者だからこそ危険が伴う場合もあります。
そんな中で、こじんまりと暮らせて自宅の管理がしやすいコンパクトな住宅に住み替える方が増えています。マンション・アパートなど近隣住人の目が届きやすい・助けを求めたり異変をキャッチしてもらいやすいこともメリットです。
しかし、住み替え先の収納スペースに、それまで住んでいた家の荷物を収納するのはかなり難しい場合が多く、かといって収納スペースにおさまるまでモノを減らすのも現実的に難しいものです。だからこそ、トランクルームを使って生活必需品以外のものを収納しておきたいというニーズが多いようです。
2. 自宅のバリアフリー化
自宅に住み続ける場合でも、高齢者が暮らしやすい自宅環境にするため、リフォームをしたり、介護がしやすいベッドを利用したり、安全に動けるゆとりある動線となるよう家具や荷物の配置を工夫する方が多く見られます。
それに伴い、自宅の荷物を減らし広々と部屋を使う・障害物をなくすことが必要になってきます。
そのため、自宅荷物を整理し使用頻度の低いものをトランクルームに収納しておきたいというニーズが高まっています。
3. 高齢者向け住宅・福祉施設への入居
高齢者のケアを考えた高齢者向け住宅や福祉施設への入居に伴い、荷物をトランクルームに預けて元々の家から退去したり、部屋を片付けて別の用途に利用するニーズも多くあります。もちろん、入居先は収納スペースが限られる場合が非常に多いです。
それまでの家に戻ってくることもありますが、介護や病気治療の必要性から、そのまま自宅には戻れない場合も多くあります。
そのため、荷物を整理してトランクルームにまとめ、必要となった場合に取り出す方が多いようです。
4. 生前整理・遺品整理・実家じまい
近年は、いわゆる「終活」として生前整理をする方が増えています。自分の荷物を整理して取捨選択・最低限のものだけにするとともに、親族などに残したいものを託す場合もあります。
生前整理におけるトランクルームの利用としては、今後も持っておくもの・引き継ぐものの保管、処分予定のものの一時保管、そしてこれから整理していくものの一時保管など、さまざまなシーンで便利に活用されています。
同様に、遺品整理や実家じまいに伴う荷物の保管にもトランクルームが役立っています。
地方別に見るトランクルームの現状と特徴
地方におけるトランクルームの需要について考える中で注目したいのは、各地方による暮らし方の違いと収納ニーズです。今回は、関東以外の地方にスポットをあて、詳しく見ていきましょう。
北海道・東北地方の収納ニーズ

北海道や東北地方では、厳しい冬の気候がトランクルーム需要の大きな要因となっています。
除雪用のスコップやスノーダンプ、冬タイヤ、スキー用品、暖房器具など、季節ものの道具類の収納ニーズが非常に高いのが特徴です。
これらの地域では、屋外型のコンテナタイプトランクルームが比較的多く設置されており、車でアクセスしやすい立地が重視されています。
また、農業や漁業が盛んな地域では、農機具や漁具の保管場所としての需要も見られます。個人農家や小規模事業者が、使用頻度の低い機材をトランクルームに保管することで、作業場所をより効率的に活用するケースが増えています。
北海道では特に、移住者や二拠点生活者からの需要も多く、北海道での生活用品を保管する拠点として便利に活用されています。
北陸・甲信越地方の収納ニーズ

北陸地方や甲信越地域では、雪国特有の収納問題に加えて、古民家活用の一環としてのトランクルーム需要が特徴的です。伝統的な建築物を保有する家庭では、建物の価値を保持しながら現代的な生活を送るため、使用頻度の低い家財をトランクルームに移すケースが見られます。
この地域では高齢化が他の地域より進行している傾向があり、終活や生前整理の一環としてトランクルームを利用する高齢者も増加しています。大切な思い出の品や季節の装飾品などを、子世代に負担をかけずに整理・保管する手段として、トランクルームが選ばれているのです。
また、温泉地や観光地が多いこの地域では、宿泊業や飲食業を営む事業者が、季節営業に合わせてトランクルームを活用するケースも見られ、地域密着型のトランクルーム事業者との連携が進んでいます。
関西・中部地方の収納ニーズ

関西や中部地方の地方都市では、名古屋や大阪などの大都市圏に近い地域ほど、都市部に近い需要パターンを示す傾向があります。特に、ベッドタウンとして発展した郊外住宅地では、「家を広く使いたい」という目的でトランクルームを利用する世帯が増えています。
この地域では、比較的新しい住宅地が多いため、最新のセキュリティシステムや空調設備を完備したトランクルームの需要が多いという特徴があります。貴重品や電子機器、書籍、衣類など、自宅のクローゼットの延長として活用でき、保管環境に配慮が必要なアイテムの収納に対応した屋内型のトランクルームが人気です。
また、製造業が盛んな地域では、中小企業や個人事業主が書類や試作品、工具類の保管場所としてトランクルームを活用するケースも多く見られます。オフィスや工場のスペースを有効活用するための外部倉庫として、ビジネス利用の需要が着実に拡大しています。
中国・四国地方の収納ニーズ

中国・四国地方では、住宅の敷地面積は比較的広いものの、建物の維持管理負担を軽減したいという理由でトランクルームを利用するケースが特徴的です。大きな家屋を持ちながらも、全ての部屋を暖房・冷房することの経済的負担や、掃除・管理の手間を考慮して、使用頻度の低い部屋の荷物をトランクルームに移すという利用パターンが見られます。
高齢の居住者がコンパクトな住宅に住み替える際の旧住居の荷物を収納するスペースとしても活用されています。
またこの地域では、ミニマルライフスタイルに関心を持つ若年層からの注目も徐々に高まっています。地方移住を検討する都市部出身者や、Uターン・Iターンで戻ってきた若い世代が多い地域で、シンプルな暮らしを実現するためのツールとしてトランクルームを活用しているのです。
また、瀬戸内海の島嶼部では、限られたスペースを有効活用するためのトランクルーム需要も存在します。離島特有の物流コストの高さから、必要最小限のモノで生活したいというニーズと、それでも保管しておきたいモノがあるという矛盾を解決する手段として、トランクルームが注目されています。
九州・沖縄地方の収納ニーズ

九州・沖縄地方では、台風などの自然災害対策としてトランクルームを利用するケースが他の地域と比べて特徴的です。防災備蓄などを自宅とは別の安全な場所に保管することで、災害リスクを分散させる目的での利用が見られます。
特に沖縄県では、塩害による金属製品の劣化や、高温多湿による衣類・書籍の保管問題があり、適切な環境制御ができるトランクルーム施設への需要が高まっています。また、米軍基地関連の転勤が多い地域特性から、一時的な荷物保管のニーズも恒常的に存在します。
【各地方でのトランクルーム利用に関する特徴的な収納ニーズ】

各地方で特徴的だった収納ニーズをピックアップしてまとめてみると、暮らし方や社会的背景が、トランクルームを活用するニーズに大きな影響を及ぼしていることがわかります。地域の気候や文化に根ざした多様なニーズが顕在化している結果ともいえるでしょう。
もちろん、これらのニーズは特有の地方だけでしか見られないものではなく、例えば高齢者対応・防災対策・ミニマルライフスタイルの実現など、全国的・潜在的なニーズとして今後の利用が増えていく可能性もあります。
地方では「自宅の収納スペース不足の解消ニーズ」は都市部ほど多くない印象はあるものの、逆に、地方だからこそ多いニーズも存在します。そのため、地方における今後のトランクルーム事業の成長は、ぜひ注目したいポイントなのです。
地方における「新たな利用スタイル」と可能性
地方でのトランクルーム利用は、従来の個人の収納不足解決という枠を超えて、多様な形態に発展しています。具体的な4つの事例を詳しくみていきましょう。
スモールビジネスの商品・備品の保管拠点としての需要
スモールビジネス、特にネット通販事業者やハンドメイド商品の販売者などが、商品在庫・備品・材料などの保管拠点としてトランクルームを利用するケースが増えています。自宅で商品を保管することが難しい場合にもトランクルームなら安心の保管環境を確保でき、コストパフォーマンスよく事業を展開する手段として重宝されているのです。
リモートワークの普及と地方移住ブームに応じた需要
2020年から2023年にかけてのいわゆるコロナ禍の中で、リモートワークが急速に普及し、都市部での仕事を継続しながら、生活の質の向上を求めて地方に暮らすことが実現可能になってきました。
国や地方自治体としても新しい働き方・暮らし方として地方に住むことを推進したり、移住時の補助金が出るケースなども見られます。実際、2020年度における東京都から他地域への転出者数が41万人にのぼるなど、地方移住は非常に増えています。
この地方移住ブームは、トランクルーム需要に新たな影響を与えています。都市部と地方を行き来する二拠点生活者にとって、トランクルームは「中継拠点」としての役割を果たします。例えば、都市部で過ごす際に手近に置いておきたい衣類・生活用品・仕事道具などの預け先として、トランクルームが戦略的に活用されているのです。
建替・リフォーム時の一時的な荷物保管需要
建て替えやリフォーム時の一時的な荷物保管需要も、地方で顕在化している新しいニーズの一つです。都市部では賃貸住宅への仮住まいが一般的ですが、地方では持ち家率が高く、リフォーム期間中の荷物保管場所の確保が課題となるケースが多いのです。地域の工務店や建設会社との連携により、リフォームパッケージの一部としてトランクルームサービスが提供される例も見られるようになっています。
高齢者が安心して生活できるようにするための需要
地方におけるトランクルーム需要には、コンパクトな住宅への引越しや自宅のバリアフリー化、生前整理など、高齢者に関連するものが多くありました。
そのため、高齢者の見守りサービスとの連携も新たな可能性として浮上しています。定期的にトランクルームを利用する高齢者の安否確認や、生前整理・遺品整理サービスとの連携など、地域密着型のサービス展開が模索されています。
今後の地方トランクルーム市場の成長可能性
地方における暮らし方や社会的背景に対応して、地方でのトランクルームサービスはめざましい発展を見せています。現在のトレンドや今後期待される展開について見ていきましょう。
空き家を活用したトランクルームの増加
地方において増加する空き家・空き物件を活用して、低コストでトランクルーム事業を展開する例が各地で見られるようになっています。既存の建物を活用することで初期投資を抑制でき、地域の景観保持にも貢献するこの手法は、自治体からの支援を受けやすいという利点もあります。
自治体と連携したサービス展開
自治体との連携による公共性の高いトランクルームサービスの展開も、今後の成長要因として期待されています。災害時の避難用品保管庫としての機能や、地域イベント用品の共同保管場所としての活用など、公共的な役割を担うトランクルーム施設の需要が高まりつつあります。
地方滞在時の短期利用サービス展開
観光地での短期利用サービスも、地方特有の成長機会です。キャンプ用品やスキー用具など、旅行者が現地で調達した道具類の一時保管サービスや、リピーター向けの年間保管サービスなど、観光業と連携した新しいビジネスモデルが生まれています。
また、リモートワークの普及で地方移住だけでなく地方長期滞在のワーケーションも人気が高く、ホテルなどの滞在先を広々と保ちつつも、仕事道具や生活用品を保管する場所としてトランクルームの一時利用のニーズが高まっています。
まとめ:地方ならではのニーズに呼応するトランクルーム
今回は、地方におけるトランクルームの需要動向と今後の展望についてお話しました。
トランクルームは、地方において各地域の気候条件や暮らし方に応じた多様な需要が生まれており、単なる収納不足の解決策を超えた価値を提供するサービスとして発展しています。地方ならではのニーズに応えるサービス展開が、今後の成長の鍵となるでしょう。
トランクルームは地方の問題解決にも役立っています。空き家活用、自治体連携、高齢者対応など、地域社会に貢献するサービスとしての可能性が広がっています。
地方ならではの特性に呼応したサービス展開により、トランクルームは今後、地方において更なる成長を続けていくことが期待されています。
調査対象:トランクルーム市場調査
調査方法:自社による集計
調査機関:自社調査
■会社概要
社名 :株式会社アンビシャス( https://www.ambitious8.biz/ ;)
所在地 :〒542-0081 大阪市中央区南船場1丁目3-5 リプロ南船場8F
代表者 :代表取締役社長 徳永 暢也
資本金 :4,000万円
設立 :創業:平成17年10月28日、設立:平成18年7月25日
事業内容:トランクルーム投資「収納ピット」FC本部の運営
運営サービス「収納ピット」(https://www.syuno-pit.biz/)
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