マンダム、ヒトの汗腺幹細胞を発見し、生体外での汗腺様構造体の再生に成功~次世代制汗剤の開発を目指して~
ヒトの発汗機能の再生に関する研究報告
株式会社マンダムは、先端化粧品科学共同研究講座(大阪大学大学院薬学研究科とマンダムとの共同研究講座)において、発汗機能の再生に関する研究を行いました。ヒト皮膚組織(倫理審査承認済み)から汗腺細胞の単離する方法を確立し、単離した汗腺細胞の中から汗腺幹細胞を発見。さらに、その汗腺幹細胞を用いて生体外における汗腺様構造体の再生にも成功しました。今後の高機能なデオドラント剤の開発にとって有用な知見を得られましたので、ご報告いたします。
株式会社マンダム(本社:大阪市、社長執行役員:西村元延、以下マンダム)は、先端化粧品科学共同研究講座(大阪大学大学院薬学研究科とマンダムとの共同研究講座)において、発汗制御に繋がる次世代のデオドラント剤創出に向けた基盤技術の研究開発に取り組んでいます。
今回、大阪大学の蛋白質研究所、医学系研究科、薬学研究科と共同で、発汗機能の再生に関する研究を行いました。
これまでの研究により、ヒトの表皮や毛包等には幹細胞が存在し、各々の機能の維持に貢献していることが明らかになっています。しかし、ヒト汗腺においては、幹細胞の存在を証明するために必要な汗腺細胞の単離方法が確立されていなかったため、汗腺に幹細胞が存在しているかは明らかになっていませんでした。
そこで我々は、まずヒト皮膚組織(倫理審査承認済み)から汗腺細胞の単離方法の確立に着手し、精度よく標識できるマーカーを特定できたことにより、単離に成功しました。加えて、単離した汗腺細胞の中から汗腺幹細胞を発見し、さらに、その汗腺幹細胞を用いて生体外における汗腺様構造体の再生にも成功しました。これらの成果は、汗腺の発汗機能の評価につながり、これまでは汗腺にフタをする機能が中心であった制汗剤のカテゴリーに、汗腺に直接作用することで「汗の量や質を改善する」といったような新たな機能の提案が可能となります。
なお、この研究成果は、2016 年10 月30 日~11 月2 日にアメリカ合衆国で開催される「第29回国際化粧品技術者会(IFSCC)オーランド大会」において発表する予定です。
1.ヒト皮膚組織から汗腺細胞を単離する方法を確立
汗腺の発汗機構は古くから研究が進められてきました。近年、目覚ましい進歩を遂げている再生医療の技術を応用した汗腺の再生が、汗腺特有の疾患の治療において注目され始めています。今回、我々は生活者の発汗異常による悩み(多汗や汗臭)の解決に向けて、汗腺の再生による、発汗機能の正常化に着目しました。そこで、まず汗腺のどの部分に幹細胞が存在するのかを解明する為に、ヒト汗腺を構成している4 つ細胞集団を、別々に純度良く単離
する方法について検討しました。
ヒト汗腺は、汗の通り道である汗管と、汗が分泌される分泌腺に分けられ、汗管は汗管管腔細胞と基底層細胞から、分泌腺は管腔細胞と筋上皮細胞からできており(図1)、それらの細胞集団を、精度よく標識(試薬によって見分けが付くように検出)できるマーカー(αSMA、Keratin8、S100P、S100A2)を特定することに成功しました。(図2)
これにより、ヒト汗腺の分泌腺における管腔細胞と筋上皮細胞の2 つの細胞を、純度よく単離する方法が確立できました(図3)。この方法は、汗腺幹細胞の解析だけでなく、様々な汗腺の研究に応用できると考えています。
2.汗腺の機能を維持する汗腺幹細胞を発見
確立した汗腺細胞の単離方法を利用して、汗腺を構成する細胞のうち、どの集団が汗腺幹細胞なのかを検証しました。幹細胞の証明には、幹細胞としての特徴である自己複製能(細胞が何回も繰り返し増殖する能力)と多分化能(異なる細胞へと変化することができる能力)をその細胞が有しているかどうかで判断します。ヒト皮膚組織から単離した筋上皮細胞、管腔細胞などの汗腺細胞を、それぞれ生体外で培養することによって、自己複製能と多分化能を有するかどうかを評価したところ、筋上皮細胞がそれらを有していることが分かりました。これにより、汗腺の中にある筋上皮細胞が幹細胞であることが判明しました(図4)。
3.汗腺の幹細胞から汗腺様の構造体の再生に成功
筋上皮細胞から形成された細胞塊の断面像を、αSMAとKeratin8 を用いて観察したところ、細胞塊の外側にαSMA(筋上皮細胞のマーカー)が、内側にはKeratin8(管腔細胞マーカー)がそれぞれ陽性の反応を示しました。これらにより、細胞塊の外側には筋上皮細胞が、内側には管腔細胞がそれぞれ形成されていることが判明しました。よって、筋上皮細胞から形成されたこの細胞塊は、汗腺様の構造体を形成していることが明らかとなりました。(図5)
今後は、この汗腺様の構造体を利用して、汗腺の発汗機能の解析を行っていきます。
今回、大阪大学の蛋白質研究所、医学系研究科、薬学研究科と共同で、発汗機能の再生に関する研究を行いました。
これまでの研究により、ヒトの表皮や毛包等には幹細胞が存在し、各々の機能の維持に貢献していることが明らかになっています。しかし、ヒト汗腺においては、幹細胞の存在を証明するために必要な汗腺細胞の単離方法が確立されていなかったため、汗腺に幹細胞が存在しているかは明らかになっていませんでした。
そこで我々は、まずヒト皮膚組織(倫理審査承認済み)から汗腺細胞の単離方法の確立に着手し、精度よく標識できるマーカーを特定できたことにより、単離に成功しました。加えて、単離した汗腺細胞の中から汗腺幹細胞を発見し、さらに、その汗腺幹細胞を用いて生体外における汗腺様構造体の再生にも成功しました。これらの成果は、汗腺の発汗機能の評価につながり、これまでは汗腺にフタをする機能が中心であった制汗剤のカテゴリーに、汗腺に直接作用することで「汗の量や質を改善する」といったような新たな機能の提案が可能となります。
なお、この研究成果は、2016 年10 月30 日~11 月2 日にアメリカ合衆国で開催される「第29回国際化粧品技術者会(IFSCC)オーランド大会」において発表する予定です。
1.ヒト皮膚組織から汗腺細胞を単離する方法を確立
汗腺の発汗機構は古くから研究が進められてきました。近年、目覚ましい進歩を遂げている再生医療の技術を応用した汗腺の再生が、汗腺特有の疾患の治療において注目され始めています。今回、我々は生活者の発汗異常による悩み(多汗や汗臭)の解決に向けて、汗腺の再生による、発汗機能の正常化に着目しました。そこで、まず汗腺のどの部分に幹細胞が存在するのかを解明する為に、ヒト汗腺を構成している4 つ細胞集団を、別々に純度良く単離
する方法について検討しました。
ヒト汗腺は、汗の通り道である汗管と、汗が分泌される分泌腺に分けられ、汗管は汗管管腔細胞と基底層細胞から、分泌腺は管腔細胞と筋上皮細胞からできており(図1)、それらの細胞集団を、精度よく標識(試薬によって見分けが付くように検出)できるマーカー(αSMA、Keratin8、S100P、S100A2)を特定することに成功しました。(図2)
これにより、ヒト汗腺の分泌腺における管腔細胞と筋上皮細胞の2 つの細胞を、純度よく単離する方法が確立できました(図3)。この方法は、汗腺幹細胞の解析だけでなく、様々な汗腺の研究に応用できると考えています。
2.汗腺の機能を維持する汗腺幹細胞を発見
確立した汗腺細胞の単離方法を利用して、汗腺を構成する細胞のうち、どの集団が汗腺幹細胞なのかを検証しました。幹細胞の証明には、幹細胞としての特徴である自己複製能(細胞が何回も繰り返し増殖する能力)と多分化能(異なる細胞へと変化することができる能力)をその細胞が有しているかどうかで判断します。ヒト皮膚組織から単離した筋上皮細胞、管腔細胞などの汗腺細胞を、それぞれ生体外で培養することによって、自己複製能と多分化能を有するかどうかを評価したところ、筋上皮細胞がそれらを有していることが分かりました。これにより、汗腺の中にある筋上皮細胞が幹細胞であることが判明しました(図4)。
3.汗腺の幹細胞から汗腺様の構造体の再生に成功
筋上皮細胞から形成された細胞塊の断面像を、αSMAとKeratin8 を用いて観察したところ、細胞塊の外側にαSMA(筋上皮細胞のマーカー)が、内側にはKeratin8(管腔細胞マーカー)がそれぞれ陽性の反応を示しました。これらにより、細胞塊の外側には筋上皮細胞が、内側には管腔細胞がそれぞれ形成されていることが判明しました。よって、筋上皮細胞から形成されたこの細胞塊は、汗腺様の構造体を形成していることが明らかとなりました。(図5)
今後は、この汗腺様の構造体を利用して、汗腺の発汗機能の解析を行っていきます。
マンダムは、今後も生活者視点での効果・実感を徹底的に追求し、生活者満足を実現するために、効果の高い制汗剤の開発を行っていきます。
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