2030年までに世界の再生可能エネルギーを3倍に-困難だが達成可能で、ネットゼロ達成には必須

ブルームバーグ エル・ピー

• 世界の再生可能エネルギーを2030年までに3倍に増やすことをCOP28議長国が提言。これは、ブルームバーグNEFの分析に基づくネットゼロの軌道に乗るために必要な10.5テラワットの増加に相当する
• BNEFの予測では、太陽光発電は2030年までに必要な軌道に乗っているが、風力発電と蓄電池はさらに導入を増やすための取り組みが不可欠

【ロンドン、2023年11月21日】-世界の指導者たちは、2030年までに世界の再生可能エネルギー導入容量を3倍にすべく、機運を高めています。これは2030年までに再生可能エネルギーの発電容量を11テラワット増加することに相当します。この目標は、今月アラブ首長国連邦で開催される国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)において、議長国が国際的な合意を目指す中で注目を集めるでしょう。ブルームバーグNEF(BNEF)が本日発表した分析に基づくと、当公約案は2050年までに全世界でネットゼロを実現するための軌道、そしてパリ協定の各種目標の達成に欠かせない取り組みと一致しています。


図1:世界の再生可能エネルギー発電容量

BNEFの今回のリポート、『2030年までに世界の再生可能エネルギーを3倍に-困難で迅速さが求められるが達成可能』に記載されている通り、前回は再生可能エネルギーの発電容量を3倍にするのに2010年から2022年までと12年かかりましたが、今回は8年間で実現せねばならず、あらゆる取り組みを結集して世界各地のボトルネックを取り除く必要があります。BNEFの予測は、現在のテクノロジーの経済性やトレンド、開発中のプロジェクト、政策に基づいた導入量を反映したものですが、風力発電と太陽光発電は今や多くの国で最も安価な再生可能エネルギー源となっているにもかかわらず、現時点の導入状況はこの予想を下回っています。


BNEFの予測によると、太陽光発電についてはこの3倍増加の目標を達成できる可能性が高い一方で、風力発電では官民が結束して導入を増やす必要があります。また適切な構成で発電容量を拡大することが肝心です。太陽光発電に過度に依存することで再生可能エネルギー発電容量を3倍に増やして脱炭素化を急速に目指しても、適切な構成で実現した場合と比べて、発電量増加と排出量削減のどちらにとっても影響力が限られるでしょう。


BNEFの太陽光発電スペシャリスト、ジェニー・チェイスの見解:「太陽光発電は安価で簡便なため、世界の再生可能エネルギーは太陽光だけで3倍に増やせるかもしれません。しかし、他の再生可能エネルギーが後れを取ったままにしておくと、気候変動による影響にとっては好ましくない結果となるでしょう」


なぜなら、風力発電は、太陽光発電とは発電される時間帯が異なり、冬には発電量が太陽光よりも多く、全体的な設備利用率がより高いためです。また日射条件よりも風況が勝っているという地域が北欧をはじめとして世界各地にあります。


図2:再生可能エネルギーの導入のためのソリューション

出所:ブルームバーグNEF


ブルームバーグNEFのネットゼロ・シナリオは、地球温暖化を摂氏2度未満に抑えつつ2050年までに排出量ネットゼロを目指す道筋を示すものです。ここでは、仮にエネルギー転換が全く行われないとする道筋と比較すると、再生可能エネルギーが2030年までに排出削減量全体の62%に寄与すると予想しています。産業や道路輸送といったエンドユーザーを対象とする各種部門の電化は、それとは別に排出削減量全体の15%に寄与するとみられます。


必要な取り組みを進めるためには、COP28での公約案を基に、再生可能エネルギー開発業者が直面するアクセスの障壁を取り除いたり、入札競争を可能にしたり、企業の電力購入契約を奨励したりすることが求められます。各国政府はまた、電力系統に投資し、プロジェクトの許認可手続きを簡素化するほか、新規の発電を活用できる柔軟な電力システムが奨励される電力市場・アンシラリーサービス市場の機能を確保する必要があります。


BNEFのクリーンエネルギー電力部門統括で本リポートの共同執筆者、メレディス・アネックスの見解:「再生可能エネルギーは今では低コスト化しており、導入の加速に必要なのはもはや直接的な補助金ではありません。電力業界が軌道に乗るために各国政府や各国規制当局が手助けできる時間は限られています」


この世界全体の目標に向けた貢献の仕方は、各国で異なるでしょう。中国、米国、欧州など、早くから再生可能エネルギーを導入した市場では、発電容量3倍を目指してネットゼロへの軌道に乗るのが適切ですが、南アジアや東南アジア、中東、アフリカなど、特に再生可能エネルギーの割合が低く、電力需要の伸びが高い市場では、2030年までに3倍以上の発電容量が必要となるでしょう。これらの市場では、エネルギーを移行するためのみならず、エネルギーアクセスを何百万もの人々へ拡大するためにも、安価な再生可能エネルギーの活用が必須です。また、ブラジルのように、すでに発電量の大半が再生可能エネルギーや低炭素電源となっている市場もあります。そのような国では世界規模で発電容量を3倍にすることへの貢献度が低くなる可能性があります。とはいえ、再生可能エネルギーをさらに取り入れることは、産業、建物、運輸、農業部門における脱炭素化を推進し、電力部門の排出量全体の残りの10-30%分に対応するのに依然として不可欠になるでしょう。


リポート全文は、https://assets.bbhub.io/professional/sites/24/BNEF_2023-11-21_triplingrenewables_Final.pdf (英語)をご参照ください。

 

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未上場
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設立
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