スタジオジブリが初めて手掛けた観光動画『風になって、遊ぼう。』公開2週間で約30万回再生に到達
~人気の秘密は、クリエイター陣の「3つの思い」~
<「風になって、遊ぼう。」特設サイト>
https://www.aichi-now.jp/kaze/
この作品は、スタジオジブリが初めて手掛けた観光動画。愛知県内の観光スポットを単に紙芝居的に見せるのではなく、主人公の少女が「風になって」県内各地を駆け巡るストーリー仕立ての構成になっています。
ジブリ作品に通底する、風や飛翔、走る喜びや、歴史を感じるノスタルジーを巧みに織り込んだ構成に加え、映像や音楽とのシナジーも相まって、公開直後から、YouTube上では好意的な反応が続出。2月10日(木)午後2時現在、6千件を超える高評価と300件以上のコメントが寄せられています。
本リリースでは、この作品の制作に携わったクリエイター陣の思いをご紹介するとともに、YouTube上で本作品を観た方々のコメントを振り返ります。
思いその① スタジオジブリのキャラクターを登場させることなく、「実写」で作品を作る |
本作品は、全編を通して愛知県内で撮影を行った実写作品。これについて、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、1月27日(木)に開催されたメディア向け発表会で、「(ジブリが)アニメーションでないものを手掛けるのは、非常に珍しい」と語っています。
実写映像で、ジブリの作品世界がしっかり表現される作品を――。この難題を託されたのが、中川龍太郎監督。かねてから中川監督の才能を評価していた鈴木プロデューサーが抜擢しました。鈴木プロデューサーはその理由を「性格が宮崎駿にそっくり。その感性、やることなすこと、非常にそっくり(だから)」と説明しています。
中川監督は、この難題を「スタジオジブリの素晴らしい作品たちが表現してきた、疾走感や冒険への憧れを表現する『挑戦』」(本人コメント)と受け止め、制作をスタート。ジブリの作品世界に通じるロケ地を探すため、この種のショートムービーでは異例となる、通算10日以上に及ぶロケハンを愛知県内で実施しました。
さらに、ジブリ作品では、「走る喜び」「疾走感」も重要な要素。中川監督は、出演者の「走り方」にもこだわり、オーディション参加者に実際に走ってもらう選考を重ねて、ぴったりの逸材を見つけだしました。
YouTube上のコメントを見ると、これらのこだわりが作品を観た方々にしっかりと伝わっていることがわかります。
【YouTube上のコメント】 ○ アニメだけじゃなく映像もワクワクするってほんとジブリマジック ○ 凄い、もうこれだけで実写版トトロじゃん! ○ 愛知の色々知ってる場所なのに、ジブリの世界観に合っていて凄いと思う。それぞれの場所が、映画の一場面とリンクして見える。 ○ すごい!ジブリに実際に出てきそうなところばっかり!! ○ 女の子の脚力でらやべぇ ○ 女の子の走り方すごくいいな 軽やかでワクワクする |
思いその② 重要なキーワードとなっている「風」をどう表現するか |
冒頭でご紹介したとおり、本作品は「風や飛翔、走る喜びや、歴史を感じるノスタルジー」がキーワードとなっていますが、中でも「風」は作品タイトルにも含まれる最重要ワードです。「風」を如何に表現するか、本作品へのクリエイター陣の思いは、この命題に向かってボルテージを高めていきますが、中川監督のもと、映像と音楽が見事にそれを描き切りました。
本作品では、「風」や「疾走感」を表現するため、ドローンによる映像を多用することになり、そこで白羽の矢が立ったのが、Ussiy氏。YouTubeを中心に活躍する新進気鋭の映像クリエイターで、映画界との仕事は皆無でしたが、新世代の才能はその垣根を越えて、まるでアニメーション映画を観ているような映像を生み出しました。
Ussiy氏本人は、本作品のメイキング映像の中で、映画界で活躍してきたクリエイターたちと仕事をすることについて「ちょっとの不安と、話についていけない場面もあった」と正直に吐露していますが、見事に、期待に応える撮影と編集を成し遂げたのです。その撮影の真髄は、「自分自身がジブリ作品の『風』や『疾走感』を感じさせる『何か』になったつもりで、撮影や空撮を行った」という本人のコメントに凝縮されます。この「なりきり」感が作品を観た方々に伝わったことが、YouTube上のコメントからも読み取れます。
さらに、音楽の効果も絶大。本作品の音楽は、映画『モテキ』(第35回日本アカデミー賞優秀音楽賞)やNetflix『全裸監督』シリーズなどで注目すべき実績を積み上げてきた作曲家・岩崎太整氏が担当。岩崎氏は、本作品に携わるにあたり、「中心にあるのは『ジブリの風』。皆に共通していたのがこのイメージでした」(本人コメント)と狙いを定め、「風」を意識した曲作りに取り掛かります。しかし、実際に作業を始めてみると、「『彫刻はあらかじめ石の中にその形を内包している』という言葉がありますが、(本作品の)作曲を進めるうちに、自然とその様な不思議な感覚に満たされました。風に導かれるままに作った、といえば、本当にそうなのかもしれません」(同)という結果に。まさに、映像と音楽が一体となった瞬間を私たちに見せてくれました。
このことについては、前述のメイキング映像の中でUssiy氏が興味深いコメントをしています。すなわち、本作品は、通常のSNS向け動画と異なり、音楽先行ではなく、映像先行で編集が行われたということ。岩崎氏は、Ussiy氏による「自分自身がジブリ作品の『風』や『疾走感』を感じさせる『何か』になったつもり」の映像に合わせる形で、曲作りを進め、演奏を率いました。このことが、岩崎氏の感性や技量と化学反応を起こし、「風に導かれるままに作った」という境地に達せしめたと言えそうです。YouTube上では、音楽と演奏への賛辞も見て取れます。
【YouTube上のコメント】 ○ 少女が走り出した瞬間、カメラの視点がまるで風になったような気持ちにさせてくれた。 ○ カメラワークのおかげで臨場感が本当に凄すぎるし、現実世界なのにジブリの中に入ってるみたいだなって思ってたらメイとサツキの家(原文ママ)が出てきて鳥肌立ちました…。 ○ 風に乗って、豊かな自然と暮らす人々の気配や歴史を感じながら旅している様で、心地よく、この土地を大切にしたいなぁ、と胸に迫るものがありました。商業的じゃなく、物語を展開させるPR動画…流石です。 ○ 音楽で一気にジブリの世界観素敵! ○ 流れてる曲が、過去のジブリ作品を思い出させてくれて、気づいたら全部見てました。 ○ 絶対ヘッドセットして観るべき作品。音響くっそいい |
思いその③ ロケ地である愛知県の風土と愛知県民への思い |
クリエイター陣は、本作品により、「愛知県を観光通過地点から観光目的地にする」ことを意図していました。たしかに、愛知県は「ものづくり県=工業県」としてのイメージが強く、工業と観光は相容れないという潜在意識が影響して、観光旅行の行き先として選ばれることは少ないかもしれません。
しかし、いまや観光の潮流は、現地の景色や味覚に触れるだけではなく、その暮らしや文化、人との交わりを「体感」するというスタイルに。陶器・陶磁器から繊維、自動車、航空機・ロケットまで、製造品出荷額等が40年以上に渡り日本一を続ける愛知県のものづくりも、太古以来の陶土、戦国時代と名古屋城築城を経た木材加工とからくり技術の集積、そして偉大な発明家・起業家の誕生といった、地理的・歴史的・人文的な絡み合いがもたらした偉大なる文化です。そして、その文化を育んできた、海も山も離島もある豊かな自然――。愛知県は、ジブリ作品に登場するような自然の宝庫であることを、本作品は気づかせてくれます。
こうして作り上げた作品に対し、中川監督は「この作品を通して多くの方に愛知県やジブリパークに来ていただきたい」(本人コメント)と話し、映像ディレクターのUssiy氏も「この作品を見て1人でも多くの人が、愛知県を訪れるキッカケになれば嬉しいです」(同)とコメント。この2人の思いは、YouTube上のコメントを見ると、しっかり伝わっていることがわかります。
ただ、さらに2つ、重要なことがあります。それは、この作品によって、愛知県民による愛知県の魅力への気づきと、日本の原風景の素晴らしさへの称賛が呼び起されたことです。
愛知県の調査では、県民が友人や同僚に対し、愛知県への観光を薦める可能性は低い傾向が続いており、2020年の調査でも、48.0%が「可能性が低い」との選択肢を選んでいます。県民自らがお薦めしない県に観光客を呼び込むのは難しいもの。しかし、本作品のロケハンや撮影で、通算で2週間以上に渡って愛知県内各地を駆け巡った中川監督(神奈川県出身・東京都在住)は、愛知県民に対し、こうメッセージを送っています。「この作品を通じて、実際に愛知にお住まいの方々にふるさとの素晴らしさを再発見してもらえましたら、こんなに嬉しいことはありません」。
また、本作品では、愛知県の素晴らしい自然景観とひとびとの暮らしの情景も描かれていますが、このことについて、音楽の岩崎氏はこう言います。「日々の生活の中で、つい見落としてしまう情景。かつては毎日の様に気づいたものでも、時が経つと中々気づけない事も多いです。作中には愛知県の素晴らしい景色が登場します。けれど、この景色は誰もが皆持っているものなのだとも思います。この作品を観ることによって、少しその事を思い出してくれたら嬉しいです」。
本作品は、愛知県民に対し、自らが暮らす県の魅力を改めて見つめ直すきっかけを作ってくれたともいえそうです。同時に、この作品のもう一つの重要なキーワードである、「ノスタルジー」を強く印象づけることにもなりました。
【YouTube上のコメント】 ○ 愛知をこんなに魅力的に表現してくれてありがとうございます…!!!!愛知県民でよかった…!! ○ 県内各地の見慣れた景色を、美しく撮ってもらえて嬉しい!愛知県にも素敵な場所がたくさんあることを、県民にも県外の人にも知ってほしいです。 ○ 愛知県以外に住んだことのない私ですが、祖父の家の近くから始まり、通りすがっただけの場所、行ったことのない場所、知らない場所、いろんな場所があって、何だか感動しました。 ○ なんでかわからんが 涙がでてくる ○ なぜか涙が出ました。我が子に日本の素敵な景色をたくさん見せてあげたいと感じました。 ○ 幼い頃の記憶にジブリの様な風景があったのはこうゆう事か~ ○ なんでだろう?映像を見ると自然と涙が出てくる。懐かしくて愛おしい気持ちになる。不思議だな。。 |
クリエイター陣の思いと、愛知県のロケーションが見事に調和して生み出された観光動画「風になって、遊ぼう。」。
愛知県では、本年11月1日に控えたジブリパーク開園を見据え、この作品を大切に活用してまいります。
((本作品で紹介している15スポット))
愛知県内の各エリアにある、歴史、産業、自然・都市景観という本県らしいテーマに沿った、全15スポットを紹介しています。
※番号は動画内での紹介順
①旧豊橋鉄道田口線(新城市・設楽町)
1968年(昭和43年)まで活躍した田口線。廃線沿いには、当時の痕跡が観られる場所もあります。道の駅したらには、田口線で活躍した木製車両「モハ14型」の実物があり、車内には、当時、使われていた道具類が展示されています。
②日本遺産「有松」(名古屋市)
旧東海道の間の宿(あいのしゅく)として栄えた有松。2016年に、大都市の街道沿いとしては初めて、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
③常滑やきもの散歩道(常滑市)
独特の朱色と艶が特徴の常滑焼。そんな常滑焼のまちに広がる「常滑やきもの散歩道」は、迷路のような路地にレンガ造りの煙突や窯などが残り、ノスタルジックな空間となっています。
④窯垣の小径資料館(瀬戸市)
「窯垣」とは、窯道具を積み上げて作った塀や壁の呼称で、全国でも瀬戸でしか見られない景観。その窯垣をつないだ約400mの小径に沿って建つのが、ここ窯垣の小径資料館です。
⑤三光稲荷神社(犬山市)
国宝犬山城が建つ城山の麓に位置する、歴史ある神社。連なる鳥居の美しさやハートの絵馬のかわいらしさで、女性やカップルが参拝する姿が多く見られます。
⑥国宝犬山城(犬山市)
国宝5城のひとつで、天守は木造で現存する日本最古のもの。織田信長の叔父である織田信康によって創建されました。天守からの眺めが素晴らしいだけでなく、数々のお店が建ち並ぶ城下町の散策も楽しみです。
⑦オアシス21(名古屋市)
名古屋の中心・栄にある、都心のオアシス。「水の宇宙船」と呼ばれる、空中に浮かぶガラスの大屋根がシンボルで、その屋根の上には水が湛えられ、特に夜は見とれるほど美しい景観を見せてくれます。
⑧トヨタ博物館(長久手市)
ジブリパークの最寄り駅「愛・地球博記念公園駅」から2駅の「芸大通駅」下車5分。クルマ館では、トヨタ車だけでなく、日米欧の代表的な車両140台の実車を展示しています。中には、宮崎駿氏の初監督作品「ルパン三世 カリオストロの城」でルパンの愛車として登場するフィアット500も。
⑨あいち航空ミュージアム(豊山町)
県営名古屋空港内にある航空機がテーマのミュージアム。名古屋空港で初飛行した、戦後初の国産旅客機「YS-11」をはじめとする実機展示が目玉。スタジオジブリ作品『風立ちぬ』主人公の堀越二郎が生み出した零戦の実物大模型もあります。
⑩半田赤レンガ建物(旧カブトビール工場)(半田市)
明治期に、ビールの製造工場として誕生。製造していたビールの銘柄は「加武登麦酒(カブトビール)」で、これはスタジオジブリ作品「風立ちぬ」が描く名古屋駅前の光景に看板として出てきます。
⑪佐久島(西尾市)
三河湾に浮かぶ離島で、いたるところに展示されているアート作品の数々が魅力。それぞれ思わずカメラのシャッターを切りたくなるフォトジェニックな作品で、この島での滞在を特別な時間にしてくれます。
⑫恋路ヶ浜(田原市)
太平洋沿いに約1kmにわたって続く白浜のビーチ。名前の由来は、江戸時代の和歌とも謂われており、いまでは恋人の聖地として人気です。島崎藤村の抒情詩「椰子の実」の舞台となったことでも有名です。
⑬阿寺の七滝(新城市)
断層崖により7段の階段状になった幽玄な滝で、「日本の滝100選」のひとつ。マイナスイオンたっぷりの水しぶきと、近くを中央構造線が走っていることからパワースポットとしても人気です。
⑭四谷の千枚田(新城市)
斜面に広がる山間集落に、約400年前に開墾された棚田。人と自然が共生する、おとぎ話のような日本の原風景が広がります。
⑮サツキとメイの家(長久手市)
スタジオジブリ作品「となりのトトロ」に登場する「サツキとメイの家」を忠実に再現。ジブリパーク開園後は、どんどこ森に含まれることになります。
●監督 中川 龍太郎
映画監督、脚本家。詩人。1990年、神奈川県生まれ。『四月の永い夢』(17)が世界四大映画祭の一つ、モスクワ国際映画祭ダブル受賞。『静かな雨』(20)が釜山国際映画祭正式招待。Huluオリジナル『息をひそめて』(21)配信中。22年4月1日より、「やがて海へ届く」公開予定。
●映像ディレクター Ussiy
好きを仕事へ。
福島県で生まれ育ち、高校卒業後は工場に就職。
友人と結婚式の余興ムービーを制作したことをきっかけに映像に興味を持つ。
独学で撮影・編集スキルを習得し2018年末に工場を退職、映像クリエイターへ。
現在は、YouTubeなどSNSでの自己表現を中心に活動し、
日本だけでなく、海外企業とのタイアップも数多くこなす。
●音楽 岩崎 太整
作曲家。代表作に『SR サイタマノラッパー』シリーズ、映画『モテキ』、『巨神兵東京に現わる』、アニメ『血界戦線』シリーズ、アニメ『ひそねとまたそん』、Netflix『全裸監督』シリーズ、映画『竜とそばかすの姫』などがある。
その他にも、第86回NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部課題曲『僕が僕を見ている』、舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』音楽監督など。
映画『モテキ』で第35回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。
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