【医師439名に「開業」に関するアンケートを実施】56.2%の医師が「開業」に関心あり
「第三者からの医業承継」知っている・聞いたことがある医師約9割
調査背景
少子高齢化が進む現代の日本において、様々な理由により後継経営者が定まっていない医療機関が増加しています。帝国データバンクが実施する『全国企業「後継者不在率」動向調査(2022)』によると、全業種の「後継者不在率」が57.2%であるのに対し、「病院・医療」のカテゴリにおいては68.0%となり、「専門サービス」のカテゴリに続き2番目に後継者不在率が高くなっています。このような状況のなかで、昨今注目を集めるのが「第三者による医業承継」です。親族内、院内に後継者がいない場合も病院を残すことができ、また、開業を目指す医師においても、開業における金銭的・時間的コストカットが期待できます。医業承継M&A支援サービスを展開するエムステージマネジメントソリューションズへの問い合わせ件数も年々増加を続ける「第三者の医業承継」において、引き継ぐ側である医師の「開業」への関心度と「第三者からの医業承継」に関するイメージを調査しました。
調査結果のサマリー
■「開業」への関心について
・56.2%の医師が「開業」に関心あり、具体的に検討する医師30代が最多
・医師が感じる「開業」のメリット「自分が頑張った分だけ報われる」
■「開業」を目指す上での課題について
・開業に向けて足りないもの「開業資金」がトップ
・医療経営について、約半数の医師が「学ぶ時間を捻出できない」
■「第三者からの医業承継」について
・「第三者からの医業承継」知っている・聞いたことがある医師約9割
・半数以上の医師が「第三者からの承継」による「開業」を検討
「開業」への関心について
1. 56.2%の医師が「開業」に関心あり
これまでに開業の経験が「ない」と回答した医師の中で、10.9%が「開業に関心があり具体的に検討している」と回答。45.3%は「関心はあるが具体的な検討はしていない」結果となり、約6割の医師が「開業」に関心があることがわかりました。
また「開業に関心があり具体的に検討している医師」の年齢層は30代が最も多く(56.8%)、次いで40代(20.5%)、50代(13.6%)、60代(4.5%)、20代(4.5%)という結果になりました。
2. 医師が感じる「開業」のメリット「自分が頑張った分だけ報われる」
「開業」することのメリットとして、時間や業務における制約がなくなるという点をあげる回答が多く、デメリットとしては、経営スキルに対する不安からくるものが多くみられました。
■メリット(※「開業に関心があり具体的に検討している」と回答した方のみ) ・自分が頑張った分だけ報われる。(30代/呼吸器内科/勤務医<大学病院以外の病院>) ・勤務医の稼ぎと、自由度に限界を感じた。自分の可能性にフルにコミットしたい。 (30代/小児科/勤務医<大学病院以外の病院>) ・意図しない業務が次々と降りかかる。(60代/一般外科/勤務医<大学病院以外の病院>) ・時間調整が自分でできる。(30代/循環器内科/勤務医<大学病院>) ・自由。頑張れば頑張った分給料に反映される。(40代/消化器内科/勤務医<大学病院以外の病院>) ・自分で病院の方針を決定できる。(50代/耳鼻いんこう科/勤務医<大学病院以外の病院>) ■デメリット(※「開業に関心はない」と回答した方のみ) ・医療と経営の知識は別だと思う。経営のスキル不足。 (30代/消化器内科/勤務医<健診施設や老健など>) ・本業だけではなく、経営しなければならないことが大変だと思われる。 (40代/健診・ドック/勤務医<非常勤のみ、フリーランス>) ・患者が来るかわからない。開業資金の問題。(30代/呼吸器内科/勤務医<大学病院>) ・経営やスタッフのマネージメントが必要となってきて、臨床に集中できなくなるから。 (60代/消化器内科/勤務医<大学病院以外の病院>) |
「開業」を目指す上での課題
3. 開業に向けて足りないもの「開業資金」がトップ
開業に向けて「足りない」と感じるものとして、一番多い回答が「開業資金」(18)となり、「適切な診療圏調査をしてくれるサービス」(16)、「看護師、事務職などの採用をサポートしてくれるサービス」(15)が続く結果となりました。
4. 医療経営について、約半数の医師が「学ぶ時間を捻出できない」
「開業」に関心がある医師が、医療経営について情報収集をしたり、学んだりする機会について「忙しいため、なかなか時間を捻出できない」(46.9%)という回答が最も多く、次いで「学ぶための具体的な方法がわからない」(41.2%)が続く結果となりました。
「第三者からの医業承継」について
5. 「第三者からの医業承継」知っている・聞いたことがある医師約9割
開業方法の一つにクリニックや医院の「医業承継」があり、引き継ぐ相手によって大きく「親族承継」「第三者承継」「医療法人の承継」に分けられます。後継経営者が定まっていない医療機関が増加している今日の日本において、第三者から医業を承継する開業方法は注目を集めつつあります。この「第三者承継」について、「詳しく知っている」医師は3.0%「概要は知っている」医師は31.1%「聞いたことはある」医師は56.7%という結果になり、約9割の医師に認知されていることがわかりました。
また、「第三者からの医業承継」に対するイメージとして、「初期費用が減らせる」など「開業」にかかる費用が抑えられるというポジティブなイメージが多く、反対に「自分の思い描くクリニックになるか不安」「自由度が低そう」など、引き継いだ後に制約がかかってしまいそうというネガティブなイメージも見られました。
■「第三者からの医業承継」に対するイメージ(フリー回答) ・初期投資が減らせる。(60代/心療内科/勤務医<診療所・クリニック>) ・比較的安価で開業できそう。(60代/心療内科/勤務医<大学病院以外の病院>) ・後継者がいないのであれば、ありだと思う(40代/精神科/勤務医<大学病院以外の病院>) ・患者さんも固定された方がおり、スタッフ集めも不要で通常の開業よりも楽なイメージだが、 建物や設備が古いなど、思ったよりもお金がかかりそうなイメージ。 (50代/消化器外科/勤務医<非常勤のみ、フリーランス>) ・承継したとしても、自分の思い描くクリニックになるかがわからないのが不安。 (30代/呼吸器内科/勤務医<大学病院>) ・初期投資が不要である点は大きいと思うが、設備や人材を引き継いだり、経営方針が制約されたりなど、自由度は下がる可能性も考えられる。(40代/呼吸器内科/勤務医<健診施設や老健など>) ・騙されないか心配。(30代/一般内科<訪問診療>/勤務医<診療所・クリニック>) |
6. 半数以上の医師が「第三者からの承継」による「開業」を検討
具体的に「開業」を検討している医師が「検討している方法」として、「自身でエリアや物件を選んで開業する(=新規開業)」が最も多く、全体の65.9%(29)の医師が選択しました。2番目に多く選択されたのが「第三者(医療法人を含む)からの承継を受ける」となり、全体の52.3%(23)の医師が検討している結果となりました。
次世代に医療をツナグ「第三者からの医業承継」
今回の調査では、約半数の医師が「開業」に関心がある結果となりました。2024年には「医師の働き方改革」が施行となり、働き方における制約を避け、今後さらに「開業」を意識する医師が増加していくことが予想されます。ほとんどの医師に認知されるようになった「第三者からの医業承継」は、人から人への承継のため、様々なシーンで注意すべきポイントがありますが、「新規開業」と比べ、時間的にも費用的にもかなりのコストの削減が期待できます。また、医業承継におけるサポートサービスを活用することで、「開業」における知識のインプットにかける労力も減らすことができます。
後継者不足や経営悪化による地域医療の崩壊は加速しています。その地域の医療を途切れさせないためにも「第三者による医業承継」は、今後ますます必要な手段となってくるのではないでしょうか。
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ 代表取締役
田中 宏典 (たなか こうすけ)
医療経営士1級。医療機器メーカー、楽天株式会社を経て株式会社エムステージ入社。
医師紹介事業部長を経て、2019年、医業承継M&A事業を行う株式会社エムステージマネジメントソリューションズ(エムステージグループ)を設立。医業承継コンサルタントとして数々の案件を担当。
アンケート調査概要
・「開業」に関するアンケート
・調査日:2023年10月17日~10月24日
・調査対象:『Dr.転職なび』『Dr.アルなび』に登録する会員医師
・調査方法:webアンケート
・有効回答数:439
※引用・転載時には「株式会社エムステージマネジメントソリューションズ」とクレジットを明記下さい。
エムステージマネジメントソリューションズの『医業承継サポート』
医師紹介業20年のエムステージグループのノウハウと全国のネットワークを活用し、後継者不足に悩む医院と開業を志す医師のマッチングを支援しています。事業承継・M&Aの知見はもちろん、医療経営士の資格を持つコンサルタントが、医業承継に関する一連の業務をサポートします。
▶『医業承継サポート』詳しくはこちら:https://shoukei.mplat.jp/
<サービスに関するお問い合わせ先>
株式会社エムステージマネジメントソリューションズ お問い合わせフォーム:https://mstage-ms.jp/contact/
株式会社エムステージマネージメントソリューションズ
病医院の円滑な事業承継を実現するためのソリューションを提供。医療機関のイノチを未来にツナグ事で、持続可能な医療の未来を実現していきます。
<会社概要>
商 号:株式会社エムステージマネジメントソリューションズ https://www.mstage-ms.jp/
代表者:代表取締役 田中 宏典
設 立:2019年10月
所在地:〒141-6005 東京都品川区大崎 2-1-1 Think Park Tower5 階
事業内容:医業承継M&A事業
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