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ヴァレンティノ ジャパン 株式会社
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ヴァレンティノがスポンサーシップを務めた2024年国際ブッカー賞にて、ジェニー・エルペンベック著、マイケル・ホフマン翻訳の『Kairos』が受賞

ヴァレンティノ ジャパン 株式会社

5月21日(火)、『Kairos』がメゾン ヴァレンティノ(Maison Valentino)がスポンサーを務める授賞式にて、2024年国際ブッカー賞審査委員長、エレノア・ワクテルによって結果が発表されました。授賞式は学者でありアナウンサーのシャヒダ・バリの司会のもと、ロンドンのテート・モダンにて行われました。賞金の5万ポンドは両者の貢献を同等に称え、著者であるジェニー・エルペンベックと翻訳者であるマイケル・ホフマンで二分されます。


著者 ジェニー・エルペンベック(右)と翻訳者 マイケル・ホフマン(左)著者 ジェニー・エルペンベック(右)と翻訳者 マイケル・ホフマン(左)


文化部門から著名なゲストたちが出席した授賞式のハイライトは、ブッカー賞のYouTubeチャンネルを通じて、インターネットの常駐図書館員として知られるユーチューバー、ジャック・エドワーズによる司会のもとライブ配信が行われました。ライブ配信の様子は以下よりご覧いただけます。

ヴァレンティノがスポンサーを務めた2024年国際ブッカー賞授賞式ヴァレンティノがスポンサーを務めた2024年国際ブッカー賞授賞式

The International Booker Prize 2024 Ceremony Livestream (youtube.com)


オリジナルはドイツ語で書かれたエルペンベックの小説は、1980年代のベルリンを舞台に若い女性と年配の男性の間の破壊的な不倫関係を描いています。前に進まなくてはならないと頭では理解しつつも過去にしがみついたまま離れることができません―。愛し合う二人が東ドイツの崩壊した理想主義を体現するように、私的な物語と政治的な物語が結び付けられています。希望と失望にまつわる熟考。『Kairos』は自由、忠誠、愛、権力にまつわる複雑な疑問を投げかけます。


受賞作品は、2023年5月1日から2024年4月30日までの間にイギリスまたはアイルランドで出版され出版社より提案された149冊の選考対象の中からショートリストに選出されたNot a RiverThe DetailsMater 2–10What I’d Rather Not Think AboutCrooked Plowの6作品の中から選ばれました。ワクテルに加え、2024年の審査員には受賞歴のある詩人ナタリー・ディアス、過去にブッカー賞ショートリストに選出されたことのある小説家 ロメシュ・グネセケラ、革新的なヴィジュアルアーティストウィリアム・ケントリッジ、著名な作家であり編集者、翻訳者のアーロン・ロバートソンが名を連ねています。


授賞式では、著名なパフォーマーの朗読による、ショートリストに選出された全6作品の抜粋を紹介した短編映画が披露されました。これらの映画はシャロン・ホーガンの会社であるMerman がプロデュースし、シャーロット・ハンブリンが監督を務めたもので、受賞作品の抜粋部分はエレノア・トムリンソンがパフォーマンスを担当しました。これら6本の映画はこちらでご覧いただけます。ブッカー賞のソーシャルメディアプラットフォームで公開されて以後、これらの映画は3200万回以上視聴されました。



■受賞した著者と翻訳者の thebookerprizes.com におけるインタビュー:

「壁の崩壊は解放を意味します。私が興味を抱いたのは、そのような物語の中で語られるのは解放だけではないということ。そこには、解放に至るまでの日々と、その後に続く日々があります。そしてそれはハッピーエンドのその先でもあるのです」

ジェニー・エルペンベック


著者 ジェニー・エルペンベック著者 ジェニー・エルペンベック

 

「壁が崩壊する前後の10年を舞台に、見事に状況が描かれた物語です。本書は私にとってコインのよう。パーソナルな物語である表と、国家の象徴が描かれた裏があります。それは空中でくるくると回り続け、時に表、またある時には裏となるのです」

マイケル・ホフマン


翻訳者 マイケル・ホフマン翻訳者 マイケル・ホフマン


■受賞した著者と翻訳者の詳細

ジェニー・エルペンベックは 1967年、ドイツ、ベルリンに生まれました。オペラの監督として働く傍ら、2008年に小説『The Old Child & The Book of Words』でデビューしました。その後『Visitation』(2010年)、『The End of Days』(2014年、国際ブッカー賞の前身、インディペンデント外国小説賞受賞)、『Go, Went, Gone』(2017年、2018年国際ブッカー賞の論議リストに選出)、『Not a Novel: Collected Writings and Reflections』(2020年)といった作品を発表。 彼女の作品は30以上の言語に翻訳されています。


マイケル・ホフマンは詩人であり、批評家、翻訳家です。フランツ・カフカやヨーゼフ・ロート、ハンス・ファラダを含むドイツ人作家による複数の作品を翻訳しています。彼の父親が書いた小説『The Film Explainer』の翻訳により1995年に受賞したインディペンデント外国小説賞など、これまでにさまざまな文学賞を受賞しています。1993年以来、ゲインズビルのフロリダ大学で非常勤講師を務めています。ジェニー・エルペンベックが国際ブッカー賞のロングリストに選出された(『Go, Went, Gone』にて、翻訳者はスーザン・ベルノフスキー)2018年には、国際ブッカー賞の審査員を務め、2023年、王立文学協会フェローに選出されました。


■『Kairos』に関する批評

『Kairos』『Kairos』

「エルペンベックはもっとも洗練された、力強い小説家です。逃亡者のように、彼女の文章の下部構造に固執するさまは、ドイツの政治や歴史、文化的記憶を暗示しています」

『ニューヨークタイムズ』紙

 

「もっとも優れた寓話同様に、『Kairos』はひとつの、明快なメッセージに縮小することは不可能です。愛の性質、記憶、歴史、真実。多くの疑問が投げかけられますが、そのどれにも明確なこと絵は示されません。エルペンベックの作品において関心の中心となるのは、内的、外的もつれです。常にシリアスな彼女の作品においては物理的な物質と場所が記憶と感情のポータルとなっていますが、時にそれらは突然消えたり、変形したりすることもあります。一般的な世界で起こることが単なる背景になることは決してありません。歴史こそが、私たちが生かされている素材なのです」

『テレグラフ』紙

 

「ジェニー・エルペンベックの『Kairos』は、私がこれまで読んだ中でもっとも荒涼とした、もっとも美しい小説のひとつです。エルペンベックの厳しく断固としたイマジネーションとともに時を過ごすことは、最後のページまでずっと元気づけられるよう」

『ガーディアン』紙

 

「定説を切り開き、時間を破壊し、がれきを保存するという、破裂性の国と世紀の描写によって、小説家が歴史家とも政治家とも異なる方法で歴史を扱うことができることを思い出させてくれるまれに見る国民的作家です」

『The Atlantic』誌


「非情でありながらも満足感が得られる彼女の作品『Kairos』において、エルペンベックは再び、そして慎重に、東ドイツの恋愛の崩壊を1990年のドイツ統一を目前に控えた時代に重ね、描きました。実存的な問いに対する絶対的な緊急性を有する小説に出会うことは驚くほど少ないですが、この作品にはそれがあります。ベルリンの壁崩壊とS&Mの増大の両方を包含する問いが投げかけられます」

『ロサンゼルスタイムズ』紙


■国際ブッカー賞の影響

『Kairos』は世界的な認知と、世界的な売り上げの増大が見込まれます。ゲオルギ・ゴスポディノフ著、アンジェラ・ロデル翻訳の『Time Shelter』が2023年国際ブッカー賞を受賞した翌週、出版社Weidenfeld & Nicolson の売り上げは前週に比べて435%増加しました。現在、全エディションの合計で10万部以上を売り上げています。2023年のロングリストが発表される前、『Time Shelter』はブルガリアに加え23の国と地域での版権が取得されていましたが、発表後はさらに14の国と地域が加わりました。


■翻訳小説の需要

ブッカー賞財団に関するニールセンの情報によると、イギリス国内において、翻訳小説の読者は小説の読者全体の平均より著しく若いことを示しています。現在、イギリス国内における翻訳小説購入者の半数近くを35歳以下が占めています。2022年、翻訳小説を購入した人の割合で4分の1近く(24.9%)を占めたもっとも大きなグループは25歳から34歳のグループで、13歳から24歳のグループが17.3%と続き、翻訳小説を購入した35歳以下の読者の割合は全体で48.2%でした。比較して、小説全体の読者としては60歳から84歳のグループがもっとも大きな割合を占めました。


翻訳小説を読む、より若い読者の割合も増加しています。翻訳小説を購入した25歳から34歳の読者の割合は2021年の21%から2022年の24.9%へ増加しています。さらに、イギリス国内で小説全般を購入した男性読者の割合は32%でしたが、翻訳小説では48%でした。詳細はこちらをご覧ください。


 

■詳細

賞に関する情報や、ブッカーライブラリーに登録された数多くの書籍や著者に関するより掘り下げた記事は thebookerprizes.com をご覧ください。

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