国際NGOセーブ・ザ・チルドレン 熊本地震被災地における子育て世帯への調査結果発表:震災による子どもの生活や成長への影響を懸念 復興における子どもへの支援充実を

子ども支援専門の国際NGOである公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎/専務理事・事務局長:千賀邦夫、本部:東京都千代田区)は、熊本地震で大きな被害のあった熊本県上益城郡益城町・御船町で、復興支援の一環として、2017年から新入学に伴う家庭の負担を軽減する目的で行っている「給付型緊急子どもサポート~新入学応援キャンペーン~」の給付金受給世帯を対象としたアンケート調査の結果を発表しました。

本調査から、震災後の子育て世帯の家計の状況や、子どもや子育て世帯を取り巻く課題、必要とする支援などについて、以下4点が明らかになりました(有効回答数:728件)。
  1. 家計の状況について、赤字だった世帯は震災前の97世帯(13.3%)から過去1年の間では293世帯(40.2%)と大幅に増加した。また、過去1年の間赤字だった世帯293世帯のうち、震災前は赤字でなかった世帯は202世帯(68.9%)、震災前も赤字だった世帯は89世帯(30.4%)存在した。
  2. 学校生活に関わる経費に関して、過去1年の間に、79世帯(10.9%)が文具や教材の購入費を、72世帯(9.9%)が部活動に伴う費用を経済的な理由により支払えないことがあった。また、学習塾と習い事(スポーツ・音楽・習字など)について、それぞれ同数の210世帯(28.8%)が、経済的な理由により子どもに諦めさせたり、やめさせたりしたことが「ある」と回答した。
  3. 本調査に回答した728世帯のうち、ふたり親家庭は551世帯(75.7%)、ひとり親家庭は115世帯(15.8%)だった。ひとり親家庭において学校生活にかかる経費が支払えないことがあった世帯は、文具や教材の購入に関して29世帯(25.2%)、給食費の支払いに関して22世帯(19.1%)、部活動に伴う経費に関して26世帯(22.6%)であった。それに対して、ふたり親家庭においてはそれぞれの項目に関して支払えないことがあった世帯は10%未満であった。
  4. 就学援助制度を「利用している」と回答した217世帯のうち、39世帯(18.0%)が就学援助制度により学校生活にかかる経費を「あまりまかなえていない」「まったくまかなえていない」と回答した。加えて、本調査に回答した728世帯のうち471世帯(64.7%)が就学援助制度を利用するにあたって、何らかの改善してほしい点を選択し、中でも「就学援助の対象となる世帯をわかりやすくする」が232世帯(31.9%)と最も多かった。

これらの結果を受け、子育て世帯の家計の状況は、子どもたちの生活や成長の機会を左右する要因のひとつであるため、セーブ・ザ・チルドレンは、熊本地震から3年が過ぎようとする今、復興において取り組むべき課題として、以下を関係省庁や地方自治体に提言する。

■提言1:復興の施策において、子どもの貧困対策の観点から、経済的に困難な状況にある子どもや子育て世帯に対する施策・支援を充実すべきである。
■提言2:提言1を踏まえ、特にひとり親家庭に対する施策・支援を充実すべきである。
■提言3:就学援助制度をより利用しやすくするための対策を講じるべきである。

<調査概要>

【調査の目的】
熊本地震で被害を受けた熊本県上益城郡益城町・御船町において、震災後の子どもや子育て世帯の現状、および子どもや保護者が必要とする支援の内容を把握すること。また、復興における子どもや子育て世帯に関する支援の充実に向け、本調査結果を社会啓発および国、地方自治体に対する政策提言につなげること
【主な調査内容】
世帯の家計の状況、子どもの生活、就学援助制度の利用状況と改善点、震災後の子どもや保護者に必要な支援等
【調査の実施状況】
・調査地域:熊本県上益城郡益城町・御船町
・調査対象:「給付型緊急子どもサポート~新入学応援キャンペーン2018~」の受給世帯(新中学1年生、新高校1年生合計757世帯)の保護者。なお、熊本地震による一部損壊以上の罹災または経済的困窮に関する一定の条件(就学援助制度を利用できる程度の経済的困窮の度合い)を満たすことを本キャンペーン受給要件とした
・調査方法:受給世帯に対し、アンケートを郵送し、自記式にて任意回答の上、「給付振込依頼書」などとともに返送用封筒にて返送
・回収期間:2018年1月23日~2018年5月20日
・有効回答数:728件 (回答率 96.2%)
・調査結果レポート(全文)はこちら:
http://www.savechildren.or.jp/jpnem/jpn/pdf/kumamoto_201903.pdf

<「給付型緊急子どもサポート ~新入学応援キャンペーン2018~」について>
・地域:熊本県上益城郡益城町・御船町
・時期:2017年12月~2018年2月
・対象者:本キャンペーン申請時および2018年4月以降に益城町もしくは御船町内に在住し、(住民票住所が左記いずれかの町内)、2018年4月に中学校や高校に進学予定で、次のいずれかにあてはまる世帯の子ども
① 震災により居住している住宅が一部損壊以上(全壊・大規模半壊・半壊・一部損壊等)と認定された世帯
② 生活保護を受けている世帯
③ 生活保護が過去1年以内に停止または廃止された世帯
④ 保護者(ふたり親家庭の場合父母双方)の町民税が非課税の世帯
⑤ 児童扶養手当の支給を受けている世帯
・給付内容:制服・運動着の購入費用の一部として、新中学1年生上限4万円、新高校1年生上限5万円を支給
・受給者数:益城町619人(568世帯)、御船町207人(189世帯)

<本調査結果を受けての今後の活動>
セーブ・ザ・チルドレンは、熊本地震で被災または経済的に困難な状況にある家庭の子どもたちへ給付金を提供すると同時に、私たちが東北地方で行った類似の調査の結果を受けて実施している、ひとり親家庭の保護者に対するセミナーやひとり親家庭の子どもに対するレクリエーション活動の機会提供を引き続き実施していきます。また、復興における子どもや子育て世帯に関する支援の充実に向け、教職員を対象とした勉強会などの社会啓発、国・地方自治体に対する政策提言も行っていく予定です。

<セーブ・ザ・チルドレンの熊本地震緊急・復興支援の取り組み>
セーブ・ザ・チルドレンは、熊本地震発生翌日の2016年4月15日以降、益城町・御船町を中心に、子どもたちや保護者のニーズや状況にもとづいた緊急・復興支援を続け、これまでにおよそ2万2,300人以上に支援を届けました。避難所で子どもが安心・安全に過ごすことのできる「こどもひろば」の活動からはじまり、学校再開後は、学用品や防災用品の配布、給食支援、給付金の提供などを実施しています。「給付型緊急子どもサポート」は、東北地方沿岸部で子どもの貧困問題解決事業の一環として実施すると同時に、熊本県においても、熊本地震復興支援として実施しています。2018年までに、熊本ではのべ3,302人に給付金を通じて支援を届けました。

<セーブ・ザ・チルドレン概要>
セーブ・ザ・チルドレンは、生きる・育つ・守られる・参加する「子どもの権利」が実現された世界を目指して活動する国際NGOです。1919年にイギリスで設立され、現在、世界120ヶ国で子ども支援活動を実施しています。日本では1986年にセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが設立され、国内外で活動を展開しています。
http://www.savechildren.or.jp/
 
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