2025年 代表理事 年頭所感
一般社団法人 新経済連盟を代表して、新年のご挨拶を申し上げます。
活動開始から12年を迎えた昨年は、おかげさまで新経済連盟にとってさらなる飛躍の年となりました。活動の基盤であり原動力でもある会員数は553社に達しました。2021年から展開している「新経連&全国」プロジェクトを通じて全国から入会が相次ぎ、首都圏以外でも「新経済連盟」の存在が広く知られるようになりました。日本の変革と成長に向けた政策提言と会員間の交流促進を両輪とする当連盟に、志をともにする多くの企業にご参加いただいていることに私は大きな希望を見出しています。
会員の皆様の声を政策提言に反映するために、ここ数年、様々なワーキンググループ等を立ち上げており、今年は新たにDE&Iに関するコミュニティを始動させます。また、好評をいただいている交流イベント「Evening Meetup! By 新経済連盟」や、当連盟最大の政策・交流イベントである「JX LIVE!」も今年はさらに内容を磨いて開催してまいります。
さて、昨年の日本経済は日経平均株価が2月にバブル期後最高値を更新したほか、日本銀行が3月にマイナス金利を解除するなど、長きにわたるデフレ経済から脱し正常化に向かいつつある兆しがみられました。しかし決して楽観できることばかりではありません。
「-7%」——。これは2003年から2023年までの20年間における米ドルベースでの日本の名目GDP成長率です(世界銀行データ、小数点以下四捨五入)。同じ期間で同成長率がマイナスとなった国は、日本を除いてG7だけでなくOECD加盟国にも見当たりません。昨年の名目GDPがドル換算でドイツに抜かれて世界4位となったり、IMD世界競争力ランキングでは23年調査から順位を3つ下げて38位となったりしたことは、今後の日本経済を考えると非常に危惧すべきことといえます。
どうしてこのようになってしまったのか。一点目は経済構造の変化だと考えます。インターネット、スマートフォン、クラウド、AIの4つのIT革命によって、実物経済や金融経済が「仮想経済」の土台の上に成立するようになりました。税制や規制がこれに適応できておらず、「デジタル赤字」が年々深刻化しているのはその証左といえます。
二点目は人口減少・少子高齢化が進行する一方、「働き手」の確保が十分ではないことです。上述の通り「仮想経済」の構造となるなか、外からIT専門人材をどんどん受け入れる必要があります。IT人材以外の働き手も圧倒的に不足しており、特に地方に行くと人材不足に悩む事業者の声を多く聞きます。
三点目は高い税率です。個人所得税や相続税の最高税率や法人実効税率についていえば、OECD加盟国の中で日本より高い国はほんの一握りです。税率が高い状況を放置すれば外国の高度人材は日本に来てくれず、国際的な人材競争に負け続けてしまうでしょうし、社会課題を解決する有望なスタートアップが日本から海外に流出しかねません。
今こそ「アントレプレナーが集う経済団体」である当連盟がビジネスロジックに基づいた政策を日本政府に提案し、「民の力」で経済を根本的に変えていくべきときです。具体的には、仮想経済の構造に税制や規制を適応させること、移民を積極的に受け入れること、「働かせない改革」ではなく「真の働き方改革」を実行すること、高い税率を引き下げ、人、知、金を世界から集めることなどが必要です。日本経済のプレゼンスが国際的に低下するなか、私たちが団体の旗印に掲げる「イノベーション」「アントレプレナーシップ」「グローバリゼーション」の重要性が年々増しており、改革を実行するための時間的猶予は多くありません。
日本経済がいっそう世界と伍していけるよう、新経済連盟は「経済団体のスタートアップ」として昨年に増して政府に対する声を強めていきます。スタートアップを含む日本企業の力が最大限に発揮できるよう精一杯努めてまいりますので、本年も皆様の変わらぬご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
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