東北大学と三菱総合研究所が世界の防災力強化に向け国際標準開発
仙台防災枠組を踏まえた「防災概念の国際規格」を発行
株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、国立大学法人東北大学(総長:冨永悌二、以下 東北大学)と連携して、2020年度から防災分野の国際標準開発に取り組んでいます。仙台防災枠組※1を踏まえた、防災概念の国際規格である「ISO 37179 Smart community infrastructures — Disaster risk reduction — Basic framework for implementation」が、11月19日(火)に国際標準化機構(ISO※2)から発行されました。
1. 背景
近年、国内外で自然災害が頻発し被害が拡大する中、世界で防災に関心が高まっています。なかでも「事前防災」の知見・技術は、多くの自然災害を経験してきた日本が世界にリードできる分野であり、その考え方・手法・技術等を国際社会に普及することで、世界の防災力の持続的な向上に貢献できます。
東北大学とMRIは、2020年度から経済産業省「戦略的国際標準化加速事業:産業基盤分野に係る国際標準開発活動」を受注するなど、防災分野の国際標準開発に連携して取り組んでいます※3。このたび、東北大学が主導して開発した防災概念の国際規格が発行されました。
2. 概要
この国際規格は、仙台防災枠組で重要性が提唱されている事前防災への投資を行うことで、災害リスクを軽減させるとともに、災害後に速やかに回復することを目指したものです。
防災を考慮したコミュニティ・インフラストラクチャーの計画、建設、活用、維持、改善のための原則と基本要件をまとめています。この原則は、仙台枠組の考え方を踏まえ、4つの基本原則(A包括性と多様性の考慮、B最適な資源配分、C防災技術の融合と普及、D堅牢性と冗長性の強化)と災害対応フェーズに沿った6つの重点原則(①科学的根拠の提供、②機能性の絞り込み、③ハード対策とソフト対策の融合、④事前投資の推進、⑤事前防災の強化、⑥継続的改善の推進)から構成されます(下図)。
防災概念規格の10原則
3. 今後の予定
東北大学およびMRIでは、本規格を上位概念として、順次、関連する具体的な防災分野の国際標準開発を進めています※4。これらの国際標準開発を通じて、国際社会における事前防災投資の促進を図り、災害リスクの低減への国際貢献と、日本の防災産業の発展に寄与し、持続可能な社会の実現を目指します。
※1:仙台防災枠組は、2015年に仙台市で開催された第3回国連防災世界会議で国連加盟国により採択された2030年までの国際的な防災指針。
※2:スイスに本拠地を置く非政府組織である国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略称。国際規格の世界的相互扶助を目的としており、国家間に共通な標準規格を策定・提供する団体。
※3:ISO/TC268/SC1(スマートな都市インフラ)/WG6(防災)などで活動。
https://www.iso.org/committee/656967.html
※4:発行済みの国際規格として、「ISO 37174:2024 Smart community infrastructures — Disaster risk reduction — Guidance for implementing seismometer systems」がある。
https://www.iso.org/standard/69260.html
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