インターブランド「Best Global Brands 2024」レポート 「ブランド価値」によるグローバル・ブランドランキングTOP100を発表

・Top100にランクインしたブランド価値総額は3兆4,261億ドル、昨年比で約 5%の伸びとなり、2年連続の一桁成長にとどまる
・Appleが12年連続でランキング首位をキープ
・最も成長したブランドは、Ferrari (62位) 。企業視点・カテゴリー発想ではなく、「ブランドとしてどのように生活者の欲求に応えるか」という生活者視点・ニーズ発想への転換を実践している
・Toyota は昨年に続き6位、21年連続で⾃動⾞ブランドの最⾼位
・Nvidia (36位) 、Pandora (91位) 、Range Rover (96位) 、Jordan (99位) が初めてランク入りし、Uber (78位) とLG (97位) が再ランクイン


世界最大のブランディング専門会社インターブランドは、グローバルのブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2024」(以下BGB 2024) を発表しました。本ランキングは、グローバルに事業展開を行うブランドを対象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してランキング化するもので、レポートの発表は2000年から今年で25回目となります。ブランドが顧客に対して提供する価値だけではなく、現在そして未来の社会に対する役割や責任に関する活動の評価として、環境・社会・ガバナンス (ESG) データを導入しています。詳細レポートは、https://interbrand.com/best-brands/をご覧ください。


BGB2024の主な評価結果

- Appleが首位をキープ

Appleは依然として最も価値のあるブランドですが、そのブランド価値は22年ぶりに前年よりも低下する結果となりました (-3%) 。

インターブランドのブランドエコノミクスのグローバルディレクターであるグレッグ・シルバーマンは、Appleについて次のように述べています。「他社がAIへの参入を急ぐ中、Appleは自社の価値観に合致したAIをリリースするため、より慎重な道を歩んできています。スピードでは他社に及ばないものの、より深いブランドの観点を持ったAppleのリーダーシップは、短期的な収益よりも長期的な信頼を優先しています。このようなブランドの動きを受けて、Appleの株価は年初来約20%上昇しており、2025年のランキングではAppleの価値が再び上昇することが 期待されます」


- 明暗分かれた自動車ブランド

業種別で最も多くの14ブランドがランクインしている自動車業界では、ラグジュアリーブランドでもあるFerrari (62位 +21%) を筆頭に、Kia (86位 +15%)、Toyota (6位 +13%)、Hyundai (30位 +13%) 、Nissan (59位 +10%) などが、大きくブランド価値を伸長させた一方、Tesla (12位 -9%)、Mercedes Benz (8位 -4%)、Ford (56位 -3%) などと明暗が分かれています。グローバルで業界に大きな構造変化が起きている中で、アジア・アフリカなどの新興市場への対応力・展開力など、日韓のブランドの強みが現れた結果となっています。


- 革新性でブランドを強化するラグジュアリーブランド

ラグジュアリーのブランド価値は上昇基調 (昨年の +6.5%から +7%)を維持しました。デジタル・タッチポイントの拡大を含め、新たなブランド体験を通じてブランドと生活者の関連性を深め、人間の心理に訴えかける力強い創造性を示しています。Ferrari (62位) は、ブランド価値成長率 +21%で、今年上昇率トップの座を獲得しました。またHermès (22位 +15%) とPrada (83位 +14%) は、今年特に際立ったブランド価値の伸びを示したラグジュアリーブランドとなっています。

インターブランドのグローバルチーフストラテジーオフィサーであるマンフレディ・リッカは、次のように述べています。「ラグジュアリーとは、もはや購入することだけでなく、ブランドを取り巻く体験そのものを意味しています。ラグジュアリーブランドは、革新性を備えた顧客体験がいかにプレミアムな成長につながるかを示し続けています。Louis Vuittonは昨年、各領域で顕著な業績を収めました。ハンドバッグだけでなく、“カルチャーを売る”能力を実証したこのブランドは、世界中にレストランやカフェを次々とオープンさせています。Louis Vuittonが、豊かで多様なブランド・ハウスを伝えると同時に、それ自体がブランドとして共鳴するというのは、稀な快挙です。」


- 初ランクインブランド

Nvidia (36位) 、Pandora (91位) 、Range Rover (96位) 、Jordan (99位) が新たにランクインし、Jordanはパーソナリティ・ブランドとして初のランクインとなりました。Uber (78位) とLG (97位) は再ランクインです。

シルバーマンは、次のように述べています。「Jordanは、ハードワークとコート内外の勝利という古典的なスポーツの価値観をグローバル化したブランドです。ソーシャルメディアが需要創造に果たした役割を巧みに利用しています。顧客は様々な情緒的なレベルでJordanブランドとつながっていることに気づき、それがビジネス的にうまく機能して、Nikeの企業ブランドとは別の世界的な地位を切り開くことを可能にしています」


Best Global Brands 25年間の分析

- 25年間継続してBGBにランクインする35のブランド

1984年に世界に先駆けてブランドの価値を金額換算する手法を開発したインターブランドは、経営におけるブランドの重要性を発信・啓蒙するために、2000年からBest Global Brandsの評価・発表を開始、今年で25回目となります。2001年から現在の Top100ランキングの形となりましたが、以下の35のブランドが25回のランキングの全てにランクインしています (日本ブランドではHonda、Panasonic、Sony、Toyotaの4ブランドが25回の全てにランクイン) 。

Adidas, Amazon, American Express, Apple, BMW, Budweiser, Cisco, Coca-Cola, Colgate, Disney, Ford, GE, Gillette, Gucci, Honda, HP, IBM, IKEA, Intel, Kellogg’s, Louis Vuitton, McDonald’s, Mercedes Benz, Microsoft, Nescafe, Nike, Panasonic, Pepsi, Philips, Samsung, SAP, Sony, Starbucks, Toyota, Volkswagen (※ ABC順)

これらのブランドは、ブランドを戦略的成長資産として活用し、消費者を魅了し、市場を変革する卓越した活動とともに成長してきました。


- 短期的な利益追求に投資が偏重する傾向がみられるリーディングブランドの四半世紀

2000年以来四半世紀にわたるBest Global Brands の年毎の累積価値の推移を振り返ると、ブランド価値金額の総計は、約3.4倍に増加しています (2001年9,883億ドルから2024年3.4兆ドルへ) 。これは一見素晴らしい成長のように見えますが、より詳細な分析によれば、マーケティングが短期的な財務的利益をもたらした一方で、長期的なブランド戦略への投資不足により、Best Global Brand全体で少なくとも約3.5兆ドルの未実現価値があったことが明らかになりました。

インターブランドのグローバルCEOのゴンザロ・ブルーホは、次のように述べています。「もしこれらのブランドが成長のための戦略的な資産として扱われ、管理されていたならば、このランキングには6.9兆ドルもの価値があった可能性があります。近年ブランドの価値は成長を続けてきていますが、その裏には大きな機会損失が隠れていたのです」

過去25年間のデータを紐解き、考察を加えると、特にパンデミック以降、企業の経営層における最高マーケティング責任者 (CMO) の役割と、ブランド・マーケティング・チームが総合的な成長戦略を形成する上で持つ影響力に大きな変化、すなわち近年、最高経営責任者 (CEO) や最高財務責任者 (CFO) がより即効性のある施策への投資を優先している傾向が見られます。

ブルーホは次のように述べています。「マーケティングのツール、能力、システムは、過去四半世紀の間に劇的に進化しました。これらのツールが変化するにつれて、ブランドやマーケティングのリーダーにかかるプレッシャーや期待も変化しています。今日、CMOとそのチームは、より大きな収益リターンを、少ない総投資額でより短期間で実現することを期待されています。つまり、世の中のブランドの多くは、短期的な利益に投資が偏ることで、大きな長期的収益の可能性を逃しているのです」


- 変革期にあるブランディング

インターブランドの分析によると、ランキング全体において最も成功している企業は、自社ブランドをコストセンターとしてではなく、収益源として扱っています。彼らは自社のブランドを活用し、顧客とのより深い、より有意義で、より公平な関係を築いています。これにより、顧客のロイヤリティと推奨が促進され、消費者の生活により深く浸透する余地が生まれます。インターブランドはこれを「アリーナ思考」と定義し、説明しています。

リッカは次のように述べています。「Ferrariは、今年のランキングで最も急成長しているブランドです。自動車の枠を超えたその能力は称賛に値します。ファッションからeスポーツ、テーマパーク、レストランに至るまで、Ferrariはその強いブランドセンスを生かし、消費者にアピールする新しい方法を見出し、消費書を魅了しています。FerrariやGoogle、あるいはSpotifyのようなブランドが、消費者の信頼を得て新たな “アリーナ”に進出するとき、その成長の可能性は比類無きものとなります」


TOP3ブランドに関する分析

Apple:1位 4,889億ドル (-3%)

Appleは、製品やユーザーエクスペリエンスのデザイン、クリエイティブな表現など、あらゆる面で非常に個性的なブランドです。 革新性、シンプルさ、高級感に基づくその独特なブランドパーソナリティは、主力製品であるiPhoneに対する顧客ロイヤルティを促進しています。またApple Musicはその没入感のあるシームレスなストリーミング体験により、加入者維持率が62%となっていることが示すように、高いロイヤルティを獲得しながら、他のサービスとともにエコシステムを構築し、Apple全体の“アリーナ”を広げています。さらには、膨大なユーザーベースを収益化するためのApp Storeのターゲティング機能への投資や、自社デバイスを所有していないユーザーからの収益力強化など、より多様な収益基盤の構築を進めています。


Microsoft:2位 3,525億ドル (+11%)

サティア・ナデラCEO兼会長のリーダーシップのもと、Microsoftは中核のソフトウェアおよびデバイス事業から、より収益性の高いクラウドコンピューティングサービスへの事業展開を進めています。 ブランドは引き続き変革を続け、Microsoft AIを製品に統合することでAI分野での主導権獲得を目指しています。 Azureを新たなAIオペレーティングシステムと位置づけ、Microsoftはベンダー、ソリューションプロバイダー、開発者によるエコシステムの構築により、Microsoft WindowsやOfficeの成功の再現を目指しており、 OpenAIとの提携はその基盤として、Microsoft製品群全体のイノベーションを支えています。Microsoftのブランドミッション「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」のもと、ブランドが人々に力を与える行動が明確に示されています。


Amazon:3位 2,981億ドル (+8%)

Amazonは、米国、英国、カナダ、ドイツなどの主要市場で、広告付きのPrime Videoを導入しました。他の定額制動画配信 (SVoD) サービスとは異なり、Amazonはこの新たなサービスを基本プランとし、広告なしの視聴を求めるユーザーには特別料金を設定しています。このAmazonのセグメンテーション戦略により、ユーザー一人当たりの平均売上 (ARPU) が増加、広告収入を押し上げており、今後各国に展開を広げていく予定となっています。また10年目を迎えるAmazonプライムデーは、ショッピングとプライムビデオの両面からAmazonのエコシステム構築の重要な手段となっているほか、Amazonの最も急速に成長しているセグメントである広告サービスでは、ユーザーデータ活用によるターゲットを絞った広告を提供するなど、消費者の好みが進化し続けるにつれAmazonのエコシステムが強化されていくと、アナリストは予想しています。


日本ブランドに関する分析

Toyota:6位 728億ドル (前年比+13%)

Toyotaは2023年、4年連続世界販売台数1位となりました。その成功は、ビジネス戦略とブランド戦略の巧みな連動性にあると考えられます。「すべての人に移動の自由を」を理念とし、自動車会社からモビリティ企業へ、着実にその歩みを進めています。最近発表されたコンセプトモデルであるバッテリー式電気自動車 (BEV)「KAYOIBAKO」は、異なる移動ニーズに対応するため内装を交換可能にしました。 2024年のパリオリンピックおよびパラリンピック競技大会では、大会をサポートする専用モビリティ「アクセシブル・ピープルムーバー (APM:Accessible People Mover) 」と車いす利用者向けに、車いす用電動けん引モビリティ「e-puller」を提供し、選手や家族・スタッフ・ボランティア・観客と、誰もが自由で安全に移動できるツールを提供するなど、顧客起点のイノベーションを着実に進めています。


Honda:26位 267億ドル (+9%)

2023年4月、Hondaは、グローバルブランドスローガン「The Power of Dreams」を23年ぶりに再定義し、新たに副文「How we move you.」(日本語訳「夢の力で、あなたを動かす」)を発表しました。解放(Transcend) と拡張 (Augment) と創造力 (Create) で、Hondaの原動力である一人ひとりの夢を実現する力が、人と、人の心を動かすことを示しています。2024年のCESで「Thin, Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」という新たな開発思想を軸にグローバル新型EVシリーズ「Honda 0 Series」を、JAPAN MOBILITY SHOW 2023において、GM Cruise社と共同で、2026年初頭に日本国内で「Cruise Origin」を活用した自動運転タクシーサービスを開始する計画を発表。新しい空の移動手段「Honda eVTOL」や、「時間の価値最大化」と「身体能力の拡張」を目指す「Honda アバターロボット」の開発など、ブランドスローガンを体現し、独自性のあるブランドの構築を進めています。


Sony:34位 208億ドル (+9%)

Sony グループは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurposeのもと、「感動を創る」ことに貢献する企業であることを目指しています。2024年度から始まった第五次中期経営計画では、「境界を超える〜グループ全体のシナジー最大化〜」をテーマに、グループ間シナジー実現への取り組みの強化と、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画のエンタテインメント3事業とイメージング&センシング・ソリューション (I&SS) 事業の成長に注力しています。Sonyの10年後の具体的な到達点を示した長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」や、多岐にわたるサステナビリティ課題に対して目指す方向を明確にした「Sony’s Sustainability Vision」も発表され、感動創造企業へと邁進しています。


Nissan:59位 139億ドル (+10%)

2023年12月に90周年を迎えたNissanは、創業以来「他がやらぬことをやる」という精神のもと、イノベーションをドライブし続けてきました。そして、よりクリーンで安全で、よりインクルーシブな世界の実現を目指し、人々の生活を豊かにするような、ワクワクするドライビング体験や革新的な技術を提供しています。「セレナ」が2024年次「RJCカーオブザイヤー」、2023-2024「日本カー・オブ・ザ・イヤー」において「テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したほか、都市生活に焦点を当てた印象的なEVコンセプトカー「ハイパーアーバン」を発表、「アリア」では、Amazon Alexaを搭載、プロパイロットアシストやプロパイロットパーキングなどの先進技術を披露するなど、 DNAとパーパスを商品やサービスで具現化し、独自ブランドを追求しています。


Nintendo:70位 115億ドル (9%)

Nintendoは、娯楽を通じて人々を笑顔にする会社として、誰でも直感的に楽しむことのできる「任天堂独自の遊び」を提供することを目指しています。2023年4月に全世界で公開された『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は世界的なヒットとなり、同年10月に発売された『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』は、最初の2週間で全世界累計販売数430万本を達成しました。また、米国のユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに「スーパーマリオワールド」を、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにはドンキーコングのテーマエリアをオープン。ワシントン州シアトルでは「Nintendo Live 2023」を開催するなど、キャラクターたちをデジタルとリアルの幅広い分野へ展開することでファンとの接点を増やし、ファンの愛着を深めています。そして、Nintendoアカウントを通じて、ユーザーとの長く良好な関係を保ち続けることで、エコシステム全体にわたって強固で忠実なファンベースを築いています。


Panasonic:98位 64億ドル (-4%)

Panasonicは、創業者松下幸之助の「物心一如の繁栄」(人々のくらしが物と心の両面で豊かな理想の社会)の実現を目指し、多種多様なつながりとデジタル技術を掛け合わせて、一人ひとりに合った価値を届ける「くらしのソリューション・プロバイダー」として、世界中の人々の「幸せの、チカラに。」なり続けることに邁進しています。2023年7月、新部門「PanasonicWELL(パナソニックウェル)本部」を発足させ、2021年設立子会社のYohanaを通じてシアトルで開始した家族向けコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」を2024年6月からは日本全国での展開を開始しています。また社内報を刷新し、社外にも広く読まれるオープンコミュニケーション誌として、インターネット上で「Live Your Best」の発行を開始し、お客様やビジネスパートナー、関心のある方々とのより活発なコミュニケーションを加速しています。また、後の世代のために地球を守る“Panasonic GREEN IMPACT”も掲げ、グループ全体のCO2排出削減貢献量の約60%を占める車載用電池事業に大規模な投資を行うことを決定。7つの事業分野のチカラをあわせ、持続可能な幸せをつくりだしています。

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URL
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業種
サービス業
本社所在地
東京都港区虎ノ門3-2-2 虎ノ門30森ビル 4F
電話番号
03-6632-5300
代表者名
並木 将仁
上場
未上場
資本金
2000万円
設立
1983年10月