4年間で国内の再生可能エネルギー供給は倍増。順調な電力供給の一方で、熱供給は2年連続減少。
市町村の再生可能エネルギー自給率を推計する「永続地帯研究」11年目の報告書公表
千葉大学大学院人文社会科学研究科の倉阪研究室と、認定NPO法人環境エネルギー政策研究所は、日本国内の市区町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究を進めています。その11年目の報告書を公表しました。
「永続地帯」研究の最新結果(2016年3月現在)では、2016年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を試算しました。
※「永続地帯」とは住み続けるために必要なエネルギーと食糧を地域で生み出すことができる地域のこと
※「再生可能エネルギーで自給できる市町村」とは域内の民生用・農林水産業用エネルギー需要を域内で生み出された再生可能エネルギーで供給できる市町村のこと
※「永続地帯2016年度版報告書」は下記サイトに掲載中
http://sustainable-zone.org/
- 「永続地帯2016年度版報告書」の概要
2)太陽光以外の再エネ発電の中では、バイオマス発電の伸びが加速。その他の再エネ発電には、固定価格買取制度の効果が十分に現れていない。
3)再生可能エネルギー熱の供給は、減少に転じる。
4)2012年3月から2016年3月にかけて、国内の再生可能エネルギー供給は倍増
5)域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村(100%エネルギー永続地帯)は、順調に増加(2011年度50、2012年度54、2013年度60、2014年度62、2015年度71)
6)域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(100%電力永続地帯)も、2011年度に84団体、2012年度に88団体、2013年度は94団体、2014年度に97団体、2015年度に111団体と増加。
7)再生可能エネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超えている都道府県がはじめて半分を超えて25に増加(2011年度8、2013年度14、2014年度21、2015年度25)
8)食料自給率が100%を超えた市町村が568市町村と微減。100%エネルギー永続地帯である71市町村のうち、39市町村が食料自給率でも100%を超えている(下記一覧参照)。
- 永続地帯市町村一覧
【北海道:6】檜山郡上ノ国町、磯谷郡蘭越町、虻田郡ニセコ町、苫前郡苫前町、有珠郡壮瞥町、勇払郡むかわ町
【青森県:3】西津軽郡深浦町、上北郡六ケ所村、下北郡東通村
【岩手県:3】八幡平市、岩手郡雫石町、岩手郡葛巻町
【宮城県:1】刈田郡七ケ宿町
【秋田県:1】鹿角市
【福島県:3】南会津郡下郷町、河沼郡柳津町、双葉郡川内
【栃木県:1】那須郡那珂川町
【群馬県:3】吾妻郡長野原町、吾妻郡嬬恋村、利根郡片品村
【富山県:1】下新川郡朝日町
【長野県:3】南佐久郡小海町、上水内郡信濃町、下水内郡栄村
【鳥取県:1】西伯郡伯耆町
【岡山県:2】苫田郡鏡野町、久米郡久米南町
【愛媛県:1】上浮穴郡久万高原町
【熊本県:4】阿蘇郡小国町、上益城郡山都町、球磨郡水上村、球磨郡相良村
【大分県:1】玖珠郡九重町
【宮崎県:1】児湯郡川南町
【鹿児島県:4】出水郡長島町、姶良郡湧水町、肝属郡南大隅町、肝属郡肝付町
※ なお、本報告書には、以下の個別調査結果を含んでいます。第7章をご覧ください。
7.1. 国内外の再生可能エネルギーの動向 松原弘直(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所)
7.2. 電力会社エリア毎の電力需給にみる再生可能エネルギーの割合 松原弘直(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所)
7.3. 営農継続型発電の普及の現状 馬上丈司(千葉エコ・エネルギー株式会社代表取締役)
7.4. FITにおける輸入バイオマス資源の取り扱い 馬上丈司(千葉エコ・エネルギー株式会社代表取締役)
7.5. 3万kW未満の水力発電まで試算対象とした場合のランキング 永続地帯研究会
7.6. 食料自給率計算の検証、経年変化、今後の課題 泉浩二(環境カウンセラー)
※ 報告書本体(カラー版)・都道府県分析表は、http://sustainable-zone.org/に掲載してあります。
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- 本件に関するお問合せ先
URL: http://sustainable-zone.org/
千葉大学人文社会科学研究科教授 倉阪秀史
認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 松原弘直
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