<ヴィス>2024年、オフィスはブランディングを「語れる」デザインへ|オフィストレンド予想
コミュニケーションと集中のバランスが取れた、居心地の良いワークプレイスへ
ワークデザインを手がける株式会社ヴィス(本社:大阪市北区、代表取締役社長:金谷智浩、以下ヴィス)は、2024年のオフィスデザイントレンド予想をまとめましたのでお知らせします。
ヴィスに所属するオフィス設計デザイナー(55名)を対象にアンケート調査を実施し、回答をトレンド予想としてまとめました。
目次
【1】2024年オフィスデザイントレンド予想
【2】2023年のオフィスを表す漢字は「集」
【3】2022年→2023年 オフィスの変化
【4】2023年オフィストレンド予想の振り返り
【1】2024年オフィスデザイントレンド予想
2024年のオフィスデザイントレンドとして、下記3つを予想しました。
1)会社の特徴、ブランディングを語れるデザイン
2)コミュニケーション・集中業務のメリハリがあるレイアウト
3)居心地の良さが感じられるオフィス
1)会社の特徴、ブランディングを語れるデザイン
「会社の個性、“らしさ”を表現」したオフィスは2023年のトレンドとしても予想していましたが、2024年はさらにそれを「語る」ことができるデザインが求められると考えます。
企業のミッションやビジョンを含めたブランディングをオフィスデザインで表現。社員が自社のオフィスについて語ることができるポイントをつくり、それをお客様や取引先、求職者に実際に話をすることで会社について理解を深めることや帰属意識を向上させることにもつながります。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・言葉として語れるオフィス。スタッフが来客者へコンセプトなどを語り、そこからさらに愛社精神にあふれるようになる。
・空間意匠や動線上にナラティブ(語り)を入れることが一つの鍵になると思う。
・帰属意識を高める企業ブランドや企業らしさを感じるデザインも重要視される。
2)コミュニケーション・集中業務のメリハリがあるレイアウト
オフィスをコミュニケーションの場と位置づける企業も多いですが、集中して業務を進めるべきときもあります。会話が増え、オフィスが集中作業をしづらい環境となってしまうのは避けるべきです。
自分の業務に集中できる環境をオフィスにつくり、社員それぞれの業務内容に合わせてメリハリをつけて働くことができるレイアウトが必要となります。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・集中と共同作業、個と集団などメリハリのついた機能。
・職場に話をしに来た人と集中業務をしに来る人など、限られた空間に求めることが違う人が共存するのでゾーニングをしっかりすることが求められる。
・ABWがオフィスの主流となる一方で、エンジニアを中心に自席を充実したオフィスにしたいという要望もあり、個別集中デスクが増えそうと感じる。
3)居心地の良さが感じられるオフィス
オフィスでは、1日の長い時間を過ごします。居心地の良い環境は業務効率化や出社する意欲にもつながります。
広々とした空間、開放的なデザイン、通信環境や大型モニターなど、自宅とは異なるオフィスだからこその機能やツールがあることももちろん、グリーンや自然を取り入れること、リラックスができるエリアやその場所を自分で選べることも居心地の良さにつながります。
機能を詰め込むことよりも、余白やゆとりをもたせるデザインが今後求められるでしょう。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・サステナブル素材の台頭に続き、植物をはじめ石や土、風など自然由来のものに触れられるデザインが出てくると思う。
・お客様が居心地の良い空間をイメージされる中で、ホテルのように過ごしたくなる空間が好まれるケースが多い。
・外部と切り離されたオフィス空間の中で、自然を感じられるものの存在は重要。植栽は空間を緩やかに仕切ることも可能で自由度が高いと思う。
上記3つのほか、下記のキーワードが出ていました。
・ウェルビーイング
特に身体的な健康を意識したものが多く挙がりました。居心地の良さにもつながるもので、特にデスクワークが多い職種にとって重要なデスク、チェアなどの働く環境を良くしようというものがありました。オフィスで「しっかりと働く」ことができる機能が見直されています。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・座る、立つ、などの働く状態・姿勢に関して、こだわった機能のニーズが増えてくる。
・出社しなくても仕事ができるからこそ、職場に健康と自己実現といった仕事をする以上の付加価値を求める傾向がより強まる。そこにウェルネスな機能、特徴は今後も求められる。
・DX、最新ICTの活用、情報通信環境の整備
業務効率化のため、AIの活用や最新ICT機器の活用がオフィスでも不可欠になっています。オフィス構築では運用も考慮したデザインをすることが重要です。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・サーベイの実施、ミーティングツール・来客システムなどを導入されるお客様が多かった。固定席をご要望されていたお客様でも、ペーパーレス化などは前向きに検討していた。
・リアルに集まっているのと違和感がない空間(音環境や遮音性など)が求められると思う。
オフィスデザインにおいてはどれも従来から求められているものですが、コロナ禍を経た今だからこそ改めて見直されている面があるように感じました。
また2024年は電子帳簿保存法の電子データ保存義務化、物流・運送業や建設業での働き方改革関連法(2024年問題)など間接的な影響にも注目する必要があります。災害への意識も高まっており、オフィスにおける災害対応やセキュリティ対応なども引き続き重要性・注目度が高いテーマのひとつになるでしょう。
以下では、昨年2023年のオフィスについて、2021年、2022年との比較も含め振り返りました。
【2】2023年のオフィスデザインは「集」
「2023年のオフィスデザインを漢字一文字で表すと?」の質問に対しては、2022年に続き、2023年も「集」が最も多い結果となりました。2022年が14.2%であったのに対し、2023年は24.1%が「集」と回答。
オフィスに「集まる」と「集中する」の両方の意味で挙げる人が多くおり、他には「戻」「繋(つなぐ)」の漢字の回答も見られました。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・コミュニケーションのスペースと集中スペースが求められていたように感じるため、人が「集まる」という意味と「集中」という意味。
・今まで在宅で対応していた会社も改めてオフィス出社の重要性を感じ、集まる意味のあるオフィスを意識してると感じたため。
【3】オフィスデザイン「大きく変化した」「変化した」が約80%
「2022年と2023年を比較して、オフィスデザインやお客様のニーズの傾向は変わりましたか?」と質問をし、2021年から2022年における変化と比較しました。
2022年から2023年にかけて「大きく変化した」「変化した」の合計は79.6%でしたが、「大きく変化した」の回答が65.3%から5.6%に大幅に減少し、「変化した」の回答は22.4%から74.1%と増加しました。コロナ禍が終わり変化が緩やかになっているということがわかります。
2021年から2022年はコロナ禍の影響を残し、各企業で働き方に変化が出つつハイブリッドワークが拡大。2022年はコロナ後を見据えたオフィス構築が進み、社員のオフィス出社を促す「行きたくなるオフィス」にする工夫など、コミュニケーションを取るための取り組みが増えました。
2023年は、ただオフィスに集まるだけではなく、オフィスに集まって何をするのか、新たなオフィス環境でどう働くかなどさらに先にフォーカスできるようになり、企業ごとの要望も変化しています。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・2022年コロナ禍明けすぐは、どうにかしてオフィスに人を集めたい、というざっくりした要望でカフェやコミュニケーションなどがキーワードだった。2023年は企業内でより細かな要望を伺えるようになった。
・以前はカフェスペースや休憩スペースなどリラックス要素を多く求められていたが、1人あたりのデスクの広さ、集中ブース、会議スペースなど業務効率を求められることが多くなった。
・経営層は出社してもらいたい思いがベースにはあるが、その先にフォーカスしているクライアントが増えた印象。 会社に来る理由をしっかりと考えた上でのレイアウトの要望が増えた。
【4】2023年オフィストレンド予想の振り返り
昨年公開した「2023年オフィストレンド予想」を振り返りました。「2023年トレンド予想」4つそれぞれに対し、「トレンドとしてあった」と回答があった比率を記載しています。
トレンド予想1. 会社の個性、“らしさ”を表現 色味やインパクトのあるデザイン(29.6%)
<デザイン事例>
リブランディングに合わせ、企業イメージに合うよう木素材を多用して温かみのある空間に。
新しいブランディングオフィスを構築するにあたり、エントランスで「企業と人をつなぎ、未来につなぐ」世界観を表現。
「顧客とともに新規事業を創出する」という想いから「近未来」をテーマにデザイン。明るいホワイトをベースに、アクセントとして企業イメージカラーであるオレンジを使用。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・文化・個性・その企業で働く人々の特性をいかに社外に打ち出していくかがこの一年特に求められた。その媒体としてのオフィスデザインだった。
・勢いのある会社はブランディング力に力を入れている傾向にある。採用強化や優秀な人材を確保するために競合他社との差別化を行なっている印象。
トレンド予想2. チームでコミュニケーションが取れる「集まるオフィス」 (59.3%)
<デザイン事例>
人が集まりやすいオフィスの中心にオープンミーティングエリアとパントリーカウンターを設置し、その両サイドにベースとなるワークスペースを配置。オフィスの活性化につなげ、一体感も生まれた。
エントランスの背面にインパクトのある円形会議室を配置し、それを囲うように会議室を設置。中央をパントリーエリアとし、自然とコミュニケーションや交流が増えるレイアウトとした。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・デスク島が並ぶだけのオフィスでも、付近にチームでコミュニケーションが取れるオープンミーティングスペースを設置するレイアウトが好まれた。稼働率も高い。
・オフィスの様々な場でコミュニケーションを誘発するための仕掛け、レイアウトを提案してほしいという要望が多かった。
トレンド予想3. オフィス内の集中エリアが拡大 (14.8%)
<デザイン事例>
「自然を感じられるオフィス」というテーマで各エリアをデザイン。川の流れをイメージした有機的な形状の個人ブースはオフィスのシンボルに。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・オフィススペース全体をワンフロアのような使い方が主流な中で個別スペースの重要性を考えているクライアントが多かった。
・エンジニアが多い企業では特に、自宅以上の機能などをオフィスに来るメリットとして設置したいという依頼が多かった印象。
トレンド予想4. SDGs・環境に配慮したオフィス (20.4%)
<デザイン事例>
移転にあたり、65%以上の家具を転用。国産木材を使用したテーブルや再生ペットボトルを使用したチェアなども導入した。グリーンを多用したバイオフィリックデザインで健康にも良い効果を及ぼしている。
<デザイナーコメント 自由回答・一部抜粋>
・各メーカーからエコ商材を使った家具や素材が出ており表層だけではなくオフィス全体でのエコを求められていた。
・健康に配慮した理想のウォーキング歩幅「自分の身長x45%」が体感できる「歩幅チェックスペース」をメイン動線に設けた。
まとめ
2023年の予想「オフィスは『集合』と『集中』のハイブリッドワークプレイスへ」は該当したケースが多くありました。変化は緩やかになったものの、同様の傾向は今年も続いていくと考えられます。
2024年のトレンド予想として出ていた「居心地の良さ」「自然、グリーン」といったワードは、今後「はたらく」ことを考えるうえでキーワードになるでしょう。オフィス本来の目的である「はたらく」をより快適に、ストレスなくするために環境はより重要視されるに違いありません。心身ともに居心地の良い環境が求められます。
さらに、企業ごとの意思や方向性の重要度が増すでしょう。何を優先するか、社員は何を求めているか、オフィスデザインをする前の段階から考えていかなければなりません。
ヴィスで提供する「WORK DESIGN PLATFORM」では、オフィス空間の現状分析や社員の声をオフィス構築に活用することができます。企業ごとの「新しいはたらき方」を見出し、理想的な「はたらく」をデザインしています。
ヴィスでは、今後もオフィスデザイン、ワークデザインを通してトレンドを発信してまいります。
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【調査概要】
・調査期間:2023年12月20日~2024年1月10日
・調査主体:株式会社ヴィス 自社調査
・調査対象:株式会社ヴィス クリエイティブディビジョン所属のクリエイター(設計デザイナー)
・有効回答数:55名
・調査方法:インターネット調査、自由回答形式
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■参考資料:オフィスデザイントレンド(2023.07)
https://vis-produce.com/download/trend2/
WORK DESIGN PLATFORMについて
WORK DESIGN PLATFORMは、ヴィスが提供する、はたらく環境をデータで可視化するツールです。分析、シミュレーション、サーベイを通して企業ごとの最適なはたらき方を見出し、データを用いたワークプレイス構築を可能にします。
■WORK DESIGN PLATFORMについて:https://vis-produce.com/service/data_solution/wdp/
■紹介資料ダウンロード:https://vis-produce.com/download/wdp/
株式会社ヴィス
株式会社ヴィスは、「はたらく人々を幸せに。」というパーパス(存在意義)のもと、3つのソリューションを通して“はたらく”をデザインするワークデザインを提供しています。
・ブランディング事業
ワークプレイス、WEB・グラフィックのデザインを通して企業ブランディング構築を支援
・データソリューション事業
主に「WORK DESIGN PLATFORM」を通してデータをもとにワークプレイスの現状を可視化・改善
・プレイスソリューション事業
オフィスビルのバリューアップや活用提案・フレキシブルオフィス「The Place」運営
【会社概要】
社名:株式会社ヴィス
代表者:代表取締役社長 金谷 智浩
事業内容:ブランディング、データソリューション、プレイスソリューション
設立:1998年4月13日
事業所:東京オフィス、大阪オフィス(本社)、名古屋オフィス
URL:https://vis-produce.com
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