「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン(第2版)」を公開しました

実践を通じた有効性検証などにより、ガイドラインをブラッシュアップ

NEDO

 NEDOは、「5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業」(以下、本事業)において、「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン(第2版)」(以下、本ガイドライン)を策定し、本日公開しました。

 本ガイドラインは、製造業のスマート化において特に重要となるデジタルソリューション導入を行う前の企画段階に重点を置き、製造事業者が自社に合ったスマート化の道筋を描くための考え方や手順、さらに目指す姿を具体的に検討するためのリファレンスを提示するものです。

 第2版は、初版の公開以降、製造事業者による実践を通じた有効性検証などにより、「ソリューションカテゴリ」の改善や「実践ワークシート」の新規追加などのブラッシュアップを図りました。

 スマート化を進める製造事業者の間で本ガイドラインが広く活用されることで、効果的なスマート化が促進され、日本の製造業の競争力強化につながることを目指します。

1.概要

 製造業でのスマート化※1において、各部門の機能や業務を前提とした個別工程の改善を主眼とする取り組みは、対象の工程の部分最適となってしまい、経営課題や業務変革課題の根本的な解決が困難でした。また、コンサルタントやITベンダーに頼り過ぎたデジタルソリューションの導入は、現状の改善にとどまってしまい、自社の将来を見据えた継続的な改善につながらない事も多くありました。

 効果的なスマート化を行うためには、経営課題や業務変革課題の特定を起点とした変革が必要です。そして、経営課題や業務変革課題の根本的な解決に向けては、製造部門だけでなく、製造プロセス全体を俯瞰(ふかん)した全体最適が重要になります。また、自社の将来を見据えた継続的な改善を行うには、イニシアチブをもってデジタルソリューションを検討する事が重要です。

 全体最適に向けた変革を進めるためには、「ものづくりの変革」と「デジタルソリューション」の両方を捉えた変革の進め方のノウハウを持ち、各部門の機能を総合的に検討出来る人材が必要と考えます。NEDOは、この問題を解決するための手段の一つとして、本事業※2において、本ガイドラインの初版を策定し、2024年6月28日に公開※3しました。その後、製造事業者による実践と、有識者との意見交換を行い、その結果を踏まえて改定した本ガイドラインを本日公開しました。

 スマート化を進める製造事業者に本ガイドラインが活用されることで、効果的なスマート化が促進され、日本の製造業の競争力強化につながることを目指します。

 なお、本ガイドラインは、以下よりダウンロードできます。

 スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン(第2版)

 https://www.nedo.go.jp/library/smart_manufacturing_guideline.html

2.本ガイドラインの概要

 本ガイドラインは、スマート化プロジェクトの「けん引役」となる経営層、「リーダー役」を担う管理職、そして実務リーダー、これらのスマート化を推進する関係者間の意思疎通を支援する共通の手引きとなる事を想定しています。また、製造事業者各者が、自社の実態に即した変革を進めるために、教科書的な手順を示すのではなく、各事業者に合わせた変革を行うための、主体的な思考を促すためのツールが必要と考え、デジタル技術を用いてものづくりの全体プロセスを最適化する際に、特に重要となるデジタルソリューション導入の企画段階に重点を置いて作成しました。

 本ガイドラインでは、製造事業者が自社に合ったスマート化の道筋を描くための考え方や手順、さらに目指す姿を具体的に検討するための「リファレンス」を提示するものです。

 図1に示す通り、本ガイドラインは、全体像を示した本文と、変革のシナリオづくりを補助する「7つのリファレンス」 で構成されています。

図1 リファレンス構成図

 本ガイドラインでは、「変革の起点となる外的要因」と「変革の起点となる内的要因」の二つのリファレンスを用いて変革の起点を整理した上で、「マニュファクチャリング変革課題マップ」リファレンスを使い取り組むべき業務変革課題を設定し、「変革課題別の実現レベル5段階」と「実現レベル別の仕組み構築手法」の二つのリファレンスにより目指すべき実現レベルとそれを具体化する仕組みを決めていきます。また、「企画~実装に至るプロジェクト設計」リファレンスの推進ステップや「プロジェクト推進モデル事例」リファレンスの実践事例を参考にプロジェクトの設計と推進を行います。

3.第2版の特徴

 本ガイドラインは初版の公開以降、製造事業者による実践を通じた有効性検証により、実際に製造事業者が自ら活用可能で、潜在していた課題に気づきが得られ、新たな行動や成果につなげられる事を確認しました。また、製造事業者の実践結果とITベンダーとの意見交換を踏まえて、主に以下のブラッシュアップを図りました。

(1)「ソリューションカテゴリ」の改善

 「実現レベル別の仕組み構築手法」リファレンスにおいて、「ソリューションカテゴリ」の記載内容を改善しました。ITベンダーとの意見交換により、ユーザーとITベンダー間で対話の土台として使えるようになっていることを確認しています。

(2)「実践ワークシート」の新規追加

 製造事業者が変革のシナリオづくりを実践する際に、検討の手順を認識して効率的に実践が進められるように「実践ワークシート」を新規に追加しました。このワークシートに各リファレンスを用いた検討のアウトプットを整理していくことで、スマート化の具体化施策の企画立案が可能です。また、製造事業者による実践結果を踏まえて、ワークシートの活用手順と検討時につまずきやすい箇所への対応策を解説した資料もあわせて整備しました。

図2 実践ワークシート

【注釈】

※1 製造業でのスマート化

IoT、人工知能(AI)、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、製造業における全体プロセス(設計、製造、流通、品質管理など)を最適化し、柔軟で効率的な生産体制を実現する取り組みです。

※2 本事業

事業名:5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業

事業期間:2021年度~2025年度

事業概要:5G等の活用による製造業のダイナミック・ケイパビリティ強化に向けた研究開発事業

https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100191.html

※3 2024年6月28日に公開

(参考)NEDOニュースリリース「経営課題からものづくりプロセス全体の変革手法をまとめた「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を公開」 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101754.html

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会社概要

URL
https://www.nedo.go.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
神奈川県川崎市幸区大宮町1310番 ミューザ川崎セントラルタワー
電話番号
044-520-5207
代表者名
斎藤 保
上場
未上場
資本金
-
設立
2003年10月