現実とバーチャルを繋ぐ時空間データ基盤「GeoCLOVER」の基礎技術を開発
現実世界を構成する時空間データを収集・統合・管理・活用することで新たな価値を創出
三菱電機株式会社は、ビル、工場、都市などの現実世界をまるごと空間と時間のデータとして、バーチャル上に再現する時空間データ基盤「GeoCLOVER™(ジオクローバー)」の基礎技術を開発しました。「GeoCLOVER」に蓄積するデータと、日々の生活やビジネスで生まれるさまざまなデータを組み合わせることで現状分析や未来予測が可能となり、現場業務の効率化や自動化など社会課題の解決に貢献します。
近年、人手不足、環境配慮、災害対策などの社会課題解決に向けて、さまざまなモノや活動をデジタルデータとして収集し、それらを高度に連携、表現したデジタルツインの活用が注目されています。デジタルツインを実現するためには、人、物品、設備など、現実世界を構成するあらゆるモノをデータとして収集し、それらの位置と時間の関係を正確に把握する必要があります。従来は、サービスの目的ごとにデータを個別に収集していたため、データが限定的で汎用性がない、注目したモノ以外のデータにおいて位置と時間の関係が分からないといった課題がありました。また、膨大なデータが使いやすい形で管理されていないことが多く、データの管理、活用に手間や時間がかかっていました。
当社は、MMSD(※1)、MDMD(※2)において3次元空間データを活用した社会インフラ向けのサービスを展開しており、大規模空間の計測技術や設備・土木構造物の経年変化を検出する技術、デジタルツインの構築技術に強みを有しています。今回、これらを活用し、現実世界を構成するあらゆるモノの位置と時間を表す「時空間データ」を収集・統合・管理・活用する時空間データ基盤「GeoCLOVER」の基礎技術を開発しました。この基礎技術は、ビルや工場など建屋内の空間を正確に計測する技術、位置や時間が異なる3次元空間データを繋ぎ合わせる技術、膨大な3次元空間データの時系列を効率的に管理する技術、3次元空間データから物体を認識する技術で構成しています。現実世界を丸ごと切り取り、データを3次元空間に時系列で蓄積、更新できるため、モノの位置と時間を表す「時空間データ」の収集から活用まで一気通貫して実現します。これにより、例えば「GeoCLOVER」に蓄積するデータと、お客様が保有する機器のデータを融合し、シミュレーションやAI技術と組み合わせることで、オフィスビルの快適性向上、都市空間の賑わい創出など、さまざまな現場の課題をデジタル技術で解決する新たなソリューションの提供が可能となります。
本成果の一部を「CEATEC 2024」(10月15日~10月18日、於:幕張メッセ)に出展します。「CEATEC 2024」では、「GeoCLOVER」として開発した3次元空間を再現する技術や物体を認識する技術の紹介の他、時空間データに基づいて、現実世界を模したジオラマとバーチャルを繋ぎ、空間の快適性を評価する技術を活用して空間をデザインする画期的な体験ができます。
■開発の概要
技術 |
効果 |
|
今回 |
・空間全体をデータとして収集・蓄積 ・空間の時系列をバーチャル上に再現 |
さまざまな現場業務の効率化や自動化が可能 |
従来 |
・特定のモノをデータとして収集・蓄積 ・特定の時間の空間をバーチャル上に再現 |
特定業務の効率化や自動化が可能 |
■「GeoCLOVER」の特長
1.あらゆるモノの時空間データを時系列に収集し、統合、管理、活用まで一気通貫で実現
・現実空間を正確に計測する技術や膨大な3次元空間データを時系列かつ効率的に管理する技術を用いて、あらゆるモノの位置と時間を表す「時空間データ」を収集し、蓄積
・あらゆるモノの時空間データを収集・蓄積することで、これまでは見逃していた現実世界の些細な変化も捉えることが可能
・「収集」「統合」「管理」「活用」を一気通貫して自動で実現、人手や時間をかけずに更新することが可能
2.収集した時空間データを統合しデジタルツインを構築、幅広いデジタル技術の活用が可能
・オフィスや工場、都市などにおいて、3次元計測システム、サービスロボット、ドローンなどを活用し、さまざまなシステムから収集した時空間データを統合して、現実世界をバーチャル空間上に再現するデジタルツインを構築
・あらゆるモノが含まれる現実世界をバーチャル上に再現することで、例えば、現場環境のリモート化、問題分析、仮説検証、未来予測など、現実世界に対してデジタル技術を幅広く活用可能
3.位置と時間をもとにさまざまなデータの組み合わせによって、新たな価値を創出
・位置と時間をもとに時空間データを容易に検索可能。アプリケーションの目的に応じた時空間データを提供
・日々の生活やビジネスから生まれるさまざまなデータと、「GeoCLOVER」が提供する時空間データを組み合わせることで、新たな価値やサービスを創出し、人手不足や環境配慮など多様な社会問題の解決に寄与
<例>快適に働くために最適化されたオフィス、人とロボットが協働する病院、CO2排出量が可視化された工場、周辺環境に配慮した建設現場、などの実現
■今後の予定・将来展望
今後、「GeoCLOVER」を構成する4つの要素である「収集」「統合」「管理」「活用」の技術開発をさらに進め、2026年に完成予定です。社会課題解決に向け、新たな価値の創出・提供に貢献していきます。
■「GeoCLOVER」が実現する世界
持続可能な社会の構築が求められているなか、当社は、サステナビリティの実現を経営の根幹に位置づけ、「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」「安心・安全」「インクルージョン」「ウェルビーイング」を注力する5つの課題領域として設定し、事業を通じた社会課題の解決に向けて、さまざまなデータを分析・活用し新たな価値を持続的に創出する「循環型 デジタル・エンジニアリング企業」への変革に取り組んでいます。
「GeoCLOVER」は、現実世界全体をデジタルデータとして収集・更新していくことで、現実世界とバーチャルを融合させ、生活やビジネスの多様なシーンを支援するデジタルサービスが迅速に創出される世界を実現します。
1.「カーボンニュートラル」
光・熱・空気・CO2排出量などの3次元空間シミュレーションを可能とし、都市・建物・工場などの実環境に応じたエネルギー効率の最適化、カーボンフットプリントの削減、緑化による環境負荷軽減の定量化を実現できます。
2.「サーキュラーエコノミー」
空間形状や大きさの正確な把握を可能とし、建築材料の使用量の最適化や、リサイクル可能な材料の特定と総量の把握を実現できると共に、都市・建物・工場などに配置された設備や材料のライフサイクル全体の流れを追跡し、メンテナンスコストを最適化することができます。
3.「安心・安全」
様々な活動が行われる都市空間をデジタルデータとして記録・分析・検証することを可能とし、例えば工場の安全設計、公共施設での災害時のシミュレーション、建物の老朽化の把握、インフラのメンテナンス計画の策定など、安心・安全な社会を実現します。
4.「インクルージョン」
多様な人が活躍する都市空間を複数の人で設計・共有・提案することを可能とし、身体的制約を持つ人々のアクセシビリティ向上、多様な利用者のニーズを反映した設計、そして設計者と利用者間のコミュニケーション促進を実現します。
5.「ウェルビーイング」
人に合わせた空間設計を可能とし、ユーザが空間理解を深めてストレスを軽減し、光源・音源・空気の流れなど生活空間のデザインを最適化して心地よさを向上させることができます。
■商標関連
「GeoCLOVER」 |
三菱電機株式会社の出願中の商標 |
※1 2021年6月22日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2021/pdf/0622-b.pdf
※2 2021年12月8日広報発表 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2021/pdf/1208.pdf
<お客様からのお問い合わせ先>
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所
〒661-8661 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号
FAX 06-6497-7289
https://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_at.html
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像