アンデスの”声”を受け継ぐケチュア音楽歌手イルマ・オスノ氏が登壇。多摩美術大学、声・歌・音楽からアートとデザインを探るシンポジウムを12月6日開催

多摩美大、12月6日(土)にシンポジウム開催。ペルー出身歌手イルマ・オスノ氏をゲストに、アンデスの伝承歌からアートとデザイン、自然との関わりを探る。

多摩美術大学

「ひとびとの声・わたしたちの歌」ポスタービジュアル(写真:港千尋 / デザイン:中村陽道)

多摩美術大学(東京都世田谷区・八王子市/学長:内藤廣)は、12月6日(土)、八王子キャンパスのレクチャーBホールにて、第4回「記憶の道」シンポジウム「ひとびとの声・わたしたちの歌」を開催いたします。本シンポジウムは、本学のアートとデザインの人類学研究所と、芸術学科の授業「21世紀文化論」が共催で行います。

本年度で第4回を迎える「記憶の道」シリーズは、「声・歌・音楽」をテーマに、ペルー南部アヤクーチョ出身のケチュア音楽歌手、イルマ・オスノ氏をゲストにお迎えします。

また、アートとデザインの人類学研究所所員である港千尋(情報デザイン学科教授)、椹木野衣(リベラルアーツセンター教授)、佐藤直樹(グラフィックデザイン学科教授)、金沢百枝(芸術学科教授)、および陳芃宇(日本画専攻講師)が登壇し、議論を深めます。

第4回「記憶の道」シンポジウム
「ひとびとの声・わたしたちの歌」開催主旨

大地から生まれた音楽は、風となって世界をめぐる

フォークソングやフォークダンスなど日常語として定着している言葉は、比較的新しい英語です。〈ふつうのひとびと〉を意味するドイツ語の volk や英語の folk を含んだ言葉は、いずれも19世紀に使われるようになり、その流れから民俗学 folklore も始まりました。〈ふつうのひとびと〉を研究する学問は衣食住から儀礼や信仰など生活文化全般に及び、美術にも大きな影響を与えることになります。ラテンアメリカ、特にアンデス地方の音楽がフォルクローレと呼ばれるのも、スペイン語化した folklore を伝承音楽の意味で使ったからです。

アートもデザインも高度に専門化が進んでしまい、現在では見えづらくなっていますが、領域の違いにかかわらず根底には〈ふつうのひとびと〉の生活があります。今日ひとびとの声や身体から生まれるものの価値が見直されているのは、文明の極端な機械化に対する、ひと本来の反応なのかもしれません。さらに言えば〈ふつうのひとびと〉は人間だけの話ではなく、もともと大地と生命との交感に支えられた〈ふつうのしぜん〉であったという認識さえ生まれてきています。

風に国境がないように、大いなる山から生まれた音楽もまた、いかなるボーダーをも越えて届きます。鮮やかな色彩を響かせる歌やダンスとともに、来たるべきひとびとの風景を考えてみたいと思います。

開催概要

日時

2025年12月6日(土)

13:30〜16:00(開場 13:00)

会場

多摩美術大学 八王子キャンパス

レクチャーBホール

参加費

無料

参加方法・定員

【一般の方】

定員:30名程度(事前申込制・先着順)

参加方法:下記フォームよりお申込みください。

<申込フォーム>

https://forms.gle/WsCmuGcTXgiW1HVo6

※一般参加申込が定員に達し次第、募集を締め切ります。

※申込のキャンセル・欠席をされる場合は、アートとデザインの人類学研究所(Email:iaa_info@tamabi.ac.jp)まで、早めにお知らせください。

【本学学生・教職員】

事前申込不要。当日、直接会場へお越しください。

【ご注意】

・会場全体の収容人数は200名です。満席の場合は立ち見となる可能性がございます。

・当日は自由席です。会場に到着した方から順番に着席ください。

シンポジウムURL

https://iaad.tamabi.ac.jp/2025_iaad_symposium/

登壇者プロフィール

イルマ・オスノ

イルマ・オスノ|Irma Osno

アヤクーチョのケチュア音楽の歌手。1974年ペルー南部アヤクーチョ州ウアルカス村生まれ。12歳までケチュア語のみを話し、地元の伝統文化のなかで育つ。政府とゲリラ組織の武装対立による戦禍を避けて首都リマへ移住後、大学で教員資格を取得し、中学・高校でスペイン語教員として勤務。同時にサン・マルコス大学で民族舞踊を学び、アヤクーチョ民族舞踊団のメンバーとして活躍。日本に拠点を移して以降、ケチュア語による伝承歌を再構成した演奏や講演などを行い、歌・踊り・言語を通してアンデス文化の世界を紹介。詩と祈りを往還する独自の歌声によって、土地の記憶と人の営みをいまに響かせている。写真家ホンマタカシのドキュメンタリー映画『アヤクーチョの唄と秩父の山』(2019年)に出演。これまでのアルバムに、『アヤクーチョの雨』(共作/2013年)、『Taki Ayacucho』(2017年)、『Brisa con Tres Armas』(共作/2021年)がある。最新作はソロアルバム『Ayla Ayacucho』(2025年)。

港千尋|Chihiro MINATO

写真家。多摩美術大学教授、アートとデザインの人類学研究所所長。芸術の発生、記憶の予兆などをテーマに制作と研究を続けている。著書に『記憶――創造と想起の力』『インフラグラム――映像文明の新世紀』『風景論――変貌する地球と日本の記憶』など多数。「第2回浪漫台三線藝術季」(台湾)国際キューレーター。

椹木野衣|Noi SAWARAGI

美術批評家。多摩美術大学教授、アートとデザインの人類学研究所所員。1991年に最初の評論集『シミュレーショニズム』を刊行、他に『日本・現代・美術』『後美術論』『震美術論』など多数。福島県の帰還困難区域で開催中の「見に行くことができない展覧会」“Don’t Follow the Wind”では実行委員を務める。

佐藤直樹|Naoki SATO

デザイナー、画家。多摩美術大学教授、アートとデザインの人類学研究所所員。1994年に『WIRED』日本版創刊にあたりアートディレクターに就任。1998年アジール・デザイン(現アジール)設立。2012年から絵画制作へと重心を移す。「東京ビエンナーレ」(2020/2021, 2023)クリエイティブディレクター。

金沢百枝|Momo KANAZAWA

美術史家。多摩美術大学教授、アートとデザインの人類学研究所所員。主な著書に『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繍布》を読む』『ロマネスク美術革命』『イタリア古寺巡礼』シリーズなど。『工芸青花』でロマネスク美術や西洋工芸について連載中。

陳芃宇 | Pengyu CHEN

画家。多摩美術大学講師、アートとデザインの人類学研究所所員。2018 年より多摩美術大学大学院研究室助教を経て、2023 年同大学絵画学科日本画専攻専任講師。2024 年第 51 回創画展創画会賞受賞。現在創画会準会員。日本、台湾、韓国、イタリアなど個展・グループ展多数。

アートとデザインの人類学研究所について

「芸術」という営みを数万年におよぶ「人類史の時空からとらえなおす」研究をおこなっています。従来、考古学や文化人類学などの研究に限定されてきた人類の創造活動を、初めて総合的芸術研究の中で正面から対象化し「芸術学×人類学=アート・アンソロポロジー」として発進させたのがはじまりです(2006年に多摩美術大学芸術人類学研究所が開所)。芸術人類学とは、人類史の長大なスパンにおいて過去・現在・未来へと進むあらゆる「表現(リプレゼンテーション)」を、自然と人、人と物、人と人の「関係性において刻々に生成するもの」としてとらえ、そこから人の有機的な心身のはたらきを明らかにしていく行為です。そのため私たちは「アート&デザイン」「ヒューマニティーズ(人文科学)」「サイエンス(自然科学)」の3領域を結びつけ、わが国と世界の民族・文化集団の芸術の生成と展開を先史からみつめ探究しています。人が自然から恵みを受け、その心・知・術によって創造してきたもの表現の蓄積を掘り起こすことによって、私たちは21世紀の現在が最も必要としている、真の「生命力の再生」へ寄与していきたいと考えています。

アートとデザインの人類学研究所 所内(「悠久のロックアート」展示風景)

八王子キャンパス 交通アクセス

所在地:東京都八王子市鑓水2-1723

アクセス方法:

◎JR横浜線・京王相模原線「橋本駅」北口バスロータリー6番乗り場より、神奈川中央交通バス「多摩美術大学行」で約8分(運賃:現金210円/IC210円)

◎JR中央線「八王子駅」南口バスロータリー5番乗り場より、京王バス「急行 多摩美術大学行」で約20分(運賃:現金260円/IC260円)

◆詳細な交通アクセスはこちら:

https://www.tamabi.ac.jp/access/

■学校法人多摩美術大学について

学校法人多摩美術大学理事長:青柳正規

多摩美術大学学長:内藤廣

所在地:〒158-8558 東京都世田谷区上野毛3-15-34

創 立:1935年

⼤学概要:創⽴以来「もの派」を牽引した関根伸夫、菅⽊志雄ら、またデザイン界でも深澤直⼈、佐藤可⼠和など世界を舞台に活躍する才能を数多く輩出。⼋王⼦市と世⽥⾕区に2キャンパスを擁し、絵画、彫刻、⼯芸、デザイン、建築、映像、演劇、芸術学など幅広い領域を網羅する15学科/専攻/コースと⼤学院を設置。

https://www.tamabi.ac.jp

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会社概要

学校法人 多摩美術大学

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URL
https://www.tamabi.ac.jp
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都世田谷区上野毛3-15-34
電話番号
03-3702-1141
代表者名
青柳正規
上場
未上場
資本金
-
設立
1935年11月