【キャディ調査レポート 下請法改正編】複雑化する規制対応、現場が選んだサプライチェーン健全化への解決策は「システム導入による効率化」がトップ

製造業のデジタル変革に挑むキャディ株式会社（本社：東京都台東区、代表取締役：加藤 勇志郎）は、2026年1月施行予定の「下請代金支払遅延等防止法（通称：下請法）」の改正に向け、製造業77社90名を対象に「下請法改正に対する意識調査」を実施しました。

「下請法」は、改正によって2026年1月1日より「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」（略称：中小受託取引適正化法、通称：取適法）として施行されます。

今回の改正は「取引適正化」への大きな一歩となる一方で、規制対象を決める「従業員基準」の追加や、価格協議のプロセスを証明する「交渉記録の保存」など、実務担当者にとっては新たな業務負担が懸念されています。

本レポートでは、発注する立場である委託事業者にお勤めの77社90名を対象に各社が抱える懸念や対応状況といった現場の実態と、サプライチェーン健全化に向けた解決の糸口を報告します。

■ 調査サマリー

・法改正に伴う負担として「従業員基準の規模要件への追加」が36.2%と最多。「手形禁止」「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」などの禁止項目以上に「規制および保護の対象が拡充され改正後は取適法上の委託事業者に新たに該当するケース」への関心が高いことが明らかとなりました。

・法改正による影響として、「コンプライアンス対応（41.1%）」や「文書化の負担増（37.8%）」を予測しており、業務負荷への懸念が顕著であることが浮き彫りになりました。

・社内研修を定期的に実施している企業は過半数（52.2%）となり、約3割は「一部部署のみ」の実施など、組織的な対応にばらつきが見られます 。

・サプライチェーン健全化のためには、「ガイドライン強化（24.6%）」や「発注プロセス見直し（17.7％）」を超えて「デジタル化・システム導入による効率化（27.4%）」が最多となり、健全な取引環境の実現には、新たなルールの策定よりも、システム実装による「業務の効率化・標準化」が不可欠であるという結果となりました。

■ 調査結果

● 改正による負担増の懸念点について、トップは「従業員基準の規模要件への追加」(36.2%)。次いで「一方的な代金決定の禁止」(30.0%)が続き、禁止項目以上に「適用範囲の拡大」そのものへの危惧が上回りました。

● 法改正による発注・調達プロセスへの影響について、「取引先との関係改善」との回答は1割程度にとどまり、約8割が「コンプライアンス対応」「文書化の負担」を懸念しています。

●下請法や公正取引に関する社内研修を「定期的に実施」している企業は過半数。「一部の部署のみ実施」「未実施」は約4割にのぼり、全社的な対応には課題が残ります。

●サプライチェーン健全化の施策として、「デジタル化・システム導入による効率化（27.4%）」が最多。ガイドライン等のルール整備以上に、デジタル技術による仕組み化が求められています。

＜総括＞

本調査の結果、2026年の法改正（取引適正化法）に対し、「従業員基準の規模要件への追加（36.2%）」や、発注・調達プロセスにおける「文書化・手続きの負担増（37.8%）」に強い危機感を抱いていることが明らかとなりました。

これは、規制対象となる企業の裾野が広がると同時に、「価格の協議記録の保存」や「適正な価格転嫁」といった高度なコンプライアンス実務が、現場の努力や人海戦術だけでは十分ではないレベルに達していることを示唆しています。

その解決策として、従来の「意識改革（16.0%）」や「ガイドライン強化（24.6%）」を上回り、「デジタル化・システム導入（27.4%）」が最も支持された点は象徴的です。

現場は、公正な取引環境を実現するためには、ルールを増やすことよりも、膨大な取引データを可視化し、業務プロセス自体を標準化する「実行基盤（デジタルインフラ）」の整備こそが不可欠であると捉えている様子がうかがえます。

今回の法改正を単なる「事務負担の増加」で終わらせるか、データを起点とした「取引全体の透明化・高度化」へ転換できるか。その分岐点は、テクノロジーを経営戦略の柱として実装できるかに掛かっています。

＝＝＝調査概要＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

調査名称：下請法改正における意識調査

調査期間：2025年 11月27日・12月2日・3日

調査方法：弊社主催セミナーへの参加者へオンラインで調査

調査対象者：製造業従事者77社90名

表記：四捨五入し、小数第１位までの値で記載

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キャディ株式会社

キャディ株式会社は、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、点在するデータ・経験を資産化し、新たな価値を創出する「製造業AIデータプラットフォームCADDi」を開発・提供するスタートアップ企業です。アプリケーションである「製造業データ活用クラウドCADDi Drawer」「製造業AI見積クラウド CADDi Quote」をはじめ、今後もプラットフォーム上に様々なアプリケーションを提供予定です。日本をはじめアメリカ、ベトナム、タイを含む4カ国で事業を展開し、製造業のグローバルな変革を実現していきます。累計エクイティ資金調達額は257.3億円。

＜会社概要＞

本社所在地：東京都台東区浅草橋4-2-2　D’sVARIE浅草橋ビル（総合受付6階）

代　表　者：代表取締役　加藤勇志郎

設　　　立：2017年11月9日

資　本　金：257.3億円（資本準備金含む）

事業内容　：製造業AIデータプラットフォーム CADDiの開発運営

U　R　L　：https://caddi.com/