冷凍うどんが、地域の体験価値をひらくまで。料理人と麺づくりの担い手が語る、テーブルマーク×和多屋別荘の共創

嬉野茶、有明海苔、温泉水との出会いから見えてきた可能性。実証の現場で生まれた発見と、食を通じた地域価値の創造を対談でひも解く。

株式会社 和多屋別荘

株式会社和多屋別荘(所在地:佐賀県嬉野市、代表取締役:小原嘉元)は、テーブルマーク株式会社と共同で進める、冷凍うどんを起点とした新たな食体験の共創プロジェクトについて、料理人と麺づくりに携わる担当者の対談を公開します。

2026年9月4日から開始した本プロジェクトでは、テーブルマークの冷凍うどん「丹念」と、嬉野の食文化や地域資源を掛け合わせ、新たな食体験の創出に取り組んでいます。現在、和多屋別荘館内の「日本料理 利休」「李荘庵」では、冷凍うどんを使用した特別メニューを11月30日まで提供しています。

今回の取り組みで目指したのは、冷凍うどんを単に料理の材料として使うことではありません。料理人の感性と技術、嬉野茶や温泉水といった地域資源、そしてメーカーが培ってきたものづくりの知見を掛け合わせることで、これまでにない食の価値を生み出すことです。

実際の試作や提供を通じて、料理人は冷凍うどんの品質と可能性を再発見し、メーカー側も、料理人との対話から新たな調理方法や商品価値の広がりを実感しました。

本記事では、和多屋別荘の料理人2名とテーブルマークの担当者2名による対談を通じて、現場で生まれた発見と、地域の食文化を次の価値へつなげる可能性を紹介します。

■料理人が驚いた、冷凍うどんの品質と可能性

山田健太(和多屋別荘 日本料理「利休」料理長)

テーブルマークの冷凍うどん「丹念」を初めて口にしたとき、最初に感じたのは「おいしい」よりも先に、「驚き」でした。わずか一分ほどで、このクオリティのうどんが仕上がる。お店で提供されるようなうどんが、家庭でも再現できる。それも、こんなに簡単に。そこには“おいしさ”だけでは語りきれない、大きな価値を感じました。

料理人として20年以上、日本料理と向き合ってきました。技術とは、日々の積み重ねによって磨かれていくものだと思っています。だからこそ「丹念」を食べたとき、その品質の背景にある時間や工夫、苦労のようなものが伝わってきたんです。この品質を全国どこでも、手頃に楽しめる。そのことに、テーブルマークが長年培ってきたうどんづくりの技術と、おいしさへのこだわりに強い想いを感じました。

今回、テーブルマークのさまざまなうどんを比較しながら、和多屋別荘の地域共創のコンセプトに最も合う「うどん」を探していきました。その中で特に印象に残ったのが「丹念」です。コシの強さ、生麺のような食感、噛んだときの心地よい跳ね返り。単に硬いのではなく、噛み応えがあり、のど越しもよく、後味もきれいでした。

食べた瞬間に、合わせたい味が浮かんできたんです。嬉野茶はどうだろう。和多屋別荘の温泉湯豆腐とは合うだろうか。出汁との相性はどう組み立てようか。単に「うどんを使った料理を考える」というより、「うどんと嬉野から新しい魅力が生まれそう」という感覚に近かったですね。

吉田友則(テーブルマーク株式会社 戦略本部マーケティング戦略部 商品企画家庭用担当部長)

今回の企画で目指したのは、単なる食材同士の組み合わせではありませんでした。うどんと地域、それぞれが持つ価値を掛け合わせることで、うどんの新しい魅力を探り、さらに生み出していきたい。私たちは、1+1を2で終わらせず、3にも4にもしていきたい。その広がりが「丹念」にはあると感じています。

山田:うどんが主張しすぎるわけでもない。かといって、嬉野茶や温泉湯豆腐、佐賀牛、豆乳といった地域素材に埋もれてしまうわけでもない。この絶妙なバランスが保てること。素材と一対一で向き合える力があると感じました。

今回のメニュー開発で置いたテーマは「シンプルに味わう」です。嬉野茶のうまみ、出汁の奥行き、素材本来の味わいを引き出す工夫。そこに「丹念」の魅力を重ねる。できるだけ削ぎ落としながら、それぞれの素材が持つ本質をお客様に体感していただくことを目指しました。

肉料理のような力強い組み合わせもできます。でも本当に目指したかったのは、素材がもつ価値や魅力を引き出し、お客様に“本質のおいしさ”を感じていただくことでした。シンプルだからこそ、ごまかせない。そこに料理人の技や経験が表れるのだと思います。

うどんは、ご飯と同じ主食です。焼く、茹でる、かける、煮込む。表現方法は本当に多彩です。極端に言えば、スイーツだって作れる。だからこそ、料理のキャンバスとしての機能がある、と思います。

和多屋別荘「日本料理 利休」では、秋のコース料理の中で、このうどんを「凌ぎ」として展開する構想があります。コースの途中で、うどんの噛み応えや奥深い味わいを活かしながら、次の料理へと流れを切り替える“リセット”の役割を担わせたいと考えました。どこに置いても料理として成立する。それも、うどんだからこそ実現できる価値ではないでしょうか。

吉田:長年うどんづくりに携わる中で、原料や配合、製法の改良を積み重ねてきました。ただ、今回のように料理人の視点で、新しい食べ方や見せ方、提供するタイミングに出会えたことは、とても新鮮でした。うどんづくりが次のステージに進むための、大きな気づきになったと感じています。

須田悠介(テーブルマーク株式会社 戦略本部 商品開発部)

麺そのものの芯は変わりません。でも、削ったり、足したり、掛け合わせたりすることで、こんなにも新しい味の表現や驚きを生み出せるのかと、学ばせてもらいました。

吉田:固定観念を捨てること。それが、新しい価値を生む第一歩なのだと思います。嬉野の文化や食材と組み合わせることで、うどんはさらに新しい価値の生み方がある。しかもそれは、嬉野だけではなく、日本各地で展開できる可能性を秘めていると感じています。

■嬉野茶、有明海苔、温泉水。地域の素材が料理の発想を広げる

北村裕幸(和多屋別荘 レストラン部門GM兼佐賀牛ダイニング「李荘庵」料理長)

率直に言うと、「冷凍でここまでいけるのか」という驚きがありました。手軽なのに、ちゃんとおいしい。しかも、ただ便利というだけではなく、うどんそのものの味や食感がしっかりしている。小麦の甘みも感じられましたし、出汁で食べても、塩だけで食べても成立する。料理人としては、そこに魅力を感じました。

粉から打つと、どうしても時間も手間もかかります。でも「丹念」は短時間でお客様にご提供できる品質に持っていける。だから料理人は、麺を作ることではなく、どう味を重ね、どう体験として届けるかに集中できるんです。

須田:うどんという素材が前提にある中で、試作ではどのように発想を広げていったのでしょうか。

北村:最初に考えたのは、うどんをどう飾るかではなく、嬉野や佐賀の素材をどう活かすかでした。有明海苔、嬉野茶、温泉湯豆腐、ほうじ茶、豆乳。どれも地域に根づいた素材です。「丹念」は味が限定されすぎていないので、そうした素材を受け止めて広げてくれる。いろいろ合わせていくうちに、パスタのように使える感覚もありました。なかでも、有明海苔との組み合わせは印象的でした。海苔の香りが立つ一方で、うどんの甘みも引き出されていたように感じます。海苔は食感も香りも強い素材ですが、うどんが負けていませんでした。むしろ、海苔の出汁感があるからこそ、小麦の甘みが見えてくる。嬉野茶出汁も同じです。苦みをどこまで出すかは紙一重ですが、その緊張感が料理として面白い。うどんが主役でありながら、地域素材の良さも引き出してくれる。そこに、今回の発見がありました。

吉田:料理人の方々と一緒に試作を重ねることで、私たちが普段考えている商品開発とは違う視点に触れることができました。

同じ麺でも、合わせる食材や調理方法、提供の仕方によって、これほど表情が変わる。商品の可能性を広げるうえで、大きな学びになっています。

■最後の一分に宿る、料理人の判断

吉田:最終的な提供方法に至るまで、試行錯誤も多かったと伺いました。

北村:当初はオペレーションを考えて、事前に茹でておくことも検討しました。でも、やはりコシと食感を大事にしたい。最終的には、提供直前に温泉水で茹でる方法を選びました。出汁とほうじ茶も、あらかじめ合わせるのではなく、最後に合わせる。お茶の苦みはどうするのが良いか、どの瞬間に苦みを出すか。そこも丹念の持つコシだからこそ苦みが活きる。後味でお茶の苦みと小麦の甘味が融合する、素材の個性が活きる。そう感じたからこそ、あえて苦みを活かす選択をしました。便利だから手を抜くのではなく、便利だからこそ、体験価値に集中したい。たとえば、お客様には最初に、うどんを一本だけ味わっていただくことをご提案しようとも考えています。まず麺そのものを知ってもらう。その後で、海苔やお茶と合わせた味わいに進む。そうすることで、お客様の料理への満足度が変わってくると思います。

須田:調理の現場での細かな判断や工夫は、商品を開発する側だけでは気づきにくい部分です。実際に料理人の方々と向き合うことで、商品の品質をどのように料理の中で生かしていくか、具体的に学ぶことができました。

■地域の「当たり前」を、新しい食体験へ

須田:和多屋別荘さんには、長く積み重ねてこられた技術や歴史がありますよね。その中で、これから先へどうつないでいくかが、とても大事だと思っています。嬉野茶や温泉、温泉湯豆腐といった文化を後世へつないでいくために、どのようなことを考えていらっしゃいますか。

北村:嬉野には、脈々と受け継がれてきた味付けや、嬉野茶を使う文化、温泉湯豆腐のような土地ならではの食の魅力があります。ただ、それをそのまま出し続けるだけではなく、来てくださるお客様に合わせて、どう提供していくかが大切だと思っています。国内のお客様はもちろん、インバウンドのお客様にも楽しんでいただけるように、味のバリエーションや見せ方をもっと考えていきたいですね。

大事なのは、こちらの味を押しつけるのではなく、お客様に合わせていくことだと思います。いつもの型を大切にしながら、そこに何か一つをプラスして進化させていく。その先に、驚きや感動が生まれる。そういうワクワクする感覚を、次の世代にもつないでいきたいですね。

吉田:和多屋別荘には長い歴史があり、嬉野にはお茶や温泉湯豆腐など、地域に根付いた食文化があります。そうした地域ならではの素材や文化と、私たちの商品を掛け合わせることで、新しい価値をつくれるのではないかと考えています。

今回の取り組みを通じて、地域の食材を生かすことは、単にその土地でしかできない料理をつくることにとどまらないと感じました。地域の文化や食材を、新しい使い方や体験につなげていくことができる。嬉野で得られた発見は、ほかの地域での活用にもつながる可能性があります。

北村:嬉野には、長く親しまれてきたお茶の文化や温泉湯豆腐など、受け継いでいきたい味があります。ただ、そのまま提供するだけではなく、お客様に合わせて見せ方や伝え方を変えていくことも必要です。海外からのお客様も増える中で、地域の食文化をどのように体験してもらうかは、これからますます大切になると思います。

自分たちの味を一方的に押しつけるのではなく、お客様に合わせながら、守るべき形は残し、そこに一つ新しい工夫を加えていく。そうすることで、次の世代にも楽しんでもらえるものになっていくのではないでしょうか。

今回の取り組みも、冷凍うどんという身近な食材を通して、嬉野の食文化を改めて見つめ直す機会になりました。

■共創から生まれる、新たな可能性

北村:私にとっても、非常にいい機会をいただいたと思っています。今回のうどんは、温泉湯豆腐と同じくらい、和多屋別荘の“必殺技”になるのではないかと感じています。全国に冷凍うどんを販売しているテーブルマークと共創できたこともありがたかったですし、ほかの旅館や地域にとっても、地域の価値を創造する一つのモデルケースになってくれればいいなと思っています。テーブルマークのうどんを温泉で茹で、嬉野のお茶につけて食べる。とてもシンプルですが、そこには地域の価値が凝縮されています。価値あるものはきちんと活用し、その価値に見合う対価をいただきながら、継続できる形にしていくことが大事です。今回の取り組みは、うどんを通じて地域の価値を再確認する機会にもなりました。佐賀牛があるのが当たり前、嬉野茶があるのが当たり前。そうした当たり前をもう一度見つめ直すことで、地域の価値の再発見につながったと思います。

吉田:今回、私たちのうどんを「すごい」と評価いただけたことは、本当に大きな励みになりました。自分たちが積み重ねてきた冷凍うどんの魅力と、和多屋別荘さんのおもてなしの想いが重なったことを、とてもうれしく思っています。おもてなしの心に、私たちのうどんが少しでも貢献できたことは、これからの50年に向けた大きな転機になると感じています。これからも、冷凍うどんの可能性や魅力をもっと発信していきたいです。家庭の食卓だけでなく、地域の文化やプロの料理の現場でも価値を生み出せる。和多屋別荘さんとの出会いは、そのことに気づかせてくれた大切な機会だったと思います。

須田:私たちは、日々うどんを作っています。工場には麺を作る機械があり、安全で安心な製品を安定してお届けすることが当然のようになっています。でも今回、プロの料理人の方々に評価いただいたことで、その当たり前の中にある価値に改めて気づくことができました。この話を工場の現場にも伝えたら、きっと喜ぶと思います。料理を通して、うどんにはまだまださまざまな味の魅力を引き出す価値の見せ方があるのだと教えていただきました。これまで気づけていなかった新しい可能性を見て体感することができた。今回の共創は、私たちうどんづくりに携わる側にとっても、大きな学びになりました。

山田:今回の取り組みを通じて、普段からある食材や商品も、組み合わせや見せ方によって、新しい体験になることを改めて感じました。

料理人だけで考えていても、メーカーだけで考えていても、見えてこないことがあります。それぞれが持つ知識や技術を持ち寄り、実際に試してみることで、初めて見つかる可能性があるのだと思います。

これからも、地域の素材や食文化を大切にしながら、新しい食体験につなげていきたいと考えています。

■取り組み概要

実施期間: 2026年9月4日(金)~11月30日(月)

提供場所: 和多屋別荘 館内レストラン

日本料理 利休

佐賀牛ダイニング 李荘庵

取り組み内容: テーブルマークの冷凍うどん「丹念」と、嬉野の食文化・地域資源を掛け合わせた特別メニューの提供および、食を通じた新たな体験価値の創出に向けた共創

※提供メニューの詳細は、第一弾のプレスリリースをご覧ください。

第一弾プレスリリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000160.000086101.html

■実証の先へ。食を通じた地域価値の創造を目指して

今回のテーブルマークと和多屋別荘の取り組みでは、冷凍うどんを起点に、料理人の技術、メーカーの商品開発力、そして嬉野の地域資源を掛け合わせることで、新たな食体験の可能性を探っています。

地域の食文化は、守り続けるだけでなく、現代のお客様のニーズや新しい技術と出会うことで、次の価値へと発展していきます。また、メーカーにとっても、実際の調理や提供の現場に触れることは、商品開発の新たな視点を得る機会となります。

和多屋別荘が進める嬉野リビングラボ(URESHINO LIVING LAB)は、企業と地域が交わり、地域資源を生かした実証と新たな事業創出を目指す取り組みです。

今回の共創も、食を通じて地域の可能性を再発見し、実際のサービスとして提供することで、その価値を検証する取り組みの一つです。

今後も、企業が持つ技術や知見と、地域に根付く文化・資源を掛け合わせながら、地域ならではの体験価値と持続可能なビジネスの創出を目指してまいります。

【株式会社和多屋別荘 会社概要】
代表取締役:小原 嘉元
設立:1950年11月3日
事業内容:旅館業、飲食事業、リーシング事業
所在地:〒843-0301 佐賀県嬉野市嬉野町下宿乙738
公式サイト:https://wataya.co.jp/ 
※日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2025(旅行新聞新社主催)グランプリ受賞。旅館内インキュベーション施設「OIC」を運営し、嬉野リビングラボ(URESHINO LIVING LAB)を展開中。

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ビジネスカテゴリ
食品・お菓子ホテル・旅館
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会社概要

株式会社 和多屋別荘

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URL
https://wataya.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙738
電話番号
0954-42-0210
代表者名
小原嘉元
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
1950年11月