富士通とiSurgery、東京慈恵会医科大学整形外科学講座と骨の健康増進プロジェクトを開始
日本企業初、従業員向け健康診断で胸部X線写真の活用による骨評価を実施。骨粗しょう症の早期発見につなげる
富士通株式会社(注1)(以下、富士通)とiSurgery株式会社(注2)(アイサージェリー 以下、iSurgery)は学校法人慈恵大学 東京慈恵会医科大学(注3)(以下、東京慈恵会医科大学) 整形外科学講座と共同で、胸部X線写真の活用による骨評価(注4)の有用性および従業員の健康意識・健康行動の変化への効果検証を目的に実証実験「骨の健康増進プロジェクト」(以下、本実証実験)を2023年10月から2025年3月まで実施します。なお、企業の従業員向け健康診断において、胸部X線写真を活用して骨評価を実施し、従業員の骨の健康増進に取り組むのは日本初となります。
本実証実験では、iSurgeryのAI医療機器「医用画像解析ソフトウェア Chest Bone Indicator」(注5)(以下、AI医療機器)を活用し、富士通グループの従業員向け健康診断の受診者に対して、胸部X線写真から骨の状態を評価し、結果を通知します。評価結果に応じて専門医、精密検査の受診を勧奨するほか、評価結果にかかわらず東京慈恵会医科大学が提供する骨の健康に関する基礎知識を活用して、予防のための健康指導なども行います。
これらの施策の結果、従業員の骨粗しょう症の予防や健康に関する意識向上、ならびに健康のための行動の変化につながったかをアンケートなどにより把握し、企業による従業員向け骨の健康増進施策の有用性を検証します。
今後、本実証実験の結果を踏まえ、企業健診における効率的な骨評価を実現することで、費用対効果の高い骨の健康増進事業の実施方法を策定し、骨粗しょう症や骨粗しょう症予備群の早期発見・早期治療につなげるとともに、従業員のWell-being向上、高齢化社会が抱える健康課題の解決を目指します。
【背景】
高齢化が進む日本では、加齢に伴う骨粗しょう症患者が1,280万人に上る一方で、骨粗しょう症検診受診率は約5%にとどまり、骨粗しょう症患者のうち約80%は治療を受けていない状況です。骨粗しょう症が未治療のまま放置されることで骨折や要介護状態につながり、これらによる医療・介護総費用は約1兆円に上ることが大きな問題と言われています。
富士通は健康経営施策の一環として、就労者における愁訴が増加している頭痛や腰痛改善による仕事の生産性やQOLの向上など、将来を見据えた健康管理をテーマに取り組んでいます。2023年1月には東京慈恵会医科大学整形外科学講座斎藤 充主任教授の監修のもと、従業員の健康保持増進のために必要な知識を提供する目的で、富士通グループの国内全従業員を対象とする、eラーニング講座「腰痛から学ぶ身体活動と足腰の健康」を実施し、骨に関する知識の浸透を図りました。講座の内容理解度は96.3%で、骨の健康問題への対策として骨密度の検査が有効であると理解いただけました。しかし、骨密度の測定は特殊な検査機器を用いるため、検査実施可能な機関が限られ、費用もかかるという課題がありました。
iSurgeryが提供するAI医療機器は、企業の法定検査項目である胸部X線検査で撮影した写真を活用することで、骨密度測定の追加検査なしに骨の状態の評価が可能であることから、今般、共同で実証実験に取り組むこととしました。
【骨の健康増進プロジェクト概要】
本実証実験では、富士通グループの従業員向け健康診断の受診者の胸部X線写真をAI医療機器で分析し、骨評価を行います。富士通の産業医、産業保健スタッフは従業員に骨の状態の説明や健康指導、教育、健康指導をし、健康行動に移すことを促します。骨の状態によっては、受診・精密検査を勧奨します。これらを受けた従業員の健康意識・健康行動の変化をアンケートなどにより測定し、企業が従業員向けに行う骨の健康増進施策の有用性を検証します。また、本プロジェクトで得られたデータを骨粗しょう症の有病率、骨粗しょう症検査の要精密検査率などの国内外の疫学データと比較して医学的な妥当性を検証し、胸部X線写真の活用による骨評価の有効性を学術的にまとめます。
【実施期間】
2023年10月〜2025年3月
【対象者】
富士通健康管理センター(川崎市)における富士通グループの従業員向け健康診断の受診者約3万人
【実施内容】
・AI医療機器よる骨の状態評価と結果の通知
・骨の状態評価結果に基づく受診・精密検査の勧奨
・ビデオセミナー、食事指導、栄養指導
・行動変容ステージに関するアンケート、精密検査受診者の受診結果(骨粗しょう症の有無、骨密度測定結果)の確認および検証
【期待される効果】
・従業員の骨評価の結果通知、骨の健康に関する教育、指導による健康意識向上、健康行動の変容
・骨粗しょう症リスクがある従業員の医療機関への早期受診および治療介入
【各者の役割】
・富士通:健康診断実施主体として、検査、結果通知の実施体制の構築、運営。健康診断実施後の教育、健康指導の実施。
・iSurgery: AI医療機器の提供および適切な実施体制の構築の支援、食事、運動指導の情報の提供。
・東京慈恵会医科大学:十分な臨床的・学術的意義の検証のための専門的な助言、および骨に関する基礎知識や予防方法などのビデオセミナー、食事指導・運動指導の情報提供、学術発表。
【今後について】
富士通は、従業員への様々な健康支援によって、仕事の生産性向上、個人・組織の活性化を図り、持続的なWell-being向上につなげていきます。また、iSurgeryは企業の従業員向け検診での骨評価を広く普及させ、従業員の骨の健康を増進させることで、「いつまでも元気に働くことができる」未来を目指します。
【商標について】
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
【注釈】
注1 富士通株式会社:本社 東京都港区、代表取締役社長 時田 隆仁(補足:掲載先メディアや閲覧環境の仕様によっては、代表取締役社長 時田 隆仁「隆」の文字が正しく表示されない場合があります。正しくは、「隆」の「生」の上に「一」が入ります。)
注2 iSurgery株式会社:本社 東京都中央区、代表取締役医師 佐藤 洋一。整形外科領域のAI医療機器の開発および販売を手掛けるスタートアップ企業。
注3 学校法人慈恵大学 東京慈恵会医科大学:所在地 東京都港区、学長 松藤 千弥
注4 骨評価:深層学習による画像解析技術を応用し、胸部X線写真から骨の状態を解析、若年平均値や同年代と比較し、骨粗しょう症の早期発見につなげる。
注5 医用画像解析ソフトウェア Chest Bone Indicator:胸部X線画像を深層学習によって画像解析し、骨の状態を解析するiSurgeryが開発したソフトウェア。追加の検査時間・労力・被爆なしに骨の状態の検査が可能。X線撮影装置があればどこでも導入可能、既存の医療用画像管理システム画面からワンクリックで解析完了できる。場所、人、時間を費やさずに、大幅に検査を増やすことができる。2023年4月18日に薬事認可(医療機器認証番号:305ADBZX00032000)済。
【関連リンク】
・富士通グループ健康宣言:https://www.fujitsu.com/jp/documents/about/csr/employees/health/fjgr_health_declaration.pdf
・ウェルビーイング:https://www.fujitsu.com/jp/about/csr/wellbeing/
・Health Well-being:https://www.fujitsu.com/jp/about/csr/health/
・iSurgery株式会社:https://www.isurgery.tech/
≪本件に関するお問い合わせ≫
・富士通株式会社
富士通コンタクトライン(総合窓口)
電話 0120-933-200
受付時間: 9:00~12:00および13:00~17:30(土・日・祝日・富士通指定の休業日を除く)
お問い合わせフォーム
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