【慶應義塾】「量子コンピューターを用いた大規模な分子・固体向け高精度エネルギー計算手法」がNature Research出版社の専門誌に掲載
-テンソルネットワークと量子モンテカルロを組み合わせた新規量子計算手法を開発-
三菱ケミカルグループ(以下「三菱ケミカル」)、慶應義塾大学(所在地:東京都港区、塾長:伊藤 公平、以下「慶大」)および日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:山口 明夫、以下「日本IBM」)は、IBM Quantum Network Hub(慶大量子コンピューティングセンター内)にて「大規模な分子・固体のエネルギーを高精度で計算するための量子コンピューターを用いた新たな計算手法」を開発し、その論文が世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「npj Quantum Information」に掲載されたことをお知らせいたします。
三菱ケミカル、慶大および日本IBMは、大規模な分子・固体のエネルギーを高精度で求めるために、問題分割法であるハイブリッドテンソルネットワーク(HTN)と高精度計算手法である量子モンテカルロ(QMC)を組み合わせた「HTN+QMC」、そして量子状態同士の重なりを量子回路上で効率的に計算する「疑似アダマールテスト」を開発しました。これらの手法を用いてIBMのゲート型商用量子コンピューター「IBM Quantum System One」上でフォトクロミックモデル分子のエネルギーを計算し、ノイズのないシミュレーターに匹敵する0.042±2.0 milli-Hartreeという高精度で基底状態を求めることに成功しました。
この研究成果は、単体の量子コンピューターで扱えるサイズを超えた大規模な分子・固体の物性を高精度に解析する道を開くことが期待されます。
三菱ケミカル、慶大および日本IBMは、今後も、幅広い材料開発に用いるための量子コンピューターの技術確立を進めていきます。
▼全文は本学のプレスリリースをご参照ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2024/6/10/240610-1.pdf
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